あらすじ
第1巻
花鳥高校に通う甲斐堂哲郎と甲斐堂花純は、とても仲のいい兄妹で、特に哲郎は花純に並々ならぬ愛情を注いでおり、その溺愛ぶりは花純が花鳥高校に入学してから、さらにパワーアップしていた。そんなある日、哲郎は花純が入学早々男子生徒の注目を集めている事を知る。花純は生まれた時から哲郎が親代わりと言ってもいいほどに面倒を見て大切に育てて来たため、哲郎好みの、かわいらしく素直な女性に育った。しかし、それゆえに哲郎以外の男性達からも好意を寄せられる魅力的な女性である事に、哲郎はようやく気づいたのである。そこで哲郎は、花純を邪な目で見る男子達を次々に追い払い、花純もまた、もし自分が恋をするなら、哲郎以上の男性でなくてはと思うのだった。その直後、哲郎は運動部から次々に勧誘を受けるようになる。先日、哲郎が花純に近づく男性達を倒した事により、そのスポーツ万能な一面が学校中に知れ渡り、哲郎は一躍注目の存在になってしまったのだ。しかし哲郎は家事があるため、部活に入る気はない。そこで各部活、あるいは個人と勝負して勝つ事で勧誘を退けるが、最後に勝負を仕掛けて来たのは、幼なじみの西条飛鳥だった。敗北した哲郎は飛鳥から、勝った暁にデートしてほしいと頼まれる。
第2巻
甲斐堂哲郎は西条飛鳥の頼みで、水族館デートをする事になった。哲郎は飛鳥に対して、これまで同性の友人同様に接して来た。そのため、突然の誘いに戸惑うが、そんな二人は実は2年前1度だけキスをした過去があった。そしてデートの帰り道、哲郎は飛鳥から改めて2年前の事に触れられ、告白される。しかし哲郎は、今は甲斐堂花純との時間を大切にしたいと考え、飛鳥をふるのだった。これがきっかけで哲郎と飛鳥は気まずくなってしまうが、翌日の放課後、哲郎は飛鳥が授業中にケガをしたという話を聞く。心配になった哲郎は飛鳥に声を掛け、たとえ恋人にはなれなくても、友人として困った時はいつでも頼ってほしいと告げる。こうして二人は仲直りし、これまで通り友人として付き合っていく事になるのだった。その直後、哲郎は花純から、友人と2泊3日の温泉旅行を許可してほしいと言われる。宿泊先は花純の友人の猪口のり子の叔母が経営しており、花純達に宣伝用のパンフレットのモデルを頼みたいのだという。そこで哲郎は、飛鳥や友人の千葉慎一も誘ってみんなで出かける事にする。そしてその夜、花純は飛鳥が哲郎にふられた事を知るのだった。
第3巻
温泉旅行2日目、甲斐堂花純は甲斐堂哲郎に、西条飛鳥と交際していないのならば、もう少し節度ある態度を取るように注意する事にした。しかし、パンフレットの撮影を請け負った哲郎は忙しく、ほとんど話せないまま夜になってしまう。その夜哲郎は、飛鳥と縁日に出かける。そこで、飛鳥は哲郎が最優先するのは花純であるとわかっているが、それを一番近くで見ていいのは、相棒の自分だけであると伝え、哲郎もまた、今は交際できないが、飛鳥の事は大切に思っている事を伝えるのだった。翌日撮影を終えた哲郎は、花純を観光スポットの教会に誘う。そこで二人は教会の鐘を鳴らし、ずっと仲のいい兄妹である事を誓う。こうして温泉旅行は終わり、ある日グループ学習の課題が出た花純は、甲斐堂家にメンバー達を招く。そこで哲郎は、花純と同じクラスの男子三人と出会い、最近恋愛に興味を持ち始めている花純が、この中の誰かと恋をしたらどうしようかと焦る。しかし、後藤はすでに花純にふられており、藍澤直樹は花純を客観的にかわいいと捉えている程度で、七瀬翔太には恋人がいるらしく、哲郎は安堵するのだった。その直後、哲郎は千葉慎一に女児向けアニメ「プリンセススター」になってほしいと頼まれる。
