概要・あらすじ
武術家の娘で拳法の達人である仙堂桃花は、幼なじみであり、片思いをしている相手でもある呪術師・煌竜牙の手違いで身体に、聖龍・紫王を宿してしまう。紫王の力を使いパワーアップした桃花は、竜牙とともに街にははびこる悪霊を退治していく。竜牙の家系である煌家の因縁にも巻き込まれながら、桃花は自分の恋を成就させるために奮闘していく。
登場人物・キャラクター
仙堂 桃花 (せんどう ももか)
横浜桃林学園に通う女子高校生。ロングヘアーを結ってお団子頭にしており、私服にはチャイナ服を好んで着用する。実家は「仙堂流拳法道場」を開いており、仙堂桃花はここで師範代を務めている。拳法の達人で、普段から痴漢などの悪人を撃退している。煌竜牙とは幼なじみで、片想いの相手でもあるが、なかなかその気持ちを伝えられずにいる。 蛇王と戦う際、竜牙が彼の守護聖龍である紫王を桃花に宿してしまったことをきっかけに、龍の力を手に入れた。龍の力は竜牙により普段は封印されているが、それでも桃花の身体能力をより高めている。封印が解除されると紫王を召喚して戦わせることも可能で、その間は桃花の顔つきや髪の色が変わる。なお、龍は女性には憑かないといわれており、さらに煌家以外の一般の人間に憑くこと自体が珍しいことである。 のちに香港の煌家で修行を積み、自力で封印を解除することができるようになる。胸が小さいのが悩みで、よく竜牙にからかわれている。好きなものはパンダで、自室には大量のパンダグッズが置いてある。魔物に取り憑かれて自我を失っていても、パンダには無意識に攻撃ができないほどで、竜牙からは「骨の髄までパンダ好き」といわれている。 学校では拳法部に所属しており、女子部長が転校したことに伴い、急遽部長に昇格する。
煌 竜牙 (こう りゅうが)
横浜桃林学園に通う男子高校生。中国人で、短髪で端正な顔をしており、右耳には魔除けのために翡翠のピアスをしている。仙堂桃花の家の向かい側に自宅があり、桃花とは幼なじみ。代々続く呪術師の家系であり、煌竜牙自身も呪術でのお祓いや占いを行えるため、それを仕事にしている。桃花の家の道場に通っていたこともあり、武術も身に付け、弱い相手であれば拳法で戦うこともある。 桃花からは「頭と顔は良いが口の悪い自信家」といわれており、実際に桃花に対してはよく意地悪をしている。桃花に好かれているという自覚はあり、告白されるのを待っている一面もある。女性に人気があり、お祓いのお礼にキスをされたりすることもあり、桃花からはやきもちを妬かれている。 両親は黒龍派との戦いで死亡しており、煌景龍が父親代わりとなっている。桃花を自分の力で守るために、香港で修行を行い、自らも聖龍・黄珠を身体に宿した。
煌 春蘭 (こう しゅんらん)
横浜桃林学園に通う女子高校生。中国人と日本人のハーフで、ウェーブがかかった髪を結っている。煌竜牙のいとこであり、強い霊媒体質で魔物や精霊に取り憑かれやすいため、幼い頃から煌家に預けられていた。そのため、仙堂桃花とも幼なじみの親友である。小さい頃は、頻繁に魔物に襲われており、そのたびに桃花と竜牙に守られていたが、現在は竜牙からもらった魔除けによって状況が改善されている。 ただし、それでもしばしば霊に身体を乗っ取られたりしている。桃花の竜牙への想いも知っており、早く2人を恋人同士にさせたいと思っている。男性から好かれることが多く、桃花の道場では、門下生からアピールされることが多い。桃花と同じく学校では拳法部に所属している。
ロンロン
仙堂桃花が大切にしているパンダのぬいぐるみ。幼い頃に行われたお楽しみ会で、煌竜牙がプレゼント交換に出し、桃花の手に渡った。一度川に落としてしまった際には竜牙が命がけで取り戻してくれたため、さらに思い出深いものとなり、パンダグッズが溢れる桃花の部屋の中でも一番安全な場所に置いてある。のちに、パンダ大王の魂を入れることで、動いてしゃべることができるようになる。
