華ちゃんと咲季くん

華ちゃんと咲季くん

5年間も尽くした彼氏から盛大にフラれたオネェの華は、衆人環視の中、突き飛ばされたうえにひどい言葉を浴びせられる。身も心も傷付き、ボロボロになった華の前に、華のど真ん中タイプのイケメンである小鳥遊咲季が王子様のように現れ、彼氏を撃退する。しかし次の瞬間、ときめく華の心とは裏腹に、咲季が女性であることが発覚する。恋するオネェとイケメン女子が自分らしく生きる姿を描く、ほっこり胸キュンラブコメディ。「ジーンLINE」で2019年3月から配信の作品。

正式名称
華ちゃんと咲季くん
ふりがな
はなちゃんとさきくん
作者
ジャンル
ラブコメ
 
友情
レーベル
ジーンLINEコミックス(KADOKAWA)
巻数
既刊2巻
関連商品
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あらすじ

出会い

オネェのは、久しぶりのデートに心浮かれていた。全力でオシャレをして、大好きな彼氏の矢部響との待ち合わせ場所に向かうと、そこにはなぜか別の女性を連れた響の姿があった。新しい彼女ができたから今日で終わりにしたいと、響は一方的に華に別れを告げ、華の目の前で新しい彼女とイチャつき始める。新しい彼女も女性ではないことに気づいた華が怒りをあらわにすると、相手も挑発的な態度で応戦してくる。5年も尽くしたのにと、華が響に話し合いを求めてすがりつくと、響は手のひらを返したように華を突き飛ばし、今までのことを振り返りながら、気持ち悪いと吐き捨てる。すると、衆人環視の中で辱められた華を助けるように一人のイケメン、小鳥遊咲季が姿を現す。咲季は、響の襟首につかみかかると、人前で恥をかかせ、バカにしたことについて謝罪を要求するが、響は悪びれる様子もなく、華は女性ではなく男性であるという事実を明かし、言い逃れしようとする。しかし、一部始終を見ていた周囲の人々が、口々に非難し始めたことに気づいた響は、分が悪いと知るや否や、一目散に逃げてしまう。取り残された華は、助けてくれたお礼を言おうと咲季に近づくが、次の瞬間、「お姉ちゃん」と呼ばれて咲季が振り返ったことで、咲季が女性であることを知る。

ライバル登場

小鳥遊咲季は、映画を見に行った帰り道、咲季の大学の友達である倉持紗耶と出会った。紗耶は、咲季にべったりとくっつくと、華のことが知りたいと、二人をお茶に誘う。紗耶は華の恋人の有無を聞くなど、ひとしきり話をすると、仲がよさそうな二人をじっと見つめる。その後、咲季が先に帰ると、華と二人きりになるのを待っていたかのように、紗耶は急に態度を豹変させる。華の咲季への好意を感じ取った紗耶は、華の気持ちが恋愛感情ではないことを確認。自分が咲季に思いを寄せていることを明かし、今後は咲季に会うことを控えてほしいと訴える。あまりにも一方的な要求をする紗耶に華は腹を立てるが、一歩も引かない紗耶の恋する気持ちが、華には理解できなくもなかった。だがその後、精神的に余裕がなくなった紗耶が華に対して暴言を吐き、それを咲季が見てしまったことで、三人の関係はより複雑化してしまう。紗耶は、中学生の頃に遭遇した痴漢被害のせいで、男性に対して恐怖心を抱くようになったという過去があった。そんな紗耶の事情を知っていた咲季は、自分の暴言を咲季に知られてショックを受けたまま走り去ってしまった紗耶が、暗くなっても帰宅しないことを心配し、華といっしょに必死に捜し続ける。すると二人は、ガラの悪い男性に絡まれている子を助けようと、必死になって応戦する紗耶の姿を見つける。華があいだに入って男性を追い払うことに成功すると、紗耶は自分が華に投げつけた言葉について謝罪させてほしいと頭を下げる。一方の華は紗耶が放った言葉など気にしていないかのように振る舞い、むしろ紗耶と咲季の関係が悪くなってしまわないかと案じるのだった。そんな華の暖かい人間性を知った紗耶は、咲季のことを大切に思うよきライバルとして華の存在を認め、今後は対等に争っていきたいと宣言する。

