あらすじ
第1巻
小桜ののかは、幼い頃両親と行った年末のカウントダウンイベントで見た、ラブラブのカップルの姿にあこがれていた。いつか自分に彼氏ができたら、彼氏と二人でカウントダウンに行くという夢を抱いて生きてきたが、気づけば高校生になってもう8か月。高校生になれば自然と彼氏ができるだろうと思っていたが、まったく何の出会いもチャンスもないまま12月を迎えた。このままではいつまでたっても彼氏ができないと、焦りを感じ始めたののかは、友人の花菜からの誘いで合コンに参加し、同じ学校に通う男子の桐山直也と知り合う。直也は、夢見がちなののかに対して「一生彼氏ができなそう」と発言し、周囲からブーイングを浴びるが、これがきっかけとなって、ののかが彼氏にあこがれる事について話し合うようになる。その後、出会いを求めてコンビニエンスストアでアルバイトをする事にしたののかは、そこで偶然にも直也に再会。いっしょに働く事になった。いつも冷静沈着でクールな性格のため、何を考えているのかわからない直也だったが、彼氏づくりに向かって一直線なののかを、「ヒマだから」と何かと構うようになり、いっしょにいる時間が増えていく。カウントダウンに向けて意気込むののかは、いつも空回りばかり。結局今年も彼氏ができないまま、年末を迎えたののかを、カウントダウンに誘いに来たのは、直也だった。直也は、落ち込むののかに自分が彼氏になろうかと声を掛けるが、その言葉にののかは、自分がカップルの何にあこがれていたのか、本当の気持ちを思い出す。そして改めて彼氏を作る気持ちに火が付いたののかを見た直也は、来年までに彼氏ができたら、カウントダウンのカップル専用シートをプレゼントする事を約束。ののかに彼氏ができるまで、見守る事になる。
第2巻
小桜ののかは、彼氏ではないけれど、いつも自然体で、いっしょにいると楽しい桐山直也の「女友達」として、一番でありたいと思っていた。そんな中、突然出現した直也の元彼女の生駒恵里葉は、いかにも直也に未練があるとばかりに、彼の周りに姿を現してはののかをけん制し、ののかの気持ちをかき乱す。アルバイト帰り、恵里葉に声を掛けられたののかは、二人でカフェに入る事になった。恵里葉はののかに、直也と別れる事になった原因について話を始め、当時、直也の自分への気持ちに不安を抱いた事で、彼の気持ちを試した事を告白。それは、直也が何を考えているかわからないからだと話す恵里葉の言葉に、それまで黙って聞いていたののかは猛反論。女友達として直也の優しさについて熱く語る。そんなののかを見て、様子が変わった恵里葉は、いつも笑顔で、男子ウケがいいように自分を作り上げていた事を明かす。それに対して理解を示すののか。そんな二人の様子を見て声を掛けてきたのは、直也と、恵里葉の今彼、細谷真太郎だった。事の一部始終を見られていた事を知った恵里葉は、ショックを受けて逃げてしまうが、真太郎とも無事和解。それ以降、今まで作っていた愛されキャラを脱した恵里葉は、ののかに懐いて来るようになった。
そんなある日、ののかは自分の中にあったはずの彼氏がほしいという気持ちが薄れている事に気づく。男子がかっこよく見えない、出会いを求めていないなど、ちょっと前の自分では考えられない状態になっていた。これを「五月病」と考えたののかは、自分がいつのまにか夢まで失っていた事に気づく。
第3巻
小桜ののかは、彼氏づくりに対する意欲を失っていたのは、桐山直也に恋していたからだとようやく気づいた。恋心を自覚したののかはすっかり恋愛モードに突入する。しかし、そんなののかの様子に疑いの目を向けた生駒恵里葉は、直也への恋心が本物かどうかを確認する必要があると言い、ののかに鈴木奨平を紹介。イケメンの奨平にときめかなければ、その気持ちが本物だと認めるという話になった。そんな中、運悪く奨平と二人でいるところを直也に見られてしまったののかは、誤解を解こうと直也を追いかけるが、誰と遊んでも自由だと突き放されてしまう。一方の奨平は、一人涙に暮れるののかをそっと抱きしめる。そんな二人の様子は、奨平のクラスメイトに目撃され、奨平はすっかり噂の人となってしまう。その後、奨平からの頼みで、ののかは奨平と付き合っているふりをする事になった。しかも間が悪い事に、一番知られたくなかった直也にもその事を知られてしまう。どんどん悪化する事態に落ち込むののかは、さらなる追い打ちをかけるように、宿泊研修先でトラブルに見舞われる。同時に、翔平からの本気のアプローチに流されそうになりながら、ようやく直也への揺るぎない気持ちに辿り着いたののかは、今こそ告白するタイミングと意気込んで直也の家へと向かう。だが、そこには直也の元許嫁の黒河内真央の姿があった。
