聖女の魔力は万能です

聖女の魔力は万能です

仕事中毒の平凡なOLがある日突然、聖女として異世界へと誘われてしまい、高い魔力を活かしたポーション作りや、薬草を使った化粧品作りに精を出しながら、現地の人々と交流を深め、エンジョイする姿を描く異世界召喚作品。橘由華原作の同名小説のコミカライズ版。「ComicWalker」2017年7月31日から配信の作品。

正式名称
聖女の魔力は万能です
ふりがな
せいじょのまりょくはばんのうです
原作者
橘 由華
作者
ジャンル
ファンタジー
レーベル
フロース コミック(KADOKAWA)
巻数
既刊9巻
関連商品
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あらすじ

第1巻

仕事中毒のOL、セイは、残業で疲れ果てて帰宅したある夜、突如として謎の光に包まれ、別世界へと召喚されてしまう。そこはスランタニア王国と呼ばれる、魔法が実在する異世界で、セイは世に蔓延する瘴気を祓う聖女として、聖女召喚の儀によってこの世界に呼び出された事を知るのだった。しかし、スランタニア王国の第一王子、カイル・スランタニアは、戸惑うセイには目もくれず、召喚されたもう一人の聖女である御園愛良を連れてその場を立ち去ってしまう。その態度に怒ったセイは、現場にいた青年に元の世界への帰還方法を聞くが、明確な答えは返って来なかった。王宮の人々から聖女候補として王宮に留まるように説得され、ヒマを持て余していたセイは、日々近くの薬草園に通いつめているうちに薬草に詳しいジュードと知り合い、彼のアドバイスを受けて薬用植物を取り扱う研究所の一員となる。ジュードから魔力の基礎の手ほどきを受けたセイは、初のポーション作りを成功させるのだった。(第1話「聖女召喚」。ほか、3エピソード収録)

第2巻

アルベルト・ホークの誘いを受けたセイは、彼といっしょに王宮の近くにある街まで出かける事になった。小さい頃からヨハン・ヴァルデックと庶民の格好をして街を出歩いていたというホークのエスコートで、屋台や装飾品の店を巡り、存分に羽を伸ばしたセイ。ホークの思ったよりきさくな人となりに触れ、彼に親近感を覚えたセイは別れ際にホークから美しい髪飾りを贈られる。翌日、薬用植物研究所に出向いたセイは、ヨハンと昨日の出来事について話しているうちに、昨日の逢瀬がデートだった事にようやく気づくのだった。戸惑うばかりのセイに対しヨハンは、ホークがただの土産として髪飾りを渡したのではない事を彼女に伝える。(第5話「街」。ほか、4エピソード収録)

登場人物・キャラクター

セイ

地味な風貌をしたごくふつうのOL。眼鏡をかけている。ある日、仕事から帰宅した直後に、異世界のスランタニア王国へ聖女として召喚されてしまう。しかし、第一王子のカイル・スランタニアからは存在を無視され、元の世界に帰る事もできなかったため、聖女候補として王宮でヒマを持て余す日々を送る事になった。本名は「小鳥遊聖」で、異世界の住人からは「セイ」と呼ばれていた。王宮の近くにあった薬草園に通いつめているうちに、研究員のジュードと知り合い、薬用植物研究所の一員となってポーション作りに精を出す事になる。聖女である事を名乗っていないため、多くの人間は彼女が聖女である事を知らない。通常の人間より魔力が高いため、治癒効果が高いポーションを作る事ができる。自ら作った上級ポーションで、瀕死の重傷を負った第三騎士団の団長、アルベルト・ホークを助けた事が縁となり、王国の騎士団とも交流を持つようになる。当初は製薬スキルしか持っていなかったが、研究員や騎士団のために何度も手作りの料理を振る舞った事で、料理スキルも得た。薬草から化粧品を作り出すなど、創意工夫も得意。聖属性魔法のレベルは、すでに∞(無限大)に達している。当初は元世界での労働の疲労のせいで不健康そうな雰囲気を漂わせていたが、薬草を使った化粧品で身だしなみを整えた事で、目の下のクマがなくなり、眼鏡が不要になるなど、健康的な容姿へと生まれ変わる。彼氏いない歴イコール年齢なため、美形な男性の誉め言葉には耐性がなく、大いに照れてしまう。

アルベルト・ホーク

美しい金髪の美青年。貴族出身の凄腕の騎士で、スランタニア王国の第三騎士団の団長を務めている。氷の魔法を使う事と、つねに無表情な事から「氷の騎士様」の異名を持つ。ゴーシュの森に魔物討伐に出向いた際に、サラマンダーの襲撃に遭って瀕死の重傷を負い、セイが作ったポーションで一命を取り留めた。その縁でセイと交流を持つようになる。セイの事は命の恩人という枠を超えて気に入っており、デートの際に魔法付与された高価な髪飾りをプレゼントをしている。世間一般には無表情で厳格な人物と思われているが、セイの前では優しく朗らかな笑顔をよく見せていた。セイの基準では、一番好みなイケメンとの事。ヨハン・ヴァルデックとは幼少の頃からの友人同士で、昔から庶民の格好をして街を巡っていたため、庶民の食べ物にも詳しい。