第4巻
千葉慎一の頼みとは、甲斐堂哲郎に「プリンセススター」ショーの着ぐるみに入ってほしいというものだった。それでも人気女性キャラクターを演じる事には変わりなく、哲郎は担任の森蔵の娘の森蔵つばさと、甲斐堂花純の指導を受けながら練習を重ねる。そしてショーは成功し、帰り道哲郎は花純から、自分の将来の夢は幼稚園の先生になる事だと打ち明けられる。花純は、幼い自分をいつも笑顔にしてくれた哲郎を心から尊敬しており、自分も将来哲郎のような人間になりたいと思っていたのである。哲郎はこれに感激し、花純が将来を考えるような年齢になった事を感慨深く思うのだった。そして7月になり、花純は森蔵から幼稚園の仕事に興味があるのなら、つばさの通っている「ことり幼稚園」でボランティアをやってみないかと誘われる。こうして花純は預かり保育でのボランティアを始めるが、その途中で園児の一人、ユウトの作ったロケットを壊してしまう。しかし花純は、哲郎であればどうするかと考え、いっしょに直す事を提案。ロケットは修繕だけでなく改良され、花純とユウトの仲も深まるのだった。
第5巻
体調を崩した甲斐堂哲郎は、ボランティアで不在の甲斐堂花純に代わって、西条飛鳥に看病してもらう事になった。さらに飛鳥だけでなく、花純にも心配してもらえる状況に味を占めた哲郎は、翌日もまだ体調不良のふりをするが、これを見た後藤達は、哲郎が弱っている今なら倒す事ができ、花純にいいところを見せられるのではないかと考える。しかし、あっさり返り討ちに遭うのだった。そして放課後、花純と七瀬翔太は今日もことり幼稚園のボランティアへ行くが、翔太が描いて来た紙芝居「泣いた赤鬼」は、読んでいる途中で園児にネタバレされてしまう。それを見ていた先生は中止するほかないと判断するが、花純と翔太は、花純が即興でオリジナルの物語を考え、翔太がその絵を描いて事なきを得る。紙芝居は成功し、二人の絆は深まるのだった。この直後、花純達1年生は林間学校へ行く準備を始めるが、花純の友人である猪口のり子は、最近花純と翔太が親しい事を不思議に思うようになっていた。これを聞いた哲郎は早速調査を始めるが、花純はその理由を語らず、さらに飛鳥には自分よりも哲郎と親しいのり子に聞けと怒られてしまう。
第6巻
甲斐堂哲郎は、甲斐堂花純と七瀬翔太の関係を調査するため、千葉慎一と林間学校に忍び込んだ。それを唯一知る猪口のり子は二人に協力するが、そのうちに哲郎を意識するようになる。一方その頃、西条飛鳥は心配して哲郎に電話するが、のり子が出た事でさらに二人の関係を疑う事となった。こうして林間学校は終わるが、林間学校中もいっしょに過ごしていた花純と翔太は、周囲から交際しているのではないかと噂を立てられてしまう。これを聞きつけた哲郎は、すぐに翔太を問い詰めるが、実際翔太は林間学校中、七瀬ののかへのお土産選びを花純に手伝ってもらっていただけであった。哲郎はこれに安堵すると共に、花純には絶対に手を出さないよう、翔太に釘を刺すのだった。その直後、花純は水無月真琴の様子がおかしい事に気づく。真琴は林間学校中、慎一に遠回しに告白したが、断られてしまったのだという。花純はこれをすぐに哲郎に相談し、哲郎は慎一に詳しい話を聞く。しかし慎一は、哲郎の行動はお節介だし、そもそも飛鳥とのり子という二人の女性にどっちつかずの態度を取っている哲郎には、自分を責める資格はないと言うのだった。哲郎は飛鳥はともかく、なぜのり子の名前が出るのかと不思議に思うが、その直後、哲郎はのり子に告白される。
