西遊記

西遊記

強い嗜虐性を持ち、狼藉を働いて五行山に閉じ込められた石ザルの孫悟空が、のちに唐の坊僧三蔵法師に助けられ、猪悟能、沙悟浄、玉竜と共に遥か西方の天竺へと、経典を取りに向かう旅に出る。中国三大怪奇小説である「西遊記」を原作としたフルカラーコミックス。詩篇と回目(見出し)の訳は中野美代子が協力している。

正式名称
西遊記
ふりがな
さいゆうき
作者
ジャンル
怪談・伝奇
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概要・あらすじ

激しい雷雨のなか、海に囲まれた傲来国の花果山にある大きな岩山に雷が落ち、割れた岩の中から1匹の石猿が生まれた。その石猿は自ら美猴王と名乗り、周囲に生息している猿たちを統べ、酒盛りをして自由気ままに毎日を過ごしていた。やがて、この幸せな日々にも限りがあるだろうと将来を憂うようになる。死後の閻魔大王からの迎えを恐れて止まない美猴王に対し、1匹の猿が、この世で閻魔大王の指図を受けずに天界に住むことができるのは、仏と仙と神聖のみにしか与えられない特権で、この三方は輪廻を逃れ不生不滅であると告げる。

その三方に学べば不老不死になれるだろうと確信した美猴王は、不老不死を求めて閻浮世界の古洞仙様の内に住んでいるとされている仙人を探しに単身旅立つ。

登場人物・キャラクター

孫悟空 (そんごくう)

傲来国の花果山にある大きな岩山から生まれた石猿。目の周りが赤く、岩山から生まれ出た当初は目から光を放っていた。傲慢で独占欲の強い性格で、生まれて間もなく岩山の周囲に生息していた猿たちを下僕にして猿の王様として君臨していた。不老不死の術を授かるべく旅をした末、須菩提祖師のもとに辿り着き、孫悟空という名を与えられ、弟子として育てられる。 祖師から七十二変化の術、筋斗雲の法などさまざまな術を体得し、花果山に現れた混世魔王という怪物を退治した。天界にもその名が知れ渡るようになり、遂には念願の天界に招かれることになった。しかし、玉帝より馬の番を任命されたのが気に入らず大暴れしたり、竜宮城の竜王から如意金箍棒(にょいきんこぼう)を脅し取ったり、自ら「斉天大聖」と名乗りあげるなど、その性格は変わることはなかった。 仙桃の農園である蟠桃園の管理を任された際、実った桃をつまみ食いするだけでは留まらず、西王母の主催する蟠桃勝会のために用意されていたお酒や山海の珍味を飲み食いした末、職務を放棄してしまう。

三蔵法師 (さんぞうほうし)

高僧の男性。唐の第二皇帝太宗のもとで法会を営んでいる。頭髪は剃りあげており、眉毛の両端が2つに分かれている。太宗の宮殿の近くにある化生寺(けしょうじ)に住む高僧。坊主の姿に変化(へんげ)して下界に降りた観世音菩薩から、天竺へと経典を取りに向かう旅に出ることを命じられ、輪廻に落ちることを免れる袈裟と、身を守ってくれる錫杖を手渡される。 道中で洞穴に落ちたり、虎に襲われたりするも、老人の姿に扮した大白星や山の猟師の劉伯欽らに助けられ、何とか一命を取り留める。旅の途中で孫悟空をはじめ、玉竜、猪悟能、沙悟浄といった妖仙を従えることになる。

猪悟能 (ちょごのう)

豚の容貌をした半妖の男性。もとは天の河に住む「天蓬元帥」という名の天界の住人であった。酒に酔った勢いで他人の妻に手を出そうとしたため、玉帝から金槌打ち二千のお仕置きを受けた後に下界に流された。この時、人間として生まれ変わるはずだったが牝豚の体内に宿り、豚の半妖の姿となってしまった。その後、福陵山にて人間を食べて生きてきた。 坊主の姿に変化して下界に降りた観世音菩薩に出会い、今まで犯してきた罪を悔い改め、三蔵法師の弟子となって天竺への取経の旅のお供をすることを誓った。その時に観世音菩薩から猪悟能という法名を授かり、のちに三蔵法師のお供に付き従う際に「猪八戒」という名前を命名される。

沙悟浄 (さごじょう)

