概要・あらすじ
1－A担任の関は、彼氏探しや生徒指導にストレスを抱えながらも、器用に切り替えながら仕事をしているつもりだった。そんなある日、教室の給食衣袋が何者かにズタズタに引き裂かれる事件が発生し、バタフライナイフをクラスメイトに見せびらかしていた大谷が疑われる。そこで、関は「むやみに人を疑うことはよくない」と生徒に教えるため、多数決によって大谷の疑いを解こうとする。
しかし、転校生の小川蘇美だけは、「疑いを解く理由がない」と主張し、手を挙げなかった。関の小川への苦手意識が強まるなか、今度は生徒に可愛がられていたネコが刺殺される事件が起こってしまう。
登場人物・キャラクター
関 (せき)
エピソード「真説!ポケットにナイフ」に登場する。1－A担任の女性教師。感情の浮き沈みが激しい性格だが、自分では切り替えの上手い人間だと思っている。生徒からの人気は高かったが、生徒を実年齢よりも子供扱いして接する傾向があり、一部生徒からは疎ましがられていた。何者かに給食衣袋が引き裂かれる事件に際しては、犯人と疑われた大谷を庇い、多数決で事件を沈静化しようとする。 鈴木にアプローチをかけていた。
梨本 くるみ
エピソード「体育祭、五月晴れ」に登場する。2－Aの女子生徒で陸上部に所属している。体育祭でリレーの選手に選ばれるも、陸上部にしてはタイムが遅いことで引け目を感じている。重度のぜんそく持ちの妹がいるが、実は自分もぜんそくの症状があり、全力疾走をすると口の中に血の味がする。しかし、妹に気をつかってそのことを秘密にしている。 クラスメイトや家族の発言をきっかけに、マイナス思考が止まらなくなったまま、体育祭の当日を迎える。
紺野 (こんの)
エピソード「紺野…演劇特訓!秋の邪念」に登場する。2－Aの男子生徒。小川蘇美に恋する男子たち、通称「小川5人衆」の一員だが、同時に中村加奈にも想いを寄せている。1年時に鈴木の担任クラスだったため、演劇の鈴木式特訓を経験済みの「スペシャル組」として、2年時の文化祭でも、演劇の練習の中心となる。1年前は文化祭の本番に出られなかったため、2－Aの演目「ひかりごけ」の役獲得に強い意志を持っている。 父親が北海道出身のため、劇中の北海道弁が上手い。一方で、友人の竹地公彦に軽く扱われたり、恋する加奈の前で失態を見せたりと、思春期男子らしい空回りが続き、演技に集中できないまま仮公演を迎える。
戸塚 (とつか)
エピソード「戸塚24才、3－Cクラス会へ行く」に登場する。かつて2－Aに所属していた青年。2－A時代に鈴木が結婚前に彼女を妊娠させたことについて生徒たちが釈明を求めた「鈴木裁判」を欠席したことで、鈴木への理解が進まず、他のクラスメイトたちのように鈴木を慕うことができなかった。街で偶然出会った堀の内に誘われ、3－Cのクラス会に出席する。 そこで、うっかり2－Aのクラス会に出席しなかったことの本音を洩らしてしまい、2－A時代の居心地の悪さを告白することになる。
鈴木 (すずき)
2－A担任。メガネとネクタイピンがトレードマークの男性教師。爽やかな容姿と物腰柔らかな性格で生徒たちからの人気が高いが、その裏には熱い教育理論を秘めている。前作『鈴木先生』では、真摯な言葉と実行力で表に立って生徒たちの問題を解決していったが、本作『鈴木先生外伝』では陰から生徒たちを見守っていることが多い。
大谷 (おおたに)
エピソード「真説!ポケットにナイフ」に登場する。1－Aの男子生徒。世の中や学校に鬱屈しており、バタフライナイフを教室に持ってきて級友たちに見せびらかしていた。誰もいない教室で衝動に駆られ、給食衣袋をナイフで切り裂いてしまう。自分が何者かにはめられたように振る舞って関やクラスメイトの追求を免れるが、小川蘇美の疑いだけは晴らせなかった。 その後に発生したネコが殺された事件で、裏切られたと怒る関から犯人と思われ、再び追求を受けることとなる。
小川 蘇美 (おがわ そみ)
エピソード「真説!ポケットにナイフ」に登場する。1－Aに転校してきた女子。年齢以上に落ち着いた雰囲気を持つ礼儀正しい生徒だが、クラスメイトとは距離を縮められず、特に女子グループからは意図的にのけ者にされている。一方、男子生徒には恋慕を寄せる者も多い。給食衣切り裂き事件時に、大谷の無罪を信じる多数決で手を挙げず、ますますクラス内で孤立する。 しかし、ネコが殺されて大谷が疑われた際には見事な考察を発揮し、真相究明のきっかけを作る。
河辺 彩香 (かわべ あやか)
