概要・あらすじ
美術大学を卒業していながら、画力のなさが有名な漫画家、西原理恵子。そんな西原が自らの漫画人生をかけ、日本の全漫画家たちに画力対決と銘打った喧嘩を売ることに。自らを突っ込み漫画家と名乗り、日本を代表する一流漫画家たちに容赦なく毒づく西原であったが、対戦相手たちのあまりの個性的な即効イラストにおいしい所を持っていかれ内心では焦りぎみ。
そんなプロとプロの手に汗握る画力対決は、回を重ねるごとにヒートアップしていくのだった。
登場人物・キャラクター
西原 理恵子 (さいばら りえこ)
画力がない漫画家。武蔵野美術大学卒業。エロ本のカットを書きながらその日暮らしの生活を送っていたある日、小学館の編集者、八巻和弘にスカウトされ漫画家デビュー。有名漫画家をゲストに向かえ、ライブ会場で画力対決を繰り広げていく。自称つっこみ漫画家で、毎回ゲストの癖のあるタッチをネタに毒づく。 同時にひがみ根性もすごく、対戦相手が自分の人気を上回ったり、イラストで笑いをとる度にふてくされている。かつては漫画家原律子の写し書きをしていたが、あまりの絵の下手さにパクリであると気づいてもらえなかった過去を持つ。近況エピソードとして、自身の本をいくつか出していた出版社が倒産し、印税2千万が回収不能になったことを報告し、長いこと引きずっている。 漫画家人生でのモットーは、「その時々の一番の権力者のうしろに回る」こと。
八巻 和弘 (やまき かずひろ)
主人公西原理恵子の担当編集者。エロ本のカットを描いて生活していた西原をスカウトし漫画家デビューさせ、以後20年以上にも渡り担当してきた。画力対決ライブの司会進行を務める。かなり毒舌で、西原や対戦相手のひどい画力に厳しいツッコミをいれている。漫画の中では基本的に西原に対して怒鳴っている姿が描かれるが、西原にとっては自分を漫画家に導いてくれた白馬の王子であると語られている。
岩井 志麻子 (いわい しまこ)
主人公西原理恵子の友人。女性小説家。画力対決には全く関係ないが、普段のエピソード編に友人として度々登場する。西原同様、若者に説教するときに下ネタを交えることが多い。
しりあがり寿 (しりあがりことぶき)
主人公西原理恵子の対戦相手で、古い漫画家仲間。画力対決の第一回ゲスト。多摩美術大学卒業。その昔、西原、♯リリーフランキー、♯みうらじゅんの4人で、「美大出身の隙間漫画家・汚いサブカルの壷」というくくりで仲良く共存していた。西原曰く「漫画界一のくにゃくにゃ男」で、何をしても怒らず、サラリーマン上がりのために編集者にへりくだるのも得意。 生描きは早いがクオリティは低い。
みうら じゅん
主人公西原理恵子の対戦相手で、古い漫画家仲間。元祖サブカル。西原理恵子と同じく武蔵野美術大学卒業で、画力のひどさも同レベルといわれる。西原曰く、「何をしても許される日本一のゆるキャラ」。その昔、西原、♯リリーフランキー、♯しりあがり寿と共に、「美術大出身隙間漫画家・汚いサブカルの壷」で仲良く共存していた。
国友 やすゆき (くにとも やすゆき)
主人公西原理恵子の対戦相手。『JUNK BOY』で知られる漫画家。青年誌における重鎮だが、真正面の人物像が描けない。西原からはそのことをネタにされ、♯三田紀房、♯柳沢きみおとともに「首寝違え三人衆」のくくりで呼ばれている。また、早稲田大学卒業でありながらエロ漫画で出世したこともバカにされている。 基本的に描ける顔のパターンが少なく、髪型でキャラを使い分けている。ソープドラマを描いて20数年であり、パンツのレースとしわだけは必ず自分で書くと宣言している。
高洲 克弥 (たかす かつや)