紫王 (しおう)
仙堂桃花の身体に宿っている聖龍で、静電気に似たものを身にまとっている。人間の姿になることも可能で、その時には銀色の長髪、紫の猫目をした青年の姿をとる。ちなみにその人間の姿を初めて見た桃花は、紫王であることをすぐに見抜いた。人間の姿をしている時は礼儀正しく、桃花に忠誠を誓っている。もともとは蛇王に狙われた煌春蘭を助けるため、煌竜牙が自分の身体に宿そうと召喚したが、竜牙に憑く前に桃花に宿ってしまった。 普段は竜牙により桃花の身体に封印されているが、竜牙が封印を解除をすることで姿を現し戦うことができる。
乾 アゲハ (いぬい あげは)
横浜桃林学園に通う女子高校生で、仙堂桃花の親友。長い髪をポニーテールにしている。中等部の頃から桃花と同じ拳法部に所属しており、良きライバルとして互いに切磋琢磨している。実家も桃花と同じく拳法道場を経営している。性格は強気で、恋愛に関する行動も積極的。桃花と煌竜牙の恋を応援しており、後押しをすることも多い。
煌 雷華 (こう らいか)
横浜桃林学園に通う女子高校生。短髪で小柄な体型。煌竜牙の遠い親戚で、香港から転校して来た。6歳の頃までは竜牙と生活しており、その時の竜牙の真似をして一人称は「ボク」のままである。竜牙の婚約者を自称しているが、親同士が大昔に口約束でしたもので、正式なものではない。生まれつき感情が昂ると放電してしまう体質ため、普通の学校に通うことができず家庭教師に勉強を学んだ。 現在では放電をある程度制御できるようになっている。「雷龍」を召喚して操ることができるが、身体に憑いているわけではなく、使役する形でかたわらにいる。頭脳明晰で学校の成績も良く、武術においても仙堂桃花と互角の力を持つ。当初は竜牙との結婚を本気で考えていたが、桃花と竜牙が好き合っていることに気づき、さらに桃花には龍が宿り強さでも勝てないことを悟って身を引いた。 桃花とはその後も友達として良好な関係を築いている。
雷紋 (らいもん)
煌雷華が召喚した雷龍。人間の姿になることも可能で、その時には褐色の肌に金髪の少年の姿をとる。ちなみに龍の姿の時も仙堂桃花の龍である紫王よりも小さい。生まれたての頃に雷華と出会い、雷華が放電体質であったことから仲良くなっていたため、成長して改めて雷華に召喚された時は自分から進んで出現した。雷華のことが好きで、他の男性が近づくと牽制をする。 なお、桃花の身体に宿っている紫王は煌竜牙が封印・解除を行っているが、雷華は召喚後に封印をしておらず、雷紋が独自で行動して雷華のもとへ現れている。
パンダ大王 (ぱんだだいおう)
密猟者に仲間を殺された孤独なパンダが妖怪となった姿。パンダの密漁や絶滅を阻止するために働いていたが、煌竜牙の「魂移しの術」によって、仙堂桃花の持っていたロンロンを依り代にし、自由に動いたり話したりすることができるようになった。妖怪の時はさまざまな術を使うことができたが、ロンロンに宿ってからは、自分や他人の服装を変身させる術しか使えない。
煌 虹龍 (こう こうりゅう)
香港系中国人で18歳の青年。短髪でチャイナ服を着ており、両耳にピアスをしている。香港に住んでいる煌家本家の総領息子で、「カリスマ天才呪術師」と呼ばれている。幼少の頃から呪術の才能があり、10歳の時には龍を召喚して自身に宿した。本家直系の人物であるうえ怒ると何をするかわからないため、煌家の人間からは恐れられている。 煌竜牙や煌春蘭からも「虹龍様」と呼ばれ、敬語を使われている。龍を宿した仙堂桃花を自分の妻にして最強の力を手に入れようと目論んだが、それは竜牙によって阻止された。虹龍が初めて龍を召喚した際、弟である煌宝龍に怪我をさせてしまったため、母親の煌蓮宝から疎ましい存在として忌み嫌われていた。実際は母親を想っての行動であり、のちに桃花によってその誤解を解くきっかけを与えられることとなる。
