山怪 壱 阿仁マタギの山

山怪 壱 阿仁マタギの山

田中康弘の怪談集『山怪 山人が語る不思議な話』のコミカライズ作品。日本の山に古来から潜む、得体の知れない何か。生物なのか非生物なのかもわからず、古今東西さまざまな形で老若男女を脅かす謎の存在。そんな山の怪異である「山怪」に遭遇した人々の不可思議なエピソードを集めた怪異譚。「コミックボーダー」で2018年12月から配信の作品。

正式名称
山怪 壱 阿仁マタギの山
ふりがな
さんかい いち あにまたぎのやま
原作者
田中 康弘
漫画
ジャンル
怪談・伝奇
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あらすじ

第1巻

秋田県の北都、今は北秋田市となっているマタギ発祥の地として知られる旧阿仁町。その中でも、特に奥まった場所に位置する打当集落の出身である鈴木英は、幼い日の夕方、親戚を出迎えようと母親といっしょに家の外に立っていた。そんな彼女の目に、ふと野生の狐の姿が映る。生きた狐を見るのが初めてだった英が、夢中になって狐を追いかけると、その狐は英の前で信じられないほどの跳躍を見せたあと、尻尾を回しながら「ベロベロ」と怪しく光るのだった。(エピソード「狐火があふれる地」。ほか、16エピソード収録)

登場人物・キャラクター

鈴木 英

秋田県の打当に住んでいる女性。昭和9年生まれで、マタギの家系。幼少の頃、母親といっしょに親戚を出迎えようと家の前にいたところ、狐を発見したため思わずあとを追いかける。そこで狐が天高くぴょんと跳んだうえ、「ベロベロ」と光る姿を目撃してしまう。

富山の薬売り

熊の胆を求めてマタギの集落を訪れていた商人の男性。マタギの家を回って、薬の材料になる熊の胆や、乾燥した血液や骨を買い集めていた。買い付けに来る途中で、突如として行方不明になり、山中の池につかって凍えているところを発見された。富山の薬売り本人は、山中で出会った美女といっしょに風呂に入ったつもりだったと語っている。

集落の男

秋田県の打当に住んでいるマタギの男性。山の怪異に化かされた富山の薬売りの真相を調べるため、単身で山に踏み込む。そこで得体の知れない、凄まじい形相をした怪物の姿を目撃し、三日三晩寝込んでしまう。

泉 健太郎

秋田県の打当に住んでいる男性。中学生の頃に部活帰りで遅くなり、近道を通って帰宅している最中に、子供心に恐怖を覚えていた辻の周辺で、謎の夜店に遭遇した経験を持つ。のちに祖母と定期市に行った帰りにも、トロッコ橋の上から件の夜店が開いているのを目撃する。

おじさん

秋田県の打当に住んでいる男性。清流魚のカジカを獲るため、夜中にヤスを担いで川に入っていた際、何者かにカジカの入ったビクを引っ張られてしまう。最初は風のせいかと思っていたが、何度も引っ張られるうちに、それが風のせいではないことを悟る。

打当集落を訪れた男

所要で打当を訪れた男性。打当に来る途中、狐の親子に出合い、トラックで追い回したことを集落の住民に酒の席で話していた。打当に宿泊するが、その夜に現れた謎の美女に魅入られ、一晩中集落をさまようことになってしまう。

鈴木進の従兄弟

秋田県の打当に住む鈴木進の従兄弟の男性。山中の狭い道を一列になって歩いている最中に、手に編み機を持っているきれいな女性とすれ違う。二日連続で同じ女性とすれ違ったため、不審に思っていたが、ほかの人間にはその姿自体が見えていなかった。

鈴木 英雄

秋田県の打当に住んでいる男性。過去に小さなスキー場があった牧草地に草を刈りに行くと、上の方から何者かが木を切る「コンコン」という音を聞く。しかし、その牧草地の上の方にはそもそも木が存在しなかった。

佐藤 国男

秋田県の根子集落に住んでいる男性。山の奥まで頻繁に山菜採りに行っているため、息子の佐藤弘二から心配されている。弘二から山野草がいっぱい生えた、きれいな池のほとりを見つけたと知らされ、確認のために家族総出で現地まで向かう。しかし、そこには山野草も池も何もなく、ただ広大な森が広がっているだけだった。

佐藤 弘二

秋田県の根子集落に住んでいるマタギの男性で、佐藤国男の息子。ある冬の日、訓練のために山中に雪洞を掘り、夜明かしをしている最中、猛吹雪の中から何者かが自分の名を呼んでいるのを聞いてしまう。雪洞を出て声の主を探すものの、それが人間でないことに気づき、すぐに雪洞へと引き返していた。

写真好きの男性

秋田県の根子集落に住んでいる男性。写真が大好きで、何か行事があると撮影を買って出て、プリントが出来上がると一軒一軒の家を回って写真を配り歩いていた。貰った側も酒を一杯ごちそうするのが恒例となっていたが、ある日いつものように写真を渡して飲んだあとに行方不明となる。村の住人が心配になって捜すと、山の中で彼にしか見えていない「座頭市」と大立ち回りをしている姿が目撃される。

西根 稔

秋田県の荒瀬に住んでいる鍛冶屋の男性。ある日、露熊に行くために山を歩いていると、山道に置いてある大きな土管を見つける。山奥に土管があるのを不審がった稔が土管をよく見ると、その正体が大蛇の胴体であることが判明する。

ベテラン猟師

秋田県の打当に住んでいるマタギの男性。同じマタギの猟師と複数で熊猟に出向くが、持ち場についたあと、無線に出なくなって行方不明となる。心配した仲間が捜していたが見つからず、のちに数キロ離れた山中で作業員に発見された。

高堰 幸一

秋田県の打当に住んでいる男性。森吉山の工事現場で仕事をしている時に、後ろで何者かの話し声が聞こえるようになり、そのうち家にまで霊がついてくるようになってしまう。その霊が妻に憑依し、大変な騒ぎになってしまう。

鈴木 達郎

秋田県の打当に住んでいるマタギの男性。ある年カゼをこじらせ、肺炎を併発して死の淵をさまよってしまう。危篤状態に陥った夜、誰もいない寺の境内で自分の葬儀の準備がされている不思議な夢を見る。

伊藤

秋田県の伏影に住んでいるマタギの男性。若い頃に根子周辺にウサギを狩りにいった際、斜面に這いつくばっているライオンのような凶悪な面構えをした、謎の怪物に遭遇。這々の体で仲間のもとに逃げ帰るものの、誰にもその話を信用してもらえなかったという苦い過去を持つ。また、田舎道を軽トラックで飛ばしている最中に、謎の狐に延々とつけ回されるという経験もしていた。

老婆

秋田県に住んでいる老婆。現地でまともな買い物ができなかった昔、阿仁合まで買い出しにいった帰りの道で、謎の提灯を目撃。村人が迎えに来てくれたと思い、提灯についていったところ、行方不明になってしまう。

クレジット

原作

田中 康弘

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