転生したら悪い国の娘でした。

転生したら悪い国の娘でした。

幼なじみのヒトミの前で、見知らぬ少女に殺害されてしまったアキユキは、そのまま異世界「ラアク国」に転生する。そして転生後のアキユキは、自らを殺した少女の姿になっていた。その異能力を持つ少女「ゼヒューヴィーレ」は、邪神の力で人間を恐怖に陥れているラアク国の「生ける兵器」であった。異世界に転生しただけでなく、性別も変わり、さらに転生したヒトミと敵同士になってしまったアキヒコの戦いを描く、異世界ファンタジー。「月刊コミックZERO-SUM」2019年12月号から2020年7月号にかけて掲載された作品。

正式名称
転生したら悪い国の娘でした。
ふりがな
てんせいしたらわるいくにのむすめでした
作者
ジャンル
転生
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あらすじ

自分を殺した相手に転生してしまったアキユキ

2週間前、大好きな幼なじみのヒトミが失踪し、行方を追っていたアキユキの前に、突然ヒトミが姿を現わす。ヒトミは自分の世界に別れを告げに来たという意味不明な言葉を口走り、アキユキはなんのことかと問う間もなく、彼は何者かによって殺害されてしまう。意識を取り戻したアキユキは、自らが「ゼヒューヴィーレ」という名前の、「生ける兵器」と呼ばれる少女に転生していることを知る。そしてアキユキは、ゼヒューヴィーレが先ほど自分を殺害した張本人であることに気づいて混乱する。アキユキが転生した「ラアク国」は邪悪な力で人間たちを支配している国であり、ヒトミが転生した「ラーン国」とは敵対関係にあった。さらにゼヒューヴィーレが開発されたのは、ラーン国の伝説の勇者となったヒトミに対抗する目的によるものだった。

アキユキの裏切り

とりあえずアキユキは、今すぐ自分の身を守る手段として、「生ける兵器」と呼ばれる「ゼヒューヴィーレ」として振る舞うことを決めた。ゼヒューヴィーレとして生活するアキユキに対し、「ラアク国」王子であるザノフェルソラタージは好意的に接してくれるだけでなく、国民たちも穏やかに過ごしていた。悪の国とは名ばかりだと思い始めたアキユキだったが、ラアク国は「ラーン国」で捕らえた人間を洗脳し、自国の兵士にするために人体改造していることを知り、恐怖を覚える。ヒトミやラーン国、そして世界平和のために自分が倒された方がいい存在なのかと感じつつも、このまま死にたくない思いもあり、アキユキは葛藤する。そんな中、父親がラアク国の出身で、自らはラーン国の勇者軍の一員としてヒトミと共に戦っているカセニーが、ゼヒューヴィーレは、かつてヒトミが話していた「アキユキ」であることに気づく。そしてカセニーはアキユキに対し、ラアク国を裏切り、自分たちの国につかないかと話を持ちかける。

究極の選択をせまられるアキユキ

アキユキは「ラアク国」を裏切り、「ラーン国」側につくことを決意する。アキユキはヒトミに、これまでの経緯を打ち明けたい気持ちはあるものの、ヒトミは「生ける兵器」と呼ばれる「ゼヒューヴィーレ」に、アキユキを目の前で殺害されたこともあり、強い恨みを抱いていることを知る。そこでラーン国の勇者軍は、ヒトミを混乱させないためにも、彼女の前ではアキユキをあくまでゼヒューヴィーレとして扱うことにする。そんな中、アキユキの前にかつての自分の姿をしたディロが現れる。ディロから自分の身体を取り戻したいと考えるアキユキだったが、ディロが自分の身体から抜け出てしまうと、人の形を保つことができずに消滅すると聞かされる。またアキユキはカセニーから、ラアク国の邪神の力は衰えており、もうじき国は滅びると告げられる。ラアク国が滅びると、アキユキの現在の身体であるゼヒューヴィーレも消滅してしまうため、どちらの肉体で死にたいかという究極の判断をせまられるのだった。

アキユキの決心

ディロから人間の身体を取り戻して死ぬか、それとも「ラアク国」の終わりと共に「生ける兵器」と呼ばれる「ゼヒューヴィーレ」の姿で死ぬか、アキユキはまだ選択できずにいた。しかし、自らを恨んでいるはずのヒトミがゼヒューヴィーレを許したことで、アキユキは人間の身体をあきらめ、自らの手でラアク国を終わらせることを決意する。元王子のオブディマから、邪神の力を増大させる「媒介」の在処(ありか)を聞いたアキユキは、単身ラアク国へと向かう。

