係長島耕作

係長島耕作

80年代にさしかかり好景気に沸く時代を背景に、大手電機メーカー初芝電器産業で係長となった島耕作の活躍を描く。「島耕作」シリーズの1つで、シリーズ第1弾『課長島耕作』の前日譚となっている。「イブニング」2010年7号から2013年21号まで連載された。

正式名称
係長島耕作
ふりがな
かかりちょうしまこうさく
作者
ジャンル
サラリーマン
レーベル
講談社漫画文庫(講談社)
巻数
既刊3巻
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ 

第1巻

島耕作の上司である課長の遠馬大に末期の膵臓癌が見つかった。そこで耕作は、大が病室でホステスの川添千世と密会できるよう取り計らう。しかし大は密会中に容態が急変し、帰らぬ人となってしまう。その後、耕作は大の妻、遠馬喜美子から千世に会わせてほしいと頼まれる。耕作に促され、千世は意を決して遠馬宅を訪ねる。そこで彼女は、喜美子から意外なものを手渡される。(STEP1「How Am I Supposed To Live Without You」、STEP2「I'm Not In Love」、STEP3「Saving All My Love For You」、STEP4「Time In A Bottle」、STEP5「Love Will Conquer All」。ほか、6エピソード収録 )

第2巻

課長のに正月出勤を押し付けられた島耕作は、営業本部商務部企画で課長を務める寺西径と立ち寄った初詣で、庭夫妻に出くわす。耕作達は庭の妻から自宅に招かれる事となったが、一見貞淑そうに見える庭の妻は、炬燵の中で耕作の股間を足先で弄んで来る。のちに、庭の妻から連絡してほしいとのメッセージを受けた耕作は、彼女と食事をする事となる。そこで、かつてレディースの頭で地元では相当のワルだったという庭の妻から、奔放な性生活を望む彼女の愚痴を聞かされる。(STEP12「Take Me Home」、STEP13「I Want Your Love」、STEP14「Love On A Two-way Street」。ほか、8エピソード収録 )

第3巻

常務の宇佐美欣三から、意中のママがいるカウンターバー「ぎやまん」に誘われた島耕作は、そこで専務の水野忠司と、彼に引き立てられて部長になったと鉢合わせする。水野がママを狙っている事を知って憤懣やる方ない宇佐美は酔いつぶれ、庭の妻が円山町で売春しているという噂を流す。それを聞いて心配になった耕作は円山町を捜索し、そこで立ちんぼをしている彼女を発見。その後、ひと悶着あった末に、耕作に連れられて行ったカラオケスナックで、庭の妻は天職を見つけるのだった。(STEP30「You Belong To The City」、STEP31「Adult Education」。ほか、9エピソード収録 )

第4巻

ハツシバアメリカへの転勤が決まった野外広告課の課長、水口治雄は、初芝電器産業のモデルとしてタレントの大杉ゆかを採用した。身銭を切る事を嫌う水口はゆかに酒の席で接待させようとし、そんな事情を知った島耕作は彼の行為を非難する。その後、ゆかは初芝産業の社運をかけたラジカセの広告モデルに抜擢されるが、それはスキンヘッドでヌードという過酷な仕事だった。耕作の説得で撮影に挑んだゆかは、これを機に売れっ子タレントになる。だが、ゆかは多忙で精神を病んでしまい、耕作に電話で助けを求める。ゆかの様子がおかしい事に気づいた耕作は、マネージャーの遠藤由紀夫と共に、ゆかのもとに駆けつけると、彼女は手首を切って自殺を図っていた。(STEP35「Desiderata」、STEP36「Everything She Wants」、STEP37「Are You Sincere?」、STEP38「Can't Smile Without You」、STEP39「I Love How You Love Me」。ほか、6エピソード収録 )

登場人物・キャラクター

主人公

キャラクター紹介『島耕作シリーズ』の主人公。1947年9月9日生まれ。1970年に大手電器メーカー初芝電器産業に入社した団塊世代のエリート。派閥争いに巻き込まれて左遷されることも多いがそれを糧に変える... 関連ページ:島 耕作

