幼なじみの二人の、友情と因縁を描いた物語
日向鉄雄は、毎日ケンカに明け暮れる学年一の大バカだが、男子生徒には好かれる人気者。草薙樹は、学年一の秀才でスポーツも万能。容姿端麗で女性人気が高いが、クール過ぎて近寄りがたい。そんな対照的な二人は、同じ施設で育ち、ずっと一緒にいることを誓った盟友である。ある日、世界を破滅に追いやる「天使」たちが活動を始めたとき、鉄雄は妖(あやかし)のリーダーとなる「鉄の王」の力に目覚めた。本作は、繰り返される妖と天使たちの長い戦いに巻き込まれる、鉄雄と樹の友情と因縁を描いた物語である。
妖と天使たちの長い戦い
はるか昔の日本では人間と神が共存していた。神は人間に雨や風など自然の恵みを与え、人間は社を建てたりお供えをしたりして、神に感謝を伝えていた。そんな平和な時代が何千年も続いたある日、「新しい神」が降臨する。彼らは強大な力で人間をひざまずかせ、古来の神々を日本から追い出そうとした。以来、古来の神々は妖・モノノケと呼ばれるようになり、抹殺され、追いやられながらもなんとか抵抗を続けてきた。本作の背景には、こうした妖と天使たちの長い戦いがある。なお、作中では「古来の神」は八百万の神、「新しい神」は仏教やキリスト教などに由来する神を指す。したがって天使と総称されているが、阿修羅や広目天なども敵として登場する。
鉄の王VS.ハイペリオン
もとは古来の神々であった妖たちは、鉄雄を含めた七人の長に率いられた七つの眷属に分かれている。左手に神の力を宿した鉄雄は、やがて真の力に目覚め「クサナギノツルギ」という巨大兵器を創り出すことに成功。他の長たちをまとめ、戦の総大将たる「鉄の王」になる。一方天使たちは、人間を「厄蜂(ハチ)」という蟲に変え、彼らを使って地中で眠る「ハイペリオン」に養分を送っている。ハイペリオンは天使たちの主であり、「対妖最終兵器」である。また、目覚めれば、世界の破壊と再生を行うようにプログラムされている。鉄の王はハイペリオンを止めるべく、天使との戦いに身を投じていく。
登場人物・キャラクター
日向 鉄雄 (ひゅうが てつお)
高校2年生、16歳の男子。銀色の短髪が特徴。草薙樹とは同じ施設で育った幼なじみ。困っている人間を放っておけない性格。ケンカに明け暮れ、成績は学年最下位。しかし、どんな境遇の生徒にも真正面から向き合える教師になる夢を持っている。ある日突然、左手に神の力を宿し、天使たちと戦う「鉄の王」になる。敵からは「鉄人形」と蔑称で呼ばれることが多い。
草薙 樹 (くさなぎ いつき)
高校2年生、16歳の男子。黒髪とメガネが特徴の美男子。日向鉄雄とは同じ施設で育った幼なじみ。「バカ」「サル」などと悪口を言うが、幼い頃、孤独だった自分に手を差し伸べてくれた鉄雄に強い思いを抱いている。成績優秀、スポーツ万能で、女子人気は高いが、誰も寄せ付けないクールな雰囲気を醸し出している。天使との戦いで右手を失うが、鉄雄の神の力で、天使の右腕を移植される。
書誌情報
鉄の王 3巻 講談社〈講談社コミックス〉
第1巻
(2014-10-17発行、 978-4063952254)
第2巻
(2015-01-16発行、 978-4063952957)
第3巻
(2015-03-17発行、 978-4063953510)