花田少年史

ある日突然幽霊と会話出来るようなってしまった少年花田一路は、成仏できずにさまよう幽霊たちから様々な頼み事をされる。嫌々ながらも幽霊たちの現世に残した想いを叶えるべく、一路が奔走する姿を描く。作者の持ち味であるコメディと人情話を共存させた、笑って泣ける物語。作者の代表作のひとつ。

あらすじ

第1巻

近所でも有名なわんぱく坊主の花田一路は、いつもイタズラを繰り返しては周囲の者を混乱させたり騒動を起こしたりと、にぎやかな毎日を送っていた。そんなある日、家族が大切にしているテレビを壊して花田寿枝に叱られた一路は、自転車に乗って飛び出した先で車にはねられてしまう。奇跡的に助かった一路は、後頭部を縫ってツルツル頭になったものの無事退院を果たす。その後、一路は家のトイレに入ったところで、美少女がトイレの上に浮かんでいるのを目撃する。以来、その少女は一路に付きまとうようになり、やがて一路は事故で大ケガを負ったのが原因で幽霊が見えるようになったことを自覚する。さらに、少女の幽霊ユキに成仏するための手助けをしてほしいと頼まれ、一路は渋々、彼女が大切に思っている男性・青田清司の家へと向かう。そして一路は清司に事情を話し、ユキが大切にしていた思い出のブローチを取り戻すことに成功する。するとユキは清司に別れを告げ、その姿を消すのだった。これをきっかけに、一路が願いを聞いてくれると知った幽霊たちは、未練を解消するために彼の前に出現するようになる。一路は幽霊たちの願いを叶えるため、時には困難や恐怖にぶつかりながらも奮闘していく。

第2巻

花田一路村上壮太のクラスメイトである市村桂は、甘えん坊の壮太とは対照的に男勝りな性格で、一路ともよくケンカするお転婆な少女だった。そんな桂は、母親がほかの男性と浮気して蒸発したことで、周囲から母親に捨てられた子供扱いされていることに悩んでいた。そんな中、桂の父と壮太の母・村上美代子のあいだで、見合いが執り行われることになった。桂の父は美代子にベタ惚れで、縁談は順調に進むかに思われたが、桂は父親の縁談に複雑な思いを抱いていた。一方、中山田小学校では運動会が近づき、一路たちは練習に励んでいた。そんなある日、壮太と美代子をバカにする桂に怒った一路は、彼女と取っ組み合いの大ゲンカをしてしまう。相変わらず父親と美代子の縁談を快く思っていない桂は、その憂さを晴らすかのように一路と衝突し、ケンカを繰り返すようになる。壮太も桂に対する複雑な感情に葛藤を覚え、二人の親の縁談には暗雲が立ち込める。そんな中、桂を気にかける美代子は、ハムカツが入った弁当を壮太に持たせる。壮太は美代子に言われた通り桂にハムカツ弁当を渡すが、彼女はそれを毎回拒絶。桂の代わりにハムカツ弁当を平らげるようになった一路は、大量の昼食を食べて徐々に太っていく。こうしてそれぞれがわだかまりを抱える中、運動会が始まる。

第3巻

生前にインチキ占い師だったマダム・カトリーヌは、幽霊になったことで鋭い霊感を得た。そして地獄行きを逃れるため、生前にだましてきた人たちを正しく導こうと、花田一路と手を組んだことがあった。その後、一路から離れたと思われたカトリーヌは再び姿を現し、一路に生死にかかわるほどの不幸が迫っていると告げる。それを聞いた一路は誰に対しても疑心暗鬼になり、自分に迫っている危険におびえるようになる。そんな中、交通事故に遭い病院で生死の境をさまよう俵崎春彦は、瀕死の中でどうしても加奈に会って思いを伝えたいと願っていた。生霊の状態でさまよっていた春彦は一路と遭遇し、加奈に会うために自分の危篤状態の体と一路の体を、少しのあいだだけ交換してほしいと頼み込む。一路はテストと注射から逃れたい一心からその依頼を快諾し、一路の体を借りた春彦は急いで加奈のもとへ向かう。大学時代に加奈と同棲していた町を久々に訪れ懐かしさで感動する春彦は、加奈と結婚を望むも跡取り息子という立場から両親に連れ戻され、彼女と離れた過去を思い出していた。町を散策する春彦は昔住んでいたアパートで加奈を発見するが、そこに加奈を「お母さん」と呼ぶ赤髪の少女・夏が現れる。

