緋弾のアリア 紫電の魔女

緋弾のアリア 紫電の魔女

赤松中学の小説『緋弾のアリア』の第8巻から第9巻にかけたエピソードのコミカライズ作品で、こよかよしののコミック版『緋弾のアリア』の続編。秘密結社「イ・ウー」との戦いを終え、東京に帰還した遠山キンジだったが、その平穏は長くは続かなかった。キンジと仲間たちが巻き込まれる新たな戦いの始まりを描くアクションラブコメディ。「コミックアライブ」2017年10月号から2019年9月号にかけて連載された作品。

正式名称
緋弾のアリア 紫電の魔女
ふりがな
ひだんのありあ しでんのまじょ
原作者
赤松 中学
作者
ジャンル
アクション
 
ラブコメ
関連商品
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あらすじ

第1巻

秘密結社「イ・ウー」を打ち倒し、万武との戦いを終えた遠山キンジは仲間たちと共に武偵チーム、バスカービルを結成する。そしてキンジは、東京武偵高校でいつもの日常を送っていたところ、ジャンヌ・ダルクから一通の招待状を受け取る。その内容を奇妙に思いつつ、キンジは待ち合わせの場所に向かうが、そこには裏世界の名だたる者たちが勢ぞろいしていた。イ・ウー壊滅に伴って裏世界のパワーバランスは崩れ去り、群雄割拠の時代へと変貌していたのだ。かねて協定により、裏世界の者たちは覇を競う「極東戦役」を開催する。その取り決めを行う宣戦会議にキンジは招かれていたのだ。突然の出来事にとまどうキンジだったが、参戦者の一人であるヒルダ・ツェペシュの宣戦布告によってなし崩し的に師団として参加することとなる。さらに、イ・ウーの残党がいることを嗅ぎつけた神崎・H・アリアが宣戦会議に乱入するものの、ヒルダによってアリアは殻金七星をはがされ、様子を変貌させてしまう。師団側の参戦者である玉藻からアリアの事情を聞いたキンジは、アリアを救うためにも眷属陣営に奪われた殻金七星の回収を目指すのだった。

第2巻

神崎・H・アリアは母親の冤罪を晴らすため、イ・ウーと戦い続けてきた。捕えたイ・ウーメンバーからの証言を使い、裁判の再審で母親の無罪を主張するものの、不可解な判決によって有罪となってしまう。意気消沈として帰る中、アリアと遠山キンジヒルダ・ツェペシュの襲撃を受ける。圧倒的なヒルダの力に危機に陥るキンジたちだったが、アリアの婚約者であるエル・ワトソンが援軍に現れ、ヒルダを撃退。突然の婚約者の登場にキンジの心は激しく乱されるのだった。そして東京武偵高校に転入してきたエルは、眉目秀麗で品行方正な立ち居振る舞いから、あっという間にクラスに受け入れられる。エルを怪しみつつも、ヒルダへの対抗策を考えたキンジは、同じく師団陣営のジャンヌ・ダルクに相談する。しかしジャンヌもすでにヒルダと一度戦い、戦闘不能状態となっていた。またジャンヌから、エルも極東戦役で怪しい動きをしているという情報を聞く。アリアを守るためにエルに真意を聞きに行ったキンジは、そこでエルがアリアを利用するつもりであることを知り、彼との決闘を始めるのだった。

第3巻

遠山キンジエル・ワトソンは一進一退の攻防をするものの、紙一重の差でキンジは勝利する。そしてキンジはエルが実は女性で、彼女なりに神崎・H・アリアを守るつもりだったと真意を聞く。キンジはエルと和解するが、その直後にヒルダ・ツェペシュが襲来。エルは戦闘不能となり、アリアも連れ去られてしまう。アリアを助けるためにキンジはヒルダのもとに赴くものの、そこで味方であるはずの峰・理子・リュパン4世からだまし討ちを受ける。過去に縛られてヒルダの言いなりとなっていた理子であったが、キンジとアリアの危機に勇気を振りしぼって反抗を開始。理子は自分を縛る過去の鎖を断ち切り、ヒルダの弱点を見破り、その力を大きく封じる。キンジ、アリア、理子は協力することで、ヒルダの魔臓を破壊したかに見えたが、切り札を隠し持っていたヒルダは尚も健在。さらにヒルダは強力な「第3態」へと変身し、キンジたちを追い詰める。ヒルダの力の前になすすべがないと思われた一行だったが、理子が己の命を顧みず、一世一代の大博打を決行。理子の芝居に気づかなかったヒルダは、彼女の接近を許し、理子の命を賭した一撃に敗北する。