長い赤髪に灰茶色をした肌の、痩せぎすの半妖の男性。もとは天界にて玉帝の御車に侍っていた「捲簾大将」(けんれんたいしょう)という名の天界の住人であった。過去の蟠桃勝会の際に手をすべらせて玻璃の杯を壊し、その罪で下界に流され、赤髪に灰茶色をした肌の半妖の姿となってしまった。流沙河(りゅうさが)のほとりで旅人を食べて生活をしていたが、坊主の姿に変化して下界に降りた観世音菩薩に出会い、今まで犯してきた罪を悔い改め、三蔵法師の弟子となって天竺への取経の旅のお供をすることを誓った。 その時に観世音菩薩から沙悟浄という法名を授かった。のちに三蔵法師のお供に付き従う際に、頭頂部の頭髪を剃り落とし、三蔵法師から「沙和尚」と命名される。

玉竜 (ぎょくりゅう)

三蔵法師に付き従う白い馬。もとは天界の西界竜王・敖潤(ごうじゅん)の第三子であったが、火事を起こして父親が大切にしていた御殿の宝玉を焼いてしまった。これにより父親の逆鱗に触れ、天宮に訴えられた後に玉帝に空中に吊るし上げられ、懲罰を加えられていた。そして、もうじき死刑になるというところで、坊主の姿に変化して下界に降りていた観世音菩薩と出会う。 天上に帰還した観世音菩薩は、玉竜が自らの罪を悔いていることを斟酌して欲しいと玉帝に懇願。玉帝から、玉竜が三蔵法師の乗り物として奉仕をするならば罪を赦免すると言い渡され、観世音菩薩の術で竜から白馬の姿に変えられた。

玉帝 (ぎょくてい)

天界にて最も位の高い男性。鼻の下と顎に長い髭を蓄えており、大きな耳たぶをしている。金闕雲宮にある霊霄殿という名の御殿に住み、天界を支配している。千里眼と順風耳という側近を用いて下界の様子を監視しており、孫悟空が生まれた際に発した光の出処を探らせていた。のちに孫悟空を天界に招き、馬の番、そして仙桃の農園・蟠桃園の管理を任命する。

釈迦如来 (しゃかにょらい)

天界の西方にある、極楽世界を統べる男性。釈迦牟尼、南無阿弥陀仏とも呼ばれている。口の周りに髭を生やしており、大きな福耳をしている。また金色の袈裟を着用し、首から金色の首飾りをぶら下げている。謀反を起こして下界で暴れていた孫悟空を捕らえたものの、宮殿中を荒らしまわる様子に困り果てた玉帝に頼まれ、孫悟空を五行山の岩山の下に閉じ込めた。

須菩提祖師 (しゅぼだいそし)

斜月三星洞と呼ばれる洞窟に住む仙人の男性。三星洞は南贍部洲(なんせんぶしゅう)の港町から南に七里半下った先にある。白髪で長い顎鬚を蓄えており、眉毛の両端が顔からはみ出すほどに長い。30~40人もの弟子を抱える仙人で、弟子入りするには高い競争率を乗り越えなければならない。孫悟空も彼に弟子入りを志願しており、孫悟空という法名を名付け、筋斗雲の術をはじめとする数々の仙術を孫悟空に教えた。

観世音菩薩 (かんぜおんぼさつ)

三災を払い、八難を救うとされる天界の住人の男性。南海の普陀落伽仙(ふだらくかせん)に住む。長髪で大きくて長い福耳をしており、金色の眩い装飾品と着物を身に着けている。西王母が主催する蟠桃勝会に赴いた際に、赤脚大羅仙に化けた孫悟空によってめちゃくちゃに荒らされた会場の様子を気に病み、下界に降りて暴れている孫悟空の様子を探ってくるように恵岸行者に命じた。 釈迦如来の命により、弟子の恵岸行者と共に取経の旅へと向かわせる僧侶を探すことを引き受け、坊主の姿に変化して下界に降りた。

混世魔王 (こんせいまおう)

孫悟空が天界にいる間に、下界の石ザルたちの住む傲来国を占領しようと企んでいる魔物。人間の何倍もある巨大な身体をしており、肌は水色で両目は見開き、大きな牙が下顎から2本生えている。混世魔王は雲と共にやって来て霧と共に去り、やって来る時には、必ず強風と雷雨を伴うので、詳しい住処は突き止めることができていない。

