概要・あらすじ
大手商社の営業一課で課長を務める田島修一は、美しい妻と2人の子供に恵まれ、若くして一戸建てのマイホームも手に入れ、平凡だが幸せな人生を送っていた。しかし、マイホームのローンをついに完済したその日、妻から突然離婚を突き付けられる。愛する家族のためにと仕事一筋に生き、築き上げてきたものが突然壊れてしまったのだ。修一は、妻と子供たちにマイホームを明け渡し、失意の中、自暴自棄になりながらもマンスリーマンションでの新たな生活をスタートさせる。
そんなバツイチ独り身の修一の前に、手を差し伸べる女性たちが次々と現れる。かつて修一は、妻だけが運命の人だと信じ込んでいたが、ここに至り、自分の考えが誤りであったことを知る。そしてさまざまな女性と本気で付き合い、体と体を重ね合わせることで、ただ1人、本当の運命の女性と出会う日を切望するようになるのだった。
登場人物・キャラクター
田島 修一 (たじま しゅういち)
大手商事会社に勤務している42歳の男性。営業一課の課長という肩書を持ち、美しい妻と2人の子供を授かり、若くして一戸建てのマイホームを建てた。幸せな人生であり、欲しいものもすべて手に入れたと考えていたが、突然妻から離婚を切り出され、養育費の代わりにマイホームの権利を妻に渡し、妻も子供も終の棲家さえも失うことになった。現在はマンスリーマンションで一人暮らしで、家族と引き換えに「自由」を得て、本当の運命の女性との出会いを追い求め、さまざまな女性と本気の交際をしている。 基本的に、愛情を持った女性とは、情熱のままに体を求め合うが、モラルは人並み以上に持っている。そのため、反社会的と感じたことや、法に触れるようなことに直面した際には、流されることなく誠心誠意対応していく、芯の通った誠実な人物。
田島 絵里子 (たじま えりこ)
田島修一の妻。40歳を目前に、修一に別れを切り出した。大学時代はミスキャンパスにも選ばれたことがあるほどの美女で、学生たちのマドンナ的存在だった。修一と交際を経て、大学卒業を待って結婚し、息子と娘に恵まれた。しかし、家庭や自分自身を顧みない夫に対して不満を持っており、妻として夫を支えるのはマイホームのローンを完済するまでと心に決めていたため、結婚20年目にして離婚を決意した。 離婚が決まった後、すぐに自宅に男性を呼び、夫婦の寝室であったベッドルームで行為に及んでいる姿が修一に確認されており、離婚の裏に男性の影があったことは確実な様子。
健太 (けんた)
田島修一の高校1年生の息子。家庭を顧みない父親を、ただ金を稼いでくるだけの「ATM」と呼び、蔑んでいる。両親の離婚後は、母親・田島絵里子と妹・亜里沙とともに暮らしている。修一の起こした不貞を知らしめるために自宅にまでやって来た佐野秀樹の話を聞いて、父親に対して憎悪の気持ちが膨らみ、修一の住むマンションの壁に落書きをしたり、窓ガラスを割ったりと嫌がらせをする。
亜里沙 (ありさ)
田島修一の中学2年生の娘。両親の離婚後は、母親・田島絵里子と兄・健太とともに暮らしている。修一の起こした不貞を知らしめるために自宅にまでやって来た佐野秀樹の話を聞いて、父親に対して憎悪の気持ちが膨らみ、兄とともに修一の住むマンションの壁に落書きをしたり、窓ガラスを割ったりと嫌がらせをする。
木田 (きだ)
大手商事会社に勤務している新入社員の男性で、田島修一の部下。貞操観念が薄く、曜日ごとにベッドをともにする女性を替えている。その中には結婚して子供がいる人妻もおり、求めるものは愛ではなく快楽というのが信条。
青木 (あおき)
大手商事会社に勤務している男性で、田島修一の部下。特徴的なマッシュルームヘアで、ぽっちゃりした体型。恋人を作るため、出会い系サイトで日々メールのやり取りをしている。「ダンディー」というペンネームを使い、知り合った女性は100人を超えると自称しているが、いまだ運命の人には出会えていない。