第4巻

縁切山の中を歩いていた花田一路は突然、後ろから誰かに石をぶつけられる。振り返った一路が見たのは、「倫子」を名乗る見慣れない少女だった。倫子は一路の縦笛に興味を持ち、二人は縦笛を取り合ってケンカをする。不思議に思いながら帰宅した一路だったが、家では倫子が花田寿枝たちと仲よさげに話していた。寿枝によれば、倫子は縁切山の向こうの村に住む遠い親戚で、しばらく花田家で預かることになったという。花田大路郎たちも倫子を気に入っていたが、二路だけは倫子に対して違和感を覚えていた。一路は倫子といっしょに中山田小学校に行ったり、山で遊んだりするようになる。一路を気に入った倫子はキスをしながら、「一路のお嫁さんになる」と言い出す。そんな倫子に複雑な思いを抱きながらも、一路は「探検」と称して縁切山の立入禁止区域に入り込む。そこで、谷に落ちた地蔵を元の場所に戻してほしいと倫子に頼まれた一路は、地蔵を運んで少しずつ谷の上に戻そうとする。しかし、倫子と遊ぶようになってからの一路は徐々にやつれていき、寿枝たちも倫子に関する記憶があいまいになることが増えていた。ヨウカンに威嚇される倫子を見た和尚は、「倫子はこの世の者ではない」と一路に警告。しかし一路は和尚の話に耳を貸そうとせず、地蔵のある谷で待つ倫子のもとへ向かうのだった。

第5巻

花田一路はクラスメイトの野球少年・斉藤洋平から野球の試合の助っ人を頼まれていたが、紅白まんじゅうに夢中になって約束を忘れてしまう。次の日、登校した一路は試合に負けた罰として、坊主頭にされてしまった洋平たちの姿を見る。約束事を重視する洋平は約束を破った一路に激怒して大ゲンカとなり、一路はクラスからも孤立してしまう。機嫌を損ねながら一人で帰る一路の前に、「メロン」を名乗る謎の女性が現れる。一路はメロンが幽霊だとすぐに見抜くが、彼女はまだ生きている状態の生霊であった。洋平の知り合いでもあるメロンは、去年の夏に交わした約束を洋平に思い出してもらうよう、一路に依頼する。次の日、一路は学校で洋平に問いただすが、洋平は女性と約束を交わした覚えはないと答える。そんな中、洋平は吉岡たちと共に川辺に捨てられている子犬を発見。子犬に心奪われる吉岡を見て、洋平はようやく過去に交わした約束を思い出す。メロンの正体は人間ではなく、洋平が去年の夏に田舎の川で拾った子猫だった。洋平はメロンの安否を心配し、一路を連れて田舎の祖母の家へと急ぐ。そしてメロンといっしょに過ごした川辺に到着した洋平たちは、野犬に襲われ傷だらけで倒れているメロンの姿を目撃する。

登場人物・キャラクター

花田 一路

 中山田小学校に通う男子で、初登場時の年齢は9歳。愛称は「いっちゃん」。近所でも有名なわんぱく少年で、家でも外でもあちこちでイタズラを繰り返している。外で遊ぶのが大好きで、学校の成績は悪く勉強も大嫌い。一方で運動神経抜群で、ケンカも強く早食いも得意。明るく無鉄砲で何度叱られても懲りない性分だが、お化けや怪談だけは苦手。交通事故に遭って奇跡的に助かるが、頭に負った傷の影響で幽霊を視認して会話もできるようになった。元は黒の短髪だったが、後頭部のケガの治療のために毛を刈られてツルツル頭になり、傷が治ってからも頭髪は生えてきていない。幽霊が見えることを周囲に訴えているがあまり信じてもらえず、出現した幽霊の願いを聞き入れては、未練の解消や成仏の手伝いをするために一人で奮闘している。もともとお化けが苦手なため、新たな幽霊に遭遇するたびに面倒事を嫌って断っているが、延々取り憑いたり脅したりしてくる幽霊もいるため、結局は願いを聞いて無理難題をこなす羽目になっている。多くの幽霊に遭遇し悩みを聞いているうちに、幽霊に体を貸したり、幽体離脱して相手と体を交換したりする能力も身につける。当初は人間や動物の幽霊のみに遭遇していたが、次第に天の邪鬼などの妖怪とも出会うようになる。幽霊の身の上話を聞いたり、さまざまな出来事を体験するうちに成長していく。