煌 宝龍 (こう ほうりゅう)
煌虹龍の13歳の弟。見た目は虹龍に似ているが身長が低く、物腰が柔らかく目つきも優しい。虹龍が10歳の時に初めて龍を召喚した際、発生した雷に打たれて重傷を負った。そのため母親の煌蓮宝からは兄に近づくことを快く思われておらず、必要以上に近づくことはできないが、煌宝龍自身は虹龍を慕っており、目標としている。 のちに龍の召喚に成功するがコントロールできず、自身に取り憑かせる前に龍を仙堂桃花と煌竜牙に消滅させられることとなる。
煌 蓮宝 (こう れんほう)
煌虹龍の母親。ロングヘアを1つにまとめた、スタイル抜群の女性。優しそうな外見をしているが、虹龍に対しては冷たく接していた。もともと一般の家庭から政略結婚で煌家に嫁いだため、煌蓮宝には呪術の能力はない。虹龍の能力を恐れており、10歳の虹龍が龍を召喚した際、煌宝龍が雷に打たれたのを境に一切虹龍に近づかなくなった。 しかし、仙堂桃花が香港を訪れた際、宝龍とともに仲を修復させようと画策し、結果わだかまりが少しずつ溶け始めていく。
煌 景龍 (こう けいりゅう)
日本の煌家の長である初老の男性。煌竜牙の叔父で父親代わりでもある。長い黒髪を1つに束ねている。横浜の煌家を取りまとめる役割を担うが、香港の煌家と行き来しているため不在のことが多い。呪術に長けており、難しい術も難なく使うことができる。
黒龍 (こくりゅう)
黒龍派の一族の守護精霊。陰の気を持つ聖龍で、身体は黒色。煌家の聖龍派の守護精霊である聖龍とは正反対の色合いをしている。聖龍派との対戦に敗れ、横浜にある煌家の地下深くに封印された。封印を解くには、聖龍を持つ者の血が必要で、黒龍派を復活させようとした白井冬夜に、仙堂桃花が狙われることとなった。結果的には、他の煌家の人間が襲われて封印が解かれてしまう。 しかし、冬夜には黒龍は扱いきれず、竜牙の手により再度封印された。
白井 冬夜 (しらい とうや)
横浜桃林学園に通う1年生男子で、2年生に進級した仙堂桃花の拳法部の後輩。短髪で、いつもにこやかな表情をしている。桃花に積極的にアプローチをしていたが、正体は黒龍派の「幽天玄女」であり、桃花を狙っていたのは聖龍を持つ身体の血を目当てにしていたためだった。これを利用して黒龍を復活させ、自身の身体に憑かせようと目論むも失敗。 計画の失敗により黒龍派へ戻ることができず、煌家に引き取られることになった。以降は改心し、心から桃花のことを好きになって、煌竜牙を恋のライバルとして見なすようになる。
御門 秋良 (みかど あきら)
横浜桃林学園に通う1年生女子で、2年生に進級した仙堂桃花の拳法部の後輩。長い黒髪で、口元にほくろがある。基本的に無表情だが、時おり怒った表情も見せる。陰陽師の家系で式神などの術を使うことができ、「幽天玄女」の白井冬夜により拳法部の部員が操られた時には、解除の術を使って助けるなどの活躍を見せる。煌竜牙に想いを寄せており、桃花から奪おうと頑張っている。 一方で、本当に桃花と竜牙が引き離されそうになった時には2人を応援するなど、心底では2人の関係を認めている。
神崎 悟朗 (かんざき ごろう)
横浜桃林学園とは別の学校の男子高校生で、野球部に所属している。髪は薄い色の短髪。交通事故により意識不明となったショックで、少年の頃の外見となって幽体離脱してしまい、さまよっていたところを煌春蘭に発見された。その時は自分に関する記憶が一切なく、仙堂桃花らとともに身元を調査することとなる。その際、名前がないのは不便ということで、ひとまずの呼び名として春蘭に「雪くん」と名付けられた。 一度は自身が入院している病院を見つけたが、それでも記憶は戻らなかった。しかしその後、桃花と煌竜牙の助けもあって魂を身体に戻すことに成功、意識を回復した後に春蘭のもとを訪れ、付き合うことになる。
