概要・あらすじ
警視庁本池上署で10年を超える長期間にわたり署長を務めてきた警視正・椎名啓介。彼はガンで一線を退く親友の警視長・堂上洸一の後任として、警視庁第一方面本部長に任命される。その周囲では、日下茂・警視庁公安一課長の部下たちが常に監視の目を光らせていた。なぜなら椎名は不審死を遂げた親友で警察大学校同期の高杉大二郎から、「警察組織はおろか国家も揺るがしかねない文書」を託されたとされるため。
だが椎名は真相を語らず、ひたすら市民の暮らしを守る任務を全うしようと努めていた。前任地の警視庁本池上署に足しげく顔を出し、椎名はかつての仲間とともにさまざまな問題を解決していく。
登場人物・キャラクター
椎名 啓介 (しいな けいすけ)
前本池上署署長で、警視庁第一方面本部長を務める。階級は警視正。不審死した元同期の高杉大二郎から託された文書を巡り、重大な国家機密に関わるとされる。ただし本人は警察官僚として街の治安を守る職務に日々打ち込むばかり。豊富な知見に加え、天才的な観察眼と洞察力を持つ。常にとぼけた態度で周囲に解決のヒントだけをそれとなくほのめかし、部下が自発的に問題に取り組むよう誘導。 そのため椎名の真意に気づかない者からは、昼行灯と揶揄されている。
堂上 洸一 (どうがみ こういち)
前警視庁第一方面本部長で、階級は警視長。椎名啓介、高杉大二郎と同期の親友同士である。ガンに冒されて一線を退き、後任を椎名に委ねた。
日下 茂 (くさか しげる)
警視庁公安一課長で、階級は警視正。警視庁副総監・八木沢清の指示で、椎名啓介を監視する。日下も椎名が関わっているとされる一件の真相に関心を持って独自に調査。やがて高杉大二郎が警察権力に殺害されたとの確信にいたる。
高杉 史郎 (たかす ぎしろう)
高杉大二郎の祖父。戦前に京城帝国大学を卒業し、朝鮮総督府警察部に勤務したエリート官僚だった。戦後は商社に入って取締役会長となり、政財界を結ぶフィクサーとして活躍する。入院先の病院で急死する直前に何かの秘密を孫の大二郎にことづけ、これが文書の形で椎名啓介に預けられた。
キム・ヨンス (きむよんす)
戦前に京城帝国大学で同級生の高杉史郎と友情を育んだ朝鮮人。やがて政治活動に関わって官憲に追われる身となり、1945年の終戦後は北朝鮮にわたった。後に北朝鮮高官となる。
金子 仁 (かねこ ひとし)
警視庁第一方面副本部長。日下茂から椎名啓介の動向を報告するよう指示されている。
緒方 洋子 (おがた ようこ)
東京都知事。あるとき東京の治安が向上していることに気づき、原因を調べていたところ、椎名啓介のアイディアが背景にあることを見抜く。椎名の手腕を買い、警視庁を辞めて都庁で働くよう誘うが椎名は応じなかった。
根津 新平 (ねづ しんぺい)
警視庁第一方面副本部長。椎名啓介の下で犯罪捜査、治安向上に取り組む。当初は椎名をとぼけた昼行灯だと疎んじていたが、さり気ないほのめかしで部下に気づかせようとする椎名の真意を知って信頼を寄せるようになった。
原 拓海 (はら たくみ)
警視庁第一方面本部に所属する新人警察官で、階級は巡査。堅実な就職先を求めて警察を選んだ。合理主義的な考えがベテラン上司の根津新平にうとまれるが、一見ムダな手続きも実は大切だということを次第に学んでいく。
権藤 紗弥加 (ごんどう さやか)
警視庁第一方面本部に所属する警察官で、階級は巡査。原拓海より2年先輩にあたる。データ至上主義だったが、椎名啓介から現場を歩くことの大切さを学んだ。
木暮 大地 (こぐれ だいち)
警視庁第一方面本部に所属する警察官で、階級は巡査部長。原拓海、権藤紗弥加らの上司にあたる。椎名啓介が赴任する前年まで警視庁港南署の刑事としてスリなどを担当していた。職務には忠実だが、本庁勤務を嫌がって刑事に戻りたがっている。
内田 菜々 (うちだなな)
椎名啓介つきの秘書。美貌の若い女性だが、ドジッ子で非常にそそっかしい。
青柳 十三 (あおやぎ じゅうぞう)
警視庁本池上署署長で、階級は警視。椎名啓介の後任として副署長から署長に就任した。椎名を見習ってさり気なく署員らに接しようとするが、失敗ばかりしている。後に椎名のアドバイスで自分らしく振る舞うよう心がけ、署長としての信頼を獲得していった。
本上 まどか (ほんじょう まどか)
警視庁本池上署副署長で、階級は警視。青柳十三の署長就任に伴い、後任として副署長になった。赴任当初は各部署を覗いて回っては署員にプレッシャーをかけ、署内がぎくしゃくしてしまう。だが椎名啓介が青柳十三にそれとなくアドバイスし、本上の張り切りを署員みんなが率先して分かち合うことで良好な関係を築いた。
小宮 (こみや)
警視庁本池上署地域課に務める巡査。中村あずさの後輩で、地道でコツコツした努力を得意とする。刑事になることが目標。
クレジット
- 原案