三国志

三国志

中国三国時代の戦乱を描いた軍記小説『三国志』(吉川英二著)をモチーフに描かれた壮大な歴史漫画。劉備玄徳・関羽雲長・張飛翼徳の三人の桃園の誓いから蜀の滅亡までを描いた大長編である。

概要

後漢時代の末期、朝廷内の争いによる漢王朝の衰退と共に世は乱れきっていた。政治は腐敗し、民は飢え、張角を中心とする宗教結社による武装蜂起・黄巾賊の乱があちこちで勃発していた。漢王室の末裔である劉備 玄徳は乱れた世を立て直すべく、2人の豪傑・関羽 雲長張飛 翼徳桃園の誓いで義兄弟の契りを交わし、黄巾賊の乱討伐のために義勇軍を結成し出陣する。

義勇軍は初陣の大興山で数万の黄巾賊を打ち破り、さらに青州城を救うと、劉備の幼少時代の師・盧植が指揮をとる広宗に救援に向かう。広宗で黄巾賊を火攻めの計で打ち破った劉備は宿命のライバル・曹操孟徳と運命の出会いをする。 天下を揺るがした黄巾賊の乱は平定され、都の洛陽では連日、盛大な祝勝会が続いた。十常侍に賄賂を贈った者への戦功報奨は手厚かった。しかし賄賂を贈らなかった劉備は田舎の警察署長の官職を得たのみだった。賄賂を要求してきた巡察官を張飛が叩きのめしたのを契機に、劉備は天下万民のために立ち上がろうと官職を捨て出奔する。

朝廷の宮廷内では大将軍・何進と十常侍の政争が続いていた。この争いに乗じた董卓 仲穎は大軍を洛陽の都に入城させる。朝廷を武力で制した董卓は大宴会の席上、今の帝を廃し陳留王を立てると宣言する。しかし荊州の丁原が強く反対したため、名馬「赤兎」を与え籠絡していた天下無双の豪傑・呂布 奉先(丁原の養子)に殺害させた。

朝廷をほしいままに操り始めた董卓に、曹操が異を唱え、逆賊・董卓追討の檄を発した。諸国の豪雄たちによる追討連合軍に劉備・関羽・張飛も加わっていく。先陣を切った呉の孫堅は大勝利をあげるが兵糧攻めにあい、窮地におちいる。敵の大群の中に関羽がたった一騎で敵将の首を獲りに駆け込んでいく。

董卓は洛陽から長安への遷都を強行し、洛陽の都を焼き払ってしまう。曹操は董卓軍に追いすがるが待ち伏せ攻撃を受け大惨敗を喫する。灰燼と帰した洛陽に入った孫堅は、焼け跡の井戸の中に皇帝の玉璽を発見し帰国してしまうが、袁紹は追討軍を勝手に抜けた孫堅に追っ手をさしむける。

董卓追討連合軍が解散すると、袁紹は、自国の兵糧不足を補うため、他国の領土を狙う。公孫サンの盛名を利用し、戦わずして冀州全土を手に入れるが冀州の半分を公孫サンに引き渡す約束を反故にした。怒った公孫サンは冀州に攻め込み袁紹軍と戦う。しかし公孫サンは袁紹軍の猛将、文醜により追い詰められる。そこに趙雲 子龍が現れ公孫サンを救うと袁紹軍を突破していく。公孫サンの援軍に駆けつけた劉備・関羽・張飛が更に追い打ちをかけ袁紹は退却。劉備は公孫サンを救った礼として平原の相に任じられる。

同じ頃、董卓追討連合軍で武功をたてた南陽の太守・袁術は、自国経済の低迷に頭を抱え、恩賞を授けてくれない兄・袁紹と荊州の劉表に深い恨みを抱いていた。袁術は長沙の孫堅を扇動し荊州を攻めさせようとする。孫堅はこの機会を逃さず荊州を手中に収めようと出陣する。

強引に長安に都を移してから董卓の権勢は更に高まり、その傍若無人な振る舞いはとどまるところを知らなかった。この事態を苦慮した司徒・王允は董卓暗殺計画を練る。その計画に必須なのが王允と同じ并州出身で董卓の身辺警護を勤めている呂布であった。そこへ董卓と呂布の仲にヒビが入る。董卓は侍女・貂蝉を呂布に与えるとの約束を反故にし、更に万座の中で董卓の機嫌を損ねた呂布に手槍を投げつけたのだ。呂布はこの恥辱を晴らすため、王允の董卓暗殺計画にに加担する決意を固める。

