概要・あらすじ
ソウルの江南地区。世界的に有名な韓国人画家のネロ・パークは酔って部屋のソファで寝ていたところを、「空港へ向かう時間だ」とマネージャーのミョンアに起こされる。現代美術界で奇才と謳われ、世界各国の美術賞を総なめにしている彼は画家として絶大な人気を誇っている。日本での個展のため来日したネロは、ここでもわがまま放題で、ミョンアに悪態をつきながら、「温泉に行かないと仕事をしない」とごねて周りのスタッフを困らせる。同じ時期に大学の卒業旅行のため、韓国から日本に来ていたユン・デウォン。一緒に来ていた友達は秋葉原へ行き、デウォンは一人大好きな温泉、熱海へ向かった。温泉につかっていたデウォンは、掃除のため若い仲居のかおりが男湯に入ってきたことに驚き、足元の石鹼で滑って頭を打ってしまう。かおりは石鹼を置いたままにしたことを謝り、貧乏学生のデウォンに宿泊代を割り引き、観光案内をすると約束をした。かおりが他の客を出迎えている間にもう一度温泉につかるデウォン。そこへ到着したネロが、周りの制止も聞かず、土足で露天風呂を見に行き、「いまから僕の貸し切りだから出ていってくれ」とデウォンに声をかけた。デウォンが振り返り、顔を合わせた二人は、互いにあまりに自分にそっくりだったことに驚く。ネロはデウォンの背丈も確認し、「三日間だけ俺の身代わりをしてくれ」とデウォンを強引に説得し始める。
登場人物・キャラクター
ネロ・パーク
韓国出身の男性画家。世界的に活躍する現代美術界の奇才で、世界各国の美術賞を受賞している。本名は「ナミョン」。元恋人で現マネージャーのミョンアに、ローマ帝国の皇帝ネロにちなんで「ネロ」という作家ネームをつけてもらった。薔薇狂いの皇帝ネロを真似て、毎日、薔薇の花びらを入れた風呂に入っている。繊細で横暴でわがままな性格。子供の頃は病弱で、チューリップが好きだった。奨学金をもらってソウル美術大学へ通っていた。
ユン・デウォン
男子大学生。アニメで日本語を覚えた韓国人。もうすぐ卒業だが、就職は決まっていない。気が弱くお人よしで、あがり症。温泉が大好きで、卒業旅行で訪れた日本では友人と別行動して温泉巡りを楽しむ。天才画家のネロ・パークと顔がそっくりで、背丈も変わらない。
かおり
熱海の「かどや旅館」の娘。仲居をしている。ショートボブカットの女性。明るく活発で少しおっちょこちょい。両親はすでに他界しており、父は売れない画家だった。
ミョンア
天才画家のネロ・パークのマネージャーで元恋人。髪をアップにし、メガネをかけてスーツを着たスレンダー美女。ネロと同じ、ソウル美術大学に通っていた。ネロの才能に惚れこみ、裏方にまわることに。ネロの作家ネームを薔薇狂いの皇帝ネロから命名した。