本郷 健治 (ほんごう けんじ)
大手商事会社の総務に勤務している男性。田島修一とは同期入社のため、何かと飲みに行ったり愚痴を聞いてもらったりすることが多い。離婚した修一の今後を心配してはいるものの、一方で自由を手に入れたことや、若い女性と好き放題できることをうらやましくも思っている。
神崎 由佳 (かんざき ゆか)
大手商事会社に勤める23歳の女性。入社2年目。美人でスタイルも良く、社内のマドンナ的存在で、お嫁さんにしたい女性社員No.1。しかし、不思議と男性の影はなく、総務のイケメンがアタックしてもなびかなかったため、理想が高いと噂されている。社内の飲み会の帰り、田島修一を強引にラブホテルに誘い、大胆にも抱いてほしいと迫る。 その後、離婚した修一と逢瀬を重ねるようになり、平日は社内で、休日は修一のマンションに押し掛け、一方的に尽くす日々を送る。どんな状況でも夜8時になると必ず姿を消すことが日常となっていたが、それは夜にはソープランドでソープ嬢として勤務しているため。以前、婚約していた裕介が事故で亡くなり、その死の責任を感じて、そこで働いて得た金を遺された彼の家族に送金している。
裕介 (ゆうすけ)
神崎由佳の婚約者だった男性。由佳とは、大学3年生の時に共通の友人を介して出会い、付き合い始めた。清い交際で、互いに無事就職が決まった暁には2人だけで旅行に行き、そこで結ばれようと誓い合っていた。だが、就職活動において、早々に内定をもらった由佳に対して、裕介は60社受けて全滅。精神状態が最悪だった中、気晴らしにと由佳に誘われて出かけたドライブの途中で事故を起こし、帰らぬ人となった。
弟 (おとうと)
裕介の弟。兄の死後、その責任を感じてソープ嬢として働き、そこで得た金を送金してくる神崎由佳を心配し、彼女が勤めるソープランドの前で待ち続けては説得を試みる日々を送っている。自分の幸せを見失ってしまった由佳に、亡き兄の想いを伝えようとしている。
ソープの客 (そーぷのきゃく)
神崎由佳が勤めているソープランドを訪れた男性客。サービスのために現れた由佳が思った以上にかわいい女性だったことに気を良くするが、自分が今幸せだと答えたことがきっかけで、サービスを拒否され、怒り出す。その時は店主の計らいで別の女性にチェンジしてもらうことで怒りを収めたかに見えたが、その後由佳が店から出て来たところを強引に連れ去り、レイプしようとする。
水沢 麻紀 (みずさわ まき)
雑誌「WOMAN」の編集長を務める29歳の女性。自分にも他人にも厳しく、曲ったことが大嫌い。嘘や、人を騙すことが許せないタイプ。田舎の母親からは結婚しないことを心配され、見合いの話も浮上している。男性経験がなく、30歳を目前にしてバージンを捨てる決意をし、登録していた出会い系サイトで田島修一と知り合う。修一とは、バージンを捨てるためのセックスだけが目的の関係だったが、修一の情熱にほだされ、付き合うことになる。 一途に尽くす女性だったが、幼い頃父親から捨てられたトラウマから、次第に修一を病的に束縛するようになっていく。
岡村 一広
雑誌「WOMAN」で、ライター兼カメラマンを務める男性。雑誌のために「捨てられない女になるための必須条件」という特集記事を書いた。それをきっかけに、編集長の水沢麻紀から、田島修一との思い出作りのために日々の2人の様子を写真に収めてほしいと依頼される。これを受け、修一の知らない間に麻紀とのデート中の様子などの写真を撮るために密着する。
佐野 秀樹 (さの ひでき)