第4巻

峰・理子・リュパン4世ヒルダ・ツェペシュとの戦いのあと、病院に運び込まれて辛うじて一命を取り留める。過去のしがらみから自由になった理子は、あらためて遠山キンジ神崎・H・アリアに謝罪して和解する。また理子は過去との決別のため、ヒルダの治療にも協力して彼女の命も助けるのだった。一方、理子たちの治療に協力したエル・ワトソンも事情をアリアに話し、キンジとも和解する。そしてエルもキンジたちと協調して、極東戦役を戦うと意思表示するのだった。そんな中、東京武偵高校は文化祭に突入し、キンジたちは騒がしくも充実した日々を送ることとなる。文化祭でキンジは仲間たちの新たな一面を知り、絆を深めていく。しかし文化祭が終わったあと、彼のもとに不穏な知らせが届くのだった。

小説

本作『緋弾のアリア 紫電の魔女』は、赤松中学の小説『緋弾のアリア』を原作としており、原作の第8巻から第9巻までの内容が描かれている。原作の内容は本作と同じく、遠山キンジが宣戦会議を経て、裏世界の覇を巡る戦い「極東戦役」に巻き込まれていく過程の物語となっている。

登場人物・キャラクター

遠山 キンジ (とおやま きんじ)

東京武偵高校の探偵科に所属する少年。かつては強襲科に属していた。神崎・H・アリアに請われ、武偵殺しの一件に携わるため強襲科に戻る。当初は一時的な転科のつもりでいたが、結局以降も強襲科に所属したまま。東京武偵高校の学生としては、推理力・武力共に標準的だが、ヒステリアモードという特異体質を持ち、発動時には卓越した才能を見せる。 リーダーシップとカリスマ性を持ち併せ、周囲をまとめる力に優れているが、本人はあまり自覚していない。女性に対して紳士的であるため、女性から好意を抱かれることが多い。なお、東京武偵高校のルールにより「遠山キンジ」を名乗っているが、正式には漢字で「遠山金次」と書く。

神崎・H・アリア (かんざきほーむずありあ)

東京武偵高校の強襲科に所属する少女。遠山キンジに好意を抱く、ヒロインの1人。イギリスから日本に来て、すぐにキンジを自分のパートナーとして見初め、共に事件を解決しようと、キンジに掛け合う。父親がイギリス人とのハーフで、神崎・H・アリア自身はクォーター。シャーロック・ホームズのひ孫にあたり、峰理子からはホームズのフランス語である「オルメス」と呼ばれている。 わがままで直情的な面が目立つが、強敵を相手にしても怖気づくことのない芯の強さを持つ。ホームズの子孫にも関わらず、彼の推理力を受け継がなかったため、ホームズ家から落ちこぼれの烙印を押されている。「双剣双銃のアリア」の名の通り、二丁拳銃と2本の小太刀を使って戦う。 シャーロック・ホームズによって、緋緋色金を体に埋め込まれている。

星伽 白雪 (ほとぎ しらゆき)

東京武偵高校の超能力捜査研究科に所属する少女。遠山キンジに好意を抱く、ヒロインの1人。日本古来の剣術と、超能力である鬼道術を得意とする。大和撫子だが、キンジの女性関係のことになると、パニックに陥り、キンジと仲良くしている女子に、すぐ刃を向ける癖がある。キンジの身の回りの世話をすることが、何よりの幸せ。 代々星伽神社を守る武装巫女の1人。幼少期には、外出を制限されていた。高校入学時も、人里に下りることを良しとしない身内と揉めた過去がある。

峰 理子 (みね りこ)

東京武偵高校の探偵科に所属する少女。遠山キンジに好意を抱く、ヒロインの1人。アルセーヌ・リュパンのひ孫。情報操作や変装に長けている。普段はおバカなキャラを演じているが、冷酷な一面があり、神崎・H・アリアと何かと対立することが多い。シャーロック・ホームズの末裔であるアリアを倒して、自身の存在を証明しようと考えている。 過去、ブラドに監禁されており、その後「イ・ウー」に入った。