竜王 (りゅうおう)

東海の海を統べる、水晶宮の主の男性。頭は竜で、鼻の先と顎に白い髭を生やしている。出生して間もなく出家修行をした末に不生不滅の体を得た。南海に敖欽(ごうきん)、北海に敖順(ごうじゅん)、西海に敖閏(ごうじゅん)という兄弟がおり、それぞれの地域の海を統べている。多くの貴重な武器を貯蔵しており、刀から刺叉(さすまた)、重さ七千二百斤にもなる画戟までその種類は豊富。 孫悟空の持つ如意金箍棒も、元々は竜王のコレクションのうちのひとつ。

太白金星 (たいはくきんせい)

天界の住人で、玉帝の側近の男性。白髪で、鼻の下と顎に長い髭を蓄えている。孫悟空の下界での暴れぶりに手を焼いていた玉帝に、孫悟空を天界に招いて何らかの官職を授けて監視をすることを進言し、玉帝の使者として孫悟空を天界に招いた。また、天竺へと向かう道中で三蔵法師が妖怪に捕らわれた際には、縄を解いて助け出した。

千里眼 (せんりがん)

天界の住人で、玉帝の側近の男性。痩せて骨張り、頭髪はなく、下唇の周りに髭を生やしている。レンズとレンズの間に「千里眼」と書かれたスコープのような機械を顔に装着しており、遠くの景色を見ることができる。玉帝の命により、下界で暴れる孫悟空の様子を探っていた。

順風耳 (じゅんぷうし)

天界の住人で、玉帝の側近の男性。恰幅が良く、頭髪はない。口の両端に髭を生やしており、「順風耳」と縦書きされたバンドを頭部に付けている。顔と同じくらい大きな福耳を持ち、この耳で遠くの音を聞き取ることができる。玉帝の命により、下界で暴れる孫悟空の様子を探っていた。

独角鬼王 (どっかくきおう)

下界の鬼。赤い肌をした鬼と青い肌をした鬼が存在し、それぞれ頭部に大きな角を生やしている。十数年ぶりに天界から下界に戻って来た孫悟空に、赭黄袍(しゃこうほう)という赤みを帯びた代赭色の上着を献上し、孫悟空から下界の猿の軍団の前部総督の先鋒に任命された。

托塔李天王 (たくとうりてんおう)

毘沙門天の俗称で、仏教における4人の守護神のうちの一人の男性。大柄で口の周りに髭を蓄えている。甲冑で全身を覆っており、手のひらに小さな宝塔を載せている。謀反を起こして下界で暴れている孫悟空を捕らえるために、玉帝から下界に出兵することを命じられた。

哪吒太子 (なたたいし)

托塔李天王の三男の少年。青い髪を頭頂部の両端でお団子状にまとめている。蓮の花を模した衣服を着用しており、戦闘の際には顔に赤い模様が浮かび、頭が3個、手が6本に増え、足もとに車輪の形をした風火二輪を使用して浮遊し、手には剣を持って戦う。謀反を起こして下界で暴れている孫悟空を捕らえるために、玉帝から下界への出兵を命じられた。

許旌陽真人 (きょせいようしんじん)

天界の住人で、玉帝の側近の男性。口の両端に髭を生やしており、青い着物を着用している。毎日酒を飲んで遊び暮らしている孫悟空が、いずれ暇を持て余して退屈しのぎに暴れて騒ぎを起こすのではないかと懸念し、面倒が起きる前に孫悟空に何かしらの仕事を与えるべきだと玉帝に進言した。

西王母 (せいおうぼ)

天界の住人の女性。宝石のはめ込まれた大きな冠を被り、彩色煌びやかな着物を着用している。中国の神話上の仙人で、西方の崑崙山(こんろんさん)に住み、不老不死の薬を持つと言われている。天女を多数側近として囲っており、使いの天女に蟠桃勝会を開くために蟠桃園に桃を取りに行かせた。

赤脚大羅仙 (せききゃくだいらせん)

天界の住人の男性。短髪で口の周りに髭を生やしており、赤い羽衣を羽織っている。西王母が主催する蟠桃勝会に招かれ、筋斗雲の術を使って会場に向っていたところで孫悟空と出くわす。この時、蟠桃勝会の会場とはまったく違う場所に向かうよう、孫悟空からそそのかされ、変化の術で赤脚大羅仙になりすました孫悟空が、蟠桃勝会の会場に向かうことになった。

