覇王の剣

覇王の剣

「三国志」の英雄たちの戦いを、作者独自の解釈で描く歴史活劇。「週間少年マガジン」2004年第40号から2005年第21号にかけて連載された作品。

正式名称
覇王の剣
ふりがな
はおうのけん
作者
ジャンル
三国時代
 
時代劇
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概要・あらすじ

中国の後漢、家族と生き別れた幼い張飛は、関羽と出会う。そして2人は道中知り合った劉備玄徳と共に黄巾賊と戦う中で信頼を深め、義兄弟の契りを交わす。その後成長した張飛、関羽、劉備は、曹操孟徳の呼び掛けに応じて反董卓軍に参加。反董卓軍には江東の虎・孫堅文台、名門の御曹司・袁紹本初など錚々たる顔ぶれが集まった。

彼らは最強の兵士・呂布奉先を擁する董卓討伐を目指す。

登場人物・キャラクター

張飛 (ちょうひ)

子供の時に村が襲われ、家族と生き別れる。関羽と出会って一緒に旅をする中、劉備玄徳に助けられ、劉備と関羽の義兄弟になる。幼い頃から力自慢で、大男にも俊敏に取りつき、首を絞めて倒すことができた。長じてからは身体も大きくなり、ますます力で相手を制することに長ける。少年の頃は身体が小さく「阿飛」と呼ばれる。

関羽 (かんう)

1人で旅をしていた少年。ずっと1人でいるうちに自分の出身も家族も分からなくなっていたが、同じく1人でいる張飛を弟として迎え入れる。青龍刀の使い手。張飛と共に徴兵に応じたあと、劉備玄徳に誘われ黄巾賊と戦うことになった。その時、張飛を見捨てなかった劉備を深く信頼し、名実共に義兄弟となる。

劉備玄徳 (りゅうびげんとく)

漢王朝の末裔の証と思われる「鉄を砕く鉄で打たれた剣」を持つ青年。伝令の仕事をしていた際に、町で喧嘩していた少年の関羽と張飛を助けた。その後、他の領地で兵として戦いに参加していた2人を伴って黄巾賊と戦ったのをきっかけに義兄弟となる。

曹操孟徳 (そうそうもうとく)

董卓討伐を呼び掛け、反董卓軍を結成する。劉備玄徳の力を認めており、客将として招いた。自身も中原の覇者を狙っており、そのためには従兄弟で側近である夏侯惇元譲が人質に取られても見捨てた。しかしそれによって夏侯惇は余計に曹操孟徳を主に足る人物と認め、忠誠を誓うこととなった。他に親戚でもある側近として夏侯淵、曹仁、曹洪などがいる。

夏侯惇元譲 (かこうとんげんじょう)

曹操孟徳の従兄弟で側近。洛陽に董卓を入れまいとする曹操と共に戦い、董卓軍に人質に取られるが、曹操は夏侯惇元譲を見捨てて董卓を討つと語った。その言葉に動揺した兵士の隙をついて夏侯淵が攻撃を開始したことで命拾いをする。私情に動かされない曹操の姿に、夏侯惇は彼を主に足る人物と認め、ますます忠誠を誓った。虎牢関の戦いで呂布奉先に目を射られ片目になる。

袁紹本初 (えんしょうほんしょ)

冀州渤海太守。汝南郡出身。四代続いて三公を出した名門・袁家の御曹司で、曹操孟徳とは幼馴染。それゆえ、曹操からは早めに出陣と援軍を要請されるが、周囲の状況を見てから曹操に与するかを決めた。同盟軍である孫堅文台への援軍をわざと送らなかったり、自己中心的な人物。董卓を倒した後の覇権を狙っている。

袁術 (えんじゅつ)

南陽太守。袁家の一員。2万人以上の軍を率いて曹操孟徳の呼び掛けに応じる。孫堅文台への後方支援部隊として出発するが、同じ袁家の袁紹に道に迷った振りをして冀州へ戻るように言われ、その通りにする。

孫堅文台 (そんけんぶんだい)

長沙太守で、水上での戦いを得意とする。通称「江東の虎」。息子の孫策伯符を連れて曹操孟徳の董卓討伐の呼び掛けに四万三千の大軍を率いて応じる。彼の参加により、各国の武将が次々と反董卓軍に加わった。その功績により、曹操に汜水関の戦いで先鋒を任される。日焼けした肌にバンダナを巻いた明るい人物である。

孫策伯符 (そんさくはくふ)

孫堅文台と共に反董卓軍に参加する。汜水関の戦いが初陣で、張飛、関羽より幼い。やや破天荒でがさつなところのある父の孫堅とは違い、良識的で育ちの良さが窺える少年。董卓軍との戦いで命の危険にさらされるが、援軍に来た劉備玄徳に助けられる。

黄蓋 (こうがい)

孫堅文台の側近の武将。董卓軍との戦いでも孫堅の側に使え、劣勢になった際に孫策伯符を護衛し、敵中を落ち延びるよう、孫堅に託される。孫策は援軍として来た劉備玄徳に助けられた。