 呂布に奪われた領地を奪還しようとする曹操対呂布の因縁の戦いは、イナゴの大群により双方の兵糧が尽き中断となった。同じ時期、徐州へ救援軍として馳せ参じた劉備は病に倒れていた陶謙から太守の位を非公式に譲リ受ける。曹操は棚ぼたで太守となった劉備の運の強さに瞠目しつつ、再び呂布との激戦の渦中に身を投じて行った。曹操に打ち破られ兵を失った呂布は劉備の援護を求めていく。

 帝を意のままに操る曹操は、都を許昌へ移した。飛ぶ鳥を落とす勢いの曹操の気がかりは、徐州の太守・劉備と傘下に入った呂布の存在だった。曹操は劉備と呂布の共倒れを狙い二虎競食の計、駆虎呑狼の計を仕掛ける。

曹操のたくらみによる帝の勅命を受け、南陽へ出陣した劉備は張飛に後を任せる。しかし禁酒の誓いを破った張飛は大きな問題を引き起こす。

孫堅が亡くなり、孫策は伝国の玉璽を預ける代わりに袁術から兵を借り領土拡大を目指し出陣する。孫策は楊州の劉ヨウを撃破すると負け無しの快進撃を続ける。孫策は英傑として讃えられ小覇王とまで呼ばれるようになる。弓を扱えば百発百中の名手と呼ばれた劉ヨウ側の武将・太史慈が三千人の兵とともに部下となる。破竹の勢いを得た孫策は江南・江東までも手中にする。

董卓亡き後の敗残兵たちは曹操に復讐を誓い都・許昌を狙っていた。呂布に官位と恩賞を授け留守の間の後顧の憂いを払った曹操は十五万の兵で遠征する。

宛城の張繍は戦わずして降伏した。曹操は驕り高ぶり宛城の未亡人に心を奪われ油断する。そこを張繍が強襲、曹操は深手を負いながら辛くも許昌へたどり着く。

ようやく傷も癒えた頃、陳登が袁術と呂布の謀略を急報してくる。

南陽・宛城の張繍が劉表と組み許昌を襲う計画が露見した。曹操は、再び南陽討伐に出陣する。行軍は大変な暑さの中に行われ、倒れる兵士が続出した。疲労の極にあった曹操軍は作戦の裏もかかれ、あえなく惨敗する。しかも曹操と劉備が組んで進めていた呂布討伐の企みが発覚してしまう。呂布はすぐさま劉備の小沛を攻撃する。曹操の援軍も到着するが呂布の力攻めに小沛は落城。劉備は戦闘中に消息不明となる。 

登場人物・キャラクター

主人公

農村に住む優しい青年。母と二人でむしろや草履を売って貧乏暮らしをしているが、本当は漢王朝の末裔。自分の出生の秘密を知り、乱れた世を正して人々を救うことを決意。桃園の誓いで義兄弟の契りを結んだ関羽張飛と... 関連ページ:劉備 玄徳

大きな体と長い顎鬚が特徴の偉丈夫。理知的な性格で教養も高く、塾を開いて子供に学問を教えていたが、桃園の誓いで劉備玄徳張飛翼徳と義兄弟の契りを交わした後は、玄徳の漢王朝復興の夢に付き合う。三人の中では次... 関連ページ:関羽 雲長

全身傷だらけの蓬髪の大男。戦いで808人もの敵を倒したことから「八百八屍将軍(はっぴゃくはっししょうぐん)」と呼ばれていた。黄巾賊に滅ぼされた主君の仇を討つため機会を窺っていたところに劉備玄徳と出会い... 関連ページ:張飛 翼徳

趙雲 子龍

四角い顎と細い目が特徴の偉丈夫。諸国を遍歴し、様々な主君に仕えてきたが、劉備玄徳の徳に惚れて配下となる。槍を使わせれば右に出る者はなく、関羽張飛に並ぶ戦闘能力を持つ豪傑。実直で冷静な性格だが、ここ一番の度胸もあり、戦場での安定感はぴか一。

