邪道

邪道

一流大学で経営学を専攻していた兵藤新介、ラーメン屋の跡取り息子の勝部守、会社をリストラされた沢田吾朗。それぞれの思いを抱えて有名ラーメン店「天守閣」に集まった彼らの、己の野望をかけた権力争いを描く。

正式名称
邪道
ふりがな
じゃどう
作者
ジャンル
ラーメン
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概要・あらすじ

ラーメン戦国時代において、頭ひとつ抜き出たラーメン店「天守閣」。オーナーの上条竜也は一代で財を築き、それに憧れてスタッフに応募する者は後を絶たなかった。兵藤新介勝部守沢田吾朗の3人も己の力を試そうとスタッフに応募するが、上条の突然の事故死で揺れる「天守閣」では、支店長たちの覇権争いが起ころうとしていた。

そんななか、上条の妻であり、新たにオーナーになった上条志麻子は、兵藤に亡き夫の面影を見て、彼の意見を取り入れるようになっていく。

登場人物・キャラクター

兵藤 新介 (ひょうどう しんすけ)

「天守閣 本丸」の新スタッフで22歳。勝部守、沢田吾朗と同時に「天守閣 本丸」にて研修に入る。大学中退のため、新人担当の柳沢に「チュウ」という呼び名を付けられる。実際は帝都大学商学部で経営学を学び、一流会社の内定をいくつももらっていた優秀な男性。自分の力を試すために中退して「天守閣」のスタッフに応募した。 ラーメン屋でのアルバイトの経験があり、人手不足の「天守閣」で早くも頭角を現す。上条志麻子に気に入られ、新店舗「天守閣 大奥」のマネージメントを任されることになる。

勝部 守 (かつべ まもる)

「天守閣 本丸」の新スタッフで26歳。山形のラーメン屋の息子なので、新人担当の柳沢に「ヤマ」という呼び名を付けられる。新しい山形ラーメンを作るため、家出同然に上京した。自分の山形ラーメンを「天守閣」で試したいという気持ちがある。ラーメン屋経験者ということで、早くから厨房を任され、新店舗「天守閣 大奥」のスープ作り、新メニュー作りも任されることになる。

沢田 吾朗 (さわだ ごろう)

「天守閣 本丸」の新スタッフで42歳。会社をリストラされたことから、新人担当の柳沢に「リス」と呼び名を付けられる。ラーメン作りの経験がないため、店では雑用しか任せてもらえない。しかし、前の会社で広告部にいた経験を活かして店のチラシやメニューなどを作り、本丸店長の中津に評価される。また「天守閣 大奥」のマネージメントを任された兵藤新介にも、新店舗のチラシ作りなどを任される。

上条 竜也 (かみじょう たつや)

「天守閣」の創業者。中学時代からヤンキーで、高校3年の時に刑事事件を起こしたのをきっかけに、ラーメンの屋台を始めた。1年後には店を構えるまでになり、上条志麻子と結婚した。2年後には京都郊外に、現在の「天守閣」の元となった「天守閣 1号店」を出店。さらに支店を3店出したところで東京へ進出し、湘南に豪邸を建てるまでになった。 しかし、車の事故で突如亡くなってしまう。「喧嘩ラーメン一代記」という自伝的な本を出版している。

上条 志麻子 (かみじょう しまこ)

上条竜也の妻。「天守閣」を共に作り上げた。上条亡き後、「天守閣」の代表となる。上条が亡くなって落ちた売り上げを、2ヵ月でこれまで以上にするよう、各店長たちに檄を飛ばす。亡くなった上条に似たものを感じ、兵藤新介を買っている。兵藤の意見を取り入れ、新店舗「天守閣 大奥」を任せる。

中津 (なかつ)

「天守閣 本丸」店長。10年営んでいた自身の人気店を畳んで「天守閣」に応募し、店長にまで上り詰めた。ラーメン作りの腕も人柄も申し分なく、皆に信頼されている。上条竜也の突然の死で荒れる「天守閣」を、上条志麻子を盛りたてることで守って行こうと尽力している。新スタッフとして雇った兵藤新介、勝部守、沢田吾朗にも分け隔てなく接している。 新メニューの「ぶたしゃぶうま辛ラーメン」が当たり、4店舗の中で唯一の黒字店となった。志麻子に密かな好意を寄せている。