第4巻
桐山直也を好きになってからというもの、うまく行かない事ばかりの日々に心が折れてしまった小桜ののかは、改めて鈴木奨平と付き合う事を決めた。自分を好きになってくれた人との時間は穏やかに流れていく。クリスマスはプレゼントを渡し合い、カップルらしく過ごす事ができた。しかしののかの心はどこか虚ろだった。それは、直也から、奨平と行くためのカウントダウンのカップル専用シートのチケットを渡されたからだ。年末を迎え、出かける準備をしていたののかのもとにやって来た生駒恵里葉は、ののかが奨平に逃げている事を指摘する。しあわせになりたい一心で彼氏を欲していたののかは、複雑な心境を抱えたまま奨平との待ち合わせに向かう。しかしそこで、カウントダウンへのあこがれについて話を聞いた奨平は、ののかが直也への気持ちに無理矢理ふたをしている事に気づき、カウントダウンへは直也と行くように促す。ののかは奨平の言葉を否定しながらも、直也への気持ちに噓がつけなくなっている事を気づかされる。奨平の優しさに感謝しつつ、直也のもとへと向かったののかは、カウントダウンのイベント会場で直也を見つけ、ようやく彼に気持ちを伝える事に成功する。
第5巻
ずっと夢に見ていたカウントダウンイベントで、意を決して告白をした小桜ののかは、ついに桐山直也と付き合う事になった。念願の彼氏の存在に、初めは浮かれていたののかだったが、付き合う事でテンションの上がった自分と、今までと変わらない態度の直也との温度差を感じ、再び心の中のモヤモヤが復活。そんな気持ちのまま、受けたテストの結果は散々なもの。追試を受ける事になり、その対策のために生駒恵里葉の家で泊まり込みの勉強会を行う事になった。勉強を進めつつ、直也との事を話すうちに、弱気になっている自分に気づいたののかは、改めて直也と向き合い、頑張っていく決意をする。一方で直也の方も、ののかと付き合う事になってからというもの、自分の中の変化に戸惑っていた。ののかの事が好きすぎて、嫌われる事が怖くて、思ったように動けない事を気に病んでいた。すっかり自分のペースを見失ってしまった直也は、自分自身が、「めんどくさい人」に成り下がっている事で、付き合う事がめんどうだと発言する。タイミング悪く話を聞きかじったののかは、めんどくさいと思われたのは自分だと誤解。その場から走り去ってしまう。
第6巻
小桜ののかと桐山直也は、付き合い始めてから互いに持っていた悩みを、話し合う事で無事解消。すっかりラブラブモード全開の毎日を送っている。そんな中、ののかの誕生日を間近に控え、直也は誕生日にしてほしい事についてリサーチを始めた。ののかの答えは彼女っぽい事、付き合っているっぽい事がしたい、というざっくりしたもの。誕生日当日まで頭を悩ませた結果、直也が用意したのは思い出の場所を再度訪れるデートと、カップル専用のスマートフォンアプリ。予定や写真、日記を二人だけで共有できるアプリを使い始めた。直也への気持ちにに拍車をかけたののかは、相談のうえ、直也といっしょにいたいがために文系から理系へと進路を変更。3年生になる大事な時期に、大きな決断を行った。
4月、ののかは晴れて直也と同じクラスになったものの、数少ない女子のクラスメイトはすでに輪ができあがっており、なかなか馴染めないでいた。しかも、勉強にも当然ついていけない状態。すっかり落ち込むののかを心配して、直也が勉強を教えてくれたおかげもあって、どうにか勉強にはついて行けるようになった。その後、クラスの女子とはソーイングセットをきっかけに距離を縮める事に成功し、日々の学校生活が少しずつ安定していく。そんなある日、ののかのクラスに姿を現したのは、ケガで登校していなかったもう一人の女子、木名瀬結だった。男嫌いの結は、誰であっても男性を前にするとあからさまに表情が変わる。しかし女子に対してはとても人当たりがよく、ののかはあっという間に結となかよくなっていった。しかしそんな彼女の存在が、ののかと直也のあいだに波風を立たせる原因になってしまう。
