概要・あらすじ
東勝神州(とうしょうしんしゅう)の大海の彼方にある傲来国(ごうらいこく)の島・花果山(かかざん)の大岩から不思議な子供が生まれた。サルなのか人間なのか定かでない子供は、人間社会には受け入れてもらえず、石ザルとしてサルの群れで暮らすようになる。ボスザルとのケンカの末、石ザルはサルの群れのボスとなるが、妖術を覚えるため、花果山を飛び出し、南贍部州(なんせんぶしゅう)の天和院(てんぽういん)を目指す。
様々な苦難の末、やっと目的地に到着するが、入学した妖術の学校には秘密が隠されていた。
登場人物・キャラクター
石ザル (いしざる)
大岩から生まれた不思議な子供。人間なのかサルなのか定かでない。大岩から生まれたためか、体が岩のように硬い。また、長く岩の中にいて様々な声を聞いていたため、多くの動物の言葉を話すことができる。ボスザルとの争いの中で水簾洞を見つけ、サルの群れのボスとなったが、平和な日常がもの足らず、妖術使いとなるべく、故郷を後にする。 後、たどり着いた妖術学校霊台方寸山斜月三星洞の学長から孫悟空という名をもらう。
ボスザル
花果山のサルの群れのボス。サルの中では圧倒的な巨躯を誇る。生まれたての石ザルの毒舌に気分を害して、その頭をかじった。しかし、石ザルの体は硬く、歯がボロボロになってしまう。以来、ボスの座を奪われることを恐れ、石ザルの命を何度も狙った。
じっさん
花果山のサルの群れの1匹。小柄な年寄りザル。ボスザルの側にいて、その無思慮な行動をいさめる役割を果たしている。石ザルに有能なボスになる可能性を見いだし、何かと力になろうとする。
リンリン
花果山のサルの群れの1匹。内気で控えめな雌ザル。石ザルに好意をもっており、ボスザルとの諍いが続く石ザルに森を出て、別の所で暮らすことを提案する。妖術を覚えるため、花果山から旅立つ石ザルに「いつまでも待ってます」と告げた、けなげな雌ザル。
海賊の女頭 (かいぞくのおんながしら)
密航した船から放り出され、海を漂流していた石ザルを拾い上げた海賊船の女頭。冷酷非道な方法で船を襲い、略奪を繰り返していた。部下にも敵にも厳しくあたる男勝りな性格だが、女性として接しようとする石ザルには好意をもっていた。だが、その正体は、深海に潜む大魚が人間に化けていた妖怪。 正体を現した後、好意をもった石ザルを深海に引き込もうとする。
生真面目な修行者
石ザルが旅の途中出会った修行者。物事を突き詰めて考える癖のある非常に真面目な男。卓越した体術の使い手で、口から火を吐くこともできる。その実力は、ひとりで海賊を全滅させてしまう程。修行のため天和院に入門するが、石ザルと接するうちに、優れた修行者になることへの疑問を感じ始める。 その後、天和院の実態が、麻薬の製造所である事実を知り、怒りのあまり幹部たちを皆殺しにしてしまった。この時、人間に絶望してしまい、「妖怪となって人間を困らせてやる」と言い残し、荒野へ去っていった。
生活指導の師匠 (せいかつしどうのせんせい)
霊台方寸山斜月三星洞で生活指導を担当する教師。着物の裾を自在に操り攻撃する技・龍の尾を得意とする妖術使い。この技をあっさり破られたことを恨みに思い、何かにつけて石ザルを目の敵にする。
変身師匠 (へんしんせんせい)
霊台方寸山斜月三星洞で変身の術を指導する教師。普段はきれいな女性に変身しているが、正体は眉毛のつながったむさ苦しい中年男性。
学長 (がくちょう)
霊台方寸山斜月三星洞の学長。神仙を自称している小柄な老人。名前のない石ザルに孫悟空という名を与えた。学園の運営費用に関して、いつも頭を悩ませている。
教頭師匠 (きょうとうせんせい)
霊台方寸山斜月三星洞のナンバー2で、教頭をつとめる中年の男性。石ザルの素質を見抜き、霊台方寸山斜月三星洞に特待生で入学させるよう学長に薦めた。妖怪に故郷を全滅させられ、家族を奪われた過去を持つ。この世から妖怪を絶滅させる夢を石ザルに託し、七十三通りの術を授けた。
妖怪 (ようかい)
『西遊記—石ザル冒険物語』に出てくる用語。欲望のまま生き、その心の醜さが表に出て姿形が変わってしまった人間をこの世界は妖怪と呼ぶ。また、人間に憧れて人間に化けている動物も妖怪とされる。妖術を使って人間に悪さをする。
集団・組織
天和院 (てんぽういん)
『西遊記—石ザル冒険物語』に登場する組織。南贍部州にある修行場。ここで修行すれば妖術が身につけられるという評判がある。しかし実態は、陰で麻薬を栽培し、暴利を得ている組織。誘惑に負けない麻薬栽培者を養成するため、院生に厳しい修行を強要していた。
霊台方寸山斜月三星洞 (れいだいほうすんざんしゃげつさんせいどう)
『西遊記—石ザル冒険物語』に登場する学校。西賀牛州随一の妖術学校との評判をとっている。石ザルが偶然たどり着いた妖術学校だが、ここで生涯の師に出会うことができた。
場所
花果山 (かかざん)
『西遊記—石ザル冒険物語』に登場する地名。東勝神州(とうしょうしんしゅう)の大海の彼方にある傲来国(ごうらいこく)の海の端にある大きな島。この島の一番高い山の頂上に石ザルを産んだ大岩があった。
水簾洞 (すいれんどう)
『西遊記—石ザル冒険物語』の登場する地名。花果山の大滝の瀑布によって隠されている広大な居住地。石ザルによって発見された。虎などの外敵が現れず、果実も食べ放題という、まさにサルにとっての桃源郷。石ザルは水簾洞でサルの群れのボスとなったが、平和な毎日に飽き、妖術を身につけるためためこの地を旅だった。