花田 寿枝

花田一路の母親で、専業主婦。パーマをあてた黒髪に、中年太りの体型で割烹着をまとった「昭和の母親」を地でいく外見をしている。美人とはほど遠い容姿で子供たちにも厳しいが、誰よりも子供思いで情に厚く優しい性格の女性。一路の成績の悪さやイタズラの多さにはかなり手を焼いており、毎日のように一路を叱ったり、一路が迷惑をかけた近所の人に謝りに行ったりと、気苦労が絶えない。一路にとっては天敵でもあり、時には体罰や晩飯抜きなど厳しくしつけているが、無鉄砲な一路のことをいつも心配し大切に思っている。一路からは幽霊が見えるようになったことを何度か聞かされているが、イタズラやサボりの言い訳だと思っているため、あまり信じていない。一路の結婚後は市村桂と共に孫たちの面倒を見ているが、花田千路のイタズラには手を焼いている。

花田 大路郎

花田一路の父親で、花田家の大黒柱。家ではサルマタ姿で酒を飲んでいることが多いが、職業は大工で近所では「大工の大ちゃん」として有名。かなりの酒好きで、酒を飲むたびに上機嫌になりバカ騒ぎをしている。一路いわく「話がわかるようで一つもわかっていない親父」。一見威厳がなくいい加減に見えるが、明るく大らかで気のいい男性。子供に対しては基本的に放任主義で、変に縛らずに自由に育ってほしいと思っている。イタズラばかりの一路に説教することは少ないが、叱る時は父親らしい威厳を見せ、時には体罰を与えることもある。実は一路と同様、幼少期は頭髪が生えていないツルツル頭の時期があった。趣味は釣り。小学生の頃に合田優太郎のそろばん塾に通っていたことがあるが、厳しく頑固な優太郎のことは現在でも少し苦手にしている。一路の結婚後は元気な老人となり、孫の花田百子を溺愛するようになる。

花田 徳子

花田一路の3歳上の姉で、中山田小学校に通っている。小太りな体型で見た目が花田寿枝によく似ており、一路には「デブスマン」呼ばわりされている。時おり一路に怖い話や不吉な話を吹き込んで脅かしている。わんぱくでがさつな性格の一路とはまったく気が合わず、毎日のようにケンカをしている。少々意地悪で泣き虫だが、人形遊びを好んだり山崎先生にあこがれたりなど、年相応の女子らしい純情さも持つ。かなり惚れっぽく、横溝人志をはじめとする美男子に出会って恋をするたびに、過去の恋をなかったことにして「初恋」と称している。東京の親戚に買ってもらったリカちゃん人形を大切にしており、一路が人形を持ち去ってどこかになくした際は激怒していた。山の上中学校に進級後も人形遊びを続けており、クリスマスプレゼントにはリカちゃん人形のボーイフレンドとなる人形をほしがっていた。一路ほどではないが勉強はあまり得意ではなく、学校の成績もあまりよくない。成長後は上京し、独身のまま東京でOLをしている。

花田 徳路郎

花田一路の祖父で、一路たちと同居している。陽気で明るい性格で、孫たちに甘く滅多に怒らないが、家族がいつも騒がしいため静かに過ごせないのを嘆くことがある。家では酒を飲んだ花田大路郎と上機嫌で盛り上がることが多い。一路がイタズラをしても大目に見ることが多く、時には叱られている一路をかばうこともある。また、子供は元気に育つのが一番だと考えており、一路の成績がかなり悪いのを知ってもとがめることはない。一路や大路郎と同様、幼少時に毛が生えずツルツル頭の時期があった。

二路

チロの子供で、白黒の体毛を持つ子犬。出産間近だった母親のチロが事故に遭った際に幽霊になって花田一路に助けを求めたことで、チロの体から無事に取り上げられて保護された。その後、チロの飼い主である吉川が急死したため一時は保健所に預けられていたが、ほかの犬に襲われていたところをチロの幽霊に救われ、花田家で飼われるようになる。「花田家の次男坊(一路の弟)」という意味を込めて、「二路」と名付けられた。命の恩人でもある一路のことが大好きで、一路にとっても相棒のような存在。利口で賢い犬で、家族からもかわいがられている。よく一路といっしょに遊んでおり、時には一路のことをさまざまな形で助けている。一路が破壊したテレビが花田大路郎によって小さな犬小屋に改造されてからは、そこを寝床にしている。倫子が生きた人間ではないことを見抜いたり、周囲の者が天の邪鬼にあやつられたことに気づいたりと、一路と似たような霊感や動物ならではの鋭い勘を持つ。多くの幽霊に取り憑かれるようになった一路の危険を察したユキたちにうながされ、トラックにはねられそうになっていた一路をかばって命を落とす。死後は花田家で名犬としてたたえられるようになり、庭には立派な墓と二路を模した石象も作られた。

