概要・あらすじ
応仁の大乱から80年。吉法師こと若き日の織田信長は奇矯奇抜なふるまいで「大うつけ」と呼ばれていた。元服した信長は美濃の斎藤道三の娘である濃姫を娶るが、うつけぶりはまったく収まらず、織田家中では信長への反感は高まるばかり。だが、信長の目はすでに天下に向いていた。父の織田信秀の死後、織田家中の反乱分子を掃討し、尾張統一を果たした信長は、田楽狭間(桶狭間)にて駿河の今川義元を討ち、天下取りへと動き出す。
登場人物・キャラクター
織田 信長 (おだ のぶなが)
尾張の太守、織田信秀の嫡男。幼名は吉法師。傍若無人で奇抜な風体や振る舞いを好み、「尾張の大うつけ」と呼ばれていたが、実はすべてが計算ずくで、若輩の頃より天下を見すえて動いていた。勤王の志が高く、皇室を奉じての天下統一を目指している。先見の明に富み、判断力にも優れた稀代の英雄だが、あまりに非凡すぎるがゆえに他者の気持ちにやや無頓着なところがある。 実在した人物、織田信長がモデル。
濃姫 (のうひめ)
正室として織田信長に嫁いだ美濃の斎藤道三の娘。父親譲りの聡明さと不敵さを併せ持った才女で、時がきたら信長の寝首をかくよう道三に命じられていた。だが、信長の並外れた才覚と器量に心を奪われ、よき相談役として彼の天下取りを助けていくことになる。実在した人物、濃姫がモデル。
徳川 家康 (とくがわ いえやす)
三河岡崎の松平家の嫡男。幼少時に織田家の人質となっていた時期があり、織田信長から「三河の弟」とかわいがられるが、人質交換のため今川家に送られた。その後、今川の武将となるが、桶狭間の戦いで今川義元が敗死すると今川家から離反。信長と同盟を結び、朝倉・浅井・武田ら反信長勢力と戦う。実在した人物、徳川家康がモデル。
織田 信秀 (おだ のぶひで)
尾張の太守で織田信長の父。名だたる器量人として知られた武将だが、長年の戦場暮らしの反動か、女と酒におぼれただらしない生活を送っている。信長の奇行に頭を痛めているが彼の才能は買っており、家臣たちが信長の廃嫡を勧めても応じることはなかった。実在した人物、織田信秀がモデル。
平手 政秀 (ひらて まさひで)
織田信長の補佐役を務める織田家の家老。尾張で一番の知恵者といわれる人物で、信長と濃姫の縁組をまとめるなど織田家の外交を取り仕切っている。信長はうつけなどではなく、乱世を乗り切ることのできる人物と見込んでいるが、彼の常識外れな行為の真意を理解できず苦悩する。実在した人物、平手政秀がモデル。
斎藤 道三 (さいとう どうさん)
一介の油売りから身を起こし、美濃一国を奪い取った下克上を代表する人物。通称「マムシの道三」。当初は織田信長をうつけと侮り、尾張を手に入れるべく会見の席での暗殺を目論んでいたが、斎藤道三の機先を制した信長の才能にほれ込み、うしろ盾となることを約束する。実在した人物、斎藤道三がモデル。
織田 信行 (おだ のぶゆき)
織田信長の同母弟。柴田勝家ら反信長派の重臣たちに次期織田家当主に推され、信長に対して謀反を起こした。母である香林院のとりなしもあって一度は許されるが、兄との器量の差に気づくことができず、再び信長の命を狙う。実在した人物、織田信行がモデル。
織田 彦五郎 (おだ ひこごろう)
織田信長の主筋にあたる織田大和守家の養子で清州城城主。尾張守護の斯波義統をかついで織田信秀を滅ぼそうとするなど、尾張の支配者となるべく策謀をめぐらせる。信秀の死後は柴田勝家らと共に信長の排除を画策するが、逆に信長の謀略にかかって反撃の時を与えてしまう。実在した人物、織田信友がモデル。
柴田 勝家 (しばた かついえ)
織田信秀に仕える織田家の宿老。織田信長の家督相続に反対で、弟の織田信行に跡目を継がせるべく謀反を起こすが、ことごとく信長の後手を踏み惨敗を喫した。この敗北によって信長の才を見誤っていたことを悟り、以降は信長の忠実な家臣として行動するようになる。実在した人物、柴田勝家がモデル。
木下 藤吉郎 (きのした とうきちろう)
清州城下で針売りをしていた男。やたらと大言壮語を吐く人を食ったような性格だが、恐ろしいほどの切れ者で、お忍びで城下を見廻っていた織田信長に近づき、信頼を得ることに成功。桶狭間の戦いや美濃攻略において信長の知恵袋として活躍し、織田家の有力武将へと上りつめていくことになる。猿に似た顔をしていることから信長に「猿」と呼ばれている。 実在した人物、豊臣秀吉がモデル。
蜂須賀 小六 (はちすか ころく)
尾張の野武士の頭領で木下藤吉郎の昔なじみ。南北朝時代に南朝方として戦った名家の子孫であることから朝廷への忠義心が人一倍強く、織田信長の下で勤皇の志を果たすべく藤吉郎に臣従。信長の美濃攻めにおいて藤吉郎の墨俣築城を助けた。実在した人物、蜂須賀正勝がモデル。
明智 光秀 (あけち みつひで)
濃姫の従兄。越前の朝倉義景に仕えていたが朝倉家を見限り、足利義昭の親書を持って織田信長に接近。近江の浅井長政を味方にするための策を授けたことからその才を認められ、いきなり10万石を与えられた。以降、織田家の有力武将となるが、信長が比叡山を焼き討ちしたことを機に彼に対して不信感を抱くようになる。実在した人物、明智光秀がモデル。
松永 久秀 (まつなが ひさひで)
三好三人衆と共に13代将軍足利義輝を討った乱世の梟雄。上洛してきた織田信長に降伏するが、信長が岐阜に引き上げると三好勢と共に反抗。三好勢が敗れると、再び降伏して信長に仕えた。人情にも義理にも縛られず、損得勘定のみで動く冷徹なまでの現実主義者で、降参も寝返りも平気で行うが、信長は「あれも一個の大人物」とあきれつつも評価している。 実在した人物、松永久秀がモデル。
クレジット
- 原作