恵岸行者 (えがんぎょうじゃ)

観世音菩薩の弟子の男性。托塔李天王の次男で哪吒太子の兄にあたる。大きな鼻と福耳が特徴。観世音菩薩の命により、謀反を起こして下界で暴れている孫悟空の様子を探ったり、観世音菩薩に同行して取経の旅へと向かわせる僧侶を探すため、坊主の姿に変化して下界に降りたりと、観世音菩薩の右腕として働いている。

巨霊天将 (きょれいてんしょう)

托塔李天王の部下の男性。大柄で、髪の毛を真ん中で分けており、体毛が濃く、耳の下から両頬の辺りまで生えたもみあげが、鼻の付近にまで至っている。黄土色の着物の上から緑色の胸当てを身に着けている。謀反を起こして下界で暴れている孫悟空を捕らえるために、玉帝から下界への出兵を命じられた托塔李天王指揮下の部隊の先鋒として、孫悟空と一戦を交えた。

二郎神君 (じろうしんくん)

天界の住人で、玉帝の甥にあたる男性。額に3つめの目と、大きくて長い福耳を持ち、金色の鎧の上から青い着物を羽織っている。謀反を起こして下界で暴れている孫悟空を捕らえようと下界に向かい、長く苦戦を強いられていた托塔李天王から、救援の要請を受けた玉帝が、二郎神君に出兵を依頼。梅山の六兄弟を引き連れて、孫悟空と相見える。 変化の術が得意で、巨大な化け物の姿になったり、鷲になったり鶴になったりと、同じく変化の術を駆使して応戦する孫悟空に対して奮戦した。

太上老君 (たいじょうろうくん)

道教の神の男性。またの名を道教の始祖・老子という。背が小さくあばらが見える位に痩せており、頭髪が後退し、眉毛の両端が垂れさがっている。また、耳から鼻にかけて髭を蓄えている。謀反を起こして下界で暴れている孫悟空を捕らえるために下界に向かった玉帝と観世音菩薩に同行し、霊妙な力を持つ金鋼琢(きんこうたく)という腕輪を用いて、二郎神君と戦っている最中の孫悟空を捕らえた。

太宗 (たいそう)

下界の男性。唐の第二代皇帝・李世民。赤い着物を身に着け、口の周りに髭を蓄えている。仏門を敬い、自らが住んでいる宮殿の側にある化生寺(けしょうじ)に住む高僧の三蔵法師が、天竺へと経典を取りに向かう旅に出る際に、義兄弟の契りを交わし、旅立ちを手厚くもてなした。

劉伯欽 (りゅうはくきん)

山の中に住む漁師の男性。大柄で口の周りに髭を蓄えており、頭部に虎の毛皮で出来た頭巾を被っている。山中で虎に襲われた三蔵法師を救い、自らの住んでいる山小屋に一晩泊める。妻と老いた母親と共に暮らしており、三蔵法師が泊まった日の次の日がちょうど父親の一周忌にあたったため、三蔵法師に法事を頼む。

翠蘭 (すいらん)

猪悟能の妻。烏斯蔵国(チベット)の領地の村に住む。桃色の着物を身に着け、長い髪を頭頂部で2つに束ねている。姉が2人おり、一番上の姉が「香蘭」、二番目の姉が「玉蘭」という名で、2人とも昔から村に住んでいる男性のもとへ嫁いだ。翠蘭は村に来て間もなく、父親の希望で、身寄りもない猪悟能を婿として迎え入れた。しかし、日が経つにつれて人の姿から豚の半妖へと姿を変えた猪悟能によって、家の奥にある棟に閉じ込められてしまった。

場所

花果山 (かかざん)

傲来国という火山島の噴火山。東勝神州の海の東の沖合に浮かぶ。岩ばかりでできた山で、周囲には山猿がたくさん生息している。崖の上では双の鳳凰が、削壁の前では麒麟が、峰では錦鶏が鳴き交わし、石窟には龍が出入りするといわれている。この花果山の頂上にある大きな岩に雷が落ち、割れた岩の中から孫悟空が生まれた。

霊霄殿 (れいしょうでん)