登場人物・キャラクター

アキユキ

「ラアク国」に転生した男子高校生。ヒトミの幼なじみで、「ヒトミ厨」「ヒトミ推し」を自称しており、ヒトミのことを一方的に溺愛している。行方不明になったヒトミと、やっと再会したところでラアク国の「ゼヒューヴィーレ」という名を持つ、「生ける兵器」と呼ばれる少女に襲撃されて死亡する。しかし、直後に哀れに思った異世界の神の力によって命を救われ、先ほど自分を殺害したゼヒューヴィーレの身体をそのまま与えられる。こうして生まれ変わるものの、ヒトミが属する「ラーン国」と敵対関係になってしまい、事情を知らないヒトミからも命を狙われることとなる。もともとの身体が生ける兵器として生まれてきたため、アキユキ自身に戦闘する意思がなくても、ラーン国の人間から攻撃されると思わず反撃してしまう。身体能力は非常に高く、また格闘センスにも優れている。大好きなヒトミの力になりたいという思いと、死にたくないという思いの狭間で悩んでいる。異世界では本名を隠しており、周囲からは「ゼヒューヴィーレ」と呼ばれている。

ヒトミ

「ラーン国」に転生した女子高校生。アキユキの幼なじみで、アキユキよりも2週間早く異世界へ転生しており、一時的に現代に戻って来た際、「ラアク国」の「生ける兵器」と呼ばれる「ゼヒューヴィーレ」に、アキユキを目の前で殺害されてしまう。アキユキを殺された怒りから、ラアク国に憎悪の念を抱いている。アキユキがゼヒューヴィーレに転生したことは知らないため、彼女を敵視している。ラーン国ではラアク国を滅ぼす力を持つ「終わりの少女」と呼ばれており、勇者のような扱いを受けている。現世で暮らしていた際は、年相応の少女だったが、ラーン国に転生してからは勇者らしい堂々とした振る舞いを見せるようになる。一時的に現世に戻った理由も、ラーン国を救うためにこれまでの暮らしを捨てることを決意し、これまでかかわってきた人たちに最後のあいさつをするためだった。

ザノフェル

アキユキが転生した異世界にある、「ラアク国」の王子。ルマビナが開発した「ゼヒューヴィーレ」という名前の「生ける兵器」を、ヒトミが率いる「ラーン国」に対抗する最終手段だと考え、期待を寄せている。一部の者しか知らないが、ゼヒューヴィーレは過去に死んでしまったザノフェルの恋人を模してルマビナが開発した経緯があり、アキユキの精神が乗り移ったゼヒューヴィーレの存在も大切に思っている。一方で、アキユキが別の世界で生きていた人間だとは知らず、ヒトミと面識があることも知らない。頭にヤギのような角が2本生えている以外は、ほとんど人間の若い男性と変わらない容姿をしている。邪神の力を使い、恐怖で人間たちを支配し、近隣の国を容赦なく滅ぼしているが、ふだんは気さくなお調子者。ただし王族だけが立ち入ることのできる部屋に入ると、これまでの戦いで亡くした恋人のゼヒューヴィーレや兄弟のことを思い、ふさぎ込んでしまう。

ルマビナ

アキユキが転生した異世界にある、「ラアク国」の住民の男性。「生ける兵器」と呼ばれる「ゼヒューヴィーレ」を生み出し、アキユキの主治医的な役割を担っている。異形ではあるものの、ほとんど人間の若い男性と変わらない容姿をしている。研究熱心なまじめな性格で、ザノフェルから信頼を寄せられている。またコミュニケーション能力も高く、王子であるザノフェルに対して対等に話すことのできる、唯一の人物でもある。

ソラタージ

アキユキが転生した異世界にある、「ラアク国」の住民の男性。ザノフェルから命じられ、「生ける兵器」と呼ばれる「ゼヒューヴィーレ」の護衛だけでなく、さまざまな面でサポート役を務めている。長いトカゲのしっぽのようなものが生えている以外は、ほとんど人間の若い男性と変わらない容姿をしている。穏やかな性格の好青年で、アキユキも心を許している。アキユキからは「ソラタ君」と呼ばれて慕われている。