田島修一の大学時代からの友人で、42歳の男性。2年前に藤森多江と結婚したが、スケベでひょうきんなところは学生の頃から変わっていない。5年ぶりに東京に戻って来たため、頻繁に修一と酒を酌み交わすようになった。外では気さくでユニークな男性だが、家では嫉妬深く、病的に妻を束縛、管理する夫に変貌を遂げる。学生時代は田島絵里子に想いを寄せていたため、修一には想い人を奪われ、さらには妻をも奪われたことでその憎悪が爆発する。
冬美 (ふゆみ)
木田が付き合っている人妻の、友達の女性。飲み会の席で知り合った田島修一を、帰りに自宅に連れ込んで強引に迫ろうとする。夫も子供もいるが、子供ができて以降、夫が相手をしてくれなくなったことに不満を持っており、抱いてくれる男性を求めている。
藤森 多江 (ふじもり たえ)
田島修一が日曜日の昼に訪れていたレストランで知り合った、32歳の女性。修一には隠しているが、佐野秀樹と結婚しており、「藤森」は旧姓。秀樹が異常なまでに嫉妬深く束縛してくるため、日々悩まされている。おとなしく控えめで奥ゆかしい女性だが、修一とともに時間を過ごすにつれ大胆になり、やがて一線を越えることとなる。その後は修一にすべてを打ち明け、秀樹と別れて真剣な交際をスタートさせるが、嫉妬深い秀樹からは嫌がらせを受ける日々を送ることになる。
平野 久美子 (ひらの くみこ)
藤森多江の学生時代からの友人の女性。多江が田島修一と旅行に行くにあたり、佐野秀樹に知られないようにアリバイ工作に協力した。しかし、うっかりミスで秀樹にバレてしまい、逆に不倫の片棒を担いだと責任を追及されてしまう。その罪を償うため、秀樹から協力するように脅迫を受ける。
藤枝 和美
大手商事会社の総務に勤務している女性。38歳のバツイチだが、子供がいるため父親になってくれる男性との再婚を望み、日々婚活に勤しんでいる。年頃の男性との会話のきっかけをつくるために、男性を待ち伏せして体当たりしてはストッキングが破れたことを主張する。そのため、「社内の当たり屋」と呼ばれ、気を付けないとすぐに子供の父親にされると噂されている。 社内で目を付けた田島修一にも同じ手口で近づき、強引に体の関係を持とうとする。なお、子供とは横山千尋のことであり、のちに母娘で修一を取り合うことになる。
横山 千尋 (よこやま ちひろ)
コンビニでアルバイトをしている16歳の女子高校生。仕事帰りによく店で買い物をしていく田島修一に興味を持ち、声をかけた。強引に修一の部屋まで入り込み、なんとかして体の関係を持とうとあの手この手で誘惑する。別れた父親の姓を名乗っているため母親と姓が違うが、その正体は藤枝和美の娘。修一を誘惑していたのも、母親に女癖の悪くない再婚相手を探すため、修一を試していたというのがその真相である。 しかし、修一の誠実さを知るにつけ、自分が修一に惹かれてしまう。のちに母親とそろって修一を好きになったことを知り、修一に拒絶されたことにショックを受けて家出を決行。宿泊先を提供するインターネット掲示板「神待ち掲示板」で宿泊先を探し、危険な目に遭うこととなる。
男子大学生 (だんしだいがくせい)
横山千尋を自宅に泊めた男性。大学の友人男性2人とともに、困っている人に宿泊先を提供するインターネット掲示板「神待ち掲示板」を利用しており、ここで知り合った千尋を自宅に泊めた。もちろんこれは下心あってのことであり、千尋が寝静まるのを待って、友人を呼んで千尋を襲おうとする。
宇佐美 健二 (うさみ けんじ)
全国チェーン「キングフーズコーポレーション」の社長を務める55歳の男性。「外食産業のキング」との異名を持ち、良からぬ噂が絶えない。また、田島修一の会社の大口取引先でもある。修一のことを気に入り、彼を行きつけの会員制ハプニングバーに連れていく。そこでは、「マクベス」を名乗って素顔を隠し、女性との情事を楽しんでいる。
ジュリエット