レキ

東京武偵高校の狙撃科に所属する少女。無表情、無口、無感情なため、「ロボット・レキ」の異名を持つ。彼女の本名や苗字は誰も知らない。視力が6.0あるため、どんなに遠くのものでも見つけることができる。狙撃のときには必ず、「私は一発の銃弾。銃弾は人の心を持たない。故に、何も考えない。ただ、目的に向かって飛ぶだけ」と口にして銃弾を撃つ。

ジャンヌ・ダルク (じゃんぬだるく)

東京武偵高校の情報科に所属する少女。ジャンヌ・ダルクの子孫で、その名を代々受け継いでいる。正式な名前は「ジャンヌ・ダルク30世」。超能力を使う、「超偵」と呼ばれる武偵のみが狙われた魔剣事件の犯人として逮捕されたが、司法取引により東京武偵高校に通うことにより罪を許された。

シャーロック・ホームズ (しゃーろっくほーむず)

犯罪結社「イ・ウー」のリーダーの男性。名探偵として名の知られたシャーロック・ホームズその人。神崎・H・アリアにとっては曽祖父にあたる。天才的な頭脳と格闘技術を持ち併せ、アリア1人では太刀打ちできない相手。アリアに埋め込まれたものと同じ緋緋色金の力を用いることができ、その力によって150年以上の時を生きている。

ブラド

犯罪結社「イ・ウー」のNo.2の男性。中世の時代には「ドラキュラ伯爵」と呼ばれた人物で、現代に残る最後の吸血鬼。リュパンの末裔である峰理子を連れ去って、リュパンの優れた遺伝子を残すために監禁していた。理子が「イ・ウー」に入った際、シャーロック・ホームズに挑んで敗れたため、「イ・ウー」のNo.2となった。

遠山 金一 (とおやま きんいち)

遠山キンジの兄。キンジの憧れの存在でもある。「カナ」と名乗って女装姿になることにより、意図的にヒステリアモードを発動することができる。その姿でキンジを翻弄する。当初「イ・ウー」のメンバーとして、キンジたちと敵対する関係にあった。「イ・ウー」の潜入捜査員であることが判明して以後は、キンジたちに味方するようになった。 浦賀沖海難事故によって死んだと思われていたが、これは犯罪結社「イ・ウー」に潜入捜査をするための偽装工作だった。

エル・ワトソン

東京武偵高校の衛生科に転入してきた少女。遠山キンジと同じクラスに編入してくる。転装生として編入したため、男性として振る舞っている。黒髪ショートカットの髪型で中性的な容姿から、男装しても違和感を持たれず、クラスメートには美少年として受け入れられている。シャーロック・ホームズの相棒であるJ・H・ワトソンの曾孫で、ホームズの曾孫である神崎・H・アリアの婚約者。ワトソン家には女子しか生まれなかったが、男子としてアリアと結婚すればホームズの血筋を手に入れられるという、父親の思惑から幼少期より男として育てられてきた。家の決定に従ってアリアの婚約者として振る舞うが、恋愛感情はない。ただ、それでもアリアには情を見せており、彼女の身の安全を守ろうと行動する。医師の家系であるワトソン家の末裔なだけあり、医療のスペシャリストでもある。薬品や医療技術を使った戦闘術を身につけ、身体能力も格闘技能も高いため「西欧忍者」の異名で呼ばれている。リバディー・メイソンの構成員として、極東戦役に参戦。当初は無所属だったが、キンジとの決闘やヒルダ・ツェペシュとの戦いを経て彼に協力を約束し、師団に所属する。また、キンジに請われてバスカービルの衛生武偵となり、仲間たちの治療を担当する。キンジに女性であることがバレてからは、女性らしさを意識するようになり、彼に女に戻るためのショック療法の手伝いを頼んでいる。

峰・理子・リュパン4世 (みねりこりゅぱんよんせい)