登場人物・キャラクター
小桜 ののか (こざくら ののか)
16歳の女子高校生。幼い頃、年末に両親と行った駅前のカウントダウンイルミネーションで、たくさんのカップルを見て以来、自分も彼氏と行く事を夢見ている。高校入学したての頃は、すぐに彼氏ができるだろうと期待に満ちあふれていたが、どんどん時は流れていき、いつまでも彼氏ができない事に焦りを感じている。基本的に夢見がちでマイペース。 「彼氏ほしい」をこじらせている。頭の中で考えている事はすべて顔に出てしまうわかりやすいタイプ。小さい時から人の恋愛話が大好きで、漫画やドラマなど、ベタな恋愛ものにハマっている。恋に落ちるためのアイテムとして、裁縫セットも常に所持するほど。その影響で、少々偏った恋愛観を持っていたが、漫画にありがちな設定は、非現実的であると気づいた。 花菜からの誘いで合コンに参加した際、桐山直也と知り合った。彼氏ができそうもない、と軽めの暴言を吐かれた事がきっかけで、直也とはいろいろ話をするようになった。彼氏を作りたいという理由で、コンビニエンスストアでのアルバイトを始めたが、そこには偶然にも直也がいた。なんだかんだと直也といっしょにいる時間が増えていき、直也に思いを寄せるようになった。 恋愛経験が皆無なため、うまく立ち回る事ができず、関係がこじれてしまう。3月3日生まれ、血液型はA型。
桐山 直也 (きりやま なおや)
16歳の男子高校生。外見はかなりのイケメン。女子からの受けも悪くないが、いつも冷静沈着でクールなため、何を考えているかわからないと思われがち。しかし実際は、優しくて友達思い、話をよく聞く気遣いのできる人。友人からの誘いで参加した合コンで、小桜ののかと知り合った。夢見がちな彼女に、彼氏ができそうもないと口にした事を友人達から責められ、ののかに謝罪する羽目になった。 悪気はなく、思った事が口から出てしまうタイプで、それが誤解を招く事もしばしば。しかしそれ以降、ののかとはアルバイト先が同じになったりと、何かとかかわる事が多くなる。自分からもヒマを理由にののかに話し掛けたり誘ったりと、かまう事が増えていく。細谷真太郎、生駒恵里葉とは、もともと幼なじみだったが、中学1年生の頃、恵里葉と交際を始めた。 その後、恵里葉から「細谷の事を好きかもしれない」と言われた事をきっかけに、友人関係に戻り、二人の交際を温かく見守っている。6月30日生まれ、血液型はO型。視力は2.0。実はキス魔。
リホ
16歳の女子高校生。小桜ののかのクラスメイト。ボブヘアで友達思いの優しい性格。ののかとは、いっしょにお弁当を食べたり、いっしょに出掛けたりする仲。今すぐ彼氏がほしいと言っているののかに対し、自分はあまり急がないと言っていたにもかかわらず、花菜から誘われた合コンで知り合った男子の木下から告白され、付き合う事になった。
花菜 (かな)
16歳の女子高校生。小桜ののかのクラスメイト。ののかとは、いっしょにお弁当を食べたり、いっしょに出掛けたりする仲。ロングヘアの大人っぽい人物で、すでに彼氏持ち。彼氏をほしがっているののかの力になってあげようと、彼氏の友人を集めて合コンを開催した。
加恋 (かれん)
16歳の女子高校生。小桜ののかのクラスメイト。ののかとは、いっしょにお弁当を食べたり、いっしょに出掛けたりする仲。ショートヘアで快活な性格の持ち主。硬式テニス部に所属しており、部活に集中したいという理由で、彼氏はしばらくいらないと発言していた。しかし、年末にさしかかったある日、同じ部活の男子、立中と付き合う事になった。
境 忍 (さかい しのぶ)
小桜ののかや桐山直也と同じコンビニエンスストアでアルバイトをしている男子高校生。爽やかで感じのいいイケメン。自分の直後にアルバイトに入って来た女子高校生の小笠原と即日付き合う事を決めた。それ以降、あまりにもラブラブでお互いしか見えない状態になり、アルバイト中もいい加減な仕事しかしなくなってしまう。その様子に業を煮やした直也から、きつい仕事を言いつけられた事がきっかけで退職。 近所の別のコンビニエンスストアで、彼女といっしょにアルバイトを再開させたらしい。
小笠原 (おがさわら)
