血笑鴉

血笑鴉

殺し屋稼業を生業としながら放浪する、すご腕の浪人剣客を狂言回とした剣劇アクション時代劇漫画。一般的な時代劇ヒーローものとは異なり、主人公は、金と女に飢えた悪党で、容姿も醜い中年男という、格好の良さとは無縁の人物である点が大きな特色。人間の業の深さによって起きる出来事が、クールなタッチで描かれる異色の時代劇となっている。1970年から1976年にかけて、「現代コミック」「週刊漫画アクション」「月刊少年チャンピオン」の3誌にわたり、いずれも1話完結で掲載された。

正式名称
血笑鴉
ふりがな
けっしょうがらす
作者
ジャンル
時代劇
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概要・あらすじ

卓越した剣術の腕を持ち、「血笑鴉」のあだ名で呼ばれる浪人が、高額報酬で暗殺を請け負う殺し屋稼業を続けながら、旅から旅へと流浪していた。ある宿場でやくざの親分を暗殺したは、依頼人の弱みにつけこんで金をせびり、その金で宿場の女郎屋に居座る。そして鴉は、彼の命を狙って雇われた用心棒の浪人と対峙するが、その浪人は鴉に意外な言葉を投げかけるのだった。

登場人物・キャラクター

(からす)

別名「血笑鴉」とも呼ばれる稀代の剣鬼。過去の記憶を喪失している出自不明の浪人。チビで小太りな体型のブ男だが、大の女好きでニヒルな性格。剣の腕を生かした殺し屋稼業を続けながら各地を流れ歩いている。

用心棒 (ようじんぼう)

鴉の殺害を依頼された浪人。跡目を継いだやくざの親分から頼まれたが、鴉の剣法が「霞の木立」であることを見抜き、危険を感じて暗殺を思い止まった。ニヒルな鴉の生き方に興味を持ち、半ば強引に鴉の道連れとなり、しばらくの間ともに旅をする。

茨木 鉄心 (いばらき てっしん)

ある町の道場の道場主で一刀流の達人。冷酷な性格の剣豪。以前に暗殺した武士の妻から夫の仇として付け狙われており、仇討ちの助太刀を引き受けた鴉と、町外れの草原で対決する。

本間 正四郎 (ほんま しょうしろう)

ある藩の勘定方を務めている武士。妹との二人暮しで、真面目で正義感の強い性格。藩では会計の仕事をこなしていた。ある日、藩の帳簿に不正があるのを発見し、それをきっかけに命の危険に晒されることとなる。

岩見 (いわみ)

ある藩で二番家老を務めている武士。大勢の手下を従えて広大な屋敷に居住している。刀の鍔に梅の花の彫り物が加工された長刀を携えている。正体を隠し、鴉に、ある人物の暗殺を二十両の報酬で依頼する。

山崎 (やまざき)

やくざ組織「飯田組」の用心棒を務める浪人。「飯田組」と対立する「輪島組」から命を狙われているが、大勢の暗殺者をまとめて返り討ちにするほどの凄腕の剣豪。酒が切れると身体が震えだすほどの酒好き。それが原因で、士官の道を閉ざされている。のちに「輪島組」に雇われた鴉と対決する。

佐吉 (さきち)

剣の腕が立つやくざ者の男。やくざから足を洗い、堅気になって、色街に身を堕した妻を身受けする決心をし、その資金稼ぎのため危ない橋を渡っている。旅の途中、腹痛に苦しむ鴉と知り合い、彼の看病をするほどに優しい青年。

しの

鴉が賭場で知り合った武家の未亡人。美しい容姿ながら気丈な性格で、新婚わずか1か月で死別した夫の仇を探して旅をしている。ある浪人の殺害を鴉に依頼するものの、最後まで本心を明かさない謎めいた美女。

源八 (げんぱち)

チンピラやくざの男。ある男の依頼で目明かしを殺して大金を得た。さらに、それをネタにゆすりをして酒と女に溺れている。旅の途中の鴉と知り合いになり、自分の境遇を得意げに話して別れるが、のちに鴉と意外な形で再会する。

新吾 (しんご)

物静かで真面目な性格の武士。明神山の山小屋で妻と二人暮らしをしている。師匠から受け継いだ霞流小太刀の使い手。鴉とは浅からぬ因縁があり、のちに劇的な再会を果たすこととなる。

鬼熊 (おにぐま)

やくざの親分。目的のためには手段を選ばない、という極悪非道な性格の男。右目にある刀傷が特徴。剣の腕が立つ用心棒を3人雇い、宿場町を取り仕切る一派を皆殺しにして、町の乗っ取りを謀る。

五百木 (いおぎ)

一刀流の免許皆伝という剣豪。仕官の道は閉ざされている貧乏浪人で、長屋でカサ張りの内職をしながら、息子と二人暮らしをしている。悪徳商人をゆすって大金をせしめ、息子の将来のために貯金をしている、という子煩悩な父親でもある。

山勝屋 晋助 (やまかつや しんすけ)

紀伊半島の熊野にある大規模な庄屋の若親分。気風が良く面倒見のいい人格者で、500人以上が働く林業と漁業の現場を取り仕切っている。老いた父親とその後妻である義母のために懸命に働く正直者。

熊代組の親分 (くましろぐみのおやぶん)

やくざ組織「熊代組」の二代目親分。初代親分の時代には100人以上もの子分を擁していた。現在は「藤巻組」の勢いに押され、子分もたった5人となり、さびれてしまっている。穏やかで小心者なところがあり、やくざ稼業をやめて商人になりたいと考えている。

風間 一刀斎 (かざま いっとうさい)

風間一刀流の剣法道場で弟子たちを育成する白髪の老人。留守中に凄腕の武芸者が他流試合で弟子たちを打ち破ったため、道場の名誉と名声をかけて武芸者との決闘に挑む。決闘の前に鴉の剣法を参考にする。

嵐山 (あらしやま)

町外れの粗末な小屋に妻と2人で暮らす浪人。剣の腕前は一流。しかし、鎧兜一式が唯一の財産という貧困生活のため、賭け試合や道場破りをして生計を立てている。友人に仕官の口利きを依頼しており、藩の剣術師範として召し抱えられることを、夫婦で待ち望んでいる。

山形 主水 (やまがた もんど)

ある藩の家老を務めている老武士。目的達成のためには手段を選ばず、強引に物事を推し進めるやり手。一生を独身で通している仕事人間でもある。自分を諫めた藩の武士とその妻に対して、いわく因縁がある人物。

隼の左吉 (はやぶさのさきち)

強欲なやくざの親分。別のやくざの組が縄張りとする石見宿場を乗っ取るために、剣の達人である浪人を雇い、平和だった宿場町に血の雨を降らせる。

鏡 助三郎 (かがみ すけさぶろう)

名門の剣道場「大場一刀流道場」の師範代。門弟は300人に達する。剣の腕前は一流だが、普段の生活は乱れており、酒と夜遊びが大好きな自堕落な性格の持ち主。同僚の師範代で、自分とは正反対の真面目な性格の青年武士と、道場主の座をめぐって対立している。

その他キーワード

霞の木立 (きりのこだち)

鴉が用いる剣法。武芸者たちからは必殺の剣として恐れられている。一瞬のもとに相手を斬殺する目にも止まらぬ早業の秘剣。前かがみになって、下から上に一気に刀を振り上げる抜打ち剣法で、一振りしたとしか見えないが二振りしており、二振りしたとしか見えないが三振りしているという。

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