村上 壮太

 中山田小学校に通う男子。花田一路とは幼なじみでクラスメイト。赤ん坊の頃からの付き合いでもある一路のことは、「いっちゃん」と呼んでいつもいっしょに遊んでいる。一路となかよしだが子分や舎弟のような立場で、一路が用を足す時は便所の外で見張り番をやらされている。優しくおとなしい性格で争い事を好まず、運動やケンカは苦手。また気が弱く泣き虫で、クラスメイトからは「女みたい」と評されている。父親の村上猛を幼少期に亡くし、母親の村上美代子と二人暮らしをしている。昔から家族思いで、猛を尊敬している。同時に女手一つで自分を育ててくれた美代子には極力苦労をかけたくないと考えており、仕事と家事で忙しい彼女を心配している。一路が幽霊と会話できることを知ってからは猛の幽霊と会ってみたいと願っており、一路を通して何度か猛の幽霊に遭遇している。のちに美代子が桂の父と再婚したことで、市村桂と家族になった。美代子の見合い当初は、猛や桂に対する複雑な思いとわだかまりを抱え、再婚にあまり乗り気ではなかった。しかし、美代子との会話や桂との交流を経て悩みを解消し、再婚を受け入れた。桂と同学年ながら生まれ月の関係で立場上は兄となったが、しっかり者で気の強い桂には頭が上がらない。

市村 桂

中山田小学校に通う女子で、花田一路のクラスメイト。中山田小学校には1年生の途中で転入して来た。男勝りで気が強く少々口が悪い少女で、クラスの男子からは「男女」呼ばわりされている。運動神経抜群でケンカも強く、一路とも互角に渡り合える。毎朝精肉店でコロッケとハムカツを買うのが日課で、昼食はいつもハムカツを食パンに挟んで食べている。母親は看護師をしていたが患者の男性と蒸発したため、地元にいづらくなって引っ越し、現在は桂の父と二人暮らしをしている。気丈に振る舞っているが母親の蒸発には深く傷ついており、周囲に「母に捨てられた」と哀れに思われるのを気にしている。父親が村上壮太の母・村上美代子と見合いして再婚するかもしれないと知った時は、美代子に対する複雑な思いからわだかまりを抱えたり、気の弱い父親のことを心配したりしていた。しかし、壮太や美代子との交流を経て父親の再婚を受け入れるようになり、自分を気にかけて優しくしてくれる美代子とも和解し、素直に接するようになる。壮太とは同学年ながら生まれ月の関係で立場上は妹となったが、気が弱く頼りにならない彼のことは兄扱いしていない。一路とはいつもケンカしているが、一路が倫子となかよくしているのを見て不機嫌になるなど、次第に彼のことを気にするようになっていく。

ユキ

花田一路が最初に遭遇した、長髪の美少女の幽霊。トイレに入っていた一路の前に現れ、彼に何度も語りかけて取り憑くようになった。生前は裕福な家庭に生まれたが、病弱で不治の病にかかり、長らく入院生活を送った末に17歳の若さで亡くなった。心残りから成仏できず、幽霊と会話する能力が芽生えたばかりの一路に協力を求める。生前はいつも病室に閉じこもりがちだったが、そんな中、偶然出会った青田清司を慕うようになった。清司に頼んで祭りに連れて行ってもらうが、途中で容態が悪化し急逝した。清司と過ごすうちに明るく積極的な彼に思いを寄せるようになり、彼と過ごした時間は短かったもののその思いは一生分の恋だった。祭りの中で清司に買ってもらった針金細工のブローチへの未練が、成仏できない原因になっていた。一路には清司への思いと感謝を伝えてもらったうえで、清司が持ったままのブローチを、二人の思い出の場所に埋めてほしいと依頼する。一路を通して事情を知った清司によって、病院の庭にブローチが埋められたのを見て安心し、清司と一路に感謝と別れを告げて消えていった。その後もたびたび現れては恩人である一路のことを密かに見守り、彼と縁のあるほかの幽霊と協力しながら、トラブルに遭いやすい彼の危機を何度か救っている。

