超高機動警察 おまかせ!! ヴァーミリオン

超高機動警察 おまかせ!! ヴァーミリオン

凶悪犯罪へ挑むロボット警察官とその教育係の活躍を描く、近未来の日本を舞台としたSFポリスアクション。テーブルトークRPGのゲームデザイナーとして有名な山本剛(F.E.A.R.)が初めてコミック原作を担当し、作者のかねこしんやにとっても初めての連載となった作品。第1話は「コミックジャパン」に掲載されたが、直後に休刊となったことで、連載の場を「RPGマガジン」に移した。

正式名称
超高機動警察 おまかせ!! ヴァーミリオン
ふりがな
ちょうこうきどうけいさつ おまかせ ゔぁーみりおん
原作者
山本 剛(F.E.A.R.)
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
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概要・あらすじ

21世紀が既に新世紀と呼ばれなくなった時代。犯罪組織はハイテク化を遂げ、武装も強力になっていた。事態を重く見た警視庁はロボット警察官を採用してポリスドール隊を設立すると、試験的に実戦投入を開始。部隊の活躍は目覚ましく、勇名はたちまち世間に広まった。そんなポリスドール隊に鳴り物入りでやって来たのが新型ポリスドールヴァーミリオン

教育係の神無月アカネとともにさまざまな事件に挑むが、AIが未熟なせいで空回りを繰り返し、気付けば部隊の問題児になってしまう。やがて閑職に回されたヴァーミリオンとアカネだったが、小さな事件を追っている最中、偶然にも世間を賑わす殺人ロボットと遭遇し、名誉挽回の機会を得る。

登場人物・キャラクター

ヴァーミリオン

ポリスドール隊の隊員。階級は巡査。第3世代のV型高機動ポリスドールで、PDX-100(のちにPDV-100へ変更)の制式番号が振られている。外見は神無月アカネに似せて作られており、白黒の帽子がトレードマーク。AIの人格モデルもアカネだが、目覚めたばかりなので天真爛漫な子供のようでもある。機関出力は100万馬力を誇り、時速220キロを超えるスピードで走ることが可能。 また、ロケット弾の直撃に耐える頑丈さも持ち合わせている。肩にはオプションポッドと呼ばれる機能増設用の球体パーツを備えている。切り札はあらゆる電子機器を停止させる「活人拳Vアレスター」で、発動時には帽子のエンブレムが光り輝く。

神無月 アカネ (かんなづき あかね)

ポリスドール隊の隊員。階級は巡査。レンズの大きな丸眼鏡をかけたショートカットの女性で、リストバンド型のコンピュータを装備している。もともとは立川警察署の交通課に勤務していたが、兄である神無月トキマルの呼びかけに応じて新府中警察署のポリスドール隊へ異動し、ヴァーミリオンの教育係になった。自らの精神構造をAIのベースとしたヴァーミリオンの成長を見届けることで、自分自身の可能性を模索したいと考えている。 平時は何かとやり過ぎるヴァーミリオンに振り回されて始末書の山を築いているが、有事にはヴァーミリオンの参謀的な役割を担い活躍する。

神無月 トキマル (かんなづき ときまる)

神無月アカネの兄。ロボット工学博士にしてポリスドール隊付きの技官。レンズの小さな丸眼鏡(稀にサングラス)をかけ、無精髭を生やして髪を無造作に後ろで結んでいる。今は亡き父親の神無月紅葉の研究を引き継ぎ、ヴァーミリオンを開発した。ヴァーミリオンの暴走行為には基本的に寛容だが、朝霧の頼みでフルパワーを発揮できないようプロテクトを施したこともある。

ルージュ

ポリスドール隊の隊員。第2世代の戦術指揮型ポリスドール。PDC-101の制式番号が振られている。外見は長い金髪をなびかせた大人の女性。「~ですわ」などのお嬢様口調で話す。射撃や格闘などさまざまな能力に秀でており、汎用性の高さが特徴。ポリスドールたちのリーダー格として現場を執り仕切る場面も多い。ヴァーミリオンに対しては先輩として毅然とした態度で指導にあたっているが、世代交代を意識して複雑な想いも抱いている。 いかなる規則よりも人命を優先するようにインプットされており、神無月アカネが危機に陥った際には朝霧の制止を振り切って独断で出動した。

ブルー

ポリスドール隊の隊員。第2世代の近接戦闘型ポリスドール。PDM-102の制式番号が振られている。外見は褐色の肌と片目を隠す程度に伸ばした前髪が印象的な女性。関西弁で会話をする。殺さずに制圧するというコンセプトでデザインされており、古武術からメキシカンプロレスまで36の流派の格闘術を使いこなす。姉御肌な面もあり、手が空くと重装機動隊の面々に格闘術の稽古をつけている。 ヴァーミリオンが力を持つことに苦悩すると、武道の手解きを通して警察官が力を持つ意味を説く。

ヴァイス

ポリスドール隊の隊員。第2世代の火力支援型ポリスドール。PDH-103の制式番号が振られている。外見は装甲をまとった少年のようで八重歯が目立つ。口調はぶっきらぼう。銃火器を使用することに喜びを覚えるタイプで、射撃を行う際には瞳に十字型の照準が表示される。武装に関しては部隊随一で、頭部のバルカンや肩部に内蔵した熱源探知式ランチャーなど、さまざまな銃火器を搭載。 また、戦車の装甲をも斬り裂く回転ノコギリなどのギミックも備える。他のポリスドールと比較して攻撃的な機体に仕上がっているのは、警察上層部から火力重点の要請があったこと、設計段階でケヴィン・シュバルツの思想が加わっているのが理由である。

ロゼッタ

ポリスドール隊の隊員。第2世代の端末拡張型、情報処理(ネットマスター)型ポリスドール。PDB-104の制式番号が振られている。外見はピンク色のストレートヘアが特徴の少女。極小サイズの情報プロセッサが無数に搭載され、有機的な連鎖を構築することで高速の並列処理を可能としている。主にネットワークを司り、司令室の白石と現場のルージュたちを中継し、時にはハッキングなどで隊員をサポートする。 あらゆる規格の電子機器と接続することが可能なため、悪用された場合は大きな脅威になると想定されている。その対策として、人間の手でも簡単に破壊できるように一切の戦闘能力を持っていない。また、動力源は充電式になっている。

斗萌 (ともえ)

ポリスドール隊の隊員。第2世代の隠密哨戒(ステルス)型ポリスドール。PDN-105の制式番号が振られている。外見はフィクションに多く見られるタイプの忍び装束に身を包んだくノ一。忍者刀や手裏剣の扱いを得意とし、丸太と入れ替わりに攻撃を回避する変わり身の術のような技能も備えている。特に隠密性と運動性には定評があり、公安や刑事課の仕事を手伝うことも多い。

ヴァイオレット

ヴァーミリオンの姉妹機として開発中の機体。第3世代のV型高機動ポリスドールで、PDX/M101(のちにPDV-101へ変更)の制式番号が振られている。デザインに関しては帽子や肩の球体などパーツ単位でヴァーミリオンの面影を感じるが、全体の印象は対照的。大日本帝国時代の特別高等警察や憲兵を彷彿とさせる立ち姿には威厳すら漂う。 110万馬力の機関出力などヴァーミリオン以上の基本性能を持つが、高額な開発費とAI学習の手間から予算を一時凍結されてしまい、計画は頓挫していた。予算認可にあたっては警察上層部より戦闘力の向上が条件に出され、開発責任者の睦月博士はやむなく了承。左腕をカタパルトアームと呼ばれる大型兵装に換装して起動の時を迎える。

神無月 紅葉 (かんなづき もみじ)

神無月アカネ、神無月トキマルの父親。アカネが10歳の頃に亡くなった。神無月研究所の所長としてロボット開発に没頭し、ルージュたち第2世代までのポリスドールを完成させる。第3世代となるV型高機動ポリスドールの基礎を構築するも完成には至らず、トキマルに跡を託した。ケヴィン・シュバルツの悪事を公にした人物でもある。

睦月 (むつき)

神無月研究所に所属していたロボット工学博士。禿頭と白髭が特徴の老年男性で責任感が強く、神無月トキマルには「先生」と呼ばれ信頼されている。ポリスドール計画にも深く関わっており、現在はヴァイオレット開発の責任者を任されている。

朝霧 (あさぎり)

ポリスドール隊の現場主任。階級は警部補。七三分けの髪型をした男性。パワーを持て余して暴走するヴァーミリオンに手を焼いており、教育係の神無月アカネを叱責するのが日課。重要な案件はルージュたちに割り振り、ヴァーミリオンには迷子の子犬捜しなどの小さな事件を回している。部下に振り回されることが多いが、時にはキャリアを失う覚悟で事件に臨む男気も持ち合わせた人物である。

白石 (しらいし)

ポリスドール隊の隊長を務める男性で、階級は警視。髪を後ろに撫でつけ、左目には泣きぼくろがある。有事の際には自ら采配を振るい、司令室から冷静に指示を飛ばす。ポリスドール隊のトップとして堂々と振る舞い、朝霧が警察上層部から圧力をかけられた際には交渉役を買って出た。

近藤 (こんどう)

ウォーカー隊の戦車長。無精髭を生やした屈強な中年男性で、やや腹が出ている。落ち込んでいた神無月アカネを見つけると相談相手になるなど、部署の壁を越えて気遣いのできる気さくな面もある。有事には自らT-44都市戦車(ウォーカー)を駆って戦線に立つ。

ケヴィン・シュヴァルツ (けゔぃんしゅゔぁるつ)

シェイドや夜神灰人を使ってさまざまな事件を起こしている危険人物。常に白いスーツを着用し、ワイングラスを片手に悪巧みに耽っている。かつては神無月研究所でロボットの開発をしていたが、資金流用が発覚して解雇されると、神無月紅葉、神無月トキマルへの復讐を生き甲斐とするようになった。現在はディアマンテインダストリィの開発部長というポストにあるが、会社の利益には興味がなく、独断専行が主である。

シェイド

ケヴィン・シュヴァルツが開発した人型ロボット。ポリスドールとは異なり、デザインは男性型。ケヴィンの指示で暴力団の幹部を次々と殺害する事件を起こし、やがてヴァーミリオンと激突する。ポリスドール隊、重装機動隊、ウォーカー隊の面々を単独で圧倒するなど、戦闘能力は極めて高い。

夜神 灰人 (やがみ かいと)

薬品を分子構造レベルから設計する薬物(ドラッグ)デザイナー。飼い犬であったコロルの失踪をきっかけにヴァーミリオンと知り合った。違法薬物の製造に手を出したことをケヴィン・シュヴァルツに知られ、利用されてしまう。普通の人間だが、自ら調合した薬物を注射することで人狼と化し、野生のスピードでポリスドール隊を翻弄する。

1 (あいん)

新府中警察署を急襲した大型の機体。メイン武装の高出力レーザーは都市戦車(ウォーカー)の重装甲を容易く切断するほどの威力があり、格闘性能にも優れている。機体に秘められたある事実から完全に対ポリスドールを想定して設計されていることが判明し、ポリスドール隊の面々を困惑させる。

集団・組織

ポリスドール隊 (ぽりすどーるたい)

犯罪のハイテク化、凶悪化に対抗するべく新府中警察署に設置された特殊部隊。ポリスドールを試験的に採用した実験部隊でもある。隊員は主にテロリストの鎮圧など危険な任務に割り振られることが多いが、斗萌などの例外も存在する。

重装機動隊 (じゅうそうきどうたい)

犯罪のハイテク化、凶悪化に対抗するべく各警察署に設置された特殊部隊。5人前後の班単位で行動し、アサルトライフルやサブマシンガンを武器に犯罪者に立ち向かう。防弾ベスト、セラミックインナースーツなどの防具も装着しているが、生身で現場に踏み込むことに変わりはなく、隊員には勇敢さが求められる。新府中警察署の重機隊は「五人逮捕」という謎の奥義を使用するが、詳細は不明。 オマケページによれば「T.A.U.」という略称が存在しているが、何の頭文字なのかは解説されていない。

ウォーカー隊 (うぉーかーたい)

犯罪のハイテク化、凶悪化に対抗するべく各警察署に設置された特殊部隊。都市部での戦闘を想定した都市戦車(ウォーカー)を使って犯罪者を鎮圧する。標準装備は機関砲だが、放水銃や催涙ガスランチャーなど殺傷力を抑えた装備に換装することも可能。新府中警察署のウォーカー隊はむさ苦しい男の職場であり、詰所ではチンチロリンなどの賭博が横行。 ヴァーミリオンもチョコレートを賭けて参戦し、交流を深めていた。

ディアマンテインダストリィ

資本金2000億円を誇る大企業。神無月研究所を追われたケヴィン・シュヴァルツが開発部長として所属している。新府中警察署の特殊部隊の出動に圧力をかけるなど、警察組織の上層部に対する強いコネクションを匂わせる。

トラスト

ディアマンテインダストリィをダミー会社として暗躍する謎の組織。正式な名称すら明らかになっておらず、便宜上「トラスト」と呼ばれているに過ぎない。上層部の会合は電脳空間で行われ、メンバー同士が直接顔を合わせることなく運営されている。電子ゴーグルを装着した謎の女性がトラストの関係者として登場するが、ポリスドール隊と相見えることはなかった。

その他キーワード

電気弾 (でんきだん)

対ロボット用の新兵器として開発された大電流・高電圧の特殊な弾丸。ロボットの回路を焼いて無力化する目的で使用する。対人使用は厳禁とされ、感電防止対策として使い切りの絶縁マガジンに装填した状態で支給されている。神無月アカネもハンドガン用の電気弾を携帯している。

ポリスドール

神無月紅葉が開発したロボット警察官で、作中には第2世代、第3世代のポリスドールが登場する。第2世代のポリスドールはデータの互換によって経験を引き継げるので、すぐに実戦投入してもベテラン同様の活躍が見込める。一方、第3世代のV型高機動ポリスドールはAIの人格形成と必要最低限のデータ入力しかされておらず、警察官として未熟。 これは道具ではなく人類のパートナーを作るという紅葉の思想によるもので、現場で経験を積みAIを育てる手間と引き換えに、開発者の想像を超えて成長する可能性を秘めている。なお、V型は「variable型」を意味し、環境の変化に合わせて自らを改変していくメカニズムを指す。

クレジット

原作

山本 剛(F.E.A.R.)

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