第7巻
甲斐堂哲郎は、猪口のり子の告白を断った事がきっかけで、西条飛鳥と改めて向き合う決意をした。同時期に水無月真琴と千葉慎一も仲直りし、哲郎周辺の人間関係は無事修復される。こうして夏休みとなり、甲斐堂花純は七瀬ののかの誕生日パーティに招かれる。しかしパーティには、当然七瀬翔太も参加するため、花純は正直に話すと哲郎が反対すると判断。行き先をはっきり言わずに出かける事にする。しかし、これはすぐに哲郎にばれてしまい、哲郎は七瀬家への侵入を決意する。一方その頃、七瀬家に着いた花純は翔太とののかの両親が、急遽仕事で参加できなくなった事を知る。そこで花純は、落ち込むののかを励ますべく、手料理を振る舞う。これによって誕生パーティは成功し、三人はさらに親しくなるのだった。その後も哲郎は、飛鳥や真琴、慎一とダブルデートをしたり、甲斐堂家で流しそうめんをしたり、友人グループ一同でお祭りに出かけたりする。そこで真琴と慎一は少しずつだが進展し、翔太はお祭りの夜、花純に惹かれ始めている自分に気づくのだった。
第8巻
夏休みが終わり、甲斐堂哲郎達の通う花鳥高校では、文化祭と体育祭の準備が始まった。哲郎達の2年2組は、演劇「ロミオとジュリエット」をやると決まったのだが、哲郎は、ジュリエット役の西条飛鳥が、ほかの男子とキスシーンを演じるのを不満に思っていた。一方その頃、甲斐堂花純は体育祭の練習をしていたが、一人だけ大繩が飛べず、クラスの足を引っ張ってしまうのではないかと落ち込んでいた。そんな花純を水無月真琴と七瀬翔太は励まし、猛練習の結果、花純はついに1回飛ぶ事に成功する。そして文化祭当日、花純達1年1組はメイド喫茶を開店するが、そこへ七瀬ののかが体調を崩したという連絡が入る。これによって翔太は花純といっしょに文化祭を回る約束を果たせなくなってしまうが、そこで見せた花純の優しさに感動した翔太は、思わずほとんど告白と言える発言をする。その場は取り繕った翔太だったが、花純はこれによって翔太の気持ちを悟り、悩むのだった。そして迎えた文化祭2日目、哲郎は体調を崩したクラスメートに代わってロミオ役を演じる事になる。舞台は無事成功し、哲郎と飛鳥にとっても、とてもよい思い出ができるのだった。そのあとすぐ体育祭が始まり、1年1組は16回飛ぶ事に成功。花純は翔太に感謝しつつも、複雑な思いを抱く。
第9巻
甲斐堂花純は七瀬翔太と、甲斐堂哲郎と西条飛鳥のような相棒関係になりたいと願っていたが、翔太は恋人になるのを望んでいるため、悩んでいた。そのまま今度は合唱コンクールの練習が始まるが、その放課後、花純と翔太は、ことり幼稚園のお遊戯会でも合唱がある事を知る。しかし七瀬ののかは、歌が苦手で落ち込んでいるのだという。二人はそんなののかといっしょに練習し、三人の仲はさらに深まる。さらにある日、花純は翔太から、将来は絵本作家になりたい事を打ち明けられ、その将来についてしっかり考えている姿に感動する。同時に、翔太に惹かれ始めている自分に気づくのだった。その直後、西条飛鳥は先日剣道の大会で出会った柚木舞人と予備校で再会し、告白される。悩んだ飛鳥は哲郎に相談しようとするが、花純の事で頭がいっぱいの哲郎はこれを拒否。花純の気持ちを自分に向かせるために、テーマパーク並みの施設を作ってもてなしたり、花純のクラスに休み時間ごとに訪れて翔太をブロックしたりしていた。しかしこの努力もむなしく、花純は明らかに翔太に惹かれているのだった。そんなある日、飛鳥や水無月真琴の所属する剣道部では、学外からコーチを招く事になる。
