あらすじ
第1巻
30歳になる東京出身の飯野朋子は、岐阜で一人暮らしをしながら、自転車で15分の距離にある会社へ通っている。人付き合いが苦手で、自分の意見をはっきりと言えない朋子は、会社では上司から微妙なセクハラを受けたり、同僚からの誘いを断れずに冴えない毎日を送っていた。そんなある日、朋子は自転車のチェーンが外れたことがきっかけで、近所で自転車屋を営む高橋遼平と出会う。イケメンだが見た目がヤンキーで、グイグイとくる遼平を怖いと感じる朋子だったが、何度か会ううちに遼平の優しさに触れ、二人は交際を始める。
第2巻
高橋遼平と付き合い始めた飯野朋子は、自宅に招いて手料理を振る舞ったり、休日にはデートをするなど、彼と良好な関係が続いていた。そんなある日、仕事中の朋子に実家の母親から、愛犬のたもつが危ないことを知らせる電話が入る。たもつは、朋子が学生の頃からかわいがっていたグレートピレニーズで、15歳という老齢もあって最期を迎えようとしていた。朋子は、たもつの最期の瞬間に立ち会いたいという思いから、なんとか仕事を抜け出せたものの、あいにくの大雪で電車はすべて運行が停止していた。しかし、遼平が軽トラで朋子を東京の実家まで送り届け、無事にたもつの最期を看取ることができた。その夜、レストランで夕食を取る二人だったが、一人の女性客を見て遼平は驚愕する。その女性客は女装した男性で、遼平と祖父を捨てて失踪した彼の父親だった。
実写ドラマ
登場人物・キャラクター
飯野 朋子 (はんの ともこ)
会社勤めをしている女性。年齢は30歳。東京出身だが、高校卒業後の就職先が岐阜県にある会社だったため、岐阜で一人暮らしをしている。東京にある実家では、母親と飯野朋子が学生の頃に保護したグレートピレニーズのたもつと共に暮らしている。会社は自転車で15分の距離にあり、毎日事務服姿で自転車通勤をしている。朝が苦手で、食パンをくわえながら出社することも多く、同僚の佐藤貴美子からは「パン子」のあだ名を付けられた。自分の意見をはっきりと言うのが苦手で、会社では男性上司からのセクハラや、貴美子以外の同僚からの頼みを断れないことを悩んでいる。食べることと漫画全般、アニメの『ドラえもん』が大好き。イケメンで年下の高橋遼平に自転車を修理してもらったことをきっかけに、交際を始める。目つきも悪く見た目もヤンキーな遼平に最初は臆していたが、遼平の優しさに触れる中で徐々に惹かれていく。
高橋 遼平 (たかはし りょうへい)
岐阜県にある実家の自転車屋「高橋サイクル」に勤める青年。年齢は26歳。学生時代からヤンキーで耳と口にピアスをしており、前髪を金髪に染めて目つきも悪い。母親はおらず、父親は祖父と高橋遼平を置いて家を出ていったため、祖父の面倒を見ながら高橋サイクルを一人でやりくりしている。子供の頃から苦労していたため、その頃のことはあまり話したがらない。毎朝、店の前をキーキーとブレーキを軋ませながら、自転車通勤する飯野朋子のことを気にかけていた。路上で自転車のチェーンが外れて困っていた朋子を助けたことがきっかけで、交際を始める。ぶっきらぼうで表情も読みにくく、近寄りがたい雰囲気を発しているが、仲間思いで優しい性格の持ち主。漫画全般とアニメの『ドラえもん』が大好きで、朋子と趣味が合う。
佐藤 貴美子 (さとう きみこ)
会社勤めをしているアラサーの女性。飯野朋子とは同僚で、お互い入社時からの付き合い。朋子とは仲がよく、彼女からは「キミちゃん」と呼ばれている。会社でセクハラやパワハラに困っている朋子を助けるなど、頼りがいのある人物。元上司で、現在は漫画家をしている駿河ケンイチと付き合って7年目を迎え、子供ができたことを機に会社を辞めて結婚することを決める。
山本 耕起 (やまもと こうき)
飯野朋子と同じ会社に勤めるイケメンの男性。東京から異動してきて、営業を担当している。仕事中に差し入れをするなどの気配りができ、女性社員からの人気は高い。朋子を半ば強引に映画デートに誘う。高橋遼平を見た目だけでヤンキーと判断し、朋子が絡まれていると勘違いして仲裁に入るなど、いい人なのだが物の本質を見極めることが下手で、無意識のうちに朋子のことを傷つけている。
まさやん
高橋遼平の幼なじみの青年。年齢は26歳。中華料理屋「中華飯店 将ちゃん」を継いで働いている。妻のカナエとのあいだにショータという4歳の息子がいる。遼平とはライブや海、バーベキューに行くなどなかよくしていたが、ショータが生まれたことで育児と仕事が忙しくなり、遼平に寂しい思いをさせている。それでも店は遼平や三輪照幸など仲間たちのたまり場になっており、料理も美味しく量も多い。ショータは父親のまさやんよりも、面倒をよく見てくれる遼平に懐いている。
三輪 照幸 (みわ てるゆき)
高橋遼平と高校時代からの友人の男性。年齢は26歳。アニメや漫画が好きなオタクで、自分で漫画も描いている。高校生の時に遼平ととなりの席になり、見た目がヤンキーの遼平に恐れをなすが、アニメや漫画がきっかけでなかよくなった。遼平と母親からは「テルちゃん」と呼ばれている。高校生の頃はかわいらしい顔立ちの男子だったが、26歳になった現在は太って、キャラクターのプリントされたTシャツを着た、オタク然とした風貌になっている。
駿河 ケンイチ (するが けんいち)
漫画家の男性。年齢は39歳。もともとは飯野朋子、佐藤貴美子と同じ会社に勤める先輩だったが、退社して貴美子と同棲を始めて7年になる。初連載の作品は、20年前に小学生新聞に連載していた「走れイカ男」で、当時小学生で貧乏なため漫画を買ってもらえなかった高橋遼平も愛読していた。子供ができたことで、貴美子との結婚を決める。
河村 (かわむら)
飯野朋子、佐藤貴美子と同じ会社に勤める女性。美人で機転が利くため、会社では男性受けはいいが、河村自身はサボって仕事を朋子たちに押し付けるため、朋子からは少し嫌われている。
サヨ
八百屋を営むおばあちゃん。高橋遼平のご近所さんで、遼平のことを気にかけており、野菜や煮物を差し入れしたり、遼平の作業着のほころびを縫ったりと、何かと面倒を見ている。ネコといっしょに暮らしており、遼平にネコのエサの買い物を頼むこともある。
書誌情報
自転車屋さんの高橋くん 7巻 リイド社〈トーチコミックス〉
第1巻
(2019-11-22発行、 978-4845860333)
第6巻
(2023-02-24発行、 978-4845861538)
第7巻
(2023-11-24発行、 978-4845866052)