主人公西原理恵子の交際相手。画力対決ライブに飛び入り参加したり、普段のエピソード編にも恋人として頻繁に登場する。画力対決に応じてくれるゲストが尽きたころ、ニューヨークから無理矢理ボブサップを連れてきてしまう。自身の画力は散々で、西原曰く♯福本伸行と並ぶ下手さ。 小さい頃は漫画家になりたかったが、医師の家系に生まれたためやむなく諦めた。そのため、医者であり漫画家でも大成した♯手塚治虫を心底ひがんでいる。
ちば てつや
主人公西原理恵子の対戦相手。『あしたのジョー』の作者。漫画界のヨハネパウロ。作品や読者に対する愛の言葉で、ライブ会場の客を何度も感動で泣かせる。しかし、あがり症で人前が苦手なため、自分だけ会場で恥をかくのを避けたいと思い、友人の漫画家高井研一郎を酒に酔わせて連れてくるという腹黒さも見せた。 対決では高井の画力のひどさに注目を集めうまく存在を消していたが、途中で司会の八巻和弘にそのことを指摘されてしまう。
高井 研一郎 (たかい けんいちろう)
主人公西原理恵子の対戦相手。『総務部総務課山口六平太』を1千百万部売った巨匠。旧友ちばてつやに酒で酔わされ、気がついたら画力対決の会場に連れてこられていた。赤塚門下で有名なキャラをデザインしてきたすごい人物だが、西原には「左足で描ける」程度の画力の低さといわれてしまう。
とがし やすたか
主人公西原理恵子の対戦相手。『幽々白書』で有名な富樫義博と名前が似ているため、勘違いした親戚や遠縁からサインをねだられるという悲しい人生を送ってきた。本人はエロと笑いが売りの漫画家。西原とは、エロ本上がりで同じ週刊誌でデビューしたという共通点があり、20年以上の付き合いがある。 低い画力でありながら東京芸術大学を目指し5浪したあと、最終的に小池一夫劇画村塾に入った迷える漫画家。
福本 伸行 (ふくもと のぶゆき)
主人公西原理恵子の対戦相手。『賭博黙示録カイジ』の作者。西原とはお互い無名であった20年前に出会った。当時から男前でまじめで物腰の柔らかい人物であったが、将来絶対に売れる事はないと思われていたため、西原はじめ漫画家仲間の女性から全然相手にされなかった。 西原からはその画力を「あまりに不自由」だといわれている。自称つっこみ漫画家の西原が、あまりの突っ込みどころの多さに手も足も出ない大物。自身の天然キャラとイラストの独特な世界観が強烈すぎるあまり、画力対決史上西原が最も恐れた人物。
やなせ たかし
主人公西原理恵子の対戦相手。『アンパンマン』の作者。当時90歳。西原とは同じ高知県出身。戦争中にひもじい体験をしたため、子供たちを飢餓から救うヒーローアンパンマンを生み出した。高知県民に頼まれ無償でデザインし提供したキャラは2千種以上というお人よし。
浦沢 直樹 (うらさわ なおき)
主人公西原理恵子の対戦相手。『20世紀少年』の作者。西原いわく、「漫画家でミュージシャンで男前だが、そのすべてが中途半端」。また、何を描いても仕上がっているので、全く会場の笑いを誘わない事を西原に度々ののしられる。
東村 アキコ (ひがいむら あきこ)
主人公西原理恵子の対戦相手。『海月姫』の作者。若くてかわいい新人漫画家で、西原とは事あるごとに女の争いを繰り広げる。描くのがとにかく早く、しかもクオリティはかなり高い。生描きの遅かった板垣恵介もその様子を目の当たりにし、その影響で自身のスピードも上がったほど。
三田 紀房 (みた のりふさ)
主人公西原理恵子の対戦相手。『ドラゴン桜』の作者。真正面の人物像が描けないことを西原からネタにされ、♯国友やすゆき、♯柳沢きみおと共に「首寝違え三人衆」のくくりで呼ばれている。また、「描く人物が老若男女すべて同じ顔で魅力のない絵柄」「シャチハタ漫画」ともバカにされている。 しかし、対決ではかなり色々な表情やタッチを書き分け、西原の舌を巻いた。最後には「普段からまじめに漫画を描け!」と突っ込まれる。