玉帝が住んでいる宮殿。天界の金闕雲宮にある巨大な円形の宮殿。周囲は雲で囲まれ、宮殿の外側の東西南北それぞれに門があり、人の往来を厳重に管理している。孫悟空が初めて天界に招かれた際にもこの宮殿に赴き、玉帝より馬の番を任命された。謀反を起こして下界で暴れている孫悟空を捕らえたときに、連れてこられたのも、この宮殿。 のちに孫悟空は宮殿中を暴れ回り、霊霄殿の外側にある通明殿を半壊させた。

水晶宮 (すいしょうぐう)

東海の水中深くに建っている、竜王が住む城。周囲は半魚人が警備して回っている。孫悟空が水晶宮に行った際に、半魚人から、どこに行くのか尋ねられた後、城までの案内をしてもらっている。城の中には半魚人の他、上半身が人間の女性で下半身が魚の尻尾という女性が竜王の身の回りの世話をしており、孫悟空が城に着いた際にもてなしをしてくれた。

蟠桃園 (ばんとうえん)

天界の仙桃の農園。蟠桃は仙境の桃のことを言い、蟠桃園は桃園ないし桃林の意味。蟠桃園の桃は三千六百株もあり、そのうち前側にある千二百株は花と実が小さく、三千年に一度熟す。人がこれを食せば仙人になり、体は健やか、身は軽くなると言われている。中程にある千二百株は花が八重で実が甘く、六千年に一度熟す。人がこれを食せば霞に乗って天翔り、不老不死になると言われている。 後ろ側にある千二百株には紫の紋様があり、核があさぎ色をしていて、九千年に一度熟す。人がこれを食せば天地と齢を斉(ひと)しくし、日月と庚(とし)を同じくすると言われている。孫悟空はこの蟠桃園に居を構え、蟠桃園の管理を玉帝から任されることになった。

五行山 (ごぎょうざん)

孫悟空が釈迦如来によって閉じ込められた岩山。孫悟空が下敷きになっている大きな岩の中央に、五行山と彫り込みがされてある。孫悟空がこの山に閉じ込められて五百年が経ち、大唐の王が西へ軍を進めて国を定めてからは、両界山と改名された。

その他キーワード

筋斗雲 (きんとうん)

須菩提祖師が孫悟空に教えた術のひとつ。術を唱えると雲の塊が目の前に現れ、その雲に乗ることが可能となる。十万八千里をひとっ飛びできる程の速さで移動することができ、坊主の姿に変化して下界に降りていた観世音菩薩も、移動手段としてこの術を使用していた。

如意金箍棒 (にょいきんこぼう)

孫悟空が愛用している武器。黒くて長い鉄の棒で、両端に金の輪が付いており、持ち手の部分には「如意金箍棒 重一万三千五百斤」と掘られている。太さと長さを自由自在に変えることが可能で、どこまでも伸ばすこともできるし、耳の中にしまえるほどに小さくすることもできる。元々は東海の水中奥深くの水晶宮に住む竜王が大切に貯蔵していたが、半ば脅し取るようにして孫悟空が譲り受けた。

蟠桃勝会 (ばんとうしょうえ)

天界の住人による盛大な宴会。桃の節会(せちえ)で、西王母が主催し、西方の観世音菩薩、聖僧(ひじり)、羅漢(らかん)、南方の南極観音(なんきょくかんのん)、東方の崇恩聖帝(すうおんせいてい)といった五方の五老をはじめ、十州・三島の仙人、北方の北極玄霊(ほっきょくげんれい)、中央の黄極黄角大仙(こうきょくこうかくたいせん)など、天界の多くの住人が招かれる。 この宴には蟠桃園の桃が、酒と共に卓に並べられるのだが、孫悟空に蟠桃園の管理を任命したがために、蟠桃園の桃はほとんど食べ尽くされてしまった。

孟蘭盆会 (うらぼんえ)

霊山の雷音寺にて催される仏事。陰暦七月に、餓鬼道などに落ちて苦しんでいる亡者のために、食物を供えて苦から救う仏事。釈迦如来をはじめ、福星、禄星、寿星など、多くの仙人が集まる。この仏事での話し合いにて、取経の旅へと向かわせる僧侶を下界から探すことを、観世音菩薩が釈迦如来から引き受けた。

クレジット

協力

中野美代子

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