概要・あらすじ
内海草子は、芸術家への夢に破れ酒におぼれる父と2人で貧しく暮らす、内気な中学生。そんな彼女の唯一の楽しみは、読書。近所の古書店から無断で持ち帰った本を読み、感想文を挟んで返すという行為を繰り返していたところ、1度は咎められるも、草子の感想文を気に入ってしまった店主の希望により、感想文を続けることを条件に店の本を読むことを許されるようになる。
登場人物・キャラクター
内海 草子 (うつみ そうこ)
内気な性格で、読書が大好きな14歳の少女。画家を志すも芽が出ず、時々日雇いの仕事をしては酒におぼれる父と2人暮らし。おとなしく無口だが、本の感想を文章にしたり、語ることは得意で、読んだ本について「ブックガイド」と呼ばれる感想文を書くことで、少しずつ周囲の人々と心を通わせていく。古書店音永遠屋が憩いの場で、普段から足繁く通い、店の手伝いなどもするほか、家や学校でつらいことがあった際などに、音永遠屋で何日も過ごすことがある。
磯貝 (いそがい)
内海草子と同じ中学校の2年生で、図書委員を務めている女子生徒。8人兄弟の大家族で育ち、家庭の窮屈さから自分の居場所を本の世界や図書室に求めるようになった。気の強い性格で、当初は自分と同様に本好きである草子のことを敵視していたが、愛読書であるボルヘスの文学作品の感想を語り合ったことがきっかけで草子との間に友情が芽生える。 長い髪を2つに束ねており、眼鏡をかけている。
潮崎 (しおざき)
内海草子のクラスメイトの少年。家は焼き鳥屋を営んでいる。世界中を旅して回っている兄がおり、彼の影響で実用書やエッセイなどの本を読むのが好き。落ち着いた性格で、草子をからかうクラスメイトを諌めた。授業の中で草子が行った本の紹介がきっかけで草子に興味を持ち、何となく気になる存在として意識するようになる。
場所
音永遠屋 (おとわや)
『草子ブックガイド』に登場する古書店。東京都の西荻窪にある。神田で修業した経験を持つ年老いた店主が経営しており、若い男性の従業員1人と、1匹の猫がいる。内海草子が店内の本に挟んでいった感想文に店主が心惹かれ、出入りを許したことがきっかけで、草子にとっての特別な場所になる。