部長と社畜の恋はもどかしい

部長と社畜の恋はもどかしい

とある会社のオフィスが舞台で、残業や休日出勤、仕事の持ち帰りを厭(いと)わない社畜の丸山真由美は、仕事は時間内できっちり終わらせ、必ず定時で退社する堤司治と、ある日行なわれた新人歓迎会で酔った勢いに任せて体の関係を持つ。仕事一筋の真由美が、堤司と過ごす時間の中で大切なことを学んでいく姿を描いたオフィスラブコメディ。もともとは互いに仕事一筋だったこともあり、慣れないオフィスラブに右往左往する二人の不器用でもどかしいながらもキュンとする恋愛模様が見どころとなっている。ぶんか社/海王社「マンガよもんが」で2019年7月より連載の作品。2022年1月にテレビ東京系列でテレビドラマ化。丸山真由美を中村ゆりか、堤司治を竹財輝之助が演じている。このテレビドラマ版は、広告付き無料動画配信サービス「ネットもテレ東」と「TVer」におけるテレビ東京の視聴コンテンツを対象とした2022年の配信視聴ランキングにおいて、総合1位を獲得した。また、2022年3月に「Paravi」で、ドラマの後日譚(たん)が『部長と社畜の結婚はもどかしい』のタイトルで配信されている。

正式名称
部長と社畜の恋はもどかしい
ふりがな
ぶちょうとしゃちくのこいはもどかしい
作者
ジャンル
サラリーマン
 
ラブコメ
レーベル
ぶんか社コミックス(ぶんか社)
巻数
既刊10巻
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カンちがいから始まる社内恋愛

頼られると「No」と言えず、なんでも引き受けてしまう「いいよいいよのまるちゃん」こと残業の鬼・丸山真由美は、能率よく仕事を終わらせ、毎日必ず定時で帰る部長の提司治に対して敵意にも似た思いを抱いていた。しかしある日、酔いの勢いに任せて、提司と一夜を共にしてしまう。実は提司は真由美の不器用ながら真摯に仕事に向き合う姿勢に、かねてより好感を抱いていたのである。一方の真由美もまんざらではなかったが、翌朝、提司の「俺たちは大人だから」という言葉にショックを受ける。提司としては、「体の関係が先になってしまったが、自分たちは大人だから、そこは許して付き合ってほしい」という意味だったが、真由美は「体だけの、割り切った大人の関係でいよう」という意味だと受け取ってしまったのである。この言葉に真由美は「はい」と答えるが、これにより提司と真由美の認識に齟齬(そご)が生まれ、微妙にかみ合わない二人の関係がコミカルさを生み出している。

社畜相手の恋愛は難しい

丸山真由美は、いわゆる

「社畜」だが、真由美自身もそのことを自覚しており、あろうことか誇りと充実感を抱いている。真由美は少しでも多く仕事を引き受け、残業と休日出勤がしたくてたまらないという、恐るべき嗜好の持ち主だったのである。これにより提司治は、「大人だから」という言葉に端を発する互いの誤解が解けたあとも、真由美にとって仕事と自分とどちらが大事なのかという、究極の命題に直面することとなる。結局どちらも選べないという真由美のため、提司はせめて健康管理だけでもしっかりさせようと、自分といっしょに住むように提案。こうして二人の関係は、「仕事」という大きな障害がありながらも、飛躍的に加速していく。

描かれるさまざまな恋模様

本作は丸山真由美と提司治のオフィスラブを描いたラブコメディだが、真由美の部下であるアイドルオタク女子・三森を巡る三角関係、出向してきたキツい女性部長・鬼蔵と、ナンパながら心の底ではずっと真由美に思いを寄せていた拝島高志の関係など、さまざまな恋愛模様も描かれる。物語は真由美と提司が結婚したあとも続くが、彼らの周辺の人間関係もドラマチックかつやはりどこかコミカルに描かれ、見逃せない展開となっている。

登場人物・キャラクター

丸山 真由美 (まるやま まゆみ)