第10巻
花鳥高校剣道部の臨時コーチは、柚木舞人だった。先日舞人に告白されたばかりの西条飛鳥は、この展開に驚く。一方、飛鳥から甲斐堂哲郎の話を聞いた舞人は、哲郎の振る舞いを不誠実に感じ腹を立てる。そこで舞人は、哲郎と剣道で勝負するため呼び出してほしいと言い出し、飛鳥はさらに戸惑う。最近の哲郎は甲斐堂花純の事で手一杯で、飛鳥の話を聞こうともしないからである。飛鳥は一応勝負の件を伝えたものの、自分の事を少しも気にかけてくれない哲郎の冷たい態度に傷つくのだった。一方その頃、千葉慎一と水無月真琴は、友人として順調に付き合っていた。慎一は今の心地いい関係から一歩踏み出す事ができず悩むが、真琴の素直で一生懸命な人柄に何度も触れるうち、もう一度真剣に恋愛する事を決意。二人はついに交際を始めるのだった。そして花純と七瀬翔太も、哲郎の妨害に遭いつつも仲を深めていた。花純は翔太から、一度哲郎の存在抜きで、自分との関係を考えてみてほしいと言われ、自分の気持ちを自覚。哲郎と一度話し合うが、花純が翔太への思いを伝えた途端、哲郎はショックを受け、家にも戻らず母親の墓のある墓地へ行ってしまう。
第11巻
甲斐堂哲郎は、母親の墓前で一晩頭を冷やし、七瀬翔太と向き合う事にした。そこで哲郎はサッカーの勝負を持ち掛けるが、翔太は哲郎がわざと手を抜こうとしているのを見抜き、そんな茶番を演じられるくらいなら殴られた方がましだと言い放つ。これに怒った哲郎は翔太と喧嘩になるが、翔太にとどめを刺す事はできず、哲郎はついに甲斐堂花純と翔太の関係を認めるのだった。こうして翔太と決着をつけた哲郎は、次は柚木舞人の待つ剣道道場へ向かう。哲郎は舞人に、自分が勝ったら西条飛鳥から身を引けと言われて応じるが、全国1位の腕前の舞人に苦戦し、あとがない状態になってしまう。しかしそこに飛鳥が駆けつけ、最終的に哲郎が勝利。試合後哲郎は、これまで自分が花純中心の生活を送るあまり、飛鳥に淋しい思いをさせていた事を詫びる。そして、今後は改めるので自分と結婚してほしいとプロポーズして、二人はついに交際を始めるのだった。さらに後日、哲郎と翔太の勝負の件を知った甲斐堂花純は、哲郎に認めてもらうためにも二人で頑張っていこうと誓い合う。それから花純は、いつも自分の事を大切にしてくれる哲郎に、改めてお礼を言うのだった。
第12巻
甲斐堂花純は、甲斐堂哲郎と七瀬翔太の距離を近づけるため、西条飛鳥も交えた四人での食事会を企画した。しかし哲郎の態度は非常に悪く、食事中も翔太と喧嘩になり、翔太と飛鳥は呆れてしまう。だが食後のゲームで、花純が命令権を得た事により、哲郎と翔太はお互いを褒め合い、握手する事には成功するのだった。こうして食事会は終わり、哲郎は飛鳥にだけ自分の気持ちを打ち明ける。翔太を認めたい気持ちはあるのだが、哲郎はやはり淋しかったのである。そんな哲郎を飛鳥は励まし、哲郎と翔太の関係は、この日少しだけ前進する。(エピソード「私と七瀬君と仲良し大作戦!!」。ほか、全4エピソード収録)
単行本の装丁
本作『りぶねす』のコミックスの本体表紙には、おまけ漫画として全巻にわたり4コマ漫画が4本ずつ収録されている。内容は主に本編では語られなかった、エピソードとエピソードの合間の物語で、たとえば本編では省略された修学旅行での出来事などが題材になっている。
