概要・あらすじ
主人公花田茂雄は頭は良いけど捻くれ者の小学三年生。成績の自慢ばかりでどこか小学生らしさに欠ける茂雄を見て不安に思った母花田香織は、とある提案をする。それは、別居中の父、花田花男と一つ屋根の下で暮らすことだった。しかし、花男の性格はうるさい、奔放、考えなしと茂雄とは似ても似つかない。しかも、働きもせずに毎日商店街の人達と草野球に明け暮れ、30という歳でありながらも、プロ野球選手になる夢を諦めていないという。
そんな花男と反りが合うわけもなく、茂雄は苛立ちの多い日々を過ごすことになる。しかし、花男と過ごす時間は、それまでの生活では体験できなかったものばかりだった。そして、勉強に凝り固まった茂雄の価値観も、本人も気づかないうちに段々と解きほぐされていく。
登場人物・キャラクター
花田 茂雄 (はなだ しげお)
オカッパ頭の小学三年生の男子。母と二人暮らしをしていたが、母花田香織の勧めによって、別居中の父花田花男と一つ屋根の下で暮らすことになる。成績優秀で頭もよく、県下統一テストでも10位以内に入る程だが、そのため他の子供に比べて斜に構えた性格で、人を小馬鹿にすることが多い。そういった性格から、マイペースで頭が悪く、脈絡のないことを言っては騒ぎ立てる花男とは折り合いがつかず、二人暮らしを始めた当初は心底嫌っていた。 しかし、奔放な彼の生き方に接していくうちに、心の中に変化が生まれ、勉強というものさしに拘らなくなり、自分の生き方にまっすぐな花男を父として慕うようになる。小学生離れした大人びた言葉遣いが特徴。 ハードボイルドという言葉を気に入っており、度々口癖のように使う。
花田 花男 (はなだ はなお)
眼の下につけたアイブラックが特徴の大柄の男性。花田茂雄の父。刈り上げの頭、大きな唇、まるく太った腹が特徴。巨人の選手になるという夢のため、妻子と離れ、働きもせずに日々商店街の草野球チームの練習に明け暮れている。息子の茂雄と二人で暮らすことになり、理屈ばかりで中身が無い茂雄の態度を矯正しようとおせっかいを焼く。 高校時代は名の知れたスラッガーで、当時の野球青年の憧れの的だった。駄菓子さかえ屋のオババと八っちゃんによれば、商店街の人々は皆、花男のファンである。12年前に巨人野球団のオファーを受けていたが、長嶋茂雄の永久欠番である3番のユニフォームを要求したため、交渉が決裂していた。
花田 花織 (はなだ かおり)
花田茂雄の母親であり、花田花男の妻。和装で礼儀正しく、美麗な面持ちの女性。花男とは別居中で、茂雄と二人で暮らしていた。勉強ばかりで小学生らしい趣味を持たない茂雄が気にかかり、茂雄と花男で一緒に暮らすことを提案する。花男とは似ても似つかない性格だが、花男の夢を追い続ける姿に惹かれたらしい。
ブーヤン
片瀬小学校に通う男の子。口よりも大きい鼻と、額の中心にあるほくろが特徴。勉強が苦手。花田花男が監督を務めるJr.フラワーズのメンバー。Jr.フラワーズの関係で茂雄と知り合い、花田茂雄が片瀬小学校に転校してからは、度々遊んだり、勉強を教えてもらうほどの仲となった。
ポンタ
本田輪業を営む整備士。花田花男とは馴染みである。
源六 (げんろく)
白髪の老人男性。木製バット作りの名人として有名で、彼の作る源六バットは数が少ない上に非常に高価なためなかなか手に入らない。しかし、高校の時からの付き合いである花田花男には無料で提供している。なかなか顔を見せに来ない息子と違って、何かと理由をつけては遊びに来る人懐っこい花男には、つっけんどんな態度を取りながらっも可愛がっている。
八っちゃん
八っちゃん青果店を営む、腫れぼったい目をした男性で花田花男の馴染み。商店街の野球チームフラワーズに所属している。片瀬高校時代は三番打者を努め、ポジションはショートストップ。現役時代は、花男の隣に座れることを誇りに思っていた。花男に比べれば、落ち着いた物腰の性格である。
星田 (ほしだ)
サングラスをかけた長身の男性。中日でピッチャーをしていたが、怪我による故障のためクビになった。高校時代のライバルであった花田花男に勝負を挑み、負けたことでプロ野球引退を決意する。プロとして花男と対決することを夢にみていた。
永福 (えいふく)
白髪で老齢の男性。いつも浜辺で海をじっと見つめている。痴呆症のため独り事や頓珍漢な言動が多く、浜辺にある岩を差し出してまんじゅうと言い張ったりする。本人曰く、昔タイガースの補欠としてプロ野球選手をしていたらしいが、本当かどうかは定かではない。
集団・組織
フラワーズ
『花男』に登場する野球チーム。花田花男、八っちゃんが所属するアマチュア野球チームで、商店街のメンバーが寄せ集まって出来ている。度々、対外試合を行っているが、単純な野球しかしないため、サインプレーなどはできない。フラワーズの少年野球集団としてJr.フラワーズがあり、花男が監督を務めている。
片瀬少年探偵団 (かたせしょうねんたんていだん)
『花男』に登場する集団。花田茂雄が作った、商店街の平和を守るための小学生による組織。だが、肝心の商店街でまったく事件が起きないため、仕事が少なく、あまり活躍できていない。
場所
駄菓子さかえ屋 (だがしさかえや)
『花男』に登場する店。花田茂雄をはじめ、片瀬小学校の子供達がこぞって通う駄菓子屋。眼鏡を掛けた老齢の女性が営んでいる。店主は花田花男と馴染みが深く、彼が打ち込んだ野球のボールを今も大事に取っといている。
その他キーワード
さだはる号 (さだはるごう)
『花男』に登場する原付きバイク。花田花男が購入したバイクで、前面に「さだはる号」という文字が書かれている。本作では、このさだはる号が茂雄と花男をつなげるキーとなることが度々ある。
書誌情報
花男 3巻 小学館〈ビッグ コミックス〉
第1巻
(1998-10-30発行、 978-4091857316)
第2巻
(1998-10-30発行、 978-4091857323)
第3巻
(1998-10-30発行、 978-4091857330)