エレコ

アキユキが転生した異世界にある、「ラアク国」の住民の女性。強力な回復魔法が使えることから、「ラーン国」との戦いで傷ついたアキユキを癒している。また女性同士であることでザノフェルから命じられて、湯あみを含む身の回りの世話を焼いている。髪の毛に植物が生えている以外には、ほとんど人間の若い女性と変わらない容姿をしている。穏やかでおっとりとした性格の持ち主。

カセニー

アキユキが転生した異世界にある、「ラアク国」の住民の女性。ラアク国とは敵対する立場にある。父親がラアク国出身で、人間と異形のハーフ。そのため、見た目を人間にもモンスターにも、自由に変えることができる特殊能力を持つ。その力を利用して、たびたびラアク国内でスパイ活動をしている。その際に「生ける兵器」と呼ばれる「ゼヒューヴィーレ」として振る舞っていたアキユキの存在に気づき、ラアク国を裏切り、ラーン国側につかないかと声をかけた。ラーン国側の人間ではあるが、ソラタージやエレコのような、一部のラアク国民の人のよさも理解している。ラアク国では「アカネリ」の偽名で行動している。

グクント・ウィンツァ

アキユキが転生した異世界にある、「ラアク国」の住民の男性。アキユキがラアク国を裏切り、ヒトミが率いる「ラーン国」の勇者軍に入ったことで知り合う。穏やかで誠実ながらポジティブな性格をしている。「生ける兵器」と呼ばれる「ゼヒューヴィーレ」の身体を持つアキユキに対しても、身体は違っても心はアキユキなのだから気にすることはないと、励ましの言葉をかけた。グクント・ウィンツァ自身の性格とは正反対のディロとは相性が悪い。

ディロ

アキユキが転生した異世界にある、「ラアク国」に漂っている悪霊。実体を持たず、たまたま「ラーン国」に転生されてきた中身のないアキユキの身体を見つけ、取り憑いたことで自由に行動できるようになる。アキユキの身体のため、ヒトミが率いるラーン国の勇者軍に保護されている。ディロがアキユキの身体から出てしまうと、人の形を保つことができず消滅してしまう。毒舌家で、ヒトミに対してもわざとネガティブ志向に陥ることを口にして楽しんでいる。誠実かつポジティブな性格のグクント・ウィンツァとは相性が悪い。

オブディマ

アキユキが転生した異世界にある、「ラアク国」の住民の男性。アキユキがラアク国を裏切り、「ラーン国」側についたことで知り合う。元ラアク国の第三皇子で、ザノフェルの実弟のため、容姿はザノフェルに酷似している。人間の女性に惚れ込み、強引に邪神と手を切って人間として転生する荒業をやってのけた過去を持つ。ラアク国の第三皇子だった時には、驚異的な戦闘力を持つ4本腕の猛者として、人間たちを恐怖に陥れていた。現在はラーン国の護衛を務め、周囲には過去を隠して行動している。

場所

ラアク国 (らあくこく)

アキユキが転生した国。邪神に魂を売り、その対価として周辺の国を滅ぼし発展させてきた歴史を持ち、人間からは「平和を乱す世界の敵」とされている。邪神に魂を売ったことから、人間ではない容姿を持つ者が多い。「ラーン国」のヒトミをはじめとした勇者軍と戦争をしている。ほぼ人間の容姿で、高い戦闘力を誇る「生ける兵器」と呼ばれる「ゼヒューヴィーレ」を開発するなど、非常に高い技術力を持つ。また滅ぼした国の捕虜を改造し、モンスターの容姿の自国兵士に生まれ変わらせる機械も所持している。RPGでいうところの「悪の魔王」の立ち位置。

ラーン国 (らーんこく)

ヒトミが転生した国。人間が暮らしており、一度は「ラアク国」に滅ぼされた過去を持つ。生き残った人間たちは軍隊を編成し、今度は自分たちがラアク国を滅ぼして世界に平和をもたらそうと、戦争を仕掛けている。「ラーン国」には古くから「終わりの少女」という偉大なる力を持つ少女の存在が語り継がれており、そのすべての特徴にヒトミが当てはまることから、彼女を中心とした勇者軍が結成されている。RPGでいうところの「聖なる勇者」の立ち位置。

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