概要・あらすじ
腹話術の天才である天一は、自分と人形の区別がつかなくなり、人形と喧嘩をして奇術団の舞台をしくじる。舞台を見ていた少年・進が実家である簡易ホテルに戻ると、奇術団員の一人だという少年と出会う。大きな荷物を抱えていた少年団員は、部屋に入るなり誰かと口論を始め、ついには相手を刺殺してしまう。天才的な腹話術師の少年の狂気をミステリータッチで描いた短編。
登場人物・キャラクター
天一
『腹話術師』の主人公の少年。奇術団の団員で、天才的な腹話術師。ノイローゼで自分と人形の見分けがつかなくなってしまい、人形と口論しては舞台をしくじる失態を度々犯す。
座長 (ざちょう)
奇術団の座長。天一の腹話術師としての才能を高く評価している。舞台で人形と喧嘩をする天一を見かねて、舞台を休んでしばらく休養するように促す。
進 (すすむ)
簡易旅館の息子。友達のケンちゃんと一緒に、奇術団の舞台を見る。自宅でもある簡易旅館で、大きなトランクを抱えた奇術団員の少年が、部屋で誰かと口論し、刺殺する様子を盗み聞きする。その後、少年が、トランクから死体を取り出し、列車に投げ込む様子を見て、警察に通報する。