小桜ののかや桐山直也と同じコンビニエンスストアでアルバイトをしている女子高校生。バイト先の数日先輩にあたる境忍を一目見て気に入り、速攻でアプローチをかけ、付き合う事になった。しかし、付き合い始めてからというもの、ラブラブでお互いしか見えていない状態になり、仕事もいい加減になってしまう。その様子に業を煮やした直也から、きつい仕事を言いつけられた事がきっかけで退職。 近所の別のコンビニエンスストアで、彼氏といっしょにアルバイトを再開させたらしい。
生駒 恵里葉 (いこま えりは)
女子高校生。2年時に同じクラスになった桐山直也を通じて、小桜ののかと知り合った。初対面から誰とでもなかよくできて、男子にいい女だと思われるようにと、自分を作り上げているが、実際はかなり違う。女子特有の面倒くささを持っていて、本当の性格はちょっとキツめ。中学時代に付き合っていた直也に、自分への気持ちを試そうと、「細谷真太郎の事を好きかもしれない」と発言し、破局となった。 その後、本当に細谷と付き合う事になり、現在に至る。もともと直也と細谷とは幼なじみの関係だった事もあり、今でも仲がいいが、直也に未練があり、直也と距離感の近いののかを気にかけ、けん制し始める。その後、自分の素を出してからはののかとなかよくなり、行動を共にする事も増えていく。 1月25日生まれ、血液型はO型。趣味はスポーツ観戦とジョギング。
細谷 真太郎 (ほそや しんたろう)
男子高校生。2年時に同じクラスになった小桜ののかと知り合った。もともと、桐山直也と生駒恵里葉とは幼なじみとして仲がいいが、現在は恵里葉と付き合っている。親友として、直也の事をよくわかっている。かわいいタイプのイケメンで、友達思いの優しい性格。自分を作り上げていた恵里葉が、本当の自分を出すようになってからも、彼女を大事にしている。 5月12日生まれ、血液型はB型。趣味はゲームと買い物。
鈴木 奨平 (すずき しょうへい)
男子高校生。サッカー部に所属している爽やかなイケメン。生駒恵里葉からの紹介で、小桜ののかと知り合った。もともと部活のマネージャーを務めている女子生徒に思いを寄せていたが、仲のいい友人が彼女とカップルになった事を知り、思いを断ち切った。その際、自分にも彼女できたと、友人達に紹介する事で、心配している友人達を安心させようと、ののかに彼女役をお願いした。 これをきっかけに、ののかに急接近し、実際に好きになってしまう。軽そうに見えるが、意外とお人好しな性格。8月7日生まれ、血液型はB型。
黒河内 真央 (くろこうち まお)
女子高校生。桐山直也の元許嫁。子供の頃、親同士が勝手に決めた事で、その後実際に付き合ってもみたが、互いに違うと感じたため、別れた。離れて暮らしていたが、再度近くに引っ越して来たため、直也のもとに顔を見せるようになった。1月24日生まれ、血液型はB型。趣味は料理と半身浴。
深空 (みく)
サッカー部のマネージャーを務めている女子高校生。鈴木奨平の後輩にあたる。もともとクラブチームでサッカーをやっていたが、近隣に女子チームがないため、現在はサッカーができる環境にない。マネージャーとして観察していくうちに、奨平に思いを寄せるようになっていった。
木名瀬 結 (きなせ ゆい)
3年生になる直前の春休みにケガをした影響で、休学していた女子高校生。理系クラスの数少ない女子の一人。男子に苦手意識を持っており、男子に対する態度が極端であからさま。男尊女卑の考えを持つ父親の存在が影響し、男は汚い、女に命令する、プライドが高い、話を聞かないなど、とにかく男性に偏見を持っている。しかし、3年で同じクラスになった小桜ののかとなかよくなった事で、考えを変えようと、「恋活」を始める事を決める。
書誌情報
素敵な彼氏 6巻 集英社〈マーガレットコミックス〉
第1巻
(2016-05-25発行、 978-4088455891)
第2巻
(2016-09-23発行、 978-4088456409)
第3巻
(2017-02-24発行、 978-4088457208)
第4巻
(2017-06-23発行、 978-4088457758)
第5巻
(2017-10-25発行、 978-4088458380)
第6巻
(2018-02-23発行、 978-4088458922)