火神 真王 (ひかみ まお)
赤い髪を三つ編みにした男子高校生。魔物の血を引く魔術師で、魔法陣を用いて術を使う。昼間は子供の姿をしているが、夜になると魔力が溜まって青年の姿になる。かたわらには「美夜」と「黒羽」という使い魔がおり、使い魔の魔力をもらえば、昼間でも青年の姿になることができる。仙堂桃花に一目惚れをして横浜桃林学園に転校して来たが、煌竜牙と対決して敗れ、桃花からも振られてしまう。 その後、拳法部に入部している。
火神 美王 (ひかみ みお)
横浜桃林学園に通う女子高校生。赤い髪をカールさせている。火神真王の妹で、魔物の血を引いており、夜になると髪が伸びる。真王よりも魔術を使う力は強く、赤い糸を操作する術で煌竜牙を狙い、仙堂桃花との縁を切ろうとしたが失敗した。その後は兄とともに拳法部に入部し、桃花とも良好な関係を築いている。
蛇王 (じゃおう)
「水神湖」に棲む魔物。人間の姿をしているが、長髪で耳がとがっており、爪が鋭い。100年に一度花嫁を探しに出現する。煌春蘭のことを気に入り、花嫁にしようと取り憑くが、一度は煌竜牙の手によって退散する。その後、再度春蘭を襲おうとしたが、仙堂桃花と竜牙によってもとの蛇の姿に戻された。
黄珠 (こうじゅ)
煌竜牙に宿る聖龍。数十年に一度現れる伝説がある。黄金に光る身体を持っており、人間の姿になると、金色の長髪と瞳を持つ美女の姿をとる。仙堂桃花の持つ紫王よりも長く生きていて、強大な力を持っている。紫王とは好き合っており、2人で桃花と竜牙を護ることを約束している。
集団・組織
煌家 (こうけ)
竜を守護神とする呪術師の家系。黒龍派と区別して「聖龍派」と呼ばれることもある。本家は香港にある。煌家の人間は呪術をはじめとするさまざまな特殊能力を持っており、特に精霊などを呼び寄せる術を使う。純血でなくても、煌家の血が入っていれば特殊能力が発揮でき、例えば煌雷華は放電体質、煌春蘭は霊媒体質で相手の気持ちを読んだり、簡単な呪術を使うことができる。 年初めには男子にのみ試験が課せられて、力を試され、その試験をクリアできない場合は中国に戻って修行をやり直さなければならない。試験には、能力の高い者がお目付け役として付いており、煌竜牙が試験を受ける時には、煌虹龍がお目付け役として選ばれた。
黒龍派 (こくりゅうは)
もともとは煌家の一派閥。本来は人を護るべき呪術の力を悪用し、黒龍を使役する黒龍派となった。香港で活動していたが、弾圧により日本に逃れる。それを追いかけた聖龍派が横浜にて黒龍を封印することで、一度は断絶させられた。しかし、残党が各地に潜んでおり、横浜に封印された黒龍を解放することで、黒龍派を復活させようと策謀している。
場所
横浜桃林学園 (よこはまとうりんがくえん)
横浜市にある小・中・高の一貫校で、仙堂桃花らが通っている。校内にはその名の通り、桃の木が多数植えられている。全体的に中国文化の色が見られ、高等部の制服はチャイナ服をアレンジしたものとなっているが、中等部は女子のみセーラー服である。小等部、中等部、高等部と分かれているが、図書館などは共有されている。
その他キーワード
呪符 (じゅふ)
呪術を使う時に使う札。紙幣ほどのサイズで素材は紙が主だが、桃の木の皮を使用したものもある。煌竜牙をはじめとして、呪術師が精霊を召喚する時や、術を使う時、お祓いをする時などに使用する。呪文を唱えながら使用することが多いが、魔除けの場合などはその札を持っておくだけで効果がある。