江口 寿史 (えぐち ひさし)
主人公西原理恵子の対戦相手。『ストップ!!ひばりくん!』でブレークした漫画家。当時はギャグとおしゃれなタッチを融合させたスタイルで若者の憧れの存在だったが、現在はすっかり減り落ちぶれたと西原にバカにされている。画力は相当低い。西原と同じ吉祥寺在住のため親交が深い。
村上 たかし (むらかみ たかし)
主人公西原理恵子の対戦相手。ヒット作を出したあと必ず10年低迷するという繰り返しをしてきた波乱万丈の漫画家。そのため、細木和子の「10年周期説」を信じている。妻の村上佳代と西原はママ友。低迷中は地元広島でメダカのオス・メスの仕分けの仕事をしていたが、妻のすすめでもう一度漫画を描く決意をし、『星守る犬』で再びヒットをうみだした。 しかし、その最大のヒット作である登場キャラもまともに描けず、西原からは再び低迷する可能性を指摘されてしまう。
板垣 恵介 (いたがき けいすけ)
主人公西原理恵子の対戦相手。『グラップラー刃牙』の作者。陸上自衛隊出身で、漫画家になる前は道場破りをしていたユニークな経歴を持つ。西原いわく、中身も外見も男前で腐女子から大人気。対決史上、生描きがもっとも遅い漫画家とされている。大好きな筋肉はアシスタントを使わず必ず自分で描く。 会場では変わった絶妙なイラストや独特のキャラで会場から笑いを買っていたが、本人はその事にまるで気づかずクールに振舞っていた。
かわぐち かいじ
主人公西原理恵子の対戦相手。小学館のパーティーで酔っ払っているところを西原と八巻和弘につかまり、意識が朦朧とした中、画力対決の約束をさせられてしまう。自身の描くメインの絵柄も細かいが、その上でアシスタントに背景である大群衆やメカ、ビル等をびっちり描かせるのが特徴。 西原からは、「同じ青年主人公顔しか描けない」、「キャラの口がいつも無駄に開いている」といわれてしまう。
浅野 にいお (あさの にいお)
主人公西原理恵子の対戦相手。西原曰く、若くて才能があるが、打たれ弱くて理屈言いの漫画家。また、「若い男女が輝いているフリをしてただ悩んでいるだけの痛い時期を描かせたら日本一」ともいわれる。本人も一環して「リアルうじうじ系若者」を描いているため、ゾンビ、詐欺師など激しい設定で売ってくる漫画家が許せないと認めた。
安彦 良和 (やすひこ よしかず)
主人公西原理恵子の対戦相手。『機動戦士ガンダム』の作者。画力対決の依頼を受け、「赤紙が来たから逃げられない」と潔く参加を決意。日本の宝とは思えない、おとぼけで可愛い性格から会場のお客さんの心をわし掴みにしてしまう。また、西原と同様お題に関係ない余計な落書きを付け足してしまう癖があり、西原からはかなり親近感を持たれた。
ボブサップ
主人公西原理恵子の対戦相手。画力対決に応じてくれるゲスト漫画家が尽きていたため、高須克弥によってニューヨークから連れてこられた。集中力があり、かなり丁寧に時間をかけてお題のイラストを描きあげた。同じく対決に参加していた高須の絵があまりにひどいため、体の具合が悪いんじゃないかと本気で心配する場面もあった。
青山 剛昌 (あおやま ごうしょう)
主人公西原理恵子の対戦相手。『名探偵コナン』の作者。地元鳥取でのイベント中に、西原と八巻和弘にゲリラ対決を持ちかけられる。その後も自身のアトリエで対決の続きを迫られ、しまいには西原の強引な申し出でアシスタントの役も任せてしまう。西原に俯瞰の書き方や通行人の書き方などを丁寧に伝授したり、理不尽な言動にもただニコニコ笑っているという、かなり人のいい性格。 しかし、西原からはトロくてだましやすそうと言われてしまう。
松本 零士 (まつもと れいじ)