東京武偵高校の探偵科に所属する少女。先祖の才能を受け継がなかったため、4世として呼ばれるのを嫌い、峰理子として生きてきた。しかし、その血筋を欲したブラドに監禁される。紆余曲折の末、遠山キンジたちと絆を育み、彼らとブラドを打倒して自由を手に入れるものの、ブラドの娘のヒルダ・ツェペシュと再会し、再び彼らの手先となってキンジと戦う。過去の恐怖に支配されてヒルダの謀略に手を貸すが、神崎・H・アリアの命の危機を前にして反逆。キンジから勇気づけられ、玉砕覚悟でヒルダと戦い、勝利に大きく貢献した。戦闘後はヒルダの放った毒のせいで心肺停止状態となっていたが、矢常呂イリンとエル・ワトソンの治療によって九死に一生を得る。実は血液型が170万人に一人しかいないといわれる、B型のクラシーズ・リバー型。この血液はヒルダ、ブラドたちと同じ血液型であるため、彼女を監禁していたのもこの血を確保するのが本当の目的だった。過去を清算するために戦いのあと、重症を負ったヒルダに血を分け与え、過去と決別する。

ヒルダ・ツェペシュ

金色のツインテールの髪型の少女で、ブラドの娘。ゴシックロリータ衣装に身を包んでいる。極東戦役に参戦し、宣戦会議で眷属への所属を宣言する。父親の仇である遠山キンジや神崎・H・アリアを敵視しており、宣戦会議でアリアの殻金七星を奪い、彼らを挑発した。その後、峰・理子・リュパン4世を恐怖で支配し、彼女を使ってキンジとアリアをだまし討ちする。父親と同じく吸血鬼で、人間を見下す傲慢な性格をしている。魔臓による高い身体能力と再生能力に加え、ジムナーカス・アロワナの遺伝子をコピーすることで発電能力を獲得。それ以外にも超能力と催眠術をあやつるため、その多彩さから「紫電の魔女」「竜悴公姫」の異名を持つ。しかし、父親ほど実戦慣れしておらず、格闘戦も苦手で弱点の銀製の武器との戦いにも慣れていない。また変身することで力を上げることができるが、醜く膨れ上がる「第2態(セコンデイ)」を嫌っている。魔臓の位置は両太ももと右胸の下、へその下で、そこには魔眼の模様が浮かび上がっている。だが、実は魔臓は外科手術で別の場所に移し替えており、魔眼の位置はすべてブラフ。さらに雷雨のときは雷をその身に浴びることで、第2態よりはるかに強力な「第3態(テルツア)」へと変身することができる。キンジたちとの戦いでは第3態となって彼らを追い詰めるが、理子の奥の手で敗北する。その後、瀕死の重体となるが理子からの輸血で一命を取り留める。

玉藻 (たまも)

狐の耳と尻尾を生やした少女。幼い子供の姿をしており、着物を羽織って背中に賽銭箱を背負っている。齢808歳の狐の大妖怪で、遠山キンジの祖先たちとも知り合い。また長寿なことから、星伽白雪やパトラとも縁を通じている。人と色金の間柄を見張り、濫用や悪用を防ぐのを目的とする。その一環で古の時代から戦役に参戦し、過去の戦役では主に眷属に所属していた。極東戦役ではバチカンとの約定もあり、師団として参戦する。神崎・H・アリアに埋め込まれている緋緋色金についても熟知しており、彼女が緋緋神にならないように警戒している。殻金七星がヒルダ・ツェペシュに奪われた際も、メーヤ・ロマーノと協力し、二つを取り戻している。その後、キンジにアリアの殻金七星について警告し、同じ師団である彼の戦いに助力している。多彩な術をあやつり、戦役では「鬼払結界(きばらいけっかい)」を広域に張り、ヒルダ・ツェペシュたち鬼の行動を抑制している。また緊急時には、鞠に変化する「虚物変化(こものへんげ)」の術を使うことができる。