エピソード「真説!ポケットにナイフ」に登場する。1年生の女子生徒。恋多き女子で、すぐに彼氏が変わる。1－Aの中村と親しい間柄だったが、「やさしくない」という理由で一方的に別れを切り出す。校舎裏に居ついたネコを可愛がっており、毎日、給食の残りを持っていっていた。ネコが殺された際の第一発見者になってしまう。
中村 (なかむら)
エピソード「真説!ポケットにナイフ」に登場する。1－Aの男子生徒。河辺彩香と交際していたが、一方的に別れを切り出されてしまった。ネコが殺された時のホームルームでは、大谷に罪をかぶせるような発言をする。その際、笑みを浮かべていたのを小川蘇美に見られ、逆に小川に真相を確信するきっかけを与えてしまった。あだ名の「マッシュ」はその髪型から。
桃井 里香 (ももい りか)
エピソード「真説!ポケットにナイフ」に登場する。関や鈴木の同僚の女性教師。「年齢が近い」という理由から、関の飲み仲間になっている。強引な関の誘いをなかなか断れず、ストレスをためこみやすい性格。関のグチと酒癖に付き合っているうちに体調を崩し、休職することになってしまう。復帰後の現在とは違って、自己主張の苦手な気の弱い女性。
梨本 このみ (なしもと このみ)
エピソード「体育祭、五月晴れ」に登場する。梨本くるみの妹。重度のぜんそくを患っており、家ではほぼ寝たきりの状態。一度、健康体であると思っていた姉に対して妬みを口にしてしまうが、その時の姉の表情を見て以来ネガティブな発言をしなくなり、姉とは良好な関係を築いている。
浜口 (はまぐち)
エピソード「体育祭、五月晴れ」に登場する。2－Aの男子生徒。前髪を長く伸ばした髪型と尖った唇が特徴。同じく陸上部に所属する梨本くるみを気にかけている。実は自身もぜんそく持ちで、梨本がぜんそくに苦しんでいるのを見抜いていた。そのため、体育祭の途中て梨本に無理をしないよう労いの言葉をかける。
中村 加奈 (なかむら かな)
エピソード「紺野…演劇特訓!秋の邪念」に登場する。2－Aの女子生徒。吹奏楽部所属の明るく快活な少女で、紺野から思いを寄せられている。文化祭が迫るなか、小川蘇美が不法侵入者に捕らえられ強姦未遂される事件が起こった際、屋上からの脱出劇をクラスメイトたちと見守っていたが、小川の下着を見た紺野の反応を目撃し、怒りをぶつける。 以後、紺野を無視していたが、仮公演の直前に邪念に囚われた紺野を解放すべく、言葉を投げかける。
竹地 公彦 (たけち きみひこ)
エピソード「紺野…演劇特訓!秋の邪念」に登場する。2－Aの男子生徒。河辺彩香と交際している。彼女がいるということで心に余裕が生まれ、演劇の練習においても中心人物となる。紺野とは友人だが、冗談半分に軽く扱う傾向があり、女子の前でも同様の態度を示すため、紺野からは怒りを買っている。良かれと思って紺野にかけた言葉が、余計に紺野のマイナス思考を加速させてしまう。
西 和哉 (にし かずや)
エピソード「戸塚24才、3－Cクラス会へ行く」に登場する。かつて2－C、3－Cに所属していた青年。中学校時代は生徒会長を務めていた。当時は内向的な性格だったが、クラス会では明るい顔を見せている。野方貴枝たちが戸塚の告白に乗っかって鈴木の悪口を言うのを咎めるなど、大人の男性としての凛々しさを身につけている。 また、中学時代の吃音も克服している。
野方 貴枝 (のかた きえ)
エピソード「戸塚24才、3－Cクラス会へ行く」に登場する。かつて2－C、3－Cに所属していた女性。中学時代と同じくゴシップ好きで悪ノリが激しい性格。戸塚の告白に歓喜の表情すら見せ、友人の青木と共に、鈴木や当時鈴木が担任を務めた2－Bの悪口をまくしたてた。しかし、その内容は戸塚の本意とはかけ離れており、察した西和哉からきつく忠告を受ける。
平良 (たいら)
エピソード「戸塚24才、3－Cクラス会へ行く」に登場する。かつて2－B、3－Cに所属していた女性。天然パーマの少女だったが、現在では人工パーマをかけている。中学時代は1年時に鈴木の担任クラスとなり、以後、鈴木を慕い続けるも、2年、3年と鈴木のクラスには入れなかった。そのため、鈴木への思いを吐きだした戸塚に対し突っかかってしまう。 実は中学時代、戸塚に好かれていたことが判明する。
保坂 淳 (ほさか じゅん)
エピソード「戸塚24才、3－Cクラス会へ行く」に登場する。かつて2－C、3－Cに所属していた青年で、顎鬚を生やしている。中学時代からムードメーカー的存在で、クラス会でも盛り上げ役を務めている。戸塚の告白から暗くなった空気を察し、助け舟を出すべく戸塚に「好きだった女子」の話題を振る。ちなみに、自身はふられっぱなしらしい。
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