主人公西原理恵子の対戦相手。『銀河鉄道999』の作者。いい加減でお調子者でイタズラ好き。西原の毒づきも軽く笑い飛ばしてしまう余裕の持ち主。西原からは、「大御所のなかでも群を抜いてキャラのバリエーションが乏しい」と言われてしまうが、都合の悪いことは全く耳に入らないので西原の一方通行な攻撃で終わってしまった。 メカ、宇宙、映像など、オタク話をさせたら止まらない。
伊藤 理佐 (いとう りさ)
主人公西原理恵子の対戦相手。西原の後輩で現在はママ友。漫画家の吉田戦車は夫。対決相手が女性漫画家の場合、サブゲストとして頻繁に登場する。西原ほどではないが、たまに下ネタもツッコンでくる。大の猫好き。
小林 まこと (こばやし まこと)
主人公西原理恵子の対戦相手。お笑い本格格闘技漫画で数々のヒットを飛ばしながら、片手間で描いていた猫漫画が生涯最大のヒット作となってしまった漫画家。モデルのような長い手足の持ち主。キャバクラ好きでスケベな一面が時折垣間見える。自身も無類の格闘好きであるが、若い頃は同じ仕事を一ヶ月できないほど根性がなく、唯一続けた柔道も、辞めて先輩に殴られるのが怖かったからという理由。 西原曰く、青山剛昌と並ぶ人の良さ。
アルコ
主人公西原理恵子の対戦相手。『俺物語』の作者。西原にとって苦手意識の強い少女漫画家でありながら、意外にも画力のクオリティが低く、その絶妙なタッチから西原と芸風がかぶっていると突っ込まれる。天然でB専より。
萩尾 望都 (はぎお もと)
主人公西原理恵子の対戦相手。少女漫画界の神様。どんなに西原が毒を吐こうと、仏のような心で笑顔を向け、やんわり否定で返すというかなり上級テクニックの持ち主。対決の際には、西原にお題の描き方をこっそり教えてあげるなどかなりお人よしな面も見せた。
ヤマザキ マリ
主人公西原理恵子の対戦相手。『テルマエ・ロマエ』の作者。世界放浪、でたとこ勝負、不確かな画力など、西原とかぶる部分が多くあるため、本人から目の敵にされている。イタリア人の夫をもち、現在はシカゴ在住。フケ専であり、対決においても実際のキャラよりかなりフケさせ、おまけに大好物である裸のカットで描くことが多い。
花沢 健吾 (はなざわ けんご)
主人公西原理恵子の対戦相手。『アイアムアヒーロー』の作者。西原曰く、「非モテ素人童貞を主人公にさせたら日本一」。また、「漫画の主人公と本人が似ているのでも日本一」。自分の漫画のキャラクターもろくに描けないばかりか、お題に出される人物をほとんど知らなず、あまりにいい加減なイラストを描いてしまうので、司会の八巻和弘に怒られてしまう。 漫画界で生き残るためなら、売れそうなことは何でもやるというをモットーにしている。
藤子不二雄Ⓐ (ふじこふじおえー)
主人公西原理恵子の対戦相手。本名安孫子素雄(あびこもとお)。漫画好きにとっての心のふるさと。その言動ひとつひとつにライブ会場の客からの感動の声が漏れる。お酒とゴルフが大好きな75歳。普段から編集者が目を離すと、フラフラスナックに入り朝まで行方不明になってしまう。 不真面目なキャラで、対決中に何度も勝負を放棄しようとする。
書誌情報
西原理恵子の人生画力対決 8巻 小学館〈書籍扱いコミックス単行本〉
第1巻
(2010-03-17発行、 978-4091790750)
第2巻
(2010-09-13発行、 978-4091791108)
第3巻
(2011-11-30発行、 978-4091791283)
第4巻
(2011-12-19発行、 978-4091791290)
第5巻
(2013-01-23発行、 978-4091791795)
第6巻
(2013-10-23発行、 978-4091791931)
第7巻
(2014-06-30発行、 978-4091791979)
第8巻
(2014-11-28発行、 978-4091791993)