島耕作の妻。大学のサークルで知り合った島耕作と結婚し、一女島奈美をもうける。仕事への理解はあるが、勝気な性格。 出会いと結婚 島耕作と同じ早稲田大学の英語研究会「ESS」に1年生の時に入部。3年生だっ... 関連ページ:島 怜子

島耕作と島怜子の娘。両親の離婚に伴い、母親である島怜子に引き取られたが、「島」の姓を名乗っている。島耕作とはたまの休日に会っている。明朗な性格で成績も優秀、子供ならではの発想で島耕作にヒントを与えるこ... 関連ページ:島 奈美

遠馬 大 (とおま まさる)

初芝電器産業で販売助成部制作課の課長。社内検診で膵臓癌が判明し、本人には知らされないまま入院することになる。元気なうちに会っておきたいと、島耕作の仲立ちで付き合っているホステスの川添千世との病院での密会を企てる。

川添 千世 (かわぞえ ちよ)

新橋の「ひとみ」というバーのホステスで、遠馬大とは本気に付き合っていない。病院での密会で、遠馬の最期に一緒にいたことが遠馬の妻にばれ、呼び出されることになる。

(にわ)

初芝電器産業の神戸営業所で販売促進部長を務め、遠馬大の後任として販売促進部制作課課長となる。取締役に昇進することが決まった水野忠司の腰巾着。何でも会社の領収書で落とそうとするため、女子社員に「セコイ」と噂されている。領収書の件を追及されたことをきっかけに島耕作を敵視するようになり、仕事の手柄を横取りする。 自分の妻の裏の顔には、まったく気づいていない。

庭の妻 (にわのつま)

元暴走族のレディースで、家族に厄介払いされる形で初芝電器産業に務める庭と結婚した。家庭では貞淑な妻を演じているが実は暇を持て余し、庭の部下や上司と関係を持ち島耕作にもモーションをかける。庭の上司の水野忠司とも一時付き合ったことがあり、庭の出世に一役買っている。庭との関係に嫌気がさし、客をとりはじめたという噂を聞いた島に説得され、スナックのアルバイトを始める。

志づ菊 (しづぎく)

お座敷で踊りの伴奏をする熟女の芸妓で、大酒飲み。祇園のバーの敷居の高さに躊躇していた島耕作を店に誘い意気投合する。帰り道、初芝電器産業の吉原初太郎会長らと一本道で出くわしてしまい、島に身を隠す手段としてキスをされてその気になるが、泥酔して寝てしまう。

初芝電器産業の創始者、初代社長、初代会長。町工場を大手電器メーカーへと育てた「経営の神様」と呼ばれる日本経済界の正真正銘のカリスマ。自分の一言に、出世を狙う役員や社員が過剰に反応するため、自分の本意で... 関連ページ:吉原 初太郎

初芝電器産業の取締役で、初芝電器産業が町工場時代からの生え抜き。出世に貪欲。吉原初太郎が急死した現場に居合わせたことを利用し、密かに島耕作を使いインサイダー取引によって私腹を肥やした。バー「ぎやまん」... 関連ページ:宇佐美 欣三

初芝電器産業の販売助成部部長として島耕作の上司だったこともあり、島耕作を部下として頼りにしていた時期もある。大阪弁でしゃべり、何よりも仕事を優先するのが当たり前という考えの持ち主。今野輝常の妻を愛人と... 関連ページ:福田 敬三

水野 忠司 (みずの ただし)

初芝電器産業の専務取締役。社長の座を狙っている。ヨーロッパ初芝電器産業の社長を務めたこともあり、絶大なキャリアを持つ。自身の派閥に属している庭正彦が神戸営業所で販売促進部の部長に就いたのも、一時、庭正彦の妻と関係があった彼の力によるもの。 しかし島耕作の調査によって、庭正彦がソラー電機に情報を漏らし、会社の金を横領していたことが判明、失脚する。

