黎明のアルカナ

黎明のアルカナ

藤間麗の代表作で、後の作品『王の獣~掩蔽のアルカナ~』とは世界観を共有している。舞台は、人間と亜人が共存し、長年にわたって争いを繰り広げている小さな島にある二つの国。政略結婚によって、敵国であるベルクート王国の王子シーザのもとに嫁ぐことになったセナン王国の姫ナカバが、運命に翻弄されながらも懸命に生きる姿を描いた王朝ロマン物語となっている。小学館「Cheese!」2009年3月号から2013年8月号まで連載。

正式名称
黎明のアルカナ
ふりがな
れいめいのあるかな
作者
ジャンル
ファンタジー
 
恋愛
レーベル
フラワーコミックス(小学館)
巻数
既刊13巻
関連商品
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運命に翻弄されるヒロイン

本作の舞台は、さまざまな色の髪を持つ人々と、獣の特徴を色濃く受け継いだ半人半獣の「亜人」が共存する島で、藤間麗の『王の獣~掩蔽のアルカナ~』と同じ世界観を共有している。この島には、北にベルクート、南にセナンという二つの国が存在し、それぞれ黒髪の王族が国を治めていた。しかし、小さな島に二つの国が興ったため、両国は島の覇権を巡って争い、200年にわたる戦いを繰り広げていた。両国は何度も和平を結ぶが、その均衡が5年以上続いたことはなく、現在も不毛な争いが続いている。そして、再び二国間に和平が結ばれ、セナンの姫・ナカバがベルクート王国の王子・シーザのもとに嫁ぐところから物語が始まる。

秘められた力と宿命

赤髪のために疎まれてきた王族のナカバは、ベルクート王国に嫁いだことで、自身も知らなかった出生の秘密が明らかになる。そして、ナカバの血に秘められた「刻のアルカナ」と呼ばれる力が覚醒する。この刻のアルカナは、過去、現在、未来を超えて真実を見通す力であり、使い方次第では世界を支配することも可能だといわれている。ナカバはこの力を通じて、ベルクートに潜むさまざまな悪意や陰謀を知り、否応なくその渦中に巻き込まれていく。政略結婚で敵国に嫁いだナカバは、持ち前の真っすぐな性格で困難に立ち向かい、やがて世界を動かす存在へと成長する。

三人が織り成す王朝ロマン

敵にも味方にも差別されるナカバにとって、唯一心を許せる存在は亜人の従者・ロキである。ロキは献身的にナカバに仕えているが、彼自身もナカバ以上に差別を受けており、ベルクート王室では居場所がないも同然だった。一方、ナカバの夫となったシーザは傲慢な性格で、当初はナカバと衝突を繰り返していた。そんな中、シーザは次第にナカバに惹かれていくものの、彼女の傍らにはつねにロキが存在していた。ナカバに仕えるロキ、ロキを差別から守ろうとするナカバ、ナカバを妻として認めて守ろうとするシーザは、それぞれ異なる関係を築いていくが、そこにはさまざまな思惑が絡み合い、事態は思わぬ方向へと進展していく。本作は、この三角関係が次第に周囲を巻き込み、大きなうねりを生み出す王朝ロマンの物語となっている。

登場人物・キャラクター

ナカバ

セナン王国の第一王女。年齢は16歳。王族には珍しい赤毛の持ち主。髪色による差別を強く受けてきたため、亜人や平民と分け隔てなく接する価値観を持ち、差別のない国をつくりたいと願っている。母親はセナン王家の出身で黒髪だが、ある一族の男性と恋に落ちて、駆け落ちした過去があり、ナカバの髪色は父親譲りのものである。実は、父親は「刻のアルカナ」と呼ばれる特殊な力を持つ一族の出身で、その力を恐れたベルクート国王によって村を焼き討ちされた。その際、母親は命を落とすが、幼いナカバは世話役のロキに助けられ、一命を取り留めている。その後、ナカバは母親の縁を頼りにセナン王国で保護されるが、髪の色が王族にはふさわしくない赤色だったゆえに、母親の駆け落ちがスキャンダルとして広まっていたため、隠された姫として軟禁状態で生活することになる。やがて、ナカバは政略結婚の道具として扱われ、ベルクート王国の第二王子シーザに嫁ぐことになるが、これまでまともな教育を受けられなかったため、王族としての常識には疎い部分もある。そんな中、ベルクート王国で国王と対峙した際に、刻のアルカナの力が覚醒した。その力は真実を見通すことができるものの、ナカバはその力を使いこなせておらず、自由に発動させることもできない。そのため、血など赤いものを見ると、強い精神的ショックによって触発され、刻のアルカナが発動してしまう。

シーザ

ベルクート王国の第二王子。年齢は19歳。若くして覇気に満ち、王としての立ち居振る舞いを身につけている。初めは傲慢で、ナカバやロキを見下す態度をとっていたが、ナカバが自らの孤独を癒してくれる存在であることに気づき、次第に彼女に惹かれていく。王位継承権は二位だが、兄のカインは側室の子であり、正室の子であるシーザを次期国王に推す声も多い。最初は無用な権力争いを避けるために兄を立てていたが、ナカバの赤髪が王族にふさわしくないと言う父王の命令で無理やり黒く染められる様子を目の当たりにし、激怒する。そしてナカバを守るため、王になることを決意する。

ロキ

ナカバの従者を務める亜人の青年。年齢は27歳。黒髪で切れ長の目を持ち、犬のような耳と尻尾がある。幼少期からナカバの世話をしており、彼女の母親からも深い信頼を寄せられていた。ベルクートの国王がナカバの一族を危険視し、村を焼き討ちした際には、幼いナカバを連れて逃げた。この出来事がきっかけで、ロキはベルクート王家に対して強い憎しみを抱くようになり、ナカバがベルクートに人質として送られたことを契機に、復讐のために暗躍を始める。

関連

王の獣 掩蔽のアルカナ (おうのけもの えんぺいのあるかな)

藤間麗の代表作『黎明のアルカナ』の世界を受け継いだ作品。「亜人」と呼ばれる半人半獣の種族が人間に支配されている世界。亜人の少女が性別を偽って皇子の従者となり、何者かに殺された双子の弟の敵を討とうとする... 関連ページ:王の獣 掩蔽のアルカナ

書誌情報

黎明のアルカナ 13巻 小学館〈フラワーコミックス〉

第1巻

(2009-05-26発行、 978-4091323644)

第2巻

(2009-09-25発行、 978-4091326669)

第3巻

(2010-02-26発行、 978-4091330505)

第4巻

(2010-06-25発行、 978-4091332172)

第5巻

(2010-10-26発行、 978-4091335449)

第6巻

(2011-02-25発行、 978-4091337184)

第7巻

(2011-06-24発行、 978-4091338662)

第8巻

(2011-10-26発行、 978-4091342003)

第9巻

(2012-01-26発行、 978-4091343390)

第10巻

(2012-06-26発行、 978-4091344465)

第11巻

(2012-11-26発行、 978-4091348173)

第12巻

(2013-04-26発行、 978-4091352804)

第13巻

(2013-08-26発行、 978-4091355256)

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