メーヤ・ロマーノ

ローマ武偵高の殲魔科(カノッサ)に所属する少女。金髪ロングヘアのシスターで、年齢は18歳。イタリア人と日本人のハーフで、名前は日本語の意味も含まれており、漢字では「明夜」と書く。イタリアの高校は5年学習であるため、学年は5年生。ふだんはほんわかとした態度で人と接する平和主義者で、他勢力の事情にもおもんぱかる思慮深い人物。ただし熱心な信者であるため、魔性の存在に対しては苛烈で、彼らに対してはふだんとは正反対の好戦的な一面を見せる。特にカツェ・グラッセを目の敵としており、顔を合わせただけで殺し合い寸前の騒動を巻き起こすほど。バチカンの使者として極東戦役に参戦、宣戦会議で師団への所属を宣言する。カナの姿をした遠山金一と2年生の時に知り合っており、カナの優秀さにあこがれの感情を抱いているが、未だにカナが本当は男ということには気づいていない。そのため、カナの弟である遠山キンジにも好感を持って接する。I種超能力者で、バチカンで叙階を受けた正式な祓魔師(エクソシスタ)。I種超能力者は大量のエネルギーを消費するため、能力を行使したあとは個人に合った飲食物を口にする必要がある。彼女の場合はアルコールであるため、戦いのあとは酒盛りをしていることが多い。本来、シスターはお酒を飲めないが、この事情からメーヤ・ロマーノは特例として飲酒を認められている。

パトラ

褐色肌の少女で、ボブカットの髪型をしている。クレオパトラの子孫を自称しており、かつてはイ・ウーに所属していた。イ・ウー壊滅後、極東戦役に参戦して宣戦会議で眷属への所属を宣言する。玉藻とは曾祖母時代から付き合いがあり、曾祖母が玉藻から日本語を教わり、それが受け継がれたために玉藻そっくりの古めかしい日本語を使う。玉藻に師団に誘われたが、個人的な因縁を優先して断った。宣戦会議で神崎・H・アリアの殻金七星をヒルダ・ツェペシュから渡され、確保している。遠山金一と親しい関係で、彼と行動を共にしている。

カツェ・グラッセ

魔女連隊の隊長を務める少女。とんがり帽子にローブを羽織った魔女で、左目にハーケンクロイツのマークが付いた眼帯をしている。勝気で人を食ったような性格で、メーヤ・ロマーノとは犬猿の仲。宣戦会議ではメーヤが激昂するとわかりながら、わざと彼女を挑発して大騒ぎを引き起こした。メーヤとは敵対関係にあるため、宣戦会議で眷属への所属を宣言する。またその際に、神崎・H・アリアの殻金七星をヒルダ・ツェペシュから渡され、確保している。

諸葛 静幻 (しょかつ せいげん)

藍幇に所属する男性。丸眼鏡を掛け、漢服のような衣装を身にまとっている。イ・ウー壊滅後、宣戦会議に藍幇の大使として参加する。極東戦役では、レキへの因縁から眷属への所属を宣言する。またその際に、神崎・H・アリアの殻金七星をヒルダ・ツェペシュから渡され、確保している。

平賀 文 (ひらが あや)

東京武偵高校の装備科に所属する少女。元気で無邪気な性格をしており、小柄な体格をしている。学年は3年生。一人称は「あやや」で、語尾に「のだ」と付けて話す。変装食堂では「キャバ嬢」をしているが、化粧が下手でその出来栄えは懲罰送り確定の代物だった。装備の作成を担当しており、遠山キンジはお得意様。彼の戦用装備「オロチ」を開発している。チビな自分はモテないと思っており、他人の恋愛を観察するのが趣味。最近はキンジと神崎・H・アリアとエル・ワトソンの関係が気になっている。

GⅢ (じーさーど)

体中に奇妙なペイントを施し、ゴーグルで目を隠した青年。好戦的な性格をしており、極東戦役に参戦したものの、宣戦会議では眷属、師団どちらへの所属も宣言せず、参加者全員に宣戦布告して去っていった。行動を共にするGⅣと同じく謎の多い人物で、遠山キンジと深いかかわり合いがある。のちにGⅣと共にバスカービルを襲撃する。

GⅣ (じーふぉーす)

GⅢと行動を共にする謎の少女。装甲服を身にまとい、GⅢと同じく大きなゴーグルで目を隠している。遠山キンジと深いかかわり合いのある人物とされ、彼を兄として慕う。キンジの「存在しないはずの妹」であり、そのことを知らなかったにもかかわらず、キンジは直感的に自分に近い存在と認識した。キンジと同じくヒステリアモードを使うことができる。嫉妬深く独占欲の強い性格で、のちにGⅢと共にバスカービルを襲撃。キンジの周囲の女性を執拗に攻撃し、彼女らを戦闘不能にする。