堤司治と同じ会社の営業部に所属する女性。新人の頃、堤司に指導してもらっていた。当時は同じ営業部で、現在の自分と同様に時間を気にせず仕事にまい進する堤司をスーパーマンと賛辞し、慕っていた。しかしいつしか働き方を変え、つねに定時に退社するようになってしまった堤司を、現在では一方的に敵対視している。新人歓迎会に参加した際、泥酔して仕事のあり方について堤司に絡み、肉体関係を持ってしまう。勢い任せではあったが、彼の優しさを知ることとなり、堤司に思いを寄せるようになる。当初は大人として振る舞おうとするが故に、言葉足らずな堤司の思いをくみ取ることができずに空回りするが、堤司の人となりを知るに連れてうまく歯車が回り始める。仕事に関しては色々と思うところはあるが、基本的に自分が不利益を得ても人間関係が丸く収まればそれでいいと考えている。仕事を終わらせるための残業や休日出勤、仕事の持ち帰りを厭わない、いわゆる社畜で、労働基準法ぎりぎりの社員として総務のあいだで有名人となっている。また後輩にも、仕事をなんでも引き受けてくれる都合のいい存在として軽く見られており、陰では「いいよいいよのまるちゃん」と揶揄(やゆ)され、転じて「まるちゃん」呼ばわりする者もいる。ただし、仕事を引き受けるのは自分に向けられた期待に応え、信頼を得るためであり、誰かに必要とされる自分でありたいというプライドと覚悟を持っている。出勤して仕事を始める際には、チョコレート菓子「ブラックボンバー」が必須で、職場にも自宅にも常時買いだめして置いてある。SNSなどの情報や流行には割と敏感な方だが、これといった趣味はない。

堤司 治 (ていじ おさむ)

丸山真由美と同じ会社の総務部部長を務める男性。部下からの信頼は厚い。いかにも堅物然とした外見で、口数は少ないながら社内では切れ者と知られている。しかし実は照れ屋で、肝心なことを言葉にしないため、本来の意味が伝わらないことが多い。つねに仕事は時間内できっちり終わらせ、定時に帰宅することを信条としているが、6年前までは超過勤務の代名詞のような存在で、いわゆる社畜そのものだった。当時は営業部のエースとして後輩の指導に当たっていたが、自分のペースに巻き込んだ結果、後輩を過重労働による健康障害に追い込んでしまい、現在の仕事スタイルに変貌を遂げることとなる。新人歓迎会に参加した際に酒を飲み過ぎ、仕事のあり方について同じく泥酔した丸山真由美と論争になり、勢い任せで肉体関係を持ってしまう。自分たちは大人だから、体の関係から始まっても許してほしいと真由美に告げたところ、彼女が了承したことから、堤司治自身は彼女と恋人になったと思い込んでいた。しかし、真由美は逆の意味で捉えていたため、その後しばらく行き違いが続くことになる。真由美との関係は時間と共に自然な恋人関係へと落ち着いたが、仕事を優先しがちな真由美には何かと振り回されることになる。一見わかりづらいが、真由美に惚(ほ)れ込んでいるため、無性に世話を焼きたくなってしまうことがある。一人暮らしで気が向いた時は自炊しており、腕前も確か。キャンプ用品の機能美が好きで、野外でコーヒーを淹(い)れて一服するソロキャンプを趣味としている。好きなものに対しては金に糸目は付けないタイプ。

書誌情報

部長と社畜の恋はもどかしい 10巻 ぶんか社〈ぶんか社コミックス〉

第1巻

(2020-06-17発行、 978-4821139415)

第5巻

(2022-06-16発行、 978-4821129805)

第6巻

(2022-11-16発行、 978-4821154791)

第7巻

(2023-03-16発行、 978-4821155576)

第8巻

(2023-08-17発行、 978-4821156696)

第9巻

(2023-12-15発行、 978-4821157495)

第10巻

(2024-04-17発行、 978-4821158225)

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