相馬 (そうま)

「天守閣 二の丸」店長。入店当時は覚えが悪く、上条竜也に叱られてばかりいたが、見込みがあるから厳しくしているのだ、と上条志麻子から励まされ、一人前の店長となった。しかし、オーナーの上条が亡くなってからは、新メニューの「蒸し若鶏のせ塩ラーメン」が外れたことで、村田、早川と共に腐る。逆に頭角を現してきた兵藤新介や、売り上げのいい「天守閣 大奥」に、同じく売り上げの芳しくない村田と共に腹を立て、自分が懇意にしているキャバ嬢を使って「天守閣 大奥」に嫌がらせを始めた。

村田 (むらた)

「天守閣 三の丸」店長。新メニューのクリームとほうれん草を使ったラーメンが売れず、二の丸の相馬、大手門の早川と共に腐る。「天守閣 大奥」が開店してからは、上条志麻子が「天守閣 大奥」に肩入れし過ぎていると感じ、同じく不満を持つ相馬と共に「天守閣 大奥」を潰そうと考え始める。

早川 (はやかわ)

「天守閣 大手門」店長。店長のなかでは一番若い。上条竜也の死後、早川が任されている「天守閣 大手門」の売り上げが最も落ちた。そのため結果を焦って味の研究を怠ったので客が離れ、新メニューのクリームとほうれん草を使ったラーメンも失敗に終わる。ずっと行列の出来る店であった「天守閣 大手門」に閑古鳥が鳴くこととなり、募ったイライラが爆発して、厨房をバットで破壊するという凶行に至る。

柳沢 (やなぎさわ)

「天守閣 本丸」に入って2年。上条竜也が亡くなり2番手、3番手が辞めたため、くり上がりで中津に次ぐ本丸の2番手になった。兵藤新介、勝部守、沢田吾朗の新人研修を担当する。中津には頭が上がらないが、新人に対しては横柄な態度を取る。他店からの引き抜きに合い、「天守閣」の味の決め手である「秘密の調味料」を盗み出そうと画策する。

大島 真澄 (おおしま ますみ)

「天守閣 大奥」二号店のスタッフに募集してきた若い女性。山形出身で、高校生の時から山形にある勝部守の店に通っていたラーメン好き。新しい山形ラーメンを夢見て上京した勝部が、「天守閣 大奥」で満足している姿に幻滅する。勝部のことを昔の癖で「勝兄ちゃん」と呼ぶ。

宮坂、内田、佐藤、相川 (みやさか、うちだ、さとう、あいかわ)

兵藤新介の大学時代のサークル「ボードゲーム交流会」の仲間たち。それぞれが一流と呼ばれる大学でトップクラスの成績を誇り、一流企業の内定ももらっていた。兵藤とこの4人は大学を中退し、皆それぞれ別の分野での成功を目指している。

場所

天守閣 (てんしゅかく)

最も勢いのあるラーメン店。上条竜也が一代で築いたラーメンチェーン。「本丸」「二ノ丸」「三ノ丸」「大手門」の店舗があり、各店舗が「本丸」の味をベースに個性を出したラーメンを作っている。随時スタッフを募集しており、年齢経験などは不問のため、ひっきりなしに応募があるが、修行は厳しく皆すぐに辞めてしまう。

天守閣 大奥 (てんしゅかくおおおく)

客もスタッフも女性限定のラーメン店。客足の落ちていた「大手門」の早川が店を壊したため、女性専門店としてオープンした。一人ではラーメン店に入れないという女性をターゲットにしている。元々兵藤新介のアイディアであり、中津に一度は退けられたが、上条志麻子が気に入ったため実現した。上条竜也と志麻子が最初にラーメン屋台を出したのが女子校の前だった、という事実も後押しとなった。

その他キーワード

秘密の調味料 (ひみつのちょうみりょう)

秘密の調味料。天守閣のスープの旨味と香ばしさのもととなっている。何が使われているかは上条竜也と上条志麻子しか知らない。ガーゼ袋に入れられ、中身が解らない調味料を、袋を開けることなくそのまま使う。調味料は、毎朝鍵のかかった箱に入れられて店に届けられ、使い終わった調味料は袋ごと返却しなくてはならない。新しい調味料は、前日の使い終わった調味料の袋と交換に渡される。

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