集団・組織

バスカービル

遠山キンジが結成した学生武偵のチーム。単なる一学生のチームだったが、キンジたちがイ・ウーを壊滅させたために一大勢力として認められ、極東戦役に参加する。宣戦会議で、眷属に所属したヒルダ・ツェペシュから宣戦布告されたため、なし崩し的に師団へ所属する。所属メンバーは、キンジ、神崎・H・アリア、峰・理子・リュパン4世、星伽白雪、レキの五人。ヒルダとの戦いのあと、キンジが師団への所属を表明したエル・ワトソンと1年間の援助契約を結び、エルを衛生武偵として迎え入れている。

リバディー・メイソン

英国貴族で構成された秘密結社。貴族の社会的責任「ノーブレス・オブリージュ」を活動理念にしており、名誉や実利の伴わない無償の人助けを行っている。ワトソン家の者は代々、リバディー・メイソンに所属しており、その功績から大幹部に取り立てられていた。しかし30年ほど前から、ワトソン家は表社会の成功を理由に結社内では疎まれ、凋落の傾向にある。またホームズ家は、結社に加盟こそしていないが、その理念には共感している。

師団 (でぃーん)

宣戦会議で定められた連盟の一つ。バチカンの殲滅師団(レギオ・ディーン)を前身とするため、歴代の戦役では闇の勢力と敵対する者たちが多く所属している。極東戦役でもバチカンは師団へと所属しているため、必然的に闇の勢力と敵対する勢力が集まっている。遠山キンジが率いるバスカービルは、眷属に所属したヒルダ・ツェペシュの宣戦布告によってなし崩し的に師団へと所属する。また崩壊したイ・ウーの研鑽(けんさん)派だった者たちが、宣戦会議で師団への所属を表明している。

眷属 (くれなだ)

宣戦会議で定められた連盟の一つ。歴代の戦役では闇の勢力と敵対する者たちが師団へと集まったため、必然的にそれに敵対する闇の者たちが多く所属している。極東戦役では、ヒルダ・ツェペシュ、カツェ・グラッセたちが所属した。また崩壊したイ・ウーの主戦派だったパトラたちが眷属への所属を表明している。極東戦役の宣戦会議ではヒルダが、神崎・H・アリアの殻金七星を奪い取り、その場で眷属への所属を表明したメンバーへ渡している。このため、遠山キンジは眷属のメンバーから殻金七星を取り戻すことを目的としている。

イ・ウー (いうー)

さまざまな犯罪行為に手を貸す犯罪結社。シャーロック・ホームズをトップとしている。魔剣事件を起こした当時のジャンヌ・ダルクも「イ・ウー」の一員だったが、そのなかでは最弱とされている。神崎・H・アリアと遠山キンジの手により、壊滅させられる。

場所

学園島 (がくえんとう)

東京湾に浮かぶ、長方形の形をした島。武偵を教育するための武偵高の1つ、東京武偵高校が存在する場所。学園島にいる生徒たちは、みだりに外部に出ることを許されていない。

武偵高 (ぶていこう)

武偵を教育するための機関。教育課程は基本的に高校に相当する。武偵高によりいくつかの学科があり、生徒はいずれかの学科に所属する。生徒の多くは、武偵になるための特殊な技術を学んでいる。世界中のさまざまな場所に存在しており、東京にある武偵高の1つが東京武偵高校である。

東京武偵高校 (とうきょうぶていこうこう)

遠山キンジたちの通う学校。「東京武偵高校の生徒は、学内での拳銃と刀剣の携帯を義務付ける」など、特殊な校則がある。いくつかの科に分かれており、キンジは入学当初は強襲科に所属していたが、のちに探偵科に移っている。「紛らわしい字面などの生徒は、どちらかをひらがな、またはカタカナで表記する」というルールがある。 キンジは本名が「金次」でありながら「キンジ」を名乗っている。

その他キーワード

極東戦役 (ふぁーいーすとうぉーふぇあ)