登場人物・キャラクター
甲斐堂 哲郎 (かいどう てつろう)
花鳥高校2年3組に在籍する男子。甲斐堂花純の兄。前髪を目が隠れそうなほど伸ばし、髪全体をツンツンに立てて伸ばした黒の短髪にしている。周囲からは「テツ」と呼ばれている。幼い頃に母親を亡くし、父親は単身赴任中で不在な事から、甲斐堂家の家事を一手に担っている。にもかかわらず成績優秀およびスポーツ万能で、家事全般も得意という、一見完璧な人物。特に成績は、東京大学にも余裕で合格できるほどである。しかしやや配慮に欠け、セクハラ発言が多いのが玉に瑕で、よく周囲の女性から怒られている。また、人に勉強を教えるのはうまくない。妹の花純を幼い頃から溺愛しており、花純の世話をすべて引き受けて来た。そのため、花純が容姿も人柄も非常にかわいらしい女性に育ったのは、自分の教育の賜物であると自負している。しかし、それゆえに自分以外の男性が花純に近づく事を許さず、花純は誰とも恋愛せずに自分の傍にいてほしいと考えており、妹離れできていないところがある。幼い頃は非常に泣き虫で、母親にべったりだった。しかし、母親の死をきっかけに頼りがいのある男にならなくてはと考え、性格も一変した。
甲斐堂 花純 (かいどう かすみ)
花鳥高校1年1組に在籍する女子。甲斐堂哲郎の妹。前髪を目が隠れそうなほど伸ばし、肩につくほどまで伸ばした茶色のセミロングヘアを結んでハーフツインにしている。小柄な体型で、胸が非常に大きい。明るく元気いっぱいで素直な性格。生まれた時から哲郎に大切にされて来たため、哲郎に対しては甘えてばかりいる。恋愛には関心がなく、もし恋をするなら、相手は哲郎以上の男性とだけ考えていた。しかし、将来の夢を幼稚園の先生に定め、ことり幼稚園でボランティアを始め、七瀬翔太と親しくなった事で変化が生じる。やがて翔太に惹かれるようになるが、翔太と交際したいという気持ちと、自分だけが哲郎を置いて幸せになっては、自分のためにすべてを犠牲にして来た哲郎に申し訳ないという気持ちの狭間で悩む事になる。誕生日は9月6日で、血液型はB型。身長は152センチで、特技は料理。苦手な事は数学と運動全般。趣味はゲーム。好きな食べ物は、哲郎が作った料理と、シュークリーム。哲郎に一度トマト料理を褒められた事がきっかけで、料理には何でもトマトを入れてしまう。中学時代はコーラス部に所属していた。
西条 飛鳥 (さいじょう あすか)
花鳥高校2年3組に在籍する女子。甲斐堂哲郎と甲斐堂花純の幼なじみ。剣道部に所属しており、水無月真琴とは中学時代から先輩後輩として親しい。実家はお好み焼き店の「お好み焼き 西条」。前髪を目が隠れそうなほど伸ばした黒のショートカットにしている。中学時代は肩につくほどまで伸ばしたボブヘアだった。中性的な雰囲気を漂わせ、胸は小さい。まじめで落ち着いた性格で、甲斐堂兄妹のとぼけた言動にツッコミを入れる事も多い。家は甲斐堂家のとなりの家に住んでおり、哲郎とは部屋も向かい合わせ。そのため、お互いベランダに出るだけで会話ができ、これを二人は「ベランダ会議」と呼んでおり、すでに1600回以上会議している。中学時代から哲郎に思いを寄せているが、哲郎からは、今は花純との時間を大切にしたいという理由で断られている。それでも待つつもりでいたが、あまり哲郎に大切にされている実感がない事と、柚木舞人に告白された事で、いつまでも哲郎を待っていていいのだろうかと思い悩むようになる。誕生日は12月6日で、血液型はO型。身長は163センチで、特技は運動全般。苦手な事は料理。趣味はぬいぐるみ集めと漫画を読む事。好きな食べ物は、りんご飴とお好み焼き。りんご飴は、哲郎がプレゼントしてくれたのがきっかけで好きになった。