ヨハン・ヴァルデック

ロングヘアのイケメンの男性。スランタニア王国にある薬用植物研究所の責任者を務めている。面倒見がよく、とても落ち着いた性格をしている。ジュードから紹介されたセイを研究所に迎え入れ、ポーションの研究をさせていた。セイやほかの研究員からは「所長」と呼ばれ、慕われている。セイが聖女候補である事を知っている数少ない人物。カイル・スランタニアの無礼な態度に怒ったセイを落ち着かせるため、王国の内務からの要請によって、彼女を研究所で引き取る事を承諾させられていた。そのため、内心ではセイの事を快く思っていなかったが、まじめで勤勉なセイの働きぶりを見てからは、肉親のような目線で彼女を見守るようになる。セイの作る料理をいたく気に入っている。第三騎士団長のアルベルト・ホークとは、幼少の頃からの親友同士。

ジュード

緑色の髪をした青年。明るくて人懐っこい性格をしたイケメン。薬用植物研究所の一員で、薬草を研究している。そのために薬草全般に詳しい。水属性の魔法を得意としており、なにもない場所に水を出す事もできる。薬草園に足を運んでいた際に王宮でヒマを持て余し、薬草園に通いつめていたセイと知り合う。セイを薬用植物研究所を誘ったあとは、なにも知らない彼女のために、魔力操作のやり方を手ほどきしていた。研究所では主に治療用のポーションを作っているが、魔力が低い事から、下級ポーションしか作る事ができない。セイが聖女である事を知らされていないため、治療効果の高いポーションを無尽蔵に作れる彼女の資質に驚き、魔女ではないかと疑っていた時期もあった。

カイル・スランタニア

スランタニア王国の第一王子。鮮やかな長い赤髪を持つスラリとした美少年。聖女召喚の儀で呼び出されたセイには目もくれず、もう一人の聖女である御園愛良のみを連れて部屋を出て行ってしまう。この無礼な態度がセイを怒らせてしまい、王宮の内務の人間を汲々とさせるが、カイル・スランタニア本人はまるで意に介していなかった。愛良を聖女として庇護したあとは、王立学園に通わせたり、愛良といっしょに初心者用の森へ出向き、魔物の討伐を繰り返してレベルを上げるなど、付きっきりで面倒を見ていた。

エリザベス・アシュレイ

笑顔が眩しい美少女。人形のように端正な顔立ちをしている。おっとりした性格の持ち主。スランタニア王国内にある王立学園に通っている。セイが王宮図書館に出向いた際に知り合い、何度かセイと顔を合わせるうちに、お互いを愛称で呼び合う友人同士となる。セイからは「リズ」と呼ばれていた。恋バナが大好きで、セイに対して第三騎士団長のアルベルト・ホークの交友関係などを教えていた。セイとホークの仲がいい事を知っており、二人の恋が進展する事を陰ながら応援している。

御園 愛良 (みその あいら)

日本人の少女。聖女召喚の儀でセイと同時にスランタニア王国に召喚された聖女の一人。スランタニア王国の人間からは「アイラ・ミソノ」と呼ばれている。召喚直後にカイル・スランタニアによって連れ出され、カイルや側近が付きっきりとなって、聖女にふさわしい教育を施していた。その甲斐があり、のちにレベル4の回復魔法が使えるまでに成長を遂げる。だが、圧倒的にレベルが高いセイからは、もし自分だけが聖女だった場合、御園愛良はどうなるのかと、その後の処遇を心配されている。

騎士の青年

体格のいい騎士の青年。スランタニア王国の第三騎士団騎士団に所属している。王立学園卒業後に騎士になった元平民。とても気さくな性格で、ポーションの納品に出向いていたセイに積極的に話しかけ、なかよくなっていた。薬用植物研究所が納品するポーションの品質の高さに感心しており、なにか秘密があるのではないかと勘ぐり、その理由をセイに聞いていた。周辺地域の魔物討伐をしていたが、ゴーシュの森に入った際に負傷し、左手首から上を失う。騎士として生きる事をあきらめ、帰郷する事を考えていたが、セイの回復魔法「ヒール」によって失った左手が完治する。回復後は、セイの手を取って感謝していた。

ジークフリート・スランタニア

端正な顔立ちをした長髪の男性。スランタニア王国の国王。誠実な人柄の人物で、王宮図書館に通っていたセイのもとに姿を現し、聖女召喚の儀の際に息子のカイル・スランタニアが行った非礼を、セイに対し詫びていた。一方でセイの並外れて高い魔力には一抹の不安を抱いており、宮廷魔導師団の青年とヨハン・ヴァルデックに命じて、彼女の能力を密かに調査させていた。