裏世界の覇権を巡る戦い。古の時代より存在する「戦役」で、裏世界の抑止力となっていたイ・ウー壊滅後、開催される。イ・ウーの壊滅によってパワーバランスが崩れるのは各組織に予期されており、あらかじめ開催のための協定が結ばれていた。戦役には古よりの作法で三つの協定が存在し、第一項は「いつ何時誰が誰に挑戦することも許される」、第二項は「際限無き殺戮を避けるため決闘に値せぬ雑兵の戦用を禁ずる」、第三項は「戦いは主に「師団」と「眷属」の二方の連盟に分かれて行う」となっている。戦役開催の際にはその取り決めと、所属する連盟の確認を行う「宣戦会議(バンディーレ)」を行うのが習わしで、所属する連盟は基本的に師団か眷属の二つだが、それ以外の「無所属」を宣言することも可能。また所属の表明を保留または黙秘することは可能だが、宣言したあとの鞍替えは原則として禁止されている。ただし勝負を行い、敗北した者が勝者の配下になることは許される。また、戦役は開催された地域の名前を冠する習わしが存在し、日本で行われた戦役は「極東戦役」と名づけられる。正式名称は英語で「Far East Warfare」と表記され、略称は「FEW」と呼ぶことを定められている。

変装食堂 (りすとらんてますけ)

東京武偵高校の文化祭で行われる恒例行事で、2年の一部のクラスが担当する。くじ引きで決めた衣装を着て接客業を行ういわゆる「コスプレ喫茶」だが、武偵の職業訓練の一種という側面を持ち、きちんと衣装を着た職業の人物になりきって接客することが求められる。まじめに行わなかった場合、教務科による懲罰が行われる。また、くじの引き直しは基本的に不可能で、くじの中には女装などのハズレも一部入っている。

オロチ

遠山キンジ専用の指甲オープンフィンガーグローブ。TNKワイヤー繊維で作られたグローブで、人差し指と中指の第二関節の内側には窒化チタンでコーティングされた炭化タングステン=コバルトの超合金が仕込まれている。通常グローブは徒手格闘戦用に作られるが、このオロチはキンジの「銃弾逸らし」を行うために作られており、両腕のオロチをいっしょに使うことで本領を発揮する。そのため、当初は片手分しか作られなかったが、キンジは平賀文に追加発注している。素手で銃弾逸らしをした際には突き指をしていたが、キンジはこれを使うことで反動なく銃弾逸らしを使いこなしている。また、当初は片手分しかオロチがなかったため、キンジは片手だけの銃弾逸らし「螺旋(トルネード)」、銃弾を相手の方向へ跳ね返す「銃弾返し(カタパルト)」を新たに習得している。

ネビュラ

中枢神経に刺激を与える薬。ネビュラを使用することで、集中力が高まり、痛みや恐怖心に強くなる。また、意識がもうろうとした際に使えば強力な気付け薬となるため、一部の薬学の扱いに長けた武偵が使用する。

武偵 (ぶてい)

凶悪化する犯罪に対抗して作られた国際資格。武装を許可され逮捕権を有し、「武偵法」の許す範囲においてあらゆる仕事を請け負う。いわば便利屋でもある。武偵には、それぞれ武偵ランクが与えられており、それによって受けられる仕事の範囲に差がある。

ヒステリアモード

遠山一族が抱える病気のようなもの。性的欲求が高まると発動する。遠山キンジの場合、発動すると「女子を何がなんでも守りたくなる」「女子にたいしてキザな言動をとってしまう」という効果が表れる。キンジの兄である遠山金一は、女装して自分を女子だと思い込み、ヒステリアモードを制御している。

衛生科 (めでぃか)

活動中の武偵が、怪我を負ったり病気になったりした際に、救助するための技術を習得する学科の1つ。武偵が活動しているときに救助に行く必要もあるため、自衛ができる程度の戦闘技術を身につけている。

教務科 (ますたーず)

東京武偵高校の教職員が所属する組織。自衛隊や特殊部隊にいたりと、さまざまな経歴を持つ職員ばかりが在籍している。強襲科、地下倉庫と並んで、教務科は東京武偵高校における3大危険地域の1つとされる。

緋緋色金 (ひひいろかね)

神崎・H・アリアの体内に埋まっている色金のこと。弾丸の形をしているため、「緋弾」とも呼ばれる。この色金を体内に有しているため、アリアは「緋弾のアリア」と呼ばれるようになった。