自覚

のことをこっぴどく振った元彼氏の矢部響が再び姿を現し、華を頼ってきた。このことをきっかけに、今までの自分自身を振り返った華は、本当の自分を理解してくれる存在である小鳥遊咲季のおかげで、あらためて自分らしく生きることの大切さを思い出す。そして華は流されることなく、響をきっぱりと突き放し、強く生きる決意の証として、自分の髪の毛をハサミでばっさりカットする。そんな自分の覚悟を決めた姿を見てもらいたいと、華は咲季のもとを訪れる。そして、咲季を前にした華は、あらためて自分が咲季に恋心を抱いているという事実を自覚する。初めて異性を好きになった華は、そんな自分を受け入れたものの、咲季と具体的にどうなりたいのかはわからなかった。さらに、告白して玉砕したらその後は友達に戻れないのではないか、また自分の性に理解がある分、咲季を困らせてしまうのではないかと考えると、行動に移すことはできずにいた。華は咲季を意識すればするほど、どう接していいかわからなくなり、この先付き合いづらくなっては困ると、クールに振る舞うことを決める。しかし、そんな決意もつかの間、咲季のかわいい顔を目の前にすると、華の理性はすっかり飛んでしまい、一度自覚した好きという感情はあふれんばかりにとめどなく膨らんでいくのだった。

登場人物・キャラクター

(はな)

美容師の男性で、心は女性のいわゆるオネェ。年齢は30歳。ストレートのロングヘアに女性物の服を身につけている。趣味はお菓子作りと、外見だけでなく内面も女性的だが、真っすぐで単純な性格をしている。幼い頃から男らしくしろという周囲からの圧力に心を痛め、それに屈してしまう自分が嫌だと思っていた。自分の恋愛感情に素直に真っすぐ生きる暁美をうらやましく感じており、大人になってからは恋愛に依存しがちになっていた。そんなある日、5年間付き合っていた彼氏の矢部響が新しい彼女を連れて現れ、別れを切り出された。突然のことに動揺し、せめて話し合いたいとすがりつこうとすると、衆人環視の中、響に突き飛ばされてさらに暴言を浴びせられた。事の一部始終を見ていた小鳥遊咲季が、あやまれと響につかみかかったことで助けられ、好みのタイプだった咲季に心ときめくが、咲季が女性であると知って困惑。後日、助けてくれたお礼にと手作りのマカロンを作って渡すが、咲季の紳士的で素直な優しさに触れ、ますます咲季に好意を抱くことになる。これを機に、咲季とは日常的に連絡を取り合い、いっしょに出掛けたりするようになる。もともと恋愛対象は男性だけだったため、咲季への思いは友情であると、自分の本当の気持ちにふたをして、ごまかそうとした。だが咲季と過ごす中で、自分らしくいることの大切さを思い出し、女性である咲季に惹かれている華自身を認めると同時に、さらに咲季を意識し始める。本名は「華恵剛志」。

小鳥遊 咲季 (たかなし さつき)

女子大学生で、ショートヘアで眼鏡を掛けている。年齢は21歳。身長は高くないが、いつも清潔感のあるパンツスタイルと男性的な外見をしており、優しい雰囲気を漂わせた紳士的な人物。ある日、衆人環視の中、男性が女性を突き飛ばし、暴言を吐いている現場に遭遇。あまりの理不尽さに暴力を振るった矢部響につかみかかり、倒れた華にあやまるように詰め寄った。これにより、助けられた華からお礼がしたいとの申し出を受け、日を改めて会うことになる。その際に手作りのマカロンをもらうが、それがきっかけで華と親しくなり、日常的に連絡を取り合って遊びに出掛けるようになる。弟の小鳥遊繭の面倒をよく見ており、いっしょにテレビアニメを見たことで、アニメにハマり始めた。友達にアニメ好きがいないこともあって、アニメが趣味であるとは誰にも言えずにいた。しかし、それを聞いた華がすんなり認めてくれたことで、趣味が共有できたと喜んでいる。大学の友人の倉持紗耶からは日常的にかなり濃厚な友情を示されているが、そこに恋愛感情が含まれていることには気づいていない。母親の小鳥遊小百合は目が見えないため、もともと家のことは自分が中心になって行っていたが、さらに小百合が入院中という事情もあり、自分のことは後回しにする状況が続いている。特に恋愛に関しては、自分に好意を向けられると鈍感を装い、うまくかわそうとしがち。幼なじみの郷中夕とは、夕が大学進学のために実家を出て以来疎遠になっているが、幼い頃は仲がよかった。お菓子が大好き。

矢部 響 (やべ きょう)