柳原 歳三

吉川の幽霊に紹介されて、花田一路に取り憑くようになった男性の幽霊。体のあちこちに湿布を貼った、明るくお茶目でひょうきんな性格の老人。全裸が好きでいつも局部丸出しの姿でいるため、一路からは「ちんちんジジイ」と呼ばれている。生前はかなりの浮気性で、自分からプロポーズしたにもかかわらず浮気を繰り返しては、妻の柳原タツを怒らせていた。非常に気の強いタツのことはとても恐がっており、いつも尻に敷かれがちだった。自分の死期が近いのを悟り、浮気相手にあちこち挨拶回りをしているうちに亡くなってしまった。虫の知らせでタツが身辺整理のために家を片付け始めため、生前の浮気がタツにばれるのを恐れており、浮気の証拠である女性からのラブレターの処分を一路に依頼する。家に侵入した一路がすぐにタツに見つかってしまったため、ラブレターの処分に失敗するものの、一路を通して事情を知ったタツの思いを知る。大人しく成仏するが、しばらくして亡くなったタツの幽霊と、三途の川で豪快な再会を交わした。のちに一路の身に危機が迫った際はタツと共に駆けつけ、ほかの幽霊と協力して一路の危機を救った。

織田 学

医者の家に生まれた大学生の青年の幽霊。生前は東大医学部(東京大学理科Ⅲ類)を目指して勉強漬けになり、あらゆる欲望を抑えたままの日々を送っていた。何度か落ちたのちにようやく合格を果たし、入学後は今まで抑制していた欲を解放できると喜んでいたが、勉強疲れと喜びの勢いで20歳の若さで命を落とした。幼少期から勉強ばかりで青春を謳歌したこともなく、女性経験や恋愛経験がないまま死んだことが未練となっている。せめて美女の胸の谷間に顔をうずめて夢見心地を経験してから成仏したいと願い、花田一路に協力を求める。女性の胸に執着するため一路には「おっぱい織田」と呼ばれている。一路の体を借りて理想の女性に近づき、望みを叶えたいという無理難題を押し付ける。女性なら誰でもいいというわけではなく、芸能人のあべ静江に匹敵するほどのかわいさを持つ清楚な女性でなければだめだと言い張り、一路を困らせる。渋々依頼を受けた一路が青田清司から紹介されたあべスズエを最初は拒否するものの、彼女の胸を見たとたんに惹かれて一路の体を借りて願いを叶える。一路に感謝を告げ、満足しながら成仏していった。のちに一路の身に危機が迫った際は駆けつけ、ほかの幽霊と協力して一路の危機を救った。

マダム・カトリーヌ

生前に占い師をしていた、不気味な中年女性の幽霊。長い黒髪にひび割れるほどの厚化粧で、黒ずくめの洋服を着ている。生前に多くの人をだましていたため、地獄行きを逃れるために花田一路に協力を求める。占いの内容は何度も詐欺で訴えられるほどのインチキばかりだったが、死後は霊感が冴えわたり、生きている人の未来も予言できるようになった。しかし、ずる賢い性格は変わっておらず、自分の目的を遂げるために一路のことを何度も脅かしている。かつて自分がだましていた人や、悩みを抱えている「迷える子羊たち」を導くために、一路の力を借りて水商売の女性やマーくんの母に助言を与える。結果的に地獄行きを回避するものの、成仏はしなかった。しばらくは姿を消していたが再び一路の前に現れ、たびたび一路の不幸を予言するようになる。俵崎春彦と体を交換したことで命の危険が迫った一路を助けるためにさまざまな助言を与え、一路の体を借りたままの春彦に早く戻るよう伝えるなど、一路の危機を何度か救っている。その後も一路に付きまとっては、無難に成仏するために利用しようもくろみ一路をそそのかすが、倫子との別れをきっかけに彼が少年から男に成長しつつあることを悟る。

俵崎 春彦

 交通事故で重傷を負って病院に運ばれ、危篤状態になった赤毛の男性。年齢は25歳で、俵崎財閥の一人息子でもある。瀕死の体を病院に残したまま生霊となり、死ぬ前に恋人の加奈に会って思いを伝えたいと願っていたところで、花田一路と出会う。目的を遂げるまで一路に体を交換してほしいと頼み、一路の体を借りた状態で加奈が住む町へと向かう。3年前までは加奈と同棲していたが、財閥の跡取り息子という立場から彼女との結婚は叶わず、両親に無理やり別れさせられたのが心残りになっていた。かつて住んでいたアパートで加奈を発見し、一路の姿だったため彼女に気づいてもらえなかったものの、近くにいた夏が自分の娘だと悟る。加奈が一人で夏を育てていることや、夏がおもちゃを満足に買えずにいることを知って気に病み、必ず戻っておもちゃをたくさん買ってやると約束を交わす。マダム・カトリーヌにうながされて一路に体を返したが、のちに無事退院して加奈と夏のもとへ向かい、元気な姿を見せた。

