概要・あらすじ
プリンセス・ホテルに勤務する茜(神尾茜)は、将来の総支配人と目される優秀なホテル・ウーマン。アポロビールの研究所に勤務する夫の修平(神尾修平)と共に東京で暮らしていた。ある日、彼女のもとに父が病に倒れたとの報せが入る。茜は福井県蔵岡町の実家、蔵岡酒造に帰省する。
しかし一足遅く、父は既に他界していた。家を継ぐことを頑なに拒む茜だったが、酒蔵を改築して旅館を開くことを思い立つ。一方、夫の修平は、蔵岡酒造の杜氏たちと日本酒造りを始める事を決意。共に辞表を出した2人は、客の疲れを癒すぬくもりのある宿を目指し蔵の宿を開業する。しかし、蔵岡酒造を我が物にしようとする叔父の幸田の策略など、数々の難題が2人の前に立ち塞がる。
登場人物・キャラクター
神尾 茜 (かみお あかね)
ボブヘアーの女性。プリンセス・ホテルに5年間勤務し、将来女性初の総支配人として期待されている。福井県蔵岡町にある蔵岡酒造の一人娘。再三、跡を継ぐように言われていた。父の蔵岡才治郎が急死し、家を継ぐことを頑なに拒んだが、酒蔵を改築して旅館を開くことを思い立つ。客の疲れを癒すぬくもりのある宿を目指し蔵の宿を開業する。 蔵岡酒造を乗っ取ろうとする叔父の幸田たちから再三妨害を受けるが、蔵岡酒造の蔵元となった夫の神尾修平や、かつての上司の田所隆一郎らの援助を受け、また持ち前の明るさと粘り強さで宿を盛り立てていく。
神尾 修平 (かみお しゅうへい)
茜(神尾茜)の夫。アポロビールの研究員として勤務していたが、茜が父の急死後に、旅館蔵の宿の開業を決意したことを機に自身も辞表を出す。茜の実家、蔵岡酒造で日本酒造りを始める。一途に取り組む姿勢をベテラン杜氏の島田に認められ、蔵元と呼ばれるようになる。蔵岡酒造の乗っ取りを企む幸田たちの妨害にも屈せず、品評会でも認められるほど優れた日本酒を次々に作り出し、妻の茜と支えあいながら蔵岡酒造・蔵の宿を盛り立てていく。 一見おっとりとしているが、芯は強い。カメラが趣味。
幸田 (こうだ)
老年の男性。神尾茜の父、蔵岡才治郎の父親の末の弟で、酒屋に婿養子に出された。蔵岡才治郎が亡くなったことを機に、息子の幸田隆太郎と共に蔵岡酒造の乗っ取りを企んでいる。蔵岡町の町会議員でもあり、同じ町会議員の寺田たちと謀って、次々に蔵岡酒造・蔵の宿への妨害を仕掛ける。
幸田 隆太郎 (こうだ りゅうたろう)
パンチパーマの中年男性。父の幸田と共に蔵岡酒造の乗っ取りを画策している。短絡的で、独断で茜(神尾茜)たちへの妨害をすると、かえって自らの首を占める結果に終わることが多い。
蔵岡 信江 (くらおか のぶえ)
茜(神尾茜)の母。お嬢さん育ちで世間に疎い。夫の蔵岡才治郎が急死した後は、狼狽して幸田たちに蔵岡酒造の経営を任せようとしていた。また旅館を開業することには反対だった。いまだに茜には小言を言っているが、茜の夫、修平(神尾修平)が蔵岡酒造の跡を継いだことは喜んでいる。
島田 (しまだ)
白髪を角刈りにした老年の男性。蔵岡酒造の従業員でベテランの杜氏。茜の夫、修平(神尾修平)が蔵岡酒造で日本酒造りを始めた際は、彼を試すような事をしていたが、その熱心さを受け入れ蔵元と呼ぶようになった。
村山 由佳 (むらやま ゆか)
染めたボブヘアーの女性。蔵岡酒造の従業員。茜(神尾茜)が蔵の宿を開業した後は、仲居となる。茜と彼女の夫の修平 (神尾修平)を深く信頼し、幸田たちの策略で蔵の宿が窮地に陥った時も一途に務める。
古屋 (ふるや)
にきび顔で眉の太い若者。蔵岡酒造の若手従業員。杜氏の島田たちと共に修平(神尾修平)と日本酒造りに励む。その働きを認められ、後に修平から仕込みを任せられた。同僚の村山由佳に好意を持っている。
小松 幹男 (こまつ みきお)
京都の料亭で板前として修業を積み、蔵岡町で魚屋の小松屋を営んでいたが、スーパーに押されて経営に情熱を失っていた。幼馴染の茜(神尾茜)に説得されて、彼女が始めた旅館蔵の宿で板前として腕を振るうようになる。
小松 映子 (こまつ えいこ)
ロングヘアーの女性。蔵の宿の板前、小松幹男の妻。小松幹男が京都で板前の修業をしていたときに知り合って結婚した。京都弁で話し、おっとりとした性格。自ら志願して、蔵の宿の仲居として務め出す。
高橋 君子 (たかはし きみこ)
ショートヘアーの中年女性。幸田の親戚で、石川県の山代温泉で仲居頭として働いていた。幸田の依頼によって仲居として蔵の宿に潜り込み、評判を落とすために次々と揉め事を起こす。後に茜(神尾茜)と修平(神尾修平)の機転によって、逃げるように蔵の宿を退職するが、幸田の紹介で寺田屋で勤めながら引き続き妨害工作に手を貸している。
田所 隆一郎 (たどころ りゅういちろう)
プリンセス・ホテルの取締役兼総支配人。茜(神尾茜)のホテル・ウーマンとしての才能を見込んで鍛えていた。茜が帰郷して開業した旅館を蔵の宿と名付ける。また宿泊客として蔵の宿を訪れ直接助言するなど、彼女に対する援助を惜しまない。後にシドニーへ異動する。
林田 恒正 (はやしだ つねまさ)
小柄な老年の男性。優れた腕を持つ越前蕎麦の職人。田所隆一郎とは旧知の仲で、彼の仲立ちによって蔵の宿で宿泊客に蕎麦打ちを教えることになった。自らの蕎麦屋も営んでいる。職人気質で無愛想な面もあるが、茜(神尾茜)と修平(神尾修平)、板前の小松幹男など、共に働く面々を信頼している。
坂下 淳子 (さかした じゅんこ)
ロングヘアーの女性。利き酒師。新酒品評会の審査員として蔵岡町を訪れた。若年ながらマスコミでも活躍し、利き酒会のマドンナと呼ばれている。新酒品評会では修平(神尾修平)と壮絶な闘いをするが、彼の仕込んだ酒に感動し、後に蔵の宿で働き出す。