千葉 慎一 (ちば しんいち)
花鳥高校2年3組に在籍する男子。甲斐堂哲郎の友人。前髪を目の上で切って真ん中で分け、高等部の髪の毛だけ肩につくほど伸ばした短髪にしている。眼鏡をかけており、校内ではつねに帽子をかぶっている。あだ名は「チバちゃん」「チバちゃん先輩」。非常に落ち着いた性格で、眼鏡をかけている事もあり、なかなか表情が読み取れない。また女性慣れしており、哲郎に対してもアドバイスする事が多い。中学1年生の時、家庭教師の女性に恋をするが、相手は遊びだった事から、恋愛を馬鹿馬鹿しく感じるようになる。それ以来、女性とは遊びで付き合うだけになってしまったが、内心では哲郎が甲斐堂花純に注ぐような、無償の愛情にあこがれを抱いている。そのため、水無月真琴に思いを寄せられている事を理解しつつも、真琴には自分のような男性はふさわしくないと考え、高校2年生の夏に間接的に告白されても断った。しかしその直後、真琴から本当の自分を知ってほしいと言われた事で、もう一度向き合う事を決意。そして、高校2年生の秋に交際を始める。
松田 聡 (まつだ さとし)
花鳥高校2年3組に在籍する男子。甲斐堂哲郎の友人。剣道部に所属し、主将を務めている。そのため、哲郎のような剣道部とは無関係の相手からも「キャプテン」あるいは「キャプテン先輩」と呼ばれている。また実家は「松田青果」で、店の手伝いをする事も多い。まじめで落ち着いた性格の持ち主。
水無月 真琴 (みなづき まこと)
花鳥高校1年1組に在籍する女子。甲斐堂花純の友人。前髪を目の上で切って、胸の高さまで伸ばした黒のロングヘアを片側だけ小さく結んでいる。花純からは「まこっちん」と呼ばれている。剣道部に所属しており、西条飛鳥とは中学時代から先輩後輩として親しい。明るく面倒見のいい性格で、花純の保護者的役割も担っている。千葉慎一に思いを寄せており、高校1年生の夏、林間学校で甲斐堂哲郎に付き合ってこっそり参加していた慎一に告白する。その際、慎一からは、水無月真琴には自分はふさわしくないという理由で断られてしまうが、同時にどうやら慎一は、自分の事を美化しているようだと気づく。そこで本当の自分を知ってもらうためにも、もう一度アタックを開始。そして高校1年生の秋、とうとう交際をスタートさせる。水泳は苦手で、浮く事もできないほどであったが、慎一の指導により泳げるようになった。
猪口 のり子 (いのぐち のりこ)
花鳥高校1年1組に在籍する女子。甲斐堂花純の友人。前髪を目の上で切って、胸の高さまで伸ばした亜麻色のロングヘアに、星の形の髪飾りを付けている。痩せているが胸が大きく、スタイル抜群で背も高い。あだ名は「のりちゃん」。明るくノリのいい性格だが、あまり深く考えずに行動してしまうところがある。恋愛に強いあこがれを抱き、つねに恋人を作りたいと願っている。しかし告白されても、自分の事をよく知らないのに告白するなんて、軽薄であると言って断るなど、理想が非常に高い。甲斐堂哲郎とは、高校1年生の夏までは花純の兄であるため、時々いっしょに行動していた。しかし、林間学校に哲郎と千葉慎一が忍び込み、二人をかくまった事をきっかけに哲郎に思いを寄せるようになる。その後、告白してふられてしまうが、それからも友人として付き合っている。