華と5年ものあいだ付き合っていた元彼氏で、年齢は28歳。ある日、デートのための待ち合わせ場所に新しい彼女を連れて姿を現し、華に別れを切り出した。突然のことに動揺し、話し合いたいとすがりつこうとする華を突き飛ばし、お前といると疲れるし面倒で気持ち悪いと、倒れている華に大衆の面前で暴言を浴びせた。そこに突然姿を現した小鳥遊咲季からつかみかかられ、華にあやまれとせまられる。初めは強気な態度を崩そうとしなかったが、周囲の声が自分を非難し始めたため、分が悪いと判断して走り去り、新しい彼女を置き去りにして逃げてしまう。のちに、彼女にフラれて家を追い出されたと華に泣きついてきて、なんだかんだと華を丸め込み、居座ろうとした。しかし、すべてを察した華から強く拒否されて鋏で脅され、またしても華の前から逃げ去ってしまう。

小鳥遊 繭 (たかなし まゆ)

小鳥遊咲季の弟で、咲季のことが大好きなお姉ちゃんっ子。年齢は9歳。女の子のようなかわいらしい容姿で、よく女の子とまちがえられる。成績優秀でスポーツ万能、それに加えてかわいい顔立ちから、学校の女子に人気が高い。大人になったらアイドルかスポーツ選手になるのではと、周囲から将来を嘱望(しょくぼう)されている。

暁美 (あけみ)

華の幼なじみの男性で、年齢は30歳。高校時代はかなりヤンチャで、他校の生徒とのケンカが絶えない不良だった。華とはケンカをすることも多いが、なんでも言い合えるよき理解者でもある。男女ともに恋愛対象のバイセクシャルで、一夜限りの遊びも多く、女性とは3日、男性とは1週間続いたことがない。華の思い人である小鳥遊咲季とは、階段から足を踏み外しそうになった時に助けてもらって知り合いになった。夏祭りで倉持紗耶と知り合い、お互い似た者同士ということから親しくなっていく。本名は「新堂あきら」。

倉持 紗耶 (くらもち さや)

小鳥遊咲季の大学の友達。性的マイノリティーなわけではないが、女性でありながら、同性の咲季だけには特別な感情を抱いている。実は中学生の頃、満員電車で痴漢被害に遭ったことが原因で、男性に対して恐怖心を抱くようになり、それ以来は男性に極端な嫌悪を表すようになった。大学に入学したばかりの頃、咲季を男性とカンちがいし、触られたことでひっぱたいたことがある。その後、咲季が女性であることを知って誤解を解くと、自分のトラウマを理解してくれた咲季に、どんどん惹かれていく。そんな中、外出先で咲季と華がいっしょにいるところに遭遇。咲季に対しては明るく振る舞うが、咲季と仲がよさそうな華に嫉妬。華が一人になった途端、華に詰め寄って咲季への気持ちを確認し、異性として好意を持っていないなら咲季と会うのを控えてほしいと、自分の気持ちを伝えた。しかし、その後も変わることのない二人の関係に、一方的に腹を立て、華に暴言を吐いた際に運悪くその様子を咲季に見られることで、咲季との関係にひびが入ることになってしまう。その後、華からの助言もあって咲季とは無事仲直りし、華に対しても自分のまちがった言動を謝罪した。だが、華を受け入れたわけではなく、華を恋のライバルとして認めるという、どこかおかしな関係性を構築することとなった。華の友人である暁美とは夏祭りで知り合い、お互い似た者同士ということから、なんとなく親しくなっていく。

小鳥遊 小百合 (たかなし さゆり)

小鳥遊咲季と小鳥遊繭の母親。以前かかった病気が原因で失明し、現在はまったく目が見えない。自宅で誤って転倒してしまい、頭を打ったために現在は検査が必要で入院している。優しくて明るい性格で、家族をとても大切に思っている。あまり外出できないため、人と話す機会が少ない中、咲季と共に見舞いに来た華との会話を楽しんだ。自分の目が見えないことで、日々咲季に心配や苦労を掛けているため、日常の咲季の様子について華に聞くなど、咲季のことを非常に気に掛けている。

郷中 夕 (さとなか ゆう)

小鳥遊咲季の幼なじみで、礼儀正しい好青年。咲季より2歳年上の大学生で、現在は県外の大学に通うために実家を出て暮らしている。お盆休みに実家に帰省した際、咲季の母親の小鳥遊小百合が入院したと聞き、病院に見舞いに訪れた。最初は咲季と会うことができなかったが、二回目に訪れた時に咲季と華に遭遇し、久しぶりの再会を喜んだ。

書誌情報

華ちゃんと咲季くん 2巻 KADOKAWA〈ジーンLINEコミックス〉

第1巻

(2019-04-15発行、 978-4040656489)

第2巻

(2020-01-14発行、 978-4040642277)

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