会員制のハプニングバーで田島修一が出会った女性。他の男性客から言い寄られても、頑なに応じなかったが、助け舟を出した修一と意気投合し、体の関係を持つ。自分にのめり込みそうになった修一の想いを拒絶し、セックスだけの割り切った関係を要求。自分に会いたければ満月の夜にバーに来るようにと伝える。実は団地に住む31歳の主婦で、「悠斗」という名の息子もいる。 修一にそっくりな夫がおり、夫婦仲は誰もがうらやむラブラブぶり。しかし、セックスレスに悩んでおり、ハプニングバーで欲求不満を解消するようになる。
男性客 (だんせいきゃく)
満月の日、会員制のハプニングバーでジュリエットといい雰囲気になっていた男性客。その後現れた田島修一にジュリエットを奪われてしまうものの、3Pを要求し、結果的に3人で行為に及ぶことになる。自分の体やテクニックに絶対的な自信を持っており、セックスの主導権は常に自分。ジュリエットを満足させるため、修一に負けまいと奮闘する。
堀川 恵子
ジュリエットのママ友。「タケシ」という名の息子がいる。偶然知り合った田島修一がジュリエットについて知りたがっていることを逆手に取り、彼女の秘密を教えるからと修一に体の関係を迫る。自分は夫とセックスレスの関係に悩み、見知らぬ男性とセックスだけの関係を築くことで、欲求不満を解消し、家庭を守っている。
百瀬 由美子
田島修一の中学時代の同級生の女性。通勤電車の中で痴漢にあっていたところを修一に助けられ、偶然の再会を果たす。修一とは中学の3年間同じクラスで、互いに意識しあう関係だったが、行き違いがあってその恋は成就しなかった。そのため修一の存在が心残りとなっており、社内恋愛で7年間付き合っていた彼氏からのプロポーズを受け入れられずにいた。 しかし修一に抱かれることで過去を清算し、プロポーズを受ける決意をする。
白石 淳也
玲奈を愛人としてシェアする「プチパパ」の契約をした28歳の男性。建築設計事務所に勤務しており、結婚4年、子供はいない。妻とは高校生の時から付き合っているため、足掛け10年の仲。そのため倦怠期の真っただ中で、愛人シェアの話を持ち掛けられた。担当は火曜日。実は玲奈の兄。兄妹で愛しあっており、体を重ね合わせることができないジレンマから、他人に抱かれている玲奈を、クローゼットの中から見ることで欲求を解消している。
大矢 守
玲奈を愛人としてシェアする「プチパパ」の契約をした36歳の男性。私立高校の体育教師を務めており、結婚12年になるが、妻とはセックスレスのため、風俗店で性欲処理している状況。しかし金銭的に継続が難しくなっていた時、愛人シェアの話を持ち掛けられた。担当は月曜日。
玲奈 (れな)
田島修一、本郷健治、大矢守、白石淳也の4人の「プチパパ」から金銭を受け取り、愛人としてシェアされている女子大学生。授業料と生活費のためと偽って愛人契約をしている。外見は可愛らしく清純なタイプ。曜日ごとに契約相手の男性を自宅に招き、行為に及んでいるが、その際は必ずクローゼットの方を向き、電気はつけたまま行うことが決まっている。 それは、クローゼットの中にいる兄、白石に見せるため。白石とは、兄妹でありながら愛し合っており、兄の歪んだ愛情を受け入れるために、他の男性に抱かれ、兄を喜ばせている。
玲奈の友人 (れなのゆうじん)
玲奈の周囲をうろついている男性。同じ大学のクラスメイトである玲奈に想いを寄せている。最近玲奈と一緒にいることが多い田島修一を逆恨みし、修一が1人になるところを狙って襲撃した。しかしその後、誤解が誤解を呼び、なぜか修一を玲奈の父親と勘違いする。その誤解も解けるものの、最終的には修一のことを、玲奈の父親の友人だと思い込むようになる。
母さん (かあさん)
白石淳也と玲奈の母親。幼い頃から仲が良すぎる淳也と玲奈が、いつか間違いを起こすのではないかと心配して、玲奈のマンションを訪れた。しかし、何度訪れても玲奈に会うことができず、困っていたところ田島修一に声をかけられる。