類まれな智謀と膨大な知識を持つ賢人。名を出すことを嫌って草蘆に隠遁していたが、劉備玄徳に再三の要請を受け、軍師となった。魏・呉・蜀、三国の戦力均衡によって平和を実現する天下三分の計を長期的な計画として... 関連ページ:諸葛亮 孔明

名門貴族の出身だが、ただならぬ野心を持ち、貪欲に立身出世を企てる野望の男。傲岸不遜な態度と、目的のためなら手段を選ばない非情さを併せ持ち、「乱世の奸雄」と称される。一方で徹底した合理主義・実力主義者で... 関連ページ:曹操 孟徳

孫権 仲謀

呉国の基礎を固めた兄孫策伯符の弟で、孫策亡き後わずか19歳で皇帝に即位する。内政力に長けており、新興国の呉を一代で大国にのし上げた。同時期に急成長を遂げた曹操孟徳と劉備玄徳を警戒しており、彼らの動向を注意深く観察して政策決定を行うことが多い。思慮深く慎重な政策を好むが、自身の性格は短気で怒りっぽい。

周瑜 公瑾

呉の水軍を指揮する水軍大都督。呉随一の優秀な軍師で、「美周郎」の異名を持つ美男子でもある。優れた才能を持っているのだが、諸葛亮孔明にだけはどうしても叶わず、何かにつけてその智謀に翻弄されてしまっていた。赤壁の戦いで共闘関係にあったにも関わらず、不安といら立ちから孔明を殺害しようと企む。

作中でも屈指の戦闘能力を誇り、その実力は関羽と張飛を同時に相手にできるほど。武芸に優れる一方、人格は褒められたものではなく、短気で思慮に欠ける性格。初めは義父・丁原の元で戦っていたが、功名心を刺激され... 関連ページ:呂布 奉先

董卓 仲穎

もとは辺境の豪族だったが、黄巾の乱討伐軍への参加を契機に宮廷に入り込み、自身の主導で幼い献帝を擁立して権力を握る。非情な性格のエゴイストで、自身の利益のために他者を犠牲にすることをいとわない。狡知に長けるところもあり、呂布を騙して自分の軍門に引き入れ、さまざまな手管を使って好きなように操った。

十常侍

後漢の第12代皇帝霊帝に仕える10人の宦官。幼い霊帝を傀儡とし、政治の実権を握った。後漢の衰退を決定づけた要因と言われており、袁紹の働きによって王室から排斥されるが、後に同様のポジションには董卓が座ることになる。

イベント・出来事

黄巾賊の乱

『三国志』に登場する架空の宗教結社による武装蜂起。太平道の教祖張角を首領とする農民反乱であり、構成員が黄色い頭巾を頭に巻いた事から、黄巾賊の乱の名がついた。「蒼天已死 黄夫當立(蒼天すでに死す 黄夫まさに立つべし)」という漢王朝の衰退を暗示する歌い文句を掲げている。

その他キーワード

桃園の誓い

『三国志』に登場する架空の誓願。乱れた世を立て直すという目的を持った劉備玄徳・関羽・張飛の3人が桃園に会し、義兄弟の契りを結んで生死を共にすることを約束した。酒宴の中で3人は、「我ら産まれた日は違えども、死す時は同じ日同じ時を願わん」という誓願を残している。

天下三分の計

『三国志』に登場する架空の軍事計画。漢王朝の再興を願う劉備玄徳に対し、軍師の諸葛亮孔明が提案した。その内容は当代の有力な英雄である玄徳、曹操、孫権それぞれの勢力が中国大陸を大きく三分割し、戦力均衡のも... 関連ページ:天下三分の計

ベース

三国志演義

アニメ

横山光輝 三国志

時は中国後漢時代の末期。政治は腐敗し飢饉が起きるなど世は乱れに乱れていた。やがて後漢打倒を目論む黄巾の乱が勃発すると、漢王朝の末裔である劉備は、親友の関羽、張飛と義兄弟の契りを交わして義勇軍を結成し、... 関連ページ:横山光輝 三国志

