概要・あらすじ
西暦63年の古代ローマ。誇り高く心優しいアリオンは、民衆から「ローマの星」と称された人気格闘士だった。しかし、その人気をねたんだ皇帝ネロの策略によって、アリオンは人気を失墜させ、愛する女性カリビア王国の王女ライザを失ってしまう。捨て鉢になったアリオンは悪魔のような残酷な格闘士になり、ネロが送りこむ刺客格闘士との戦いを始める。
血みどろの戦いを続けるアリオンだったが、ライザの妹ロザリアと出会ったことで、キリスト教の「汝の敵を愛せよ」という教えを知るのだった。
登場人物・キャラクター
アリオン
ローマの民衆に人気の、誇り高く心優しい格闘士。幼少の頃から父ゴリアスに格闘技の英才教育を受け、現代のプロレスの源流となった組み技を得意とする。人気を皇帝ネロにねたまれ、ローマに征服されたカリビア王国の王女ライザと決闘させられてしまう。その結果、民衆から「女を殺した悪魔」と呼ばれ、人気を失墜させてしまうが、アリオンは密かにライザを蘇生してローマから逃がそうとしていたのだった。 ライザとの恋が芽生えるアリオンだったが、国外脱出の際に父ゴリアスと口論になり、アリオンとゴリアスの深い絆を知ったライザは、2人に迷惑をかけないようにと自害してしまう。 その後、闘技場に戻ったアリオンは、自暴自棄になり、残忍な悪役格闘士と化していた。アリオンはそんな中でライザの妹ロザリアと出会い、キリスト教の教えにひかれ始める。
ライザ
ローマによって滅ぼされたカリビア王国の美しい王女。双剣術の名手でもあり、ローマ軍の男たちを何十人も倒したところを取り押さえられた。皇帝ネロの策略でアリオンと闘い、アリオンの不死の秘法によって仮死状態となる。組成され、救出されようとするところで、アリオンと恋に落ちるが、アリオンとその父ゴリアスに危険が降りかかることを恐れ自害する。
ロザリア
ライザの妹でカリビア王国の王女。キリスト教を深く信仰している。コロシアムでアリオンたちに出会い、民衆と諍いを起こして殺されそうになっていたゴリアスを身を呈してかばう。当初は、姉の仇であるアリオンとゴリアスに憎しみを抱いていたが、同時にアリオンのやさしさを見抜いてもおり、次第に心をひかれるようになる。
ネロ
西暦63年におけるローマ帝国の皇帝。醜く太った中年の男性で、自分の権力を守るためには自分の子や妻、親さえも殺す残忍な性格の持ち主。絶大な権力を持っているが、民衆からの人気に執着しており、ローマの民衆からの人気を一身に受けるアリオンのことをねたみ、恐れている。密かにアリオンを陥れるため、様々な策略を張り巡らし、アリオンを強力な格闘士達と戦わせようとする。 実在の古代ローマ皇帝ネロがモデル。
ゴリアス
アリオンの父の年老いた格闘士。若い頃は人気の格闘士だったが、収入のすべてを遊びに使い果たし、格闘士を引退した後は没落して貧民街に住む。妻にも出て行かれ、自分のもとにひとり残されたアリオンを強力な格闘士に育てるため、厳しい英才教育を施す。アリオンにかつての自分の栄光を取り戻させるという欲を持った人物だが、時折父親らしい感情を見せることも。 右目と左足をアリオンとの格闘訓練によって失っている。
キルニアン
ローマ軍の軍人で槍騎兵隊長。コロシアムの警護をしていたが、ネロの指示でアリオンと戦うことになる。馬に乗りながら槍を振るって戦い、アリオンの神がかった格闘能力の前に敗れ去る。
ドグマオ
手斧と投網を武器に戦う剣闘士。騎兵隊長キルニアンの弟。民衆の人気取りを考えた皇帝ネロの采配によってアリオンと戦い、兄の復讐を遂げようとする。「死のクモの巣」と恐れられている百発百中の投網でアリオンを追い詰めるが、コロシアムで観戦していたロザリアにライザの面影を見て奮起したアリオンに敗れる。
マシウス
ロザリアの従者。五十人力の力を持ち、カリビア王国一の怪力を持つと称された巨漢。カリビア王国の王女であるライザを殺したアリオンとゴリアスを倒すため、ロザリアに付き添ってローマを訪れるが、キリスト教に帰依したロザリアに習ってキリスト教徒となり、その復讐心を忘れようとしている。
黒人格闘士 (こくじんかくとうし)
アリオンを殺すために皇帝ネロがガンガ王国から呼び寄せた格闘士。現代のボクシングの原型となったとされる格闘術を操り、拳の一撃でゴリラをも倒す実力を持つ。キリスト教の教えに目覚め、格闘士として戦うことに消極的になっていたアリオンを苦しめるが、その強さが逆にアリオンの闘争心を呼び覚ますことになり、敗北する。
シャームン
アリオンを殺すため皇帝ネロがアジアから呼び寄せた格闘士。現代のタイ式キックボクシングや空手の原型となったとされる、拳と蹴りを使用する格闘技の使い手。アジアでの試合では四百人と戦って不敗、相手のほとんどが死亡したという実績を持つ。キリスト教にのめり込み始めたアリオンと死闘を繰り広げるが、ロザリアの声援を受けたアリオンに敗れる。
タンタロス
ローマ軍の将軍。大部隊を率いて侵略遠征から帰還し、民衆とともにネロへの反乱を起こしたアリオンたちの前に立ちふさがる。皇帝ネロの右腕と称されているが、実は密かにネロを排して自分がローマ帝国の権力を握ろうと考えている。
ペテロ
キリスト教を布教している老人。イエス・キリストの奇跡を実際に目の当たりにしてから、その教えを民衆に広めるべく、ローマでロザリアやマシウスを始めとした信徒を集め、密かに集会を開いている。新約聖書に登場する実在の人物ペテロがモデル。
イエス・キリスト
キリスト教の教祖になった人物。王や貴族といった権力者から迫害され、死亡したが、三日後に生き返ったとされる。ペテロの説教の中で登場し、「自分の敵を許す」という教えがアリオンに衝撃を与えた。その後、たびたび幻影として、コロシアムで対戦中のアリオンの前に現れる。新約聖書に登場する実在の人物イエス・キリストがモデル。
場所
ローマ
時代設定は西暦63年。残忍な皇帝ネロが支配する中で、ローマの民衆の心はすさみきっており、コロシアムで繰り広げられる格闘士や剣闘士、奴隷として連れて来られた敵国の捕虜たちの血なまぐさい殺し合いに熱狂している。