宮廷魔導師団の青年

眼鏡をかけた長髪の男性。ブルーグレーの瞳を持つ。本名は不詳。スランタニア王国にある宮廷魔導士団の責任者を務める。特定の魔力が施された「魔法付与」の道具を鑑定できる「魔法鑑定」の技能を持つ。ヨハン・ヴァルデックが、セイを宮廷魔導師団の隊舎に連れていった際に出会った。セイが魔法付与をした鉱石を見て彼女の資質に興味を抱き、のちに宮廷魔導士団の責任者としてセイに仕事の要請をする。クールな性格をしており、仕事中に笑顔を見せる事はほとんどない。そのため、セイが魔法付与を施した鉱石の数々を見て、その質の高さに思わず笑みを漏らした時には、ほかの魔導師から非常に驚かれていた。国王であるジークフリート・スランタニアの命を受け、セイの能力を綿密に調べ上げている。

サラマンダー

巨大なトカゲ。竜種ではないが、巨体に似合わず素早く動くうえに、炎まで噴くという非常に危険な存在。そのため、人々からは恐れられている。ゴーシュの森に魔物討伐の任務に出向いていた第三騎士団を襲撃していた。その時は死者こそ出なかったものの甚大な被害を出し、団長のアルベルト・ホークも瀕死の重傷を負ってしまう。

場所

スランタニア王国

中世ヨーロッパに似た、魔法が実在する異世界の国家。王都は治安が安定しており、王立学園や王宮図書館、薬用植物研究所が存在するなど、高い文化レベルを誇っている。しかし、周辺地域は決して安全ではなく、王都から出ると魔物や盗賊が徘徊する危険な草原や森が広がっており、至るところで人間に害をなす瘴気が発生し続けている。魔法が身近な存在となっており、生活魔法を使う事で自身のレベルやスキルといったステータスを知る事もできる。基本的に姓があるのは高貴な人物のみなため、聖女である事を公言していなかったセイは、名前で呼ばれていた。素材そのままの味で提供される料理のレベルはさほど高くなく、セイは美味しくないと断言していた。この料理の不味さが、セイが料理に精を出す原因となる。

その他キーワード

ポーション

薬草と水に魔力を注ぎ込んで精製し、薬瓶に詰めた治療薬の一種。スランタニア王国全域に流通している身近な治療薬で、薬用植物研究所の一員となったセイは、毎日精力的にポーションを作っていた。上級、中級、下級というクラス分けがされており、上位のポーションほど作成に高いスキルが必要となるため、調達が困難になる。セイはレベル20で上級ポーションが作成可能になった。セイが作成するポーションは通常のものと比べて効果が1.5倍にもなるため、のちに騎士団からも重宝される逸品となる。

聖女

スランタニア王国で古くから言い伝えられる伝説の乙女。瘴気が魔物討伐の速度を上回る勢いで濃くなる時期に、王国内に何処かに姿を現すとされている。聖女が使う術は魔物をことごとく殲滅し、その場にいるだけで瘴気が濃くならないという伝説を残す。瘴気が濃くなる時期に聖女が現れなかった場合は、聖女召喚の儀によって異世界より聖女を呼び寄せる手はずになっている。

聖女召喚の儀

スランタニア王国に伝わる、異世界から聖女を呼び出す儀式。瘴気の濃度が高まる時期が到来しても、王国内のどこにも聖女が現れなかった場合に、窮余の策として執り行われている。儀式は成功し、セイと御園愛良が同時に聖女として召喚される。第一王子のカイル・スランタニアは、愛良のみを聖女として扱い、セイの事は無視し続けていた。

瘴気 (しょうき)

スランタニア王国の至る場所で絶え間なく発生している邪悪な霧。濃度が一定に達すると魔物として形を成し、魔物を倒す事で周辺の瘴気が少し薄くなるという因果関係を持っている。そのため、スランタニア王国では、騎士団が中心となって定期的に魔物を討伐していた。瘴気の濃度が特に濃くなる時代には、それらを祓う聖女が現れると言い伝えられている。

クレジット

原作

橘 由華

キャラクター原案

書誌情報

聖女の魔力は万能です 9巻 KADOKAWA〈フロース コミック〉

第1巻

(2018-02-05発行、 978-4040696836)

第2巻

(2018-10-05発行、 978-4040699882)

第3巻

(2019-07-05発行、 978-4040658049)

第4巻

(2020-02-05発行、 978-4040643724)

第5巻

(2020-10-05発行、 978-4040648859)

第6巻

(2021-06-05発行、 978-4046804631)

第7巻

(2021-12-03発行、 978-4046809438)

第8巻

(2022-12-16発行、 978-4046815149)

第9巻

(2023-12-14発行、 978-4046825858)

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