奥本 (おくもと)

大手広告代理店、電報堂の社員で初芝電器産業と取引している。島耕作の新居の近くの団地に引っ越してきて、スーパーマーケットで島怜子と出会い、家に遊びにくる仲になる。島の同期の昇進などを嗅ぎ付けては、怜子に報告する。

風間 (かざま)

初芝電器産業の商務部課長。島耕作が自社の大型テレビを購入申請する際、購入枠を自分にまわしてほしいと持ちかける。これが発端となり、量販店が初芝電器産業の製品を仕入れ原価を割る価格で販売したことが発覚してしまう。初芝電器産業は独占禁止法違反を量販店から告訴され、木野穣社長が国会に招致される事態を招いてしまう。

寝屋川 保 (ねやがわ たもつ)

(株)東宣制作の部長。初芝電器産業のクリスマスツリーのデコレーションを担当した。宇佐美欣三が装飾のやり直し命令を出し、撤収を余儀なくされた際には、代金はいらないと突っぱねるなど、一本気な職人肌。初芝電器産業の仕事に対する寝屋川保の強い思い入れと、点灯したツリーの素晴らしさに心打たれた島耕作は、ツリーの装飾撤収回避を吉原初太郎会長に直訴しに行き、結果、寝屋川の仕事が高く評価されることとなる。

田代 友紀 (たしろ ゆき)

初芝電器産業販売助成部制作課に配属された新入社員。父は貿易商、母は呉服店経営の帰国子女。副社長の苫米地に一目惚れされるほどの美人だが、気が強く、あきれるほどマイペース。また、自分の立て替え払いの領収書を捨てたり、スポーツカーで出勤するなど大雑把で豪快な一面もある。仕事は完璧にこなすが、無駄だと思った作業はことごとく断るため、女性社員から孤立している。

中園 健次 (なかぞの けんじ)

初芝電器産業販売助成部販売店課の係長。鹿児島営業所に営業部次長として赴任することになった35歳の独身男性。プレイボーイとして名を馳せるが社内恋愛はしない主義。島耕作と一緒にナンパした女性の1人と短期間付き合う。その女性からストーカーされているため居場所を教えるなと島に釘をさす。その女性に中園健次の子供がいることを本人は知らない。

初芝電器産業の次期社長候補大泉裕介の秘蔵っ子。将来は社長になると目されていた優秀な社員で島耕作も一目置いている。岡山出身。明るく社交的で如才ない性格。 島耕作と樫村健三 島耕作とは大学時代からの同期で... 関連ページ:樫村 健三

水口 治雄 (みずぐち はるお)

初芝電器産業販売助成部野外広告課の課長で37歳。小銭を借りて返さない、勘定の時に酔いつぶれた振りをするなど、狡猾な面がある。ニューヨークのハツシバアメリカへ赴任することが決まるが、それを隠し、今後の仕事をちらつかせて野外広告に起用した大杉ゆかに、酒の接待をさせようとする。

大杉 ゆか (おおすぎ ゆか)

ケイオー企画所属で、眼ヂカラが魅力のタレント。初芝電器産業の野外広告にモデルとして採用された際、水口治雄課長に酒の接待を強要されるが島耕作に助けられる。新製品のラジカセの広告ではスキンヘッドでのヌード姿になり、タレントとしても大ブレイクする。島に好意を寄せていたが、仕事の忙しさに追い詰められて自殺未遂を起こし、芸能界を引退する。

徳山 実郎 (とくやま じつろう)

初芝電器産業勤務の48歳の男性。島耕作が課長に昇進したあとのポストが空いたため、販売助成部制作課の主任として配属される。国立大学出身だが、どこの部署からも受け入れを嫌がられている。独身で、母一人子一人。クーラー事業部にいた頃からの架空発注やリベートの持ちかけによる着服が島により暴かれ、業務上横領の疑いをかけられる。

遠馬 喜美子 (とおま きみこ)