橋本 美波 (はしもと みなみ)
花鳥高校1年1組に在籍する女子。甲斐堂花純の友人。藍澤直樹と共に、1年1組の学級委員も務めている。前髪を目の上で切って胸の高さまで伸ばしたロングヘアを頭の右側に集めて一つに結んだサイドテールにしている。非常に小柄な体型で、眼鏡をかけている。まじめでクールな性格で、将来の夢は弁護士になる事。そのため、入学してすぐから国公立大学進学を目指しており、1日8時間勉強している。しかし他人に興味がないというわけではなく、友達思い。猪口のり子が甲斐堂哲郎にふられてしまった時も、二人が関係を修復できるように、哲郎に、のり子とこれまで通り接してほしいと頼んだ。担任の伊達に、密かに思いを寄せている。
七瀬 翔太 (ななせ しょうた)
花鳥高校1年1組に在籍する男子。甲斐堂花純の友人。前髪を目が隠れそうなほど伸ばした黒の短髪にしている。三白眼で目つきが悪い。ぶっきらぼうで不愛想だが、心優しい性格をしている。しかし甲斐堂哲郎からは、柄の悪い男だと評されている。特技は絵で、非常にかわいらしい絵を描く。そのため、妹の七瀬ののかが通う「ことり幼稚園」に、手作りの紙芝居を持って行き、ボランティアをしている。しかし、ののか優先の生活を送っていた事から、周囲には恋人がいると誤解されていた。花純とは、高校1年生の夏まではいっしょにグループ学習をする程度の関係だったが、花純がことり幼稚園の預かり保育のボランティアとなった事で親しくなる。そしていっしょに活動するうち、花純に惹かれるようになっていき、高校1年生の秋に文化祭で告白した。将来の夢は絵本作家になる事。
藍澤 直樹 (あいざわ なおき)
花鳥高校1年1組に在籍する男子。甲斐堂花純の友人。橋本美波と共に、1年1組の学級委員も務めている。前髪を目が隠れないようにばらばらの高さで切って真ん中で分け、髪全体を立てたヤシの木のような形の短髪にしている。眼鏡をかけており、目が細いためにいつも目を閉じているように見える。いつも笑顔で愛想がいいが、甲斐堂哲郎からは胡散臭い男だと評されている。
後藤 (ごとう)
花鳥高校1年1組に在籍する男子。甲斐堂花純の友人。前髪を眉上で短く切った短髪にしている。体型は太めで眼鏡をかけており、眉が太くて唇が厚い。花純に思いを寄せており、入学早々ふられてしまうが、あきらめきれずにいる。そのため、事あるごとに甲斐堂哲郎に勝負を仕掛けては、あっさり負けている。
森蔵 (もりくら)
花鳥高校の男性教師。森蔵つばさの父親。あだ名は「森ゾー」。前髪を眉上で短く切った、もじゃもじゃの短髪にしている。三白眼で目つきが悪く、無精ひげを生やしている。いつも甲斐堂哲郎のめちゃくちゃな行動に手を焼いているが、なんだかんだで面倒見がいい。哲郎が高校2年の夏、甲斐堂花純が幼稚園での仕事に興味を持っている事を哲郎経由で知り、つばさの通う「ことり幼稚園」でのボランティアを勧める。
伊達 (だて)
花鳥高校に勤める男性教師。齢は30歳。担当は世界史で、1年1組の担任も務めている。前髪を目の上で切って真ん中で分けた短髪にしている。眼鏡をかけており、苗字が「伊達」である事から、あだ名は「ダテメガネ」。穏やかな落ち着いた性格で、甲斐堂哲郎の人柄も熟知している。そのため、哲郎と千葉慎一が1年生しか来られない林間学校に忍び込んだ際にも、あらかじめ彼らが来ている事を察していた。
森蔵 つばさ (もりくら つばさ)
