罪と罰

罪と罰

ロシア革命前夜の帝政ロシアで起きた強盗殺人事件。犯人であるラスコルニコフは、自分を、善悪を超越した天才であると信じていたが、やがて、否定したはずの罪の意識に追い詰められていく。作者の愛読書でもあるドストエフスキーの『罪と罰』を翻案し、子ども向けに書き下ろした大阪時代の最後となった作品。冒頭11ページに渡る同一アングルによる階段のシーンは、カメラの長回しを思わせ、終盤近く、主人公が追い詰められる地下水道は、同年公開のイギリス映画『第三の男』の印象的なシーンであり、全体にきわめて映画的。題材の選定から人物の心理描写まで当時としてはかなり野心的で、若き日の作者の情熱が感じられる作品である。

正式名称
罪と罰
ふりがな
つみとばつ
作者
ジャンル
ヒューマンドラマ
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概要・あらすじ

ロシア革命前夜の帝政ロシアで起きた強盗殺人事件。犯人であるラスコルニコフは、自分を、善悪を超越した天才であると信じていたが、やがて、否定したはずの罪の意識に追い詰められていく。そんな折、彼は飲んだくれの役人マルメラードフと出会い、その娘であり売春をして一家を支えているソーニャの無垢な心に触れ、救いを見いだしていく。

登場人物・キャラクター

ラスコルニコフ

『罪と罰』の登場人物。ペテルブルグの町に下宿する学生。金貸しのアリョーナ婆さんを殺して金品を奪う。彼を犯罪に踏み込ませた動機には、天才は善悪を超越するという思想がある。だが、やがて、否定したはずの罪の意識に追い詰められていく。

ポルフィーリイ

金貸しアリョーナ婆さんが殺害された事件を調べ、ラスコルニコフを犯人と見抜き、心理的に追い詰めていく。

ラズーミン

ラスコルニコフの友人。正直で陽気な性格。

ソーニャ

マルメラードフの娘。生活のために売春婦をして一家を支えている。いかがわしい商売にもかかわらず、汚れのない心を持ち、罪の意識にさいなまれるラスコルニコフに、勇気と救いをあたえる。

マルメラードフ

七等官吏。売春婦ソーニャの父。かつては裕福な家柄であったが、今では酒におぼれ、娘に売春婦をさせて生活していることで自分を憎み、そのためにまた酒を飲む。

スビドリガイロフ

革命思想の持ち主。ラスコルニコフの妹ドーニャを家庭教師に雇った女地主マルファを人民の敵として殺害。民衆を扇動して暴動を起こす。

ザミョートフ

金貸しアリョーナ婆さんが殺害された事件を調べる探偵。

アリョーナ

あくどい高利貸しの老婆。ラスコルニコフに斧で殺害される。

ドーニャ

ラスコルニコフの妹。金持ちルージンに結婚を申し込まれるが、その高飛車な態度に我慢がならず破談にする。

ルージン

ラスコルニコフの妹ドーニャに結婚を申し込んだ金持ち。ケチな俗物として描かれる。

ニコライ

金貸しアリョーナ婆さんが殺害されたとき、同じ建物でペンキを塗っていた職人。ラスコルニコフが逃亡の際におとした金時計を拾ったために犯人として捕らえられる。

マルファ

ラスコルニコフの妹ドーニャを家庭教師に雇った女地主。人民の敵として、下男で革命思想の持ち主スビドリガイロフに殺される。

リッペベフゼル夫人

マルメラードフ一家が住んでいる長屋の口うるさい家主。舌が回らず、濁音が発音できない。

その他キーワード

『天才について』

『罪と罰』に登場する論文。ラスコルニコフが雑誌に寄稿した論文。人間を「ふつうの人」と「天才」に大別し、天才(英雄)は善悪を超越した存在であるとする。

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