遠馬大の妻。眼鏡をかけた意思の強い女性。大が末期の癌だと知り、彼に病状を悟られぬよう気丈に振る舞う。夫がホステスの川添千世と密会した事を知っており、のちに千世に対して静かだが強烈な復讐を企てる。

かすみ

スナック「マグワイア」で働く女性。実はビニ本のモデルやアダルトビデオの女優を本業としている。自分のできる範囲で誰かの役に立てるなら、それで十分という考え方の持ち主で、自分の仕事に誇りを持っている。マグワイアのマスター、クロサワと付き合っているが、島耕作の事も部屋に誘うなど自由奔放な性格。のちにアダルトビデオの女王から、ロマンポルノの女王に登りつめる。

怜子の祖父 (れいこのそふ)

島怜子の祖父。会津藩の白虎隊の戦士の家系であり、長州の人間を嫌っている。正月にひどく酔っ払い、山口県出身の島耕作に対し、薩長土肥の人間にはうちの敷居はまたがせないと、電話で怒鳴り散らす向こう意気の強い男性。

クロサワ

スナック「マグワイア」のマスターを務める男性。ロングヘアを一つに束ねた、いかにも自由人という出で立ちで、ビニ本とアダルトビデオの制作を本業としている。マグワイアで働くかすみと付き合っている。もともと、樫村健三の行きつけの店で、アダルトビデオを使った裏のセールスプロモーションを目論む樫村が、島耕作を連れてたびたび店を訪れるようになった事で知り合う。のちに、アダルト界で人気女優となったかすみのマネージャーを務めるが、ケンカ別れののち、マグワイアのマスターに復帰する。

遠藤 由紀夫

ケイオー企画で大杉ゆかのマネージャーをしている男性。気弱そうな人物で、ゆかに恋をしている。ゆかが島耕作を愛している事を知り、歯がゆい思いを抱えている。しかし、自殺未遂したゆかを献身的に看病した事をきっかけにゆかと結婚し、金沢で実家のお土産屋を継ぐ事になる。

耕作の両親 (こうさくのりょうしん)

島耕作の両親。山口県の岩国在住。母親はかしましく賑やかな性格で、父親は穏やかで優しい性格。ギリシャ旅行の帰りに、思い立って耕作のマンションに押しかけて来る。二人とも元気いっぱいで、太っ腹。耕作達が暮らす狭い賃貸マンションを不憫に思い、耕作の留守中、庭付きの家を買いなさいと島玲子に頭金500万円を出す約束をする。

津田沼 みどり (つだぬま みどり)

初芝電器産業の社員研修所で教官を務める女性。課長昇進を控えた島耕作の、1日だけの形式的な研修を担当した。その際、家庭と仕事の両立について耕作から相談を受け、子供には幼い頃の記憶がほとんどないので、仕事を優先すべきだとアドバイスする。同時に耕作に対し、島奈美が母親より父親を好きな事に島怜子が嫉妬しているのではないかと指摘するなど、カンの鋭いところがある。

集団・組織

初芝電器産業 (はつしばでんきさんぎょう)

『島耕作シリーズ』に登場する架空の企業。島耕作が勤めている日本最大手の電器メーカーで、カリスマ経営者吉原初太郎が町工場から育て上げた。初代社長吉原初太郎、第2代社長木野穣、第3代社長苫米地功、第4代社... 関連ページ:初芝電器産業

関連

島耕作シリーズ (しまこうさくしりーず)

大手電機メーカー初芝電器産業に務める島耕作が課長から社長へと昇進して活躍する約30年間を描いた弘兼憲史の代表的シリーズ作品。初期はサラリーマンの悲哀、オフィスラブを中心にした物語だったが、出世するにつ... 関連ページ:島耕作シリーズ

書誌情報

係長 島耕作 3巻 講談社〈講談社漫画文庫〉

第1巻

(2017-10-12発行、 978-4063850468)

第2巻

(2017-10-12発行、 978-4063850475)

第3巻

(2017-10-12発行、 978-4063850482)

SHARE
EC
Amazon
logo