合田 優太郎

合田そろばん塾を開いている初老の男性で、昔は中山田小学校の校長を務めていた。小学生にも容赦がなくつねに厳しいため、大人たちはしつけ代わりに子供を塾へ通わせている。誰に対しても頑固ですぐに怒るため、生徒から怖がられ大人からも嫌われがち。叱る際は頭を「ゴン」と叩いて「パチッ」とデコピンするため、「ゴンパチ」のあだ名で呼ばれている。昔は花田大路郎も塾に通っていたため、現在も大路郎から恐れられている。新しく塾に入った花田一路に手を焼きながらも厳しく叱り続けていたが、ある日好物の大福をのどに詰まらせて気絶する。生霊となって一路に助けを求め、彼と二路の必死な救命を受けるものの、間に合わず命を落とす。几帳面な性格で何事もきちんとしていなければ気が済まず、一路に頼んでだらしない恰好をしている自分の遺体を布団に運び、大人たちには大福にのどを詰まらせて死んだ事実を隠すよう依頼した。幽霊になっても成仏できず、理由を解明するために再び一路に協力を求める。若い頃に花さんという恋人がいたが、彼女との約束を果たせなかった苦い思い出が、無意識に未練となっていた。一路の協力を得ながら花さんの幽霊と再会し、彼女と共に成仏する。のちに一路に危機が迫った際は花さんと駆けつけ、ほかの幽霊と協力して一路の危機を救った。

倫子

縁切山で花田一路が出会った、一路と同い年の少女。気が強くお転婆だが、不思議な言動が多い。一路の親戚を名乗り、しばらくのあいだ花田家で過ごすことになる。名前の正しい読み方は「のりこ」だが、みんなが間違えるため「りん子」という呼び方が定着している。一路と遊ぶうちに片思いするようになり「お嫁さんになる」と思いを告げる。谷底に落ちた小さな地蔵を拾い上げるよう、一路に頼む。正体は、かつて縁切山の向こうの村の貧しい家で生まれ育った少女の幽霊。一路の家族や友人に対して幻覚を見せることで、自分の正体を隠し続けていた。生前は両親と離れて町に売られしばらくは遊郭で下働きをしていたが、運悪く客に見初められてしまう。初めて客を取る晩に故郷を目指して脱走するが、追手に谷に追い詰められて川に落ちて亡くなり、母子地蔵の周囲をさまよう幽霊となった。和尚に正体を見抜かれたあとも一路と過ごし、彼の協力を得ながら下に落ちた地蔵を元の場所に戻そうとする。地蔵が戻ったあとは一路の幽体をあの世に連れて行こうとするが、一路が目を覚まさないのを嘆き悲しむ花田寿枝の姿を見て、自分の母を思い出す。一路と寿枝にかつての自分たちのような思いをさせないために彼を連れて行くのをあきらめ、感謝と別れを告げて姿を消す。

アニメ

花田少年史

悪戯好きのわんぱく少年花田一路が、車にはねられ頭に傷を負う。命に別状はなかったものの、一路の嫌いなオバケが見えるようになってしまった。オバケが見える彼に、オバケからいろいろと頼みごとをされてしまい、迷... 関連ページ:花田少年史

書誌情報

花田少年史 全4巻 講談社〈講談社漫画文庫〉 完結

第1巻

(1999年5月発行、 978-4062605632)

第2巻

(1999年6月発行、 978-4062605649)

第3巻

(1999年7月発行、 978-4062605656)

第4巻

(1999年8月発行、 978-4062605663)

花田少年史 全5巻 講談社〈アッパーズKC〉 完結

第1巻

(2002年9月発行、 978-4063461701)

第2巻

(2002年9月発行、 978-4063461718)

第3巻

(2002年9月発行、 978-4063461725)

第4巻

(2002年9月発行、 978-4063461732)

第5巻 番外編

(2003年12月発行、 978-4063462302)

花田少年史 全5巻 講談社〈モーニングKC〉 完結

第1巻

(2006年4月発行、 978-4063725193)

第2巻

(2006年4月発行、 978-4063725209)

第3巻

(2006年4月発行、 978-4063725216)

第4巻

(2006年4月発行、 978-4063725223)

第5巻 番外編

(2006年4月発行、 978-4063725230)

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