ことり幼稚園に通う女児。森蔵の娘。前髪を目の上で切り、肩につくほどまで伸ばしたセミロングヘアを、右側の一部だけ小さく結んでいる。恥ずかしがり屋で少し人見知りな性格だが、大ファンである「プリンセススター」の事になると饒舌になる。ある夏の日、父親といっしょに歩いていたところ、アルバイトで「プリンセススター」を演じる事になった甲斐堂哲郎と、その手伝いをしていた甲斐堂花純、千葉慎一と出会う。そこで、哲郎が正しく演技ができているかチェックする事になる。当初は哲郎の演技がなっていない事に呆れていたが、ショーの当日にはしっかり仕上げて来た哲郎を見て感動し、彼の事を認めるようになる。その後、ことり幼稚園のボランティアを始めた花純と再会し、今度は園でもいっしょに過ごすようになる。
七瀬 ののか (ななせ ののか)
ことり幼稚園に通う年長の女児。七瀬翔太の妹。前髪を目が隠れそうなほど伸ばし、胸の下まで伸ばしたストレートロングヘアを、耳の下で二つに結んだおさげにしている。元気いっぱいな明るい性格で、翔太の事が大好き。甲斐堂花純とは、花純がことり保育園の新しい預かり保育のボランティアになった事で出会った。
ユウト
ことり幼稚園に通う男児。前髪を目の上で切った短髪にしている。眉が太い。明るくやんちゃな性格。ある日、新しいボランティアとしてやって来た甲斐堂花純と出会うが、遊んでいる最中、花純が事故で自分の作ったロケットを壊してしまう。そのためショックを受けて泣いてしまうが、いっしょに直したいと申し出た花純と共に修繕し、さらに改良を加えたロケットを作り上げた。
柚木 舞人 (ゆずき まいと)
海原高校に通う2年生の男子。剣道部に所属にしており、全国1位の実力を誇る。前髪を目の上で切って真ん中で分けた短髪にしている。爽やかな雰囲気を漂わせ、落ち着いた性格。高校2年生の夏、花鳥高校剣道部と合同練習をした事で西条飛鳥と親しくなり、思いを寄せるようになる。しかし、飛鳥には甲斐堂哲郎という親しい男性がいるものの恋人同士というわけではなく、飛鳥は都合のいい女性として扱われているようだと考える。そこで飛鳥に告白し、哲郎には剣道の勝負で自分が勝ったら、飛鳥から身を引くよう求めた。
その他キーワード
プリンセススター
女児向けのアニメ作品。略称は「プリ☆スタ」。主人公のプリンセススターが、武器のプリスタソードを手に悪と戦う物語で、決めセリフは「星屑に抱かれておねんねしなさいっ☆」。長寿作品で、甲斐堂花純も子供の頃よく見ていた。
書誌情報
りぶねす 12巻 講談社〈講談社コミックス〉
第1巻
(2014-11-17発行、 978-4063952520)
第2巻
(2015-06-17発行、 978-4063954241)
第3巻
(2015-11-17発行、 978-4063955422)
第4巻
(2016-04-15発行、 978-4063956566)
第5巻
(2016-08-17発行、 978-4063957488)
第6巻
(2017-02-17発行、 978-4063958652)
第7巻
(2017-07-07発行、 978-4065100639)
第8巻
(2017-11-09発行、 978-4065106310)
第9巻
(2018-01-09発行、 978-4065108635)
第10巻
(2018-04-09発行、 978-4065112724)
第11巻
(2018-07-09発行、 978-4065115756)
第12巻
(2018-10-09発行、 978-4065129883)