書誌情報

三国志 全30巻 潮出版社〈潮漫画文庫〉 完結

第1巻 桃園の誓い

(1997年11月発行、 978-4267014413)

第2巻

(1997年11月発行、 978-4267014420)

第3巻

(1998年1月発行、 978-4267014437)

第4巻

(1998年1月発行、 978-4267014444)

第5巻

(1998年3月発行、 978-4267014451)

第6巻

(1998年3月発行、 978-4267014468)

第7巻

(1998年5月発行、 978-4267014475)

第8巻

(1998年5月発行、 978-4267014482)

第9巻

(1998年7月発行、 978-4267014499)

第10巻

(1998年7月発行、 978-4267014505)

第11巻

(1998年9月発行、 978-4267014512)

第12巻

(1998年9月発行、 978-4267014529)

第13巻

(1998年11月発行、 978-4267014536)

第14巻

(1998年11月発行、 978-4267014543)

第15巻

(1999年1月発行、 978-4267014550)

第16巻

(1999年1月発行、 978-4267014567)

第17巻

(1999年3月発行、 978-4267014574)

第18巻

(1999年3月発行、 978-4267014581)

第19巻

(1999年5月発行、 978-4267014598)

第20巻

(1999年5月発行、 978-4267014604)

第21巻

(1999年7月発行、 978-4267014611)

第22巻

(1999年7月発行、 978-4267014628)

第23巻

(1999年9月発行、 978-4267014635)

第24巻

(1999年9月発行、 978-4267014642)

第25巻

(1999年11月発行、 978-4267014659)

第26巻

(1999年11月発行、 978-4267014666)

第27巻

(2000年1月発行、 978-4267014673)

第28巻

(2000年1月発行、 978-4267014680)

第29巻

(2000年3月発行、 978-4267014697)

第30巻

(2000年3月発行、 978-4267014703)

三国志 全30巻 潮出版社〈〉 完結

第1巻 桃園の誓い

(2007年3月発行、 978-4267017612)

第2巻 漢室の風雲

(2007年4月発行、 978-4267017629)

第3巻 董卓追討軍

(2007年5月発行、 978-4267017636)

第4巻 呂布と曹操

(2007年6月発行、 978-4267017643)

第5巻 徐州の謀略戦

(2007年7月発行、 978-4267017650)

第6巻 南陽の攻防戦

(2007年8月発行、 978-4267017667)

第7巻 呂布の末路

(2007年9月発行、 978-4267017674)

第8巻 曹操の智謀

(2007年10月発行、 978-4267017681)

第9巻 関羽の千里行

(2007年11月発行、 978-4267017698)

第10巻 玄徳と凶馬

(2007年12月発行、 978-4267017704)

第11巻 孔明の出廬

(2008年1月発行、 978-4267017711)

第12巻 孔明の大論陣

(2008年2月発行、 978-4267017728)

第13巻 赤壁の戦い

(2008年3月発行、 978-4267017735)

第14巻 進攻玄徳軍

(2008年4月発行、 978-4267017742)

第15巻 周瑜と竜鳳

(2008年5月発行、 978-4267017759)

第16巻 馬超の逆襲

(2008年6月発行、 978-4267017766)

第17巻 落鳳坡の衝撃

(2008年7月発行、 978-4267017773)

第18巻 成都攻略戦

(2008年8月発行、 978-4267017780)

第19巻 張飛の智略

(2008年9月発行、 978-4267017797)

第20巻 漢中王劉備

(2008年10月発行、 978-4267017803)

第21巻 関羽の不覚

(2008年11月発行、 978-4267017810)

第22巻 蜀呉の死闘

(2008年12月発行、 978-4267017827)

第23巻 孔明の南蛮行

(2009年1月発行、 978-4267017834)

第24巻 孟獲心攻戦

(2009年2月発行、 978-4267017841)

第25巻 出師の表

(2009年3月発行、 978-4267017858)

第26巻 街亭の戦い

(2009年4月発行、 978-4267017865)

第27巻 陳倉の戦い

(2009年5月発行、 978-4267017872)

第28巻 孔明の帰国

(2009年6月発行、 978-4267017889)

第29巻 祁山の戦い

(2009年7月発行、 978-4267017896)

第30巻 秋風五丈原

(2009年8月発行、 978-4267017902)

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