董卓 (とうたく)

丁原に仕えていた呂布奉先に赤兎馬を下して、自軍に寝返らせた。その後、呂布が加わり増した武力を用いて当時の都・洛陽を乗っ取る。勝手に少帝を廃し可后を殺し、献帝をすえ、その宰相となって朝廷を好き放題にする。反董卓軍に攻められ、洛陽に火を放つ。

呂布奉先 (りょふほうせん)

最強の兵士。丁原軍にいる時に陳宮公台と出会う。非常に口が重く、陳宮の口利きがないと手柄を上げても示すことができなかったほど。丁原を裏切り、董卓に仕えた見返りに赤兎馬を得て、ますます強くなった。張飛とは2度戦っており、感情の起伏のない呂布奉先には珍しく張飛との戦いには意味を見出している。

陳宮公台 (ちんきゅうこうだい)

曹操孟徳の配下から丁原軍に移った。その戦場にて幽鬼のように歩く呂布奉先と出会う。猛烈に強く敵将の首を幾つも上げているのに、口が重く論功行賞にも全く参加できない呂布の代わりに、呂布を売り込む。その後も呂布を利用し、名を上げていく。

張宝 (ちょうほう)

黄巾賊の首領の1人で、三兄弟の次男。黄巾賊の大将で黒馬に乗っている。公孫瓚軍の別働隊として動いていた劉備玄徳、関羽、張飛、趙雲子龍の軍と対決する。混戦の中、裸一騎になったところを劉備に狙われるが、自分は張宝ではないなどと言って逃げようとした。

張梁 (ちょうりょう)

黄巾賊の首領の1人。関羽、張飛が最初に徴兵された城を襲った黄巾賊の大将。劉備玄徳、関羽、張飛の作戦により道中の橋を落とされ、十騎ほどの少人数で城を襲うことになる。黄巾賊の男の馬に乗り、その乗り手である男を盾にして進む張飛を、その部下ごと斬った。劉備と対決し殺される。

盧植 (ろしょく)

北中郎将。北方の黄巾討伐の総大将。劉備玄徳が15歳から学んだ師。関羽、張飛を連れて戻った劉備に背後から急に襲いかかってその反応を楽しむなど、くだけた性格の人物。仕官したいと言う劉備を、劉備の兄弟子の公孫?伯圭に任せる。

公孫瓚伯圭 (こうそんさんはくけい)

劉備玄徳の先輩で、同じく盧植のもとで学ぶ。北平太守。黄巾討伐軍を率い、鋸鹿を落とす。その際、劉備、関羽、張飛、趙雲子龍を別働隊として連れていった。のちに曹操孟徳の反董卓軍にも加わる。劉備には「公孫?先輩」と呼ばれている。

趙雲子龍 (ちょううんしりょう)

常山国真定の人。黄巾討伐軍の陣営で公孫瓚伯圭に劉備玄徳、関羽、張飛を紹介され、その後別働隊として彼らと行動を共にする。関羽の槍の紐を巻きなおすなど、よく気の付く性格。公孫瓚には「グズだが腕は立つ」と評される。

屈将軍 (くつしょうぐん)

関羽・張飛が最初に配属された城、幽州・某城の将軍。無能な指揮官で小作人を盾にして自分だけ逃げ出す。この将軍の下に配属されてからは劉備も、無能な将軍だから早くここから逃げるようにと、関羽と張飛に告げる。

お父っつあん (おとっつあん)

幽州の小作人。軍に参加した関羽と張飛が最初に配属された城で5人組を組まされた男。真面目な農民で戦うのは嫌いだが徴兵された。関羽と張飛には「お父っつあん」と呼ばれている。よく様子を見に来る幼い子供がいる。

美仙 (めいしぇん)

黄巾賊討伐の道中の村で出会った少女。村が襲われ父と兄を殺される。また、黄巾賊のために戦わないと殺すと脅され、張飛の命を狙う。もう死んでしまいたいと訴える彼女に、張飛は黄巾賊を倒すと約束する。

的魯 (てきろ)

劉備玄徳の白馬で主人以外は乗せない。誰が見ても優れた美しい馬で、黄巾賊に襲われていた関羽の前をこの馬が横切っただけで、賊は関羽を殺すより馬を手に入れようと関羽を無視してそちらに行ってしまった。劉備が関羽を助けるために馬だけを先に走らせたのだが、賢い的魯はその後劉備の下に自力で戻ってくる。

赤兎馬 (せきとば)

強く大きな馬。陳宮公台は、呂布奉先を董卓に寝返らせる条件として、この馬を彼に与えるようにと言った。初めて見た赤兎馬を陳宮はこんな大きな馬を見たことないと言い、手に入れた呂布は感動して泣いた。

集団・組織

黄巾賊 (こうきんぞく)

張角、張宝、張梁の三兄弟を首領とした集団。30万の軍勢を率いた大勢力。鋸鹿を本拠地とし、中原中を荒らしまわっている。中央黄巾討伐隊、北方黄巾討伐隊によって挟み撃ちにされ、張宝が討ち取られることによって、滅びた。

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