概要・あらすじ
遣唐使の少年船員であるタケルは、一度に7匹のトラを退治するほど腕の立つ勇士。その武勇は遠くローマ帝国まで届き、帝国一の剣士であるアキレタスの耳に入っていた。トラに襲われる商人の父娘を助けたタケルは、その腕を買われて隊商の用心棒として雇われ、ローマ帝国へ向けてシルク・ロードを西へ向かう。一方でアキレタスも皇帝の勅命を受け、シルク・ロードを通って東方への遠征の旅に出る。
さまざまな苦難の果てにたどり着いた砂漠の町「クロライナ」で、タケルはついにアキレタスと出会う。クロライナを征服しようとするアキレタスと、守ろうとするタケルは対立し、2人は町の命運を賭けた決闘に挑む。
登場人物・キャラクター
タケル
遣唐使の船員として、冒険を求めて唐へ日本からやって来た少年。商人の父娘に襲いかかったトラを、あっという間に退治できる腕前の持ち主。その腕を見込まれて用心棒として雇われ、リー・ルンが率いる隊商とともにシルク・ロードをたどってローマ帝国へと向かう。正義感が強くまっすぐな性格で、隊商を乗っ取ろうとするタン・メンと対立したり、クロライナを征服しようとするアキレタスから町を守るために命を懸けた勝負に挑む。 アイ・リンに淡い想いを抱いている。
アイ・リン (あいりん)
タケルに命を助けられた商人の娘。ローマ帝国へと向かう隊商に同行し、一緒にシルク・ロードを旅する。年が近く、命の恩人でもあるタケルに親しみを抱いており、旅を通して仲良くなっていