転生悪女の黒歴史

転生悪女の黒歴史

突然の交通事故でこの世を去った佐藤コノハは、中学生の時に自らが妄想していたファンタジー世界に転生してしまう。しかもコノハが転生したのは、投影していたメインヒロインではなく、稀代の悪女キャラクターのイアナ・マグノリアだった。コノハが妄想していたストーリーに逆らい、地味に生きることを望むイアナの奮闘を描いた異世界コメディ。白泉社「LaLa」2018年10月号から掲載の作品。

正式名称
転生悪女の黒歴史
ふりがな
てんせいあくじょのくろれきし
作者
ジャンル
転生
レーベル
花とゆめコミックス(白泉社)
巻数
既刊13巻
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あらすじ

自分の黒歴史の世界に転生した佐藤コノハ

中学時代に自らを投影した伯爵令嬢をヒロインにし、自分好みの騎士に溺愛されるファンタジーストーリーを妄想していた佐藤コノハは、その内容をノートにまとめていた。それから時は過ぎ、社会人になった「佐藤コノハ」は母親から、実家の押し入れに処分していいのか迷っているノートがあると告げられる。その瞬間に自らの妄想が詰まったノートだと思い出した佐藤コノハは動揺し、そのまま交通事故に遭って死亡する。そして目が覚めると、佐藤コノハは自身が妄想していたファンタジー世界に転生しており、なぜか自分を投影していたヒロインのコノハ・マグノリアではなく、妹で稀代の悪女と名高いイアナ・マグノリアになっていた。こうして佐藤コノハはイアナとして生きることになり、これまで散々コノハに嫌がらせをしていたことから、郊外の屋敷で3か月間の謹慎処分を受けてしまう。そこでイアナはかつて自身が妄想したストーリーの中では、謹慎先でソル・ネモフィラに暗殺されることを思い出す。

淫獣との戦い

イアナ・マグノリアソル・ネモフィラに暗殺されることを回避し、コノハ・マグノリアとも親しくなったことで穏やかな時間を過ごしていた。しかし、イアナが転生する前に佐藤コノハが綴っていたストーリーでは、みんながコノハのことを大切に思っているため、些細な事柄でまた嫌がらせをしているのではないかと疑われてしまう。そんな緊張感のある日々の中で、イアナとコノハ、ギノフォード・ダンデライオン、ソルは屋外でお茶会をしていた。そこに正体不明の魔物が現れ、コノハを連れ去ってしまう。この展開に覚えがあったイアナは、自らが考えていたストーリーの中にあった、コノハが淫らな魔物「淫獣」に犯されることを思い出す。

王家主催の舞踏会

イアナ・マグノリアたちが住む国では王家主催の舞踏会が催されることになり、伯爵家のイアナとコノハ・マグノリアは招待を受ける。佐藤コノハが綴っていたストーリーでは、この舞踏会でコノハは複数の男性から見染められて「聖女」とあがめられ、魔王を倒しに行くパーティーに参加することになっていた。しかし、イアナが転生した影響によってコノハは魔法が使えなくなっており、パーティーに参加すれば戦死する可能性があると、イアナは危機感を抱く。そこでイアナはコノハが男性と踊ろうとすると邪魔に入る計画を立て、次々と実行していく。その様子を見ていたソル・ネモフィラは、イアナは自分たちの味方なのか、それとも敵なのかわからなくなっていく。

イアナを愛するヨミ

イアナ・マグノリアコノハ・マグノリアギノフォード・ダンデライオンの前に、隣国に留学していたヨミ・ブラックサレナが現れる。イアナは佐藤コノハが綴っていたストーリーの中で、ヨミが自らへの愛をこじらせて、コノハの命を狙うキャラクターであったことを思い出す。ヨミがコノハになんらかの危害を加えることで、ソル・ネモフィラから再び命を狙われるようになるのではないかと不安を覚えたイアナは、ヨミに対してコノハとは良好な関係を築いていることをアピールする。しかし、ヨミはイアナの言動はすべてコノハにやらされているのだとカンちがいし、彼女を取り巻く状況は悪化していく。さらにヨミはイアナがソルを警戒している様子を見て、彼に対しても敵対心を抱くようになる。こうしてヨミの勝手な暴走により、ソルとヨミは決闘することになってしまう。

美少女たちの失踪事件

イアナ・マグノリアが転生した国では美少女たちが失踪する事件が相次いでおり、警察部隊「ハイドジニア隊」に所属するシャノウ・クレマチスは、犯人が稀代の悪女と名高いイアナではないかと疑う。そしてイアナはシャノウに監視されつつ、公爵夫人であるスセリーナ・ローザ・アマリリスの誕生日パーティーに向かう。そこでもコノハ・マグノリアの周りには自然と人々が集い、自分の周りには誰も寄り付かないことに、イアナな自業自得だと感じつつも寂しさを覚える。そんな中、メノア・カミーリアだけはイアナに声をかけ、二人は友達になる。後日、初めての友達ができたことに浮足立っていたイアナのもとに、スセリーナの誕生パーティーのあとにメノアが失踪したと連絡が入る。そしてイアナは、シャノウをはじめとする周囲から犯人として疑われてしまう。そんな中、イアナは転生前に佐藤コノハとして綴っていたストーリーで、スセリーナが美しさを維持するために、美少女たちの生き血をすすっている設定だったことを思い出す。

イアナと吸血鬼の戦い

イアナ・マグノリアスセリーナ・ローザ・アマリリスの不幸な運命を知っていながらも、彼女を救えなかったことにショックを受け、落ち込む日々が続いていた。そんなイアナの様子に気づいたギノフォード・ダンデライオンは、一族の領地に遊びに行かないかと誘う。こうしてイアナ、コノハ・マグノリアソル・ネモフィラヨミ・ブラックサレナが旅行を楽しんでいると、偶然通りかかったカグラ・アイビーと名乗る愛らしい少年から、エルフ族の青年がケガを負って倒れていると知らされる。青年はシュクナと名乗り、おそらくエルフ族を狙うハンターに襲われたのだろうと話す。イアナはシュクナと接していくうちに、佐藤コノハが転生前に綴っていたストーリーでは、エルフ族が住む里に吸血鬼が封印されており、それが解かれる時が近いことを思い出す。吸血鬼を再度封印するためにコノハとシュクナが立ち上がる物語ではあったものの、この世界のコノハには魔力がないため、イアナはこのままではエルフの里に不幸が訪れるのではないかと不安を抱く。そしてイアナはエルフ族を守るため、ギノフォードやソル、ヨミと共に立ち上がる。

イアナのギノフォードへの思い

吸血鬼との戦いで傷ついたヨミ・ブラックサレナの傷を癒やすため、ギノフォード・ダンデライオンは自らの実家へと運ぶ。そこに医師を生業としているヤトリ・ヤナンキュラスが現れ、イアナ・マグノリア佐藤コノハが転生前に綴っていたストーリーでは、彼がコノハ・マグノリアにふられる登場人物だったことを思い出す。しかしヤトリはコノハではなくイアナに興味を抱き、距離を縮めようとしてくる。一方、これまでの出来事や今回の吸血鬼を巡る騒動でイアナに親しみを覚えるようになったギノフォードは、彼女に優しい言葉をかけるようになる。しかし、ギノフォードはあくまでコノハの恋人であり、彼女しか見えていないことにイアナは悲しみを覚えていく。そんな中、一度倒されたはずのカグラ・アイビーは復讐のため、再びイアナたちの前に姿を現す。そしてギノフォードの体を奪い、イアナたちに攻撃を仕掛けてくる。

盗まれた顧客名簿

佐藤コノハがこの世界に転生する前、イアナ・マグノリアコノハ・マグノリアの殺害を企てていた。その一環としてイアナは「忍び」にコノハ暗殺を依頼しており、その契約がまだ有効であることを知る。イアナは和洋折衷の世界観にした自らを呪いつつも、暗殺依頼を無効にするため、忍びの者たちが暮らす「かくりよの里」に、ヨミ・ブラックサレナと共に行くことにする。しかし、「かくりよの里」に行くことがコノハ、ギノフォード・ダンデライオンソル・ネモフィラに知られてしまい、結局は大所帯での旅行へと変更になってしまう。イアナはみんなのスキを見て行動を起こし、コノハ暗殺依頼の取り消しをするために忍びの者と接触したものの、大切な顧客名簿が盗まれたことを知らされる。このままではイアナがコノハを暗殺しようとしていたことが明らかになってしまうと、イアナは盗んだ犯人を見つけることにする。

登場人物・キャラクター

イアナ・マグノリア

コノハ・マグノリアの妹で、佐藤コノハの転生後の少女。伯爵の爵位を持つマグノリア家の出身で、裕福な貴族の家庭に育つ。「佐藤コノハ」が転生前に綴っていたストーリーでは、完璧な存在のコノハに嫌がらせを繰り返す稀代の悪女で、ソル・ネモフィラによって暗殺されることになっている。しかし、なんとか心を入れ替えたことをソルやコノハ、ギノフォード・ダンデライオンに訴え、暗殺の回避に成功する。作中における自らの運命を変えてしまったことから、今後はどうなるのかがわからず、とりあえず命を大切にしながら地味に生きることを目標にしている。姉のコノハが絶世の美少女であることから気づかれづらいが、整った顔立ちをしている。

佐藤 コノハ (さとう このは)

交通事故に遭って、異世界に転生した社会人の独身女性。現在は実家を出て、一人暮らしをしている。中学時代に自身を投影した伯爵令嬢のヒロインが、自分好みの騎士に溺愛されるストーリーを妄想し、ノートに綴っていた。佐藤コノハもそのノートの存在を忘れかけていたところ、掃除をしていた母親に見つけられたことに焦り、動揺から交通事故に遭って命を落とす。転生後は自身が妄想していたファンタジー世界で、ヒロインのコノハ・マグノリアではなく、妹で稀代の悪女と名高いイアナ・マグノリアとして暮らすことになる。

コノハ・マグノリア

イアナ・マグノリアの姉で、年齢は18歳。伯爵の爵位を持つマグノリア家の出身で、裕福な貴族の家庭に育つ。佐藤コノハが妄想していたストーリーのメインヒロイン。悪意を持って接してくるイアナに対しても、大切な家族で妹だからと慈悲の心を持って接している。「佐藤コノハ」がイアナとして転生してからは、コノハ・マグノリア自身に好意的になってくれたことを嬉しく感じている。華やかな雰囲気をまとう絶世の美少女で、抜群のスタイルを誇る。優しく穏やかな性格から、中学生時代の佐藤コノハが考えた完璧な存在。そのため、少しでもかかわりを持つ人物たちから溺愛されており、そのことが原因でトラブルが発生することも多い。佐藤コノハが考えた当初のストーリーでは強力な魔法を使うこともできたが、彼女がイアナに転生した影響によって魔力を持たなくなる。ギノフォード・ダンデライオンとは恋人同士で、結婚の約束をしている間柄。

ギノフォード・ダンデライオン

イアナ・マグノリアたちが住む国の騎士で貴族の青年。年齢は19歳。当初はイアナの婚約者候補だったが、コノハ・マグノリアと恋に落ちて恋人同士になり、将来を誓い合っている。嫉妬からコノハに対して嫌がらせを繰り返すイアナに対しては、激しい敵意を抱いており、一時はソル・ネモフィラに暗殺するように命令を出したことがあるほど関係が悪かった。佐藤コノハがイアナとして転生したあとは、一転してコノハに対して友好的に接している様子を見ているが、何を考えているのかわからず信用できずにいる。中学生時代の佐藤コノハ好みの要素を詰め込んだキャラクターになっており、転生後のイアナの胸をときめかせてしまうことも多い。まじめで誠実な人物で、コノハ以外の女性はいっさい目に入らない。

ソル・ネモフィラ

ギノフォード・ダンデライオンの部下で騎士の少年。年齢は17歳。ギノフォードに忠誠を誓っており、彼の恋人であるコノハ・マグノリアに悪質な嫌がらせを繰り返しているイアナ・マグノリアに敵意を抱いている。そのため、佐藤コノハが妄想していたストーリーでは、ギノフォードの命令でイアナを暗殺する役割を担う。転生してからイアナがコノハに対して友好的に振る舞っており、当初のストーリーどおりに暗殺が実行されなかったことから、ソル・ネモフィラ自身の生き方に混乱が生じている。「佐藤コノハ」によって主人のギノフォード以外には冷たい設定のキャラクターにされていたため、基本的にクールで愛想のない人物。しかし、運命が変わったことによって、イアナに対して友好的な一面を見せる場合もある。

ヨミ・ブラックサレナ

イアナ・マグノリアたちが住む国の青年で、伯爵家の家柄出身の貴族。年齢は16歳。佐藤コノハが闇落ちしたことによって屈折したキャラクターを好きになった時期があり、その頃に妄想していた人物。「佐藤コノハ」が綴っていたストーリーではソル・ネモフィラによって暗殺されたイアナのことを愛しており、その復讐としてコノハ・マグノリアの命を狙う存在だった。しかし、イアナが暗殺を回避したことで、彼女と交際したい気持ちをこじらせた人物に変わっている。また、イアナがコノハにいじめられているとカンちがいしており、思い込みで暴走することも多い。黙っていれば線の細い美青年だが性格はドMで、イアナに罵倒されると興奮する性癖を持つ。コノハとギノフォード・ダンデライオンとは幼なじみの間柄。

シャノウ・クレマチス

イアナ・マグノリアたちが住む国の警察部隊「ハイドジニア隊」に所属している青年。佐藤コノハが綴ったストーリーでは、イアナとはほとんどかかわりのない、モブキャラクターとして存在していた。転生後のイアナがソル・ネモフィラによる暗殺を回避したことにより、彼女を要注意人物だと目をつけて監視する人物として登場する。また、シャノウ・クレマチス自身の妹をはじめとする若く美しい女性が失踪する事件が相次いでおり、その犯人がイアナではないかと疑っている。

メノア・カミーリア

イアナ・マグノリアたちが住む国の少女で、伯爵家の家柄出身の貴族。佐藤コノハが綴ったストーリーではイアナとはほとんどかかわりのない、モブキャラクターとして存在していた。スセリーナ・ローザ・アマリリスの誕生日パーティーでイアナと出会い、転生後の世界で初めての友達になる。つい最近まで庶民として暮らしており、母親が亡くなった際に貴族の娘だという事実が発覚し、カミーリア家に引き取られている。貴族の生活が短いこともあり、イアナがかつて稀代の悪女として知られていたことを知らない。線の細い中性的な容姿で、華やかなコノハ・マグノリアとは別のタイプの美少女。繊細そうな見た目に反して心が強く、引き取られた先の家では義理姉妹たちにいじめを受けているものの、たくましく生きている。

スセリーナ・ローザ・アマリリス

イアナ・マグノリアたちが住む国の公爵家の男性と結婚した女性。自らの誕生日パーティーに、イアナとコノハ・マグノリアを招いたことで知り合いになる。佐藤コノハが綴ったストーリーでは邪悪な力によって、美少女たちの生き血をすする魔女になる設定の人物。ただし、イアナが出会ったタイミングでは邪悪な力に目覚めていない。妖艶な雰囲気の美女で、同じく美しい容姿を持つコノハのことを気に入っている。貴族のあいだでは美しさが広く知られており、「美の公爵夫人」と呼ばれている。

カグラ・アイビー

ダンデライオン家の領地に住む少年。イアナ・マグノリアがギノフォード・ダンデライオンに誘われてバカンスに訪れたことで知り合いになる。佐藤コノハが綴ったストーリーには登場しない人物。小柄な体型の幼い容姿で、そのかわいらしさからイアナの癒しの存在となっている。しかし、その正体はシュクナの故郷であるエルフの里に存在している吸血鬼の封印を解こうとしている魔物で、いずれ強力な魔法の使い手になるであろうコノハ・マグノリアの存在を抹消しようとしている。

シュクナ

ダンデライオン家の領地に迷い込んできた青年。イアナ・マグノリアがギノフォード・ダンデライオンに誘われてバカンスに訪れたことで知り合いになる。エルフ族の妖精で、尖った耳を持つ以外は人間と同じ容貌をしている。佐藤コノハが綴ったストーリーでは、エルフ族が住む里に封印されていた吸血鬼が目を覚まし、コノハ・マグノリアといっしょに戦うものの、最終的に命を落とすキャラクターとして存在している。

ヤトリ・ヤナンキュラス

イアナ・マグノリアたちが住む国で、医師を生業にしている青年。ヨミ・ブラックサレナのケガの治療をしたことをきっかけに、イアナとも知り合いになる。佐藤コノハが綴ったストーリーでは、コノハ・マグノリアに恋心を寄せ、ふられる大勢の男性の中の一人として存在している。イアナが転生してからはコノハではなく、稀代の悪女と噂されているイアナに興味を抱くようになる。華やかな容姿を持つ美男子で、女性との色恋が生きがいのいわゆる女たらし。貴族と同じ裕福な生活をしているが平民の出身で、優れた魔力を持っているため、人々から慕われている。その一方で、ヤトリ・ヤナンキュラス自身の魔力を利用しつつも、しょせん平民だと見下してくる貴族から守ってくれたギノフォード・ダンデライオンに友情を感じている。

書誌情報

転生悪女の黒歴史 13巻 白泉社〈花とゆめコミックス〉

第9巻

(2022-09-05発行、 978-4592220596)

第10巻

(2023-01-04発行、 978-4592220602)

第11巻

(2023-08-04発行、 978-4592221531)

第12巻

(2023-10-05発行、 978-4592221630)

第13巻

(2024-03-05発行、 978-4592221647)

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