概要・あらすじ
朝から近所の空き地で寝っ転がっている一風変わった橋本サヤカは、まだ4歳の女の子。サヤカの育つ橋本家は、母親である橋本リエは寝たきり、長女の橋本咲子が派遣社員として働き、次女である高校生の橋本珠実が家事を引き受けるという家庭環境だった。咲子と珠実はいつもサヤカの世話を押しつけ合い、言い争いばかりしているが、当のサヤカはまだ自分の家庭の事情をよく理解していない。
そのためサヤカは、託児所の友達に「サヤカちゃんのママは何やっているの?」と聞かれても「わかんない」と答えるしかなく、「パパ」についてはどういう存在なのかもわからないでいた。
登場人物・キャラクター
橋本 咲子 (はしもと さきこ)
橋本家の長女。派遣社員をしながら一家の家計を支えている20代の女性。母親に似て男を見る目がなく、家事を担当している妹の橋本珠実とは折り合いが悪い。見た目は派手でイケイケに見えるが、自分を心から愛してくれる結婚相手を探している。
橋本 珠実 (はしもと たまみ)
橋本家の次女。成績が良く、私立の女子高に特待生として通っている。橋本家の家事をしながら妹の橋本サヤカと寝たきりの母親である橋本リエの世話をしている。表向きの真面目な顔とは別に、父親である橋本一郎譲りの詐欺師としての才能を持ち、自分を憐れんでばかりの母親を小ばかにしている黒い一面がある。
橋本 リエ (はしもと りえ)
橋本家の母親。もとは一条家という名門家出身の中年女性。夫の橋本一郎と駆け落ち結婚してから人生が転落した。橋本サヤカを生んでから寝たきりになっているが、実は生きるのが嫌になったことによる仮病である。自分史を記録し読み返しては、自分を憐れんでいる依存体質。
橋本 サヤカ (はしもと さやか)
橋本家の4歳の女の子。父親は行方不明で、「パパ」という存在がよくわかっていない。何を聞かれても「わかんない」と答えるばかりで、朝から空き地に寝っ転がっているなど、よく奇行が見られる。
橋本 一郎 (はしもと いちろう)
橋本家の父親で、4年前に家を出て行ったきりとなっている中年男性。借金を作り何日も姿をくらませたかと思えば、急に大金を持って帰ったりを繰り返しているろくでなし。現在は詐欺商法で稼いでいるが、金と引き換えにその人を幸せにすることをモットーとしている。
タケ
橋本サヤカと同じ託児所に預けられている男の子。ホステスをしている母親が再婚しようとしているが、その相手が酒を飲んでは暴力を振るうため、再婚には反対している。サヤカの家庭も同様に複雑であることを感じ取り、何かとサヤカをかばう優しい性格。
一条 マサ (いちじょう まさ)
橋本リエの祖母で、少しボケて記憶が混乱している。生活していた老人ホームが倒産したため、リエが引き取ることになった。リエが幼い頃に亡くなった両親に代わり、名門である一条家の娘として厳しくリエを育ててきたが、その反動でリエは橋本一郎と駆け落ちすることとなった。
山川 (やまかわ)
「第二話」に登場する。橋本咲子が入会している結婚相談所「ローズクラブ」でお見合いした男性。さえない風貌で話題に乏しく、趣味はパチンコ。咲子との会話の途中でマザコンであることが発覚する。
遠藤 (えんどう)
「第二話」に登場する。橋本咲子が入会している結婚相談所「ローズクラブ」で知り合った会員歴10年の年増の女性。理想が高く自信家で、咲子に対し、相手に対する希望条件を低く設定すると、他の女性会員に相手にされない男性があてがわれてしまうといった趣旨の説教をする。
成金夫人 (なりきんふじん)
「第五話」に登場する。茶道具展を見に来た金持ちの中年女性。着物道楽だが着ていく場がなく、そのためだけに茶を習っている。満たされず淋しい心を見透かされ、橋本一郎に詐欺のターゲットにされてしまう。ちなみに着物の趣味は悪い。
権田原 (ごんだわら)
「第八話」に登場する。橋本咲子とお見合いしたサラリーマンの男性。優しく真面目で咲子の家庭環境にも理解がある。咲子にどんな事情があろうが受け入れるつもりでいる懐の深さを持つが、「本当の愛」を求める咲子にはなかなか受け入れてもらえない。
ジュン
「第八話」に登場する。結婚して家を出て行きたい気持ちが強かった橋本咲子が何年か前に付き合っていた男性で、当時は学生だった。咲子が妊娠したと打ち明けると、非情にも留学を口実に咲子から去って行った。現在は一流企業に就職している。