転装生 (ちぇんじ)

東京武偵高校に存在する特殊な制度。武偵には異性のふりをする特殊条件下の犯罪捜査に備え、その人材育成を行っており、その制度に選ばれた生徒は「転装生」と呼ばれる。教務科の許可のもとで行われるため、武偵高内では基本的に男性は女性、女性は男性と、異性として扱われる。特殊な条件下で活躍する人材を育てる制度であるため、制度を使う生徒はごくわずかで、およそ一学年に一人か二人程度とされている。

殻金七星 (からがねしちせい)

神崎・H・アリアに施された特殊な術。アリアが緋緋神になるのを阻止するのを目的としており、彼女の中に眠る緋緋色金に特殊な殻を鍍金(メッキ)のようにかぶせ、超能力の力の源泉である「法結び」には影響を与えず、「心結び」の働きのみを阻害している。殻は七つあるため、「殻金七星」と呼ばれている。星伽の巫女が編み出した秘術で、作り出すには数多の稀少材料を集め、百人余りの巫女が力を注いで完成させる必要がある。また、新しく作り出した殻金は色金になじませるのに100年ほどかかるため、現在は新しい殻金を用意することは不可能となっている。一度、殻金をかぶせれば、3年ほどで緋緋色金の法結びは完全に結び付き、心結びは完全に絶たれるとされていた。しかし宣戦会議で、ヒルダ・ツェペシュがアリアから殻金七星をはぎとり、そのうちの五枚は眷属に所属した者たちが確保し、持ち去っている。これによって、宣戦会議以降のアリアの殻金は二枚しか残っていないために機能が弱っており、このままでは徐々に心結びが結ばれ、いずれ緋緋神になるとされている。

緋緋神 (ひひがみ)

神崎・H・アリアが、緋緋色金に取り憑かれた際に成り果てるといわれる存在。色金は「心結び」と呼ばれる感情の結び付きで宿主とつながるが、それが行き過ぎた場合は人の心と色金は混ざり合い、別の存在となる。アリアが緋緋色金は史上まれに見る大質量の色金で、緋緋色金自体が戦と恋を好む厄介な性質を持つため、心結びが成った場合は厄介な性質と、巨大な力を持つ存在が生まれ落ちるとされる。玉藻によれば、700年前にも緋緋神と呼ばれる存在が誕生し、遠山キンジと星伽白雪の祖先に討たれたという。

魔臓 (まぞう)

吸血鬼が持つ四つ一組の特殊な臓器。この魔臓の力によって吸血鬼は無限ともいえる再生能力を持ち、これを破壊しなければ吸血鬼は頭部に銃弾を叩き込まれようと瞬時に傷を癒やし、何事もなかったかのようにすぐさま復活する。魔臓を破壊すれば再生能力はなくなるが、魔臓自体もお互いの魔臓の力によってすぐさま修復されてしまうため、吸血鬼を倒すためには四つの魔臓を同時に破壊する必要がある。魔臓の位置は吸血鬼によって違うが、吸血鬼はバチカンとの長い戦いの中、彼らの秘術によって魔臓の位置に目の形をした模様「魔眼」が施されている。ブラドは魔眼の部分に銃を叩き込まれて敗北したが、ヒルダ・ツェペシュはこの弱点を外科手術によって、魔臓の位置をほかの部分へ移植することでカバーしている。このため、ヒルダの魔眼は見せかけの弱点となっており、本来の魔臓の位置はわからなくなっている。また、魔臓は加工すれば一級品の退魔武装となるため、非常に高価。ヒルダとの戦いのあと、遠山キンジは回収されたヒルダの魔臓の一部を引き換えに、エル・ワトソンと1年間の援助契約を結んだ。

クレジット

原作

赤松 中学

キャラクター原案

こぶいち

ベース

緋弾のアリア (ひだんのありあ)

赤松中学の同名ライトノベルのコミカライズ。武力を擁する探偵「武偵」の養成学校に通う少年と、イギリスからやってきた同じ武偵の少女。コンビを組んだ2人が、さまざまな事件に挑むうちに成長し、心を通わせていく... 関連ページ:緋弾のアリア

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