あらすじ
第1巻
住宅総合メーカー「GXホーム」に勤務するOL蝼川内美々子は、上司・蛇沢順の奇行に振り回される日々を送っていた。順はいわゆるマゾヒストであり、一方的にご主人様と認定した美々子に対して所構わず、バラの花束で殴ってくれ、罵声を浴びせてくれといった無茶な要求をしてくるのだった。しかし、順は社内では最も優秀な営業マンであり、そして美々子が要求に従わないと落ち込んで営業成績が下がったりするので、社内ではどうにか美々子を焚きつけて協力を強いる体制を作り上げていた。そんな日々の中、自分では普通の人間のつもりでいた美々子は、時折スイッチが入って「順に罵声を浴びせる自分」に酔いしれることもあった。だが美々子は、そんな自分を自覚しながらも、そのたびにその考えを振り払うということを繰り返していた。
第2巻
蝼川内美々子と蛇沢順は相変わらずの日常を過ごしていたが、忘年会の余興の席で、酒の入った美々子は、人前でサディストとしての本性をさらけ出す痴態を演じてしまう。手品の余興を披露すると称し、大きな盆をかついだ順を「ものを食べるテーブル」であるとして紹介、次々に盆の上の料理を食べさせてみせたのである。順の本性を知っている者は社内でも半分程度であり、知っている者たちは歓声を上げ、知らなかった者たちはドン引きし、当の本人の順は、歓喜に打ち震えるのだった。
第3巻
住宅総合メーカー「GXホーム」の社員旅行で、蝼川内美々子は蛇沢順の面倒な相手をせずに済ませるため、「話しかけるな」と命令する。いわゆる放置プレイで、順はこれはこれで満足するのだが、夜中、露天風呂でハプニングが起きる。順は1人で男湯に浸かっていたのだが、そこに女湯と間違えた美々子が入って来て、順の存在には気付かぬまま順に対する恋愛感情のようなものをひとしきりぶちまけ、出て行ってしまう。これをきっかけに、順も美々子に対する恋愛感情を意識し始めるようになる。
その後、美々子は会社帰りに、何者かに尾行されていることに気付く。それは順の両親が依頼した美々子に対する素行調査であった。順の両親は普通の一般常識の持ち主であったため、順がマゾヒストであることを社内で隠しもせずに振る舞っている事実を知り、調査を依頼したのだった。そして美々子に対して、順には見合いをさせるから「GXホーム」とは別の会社に転職してくれ、と懇願する。
登場人物・キャラクター
蝼川内 美々子 (けらかわち みみこ)
住宅総合メーカー「GXホーム」に勤務するOLで、年齢は23歳。蛇沢順の部下として営業職に就いている。自分では普通の女性のつもりでいるが、スイッチが入ると途端にノリノリでドSを演じ始めるという一面を持つ。順のことは職務上では尊敬しており、またほのかな恋愛感情を抱いてもいるが、彼の歪んだ嗜癖に対しては本気で嫌悪感を抱いている。 趣味はお菓子作り。
蛇沢 順 (へびさわ じゅん)
住宅総合メーカー「GXホーム」の営業課で課長を務める男性。年齢は28歳。もとはごく普通の営業マンだったが、蝼川内美々子との出会いを契機に自分の中のMとしての嗜好を自覚するようになった。以降は、美々子に虐げられ罵倒されたい、という歪んだ欲望をあからさまにしながら会社生活を送っている。
蝼川内 りり子
蝼川内美々子の母親。旧姓は「宮本」。筋金入りのドSであり、大学時代からの付き合いであった美々子の父親とは、首輪をはめて縄で繋いでデートをしていた。また、縄による本格的な縛りの技術も習得している。
氷川 巌
氷川グループを一手に仕切る男性実業家で、年齢は30歳。住宅総合メーカー「GXホーム」の顧客でもある。既婚者で、夫婦そろってSM趣味があり、氷川巌はドM。自宅にプライベートSMルームを新設するために「GXホーム」に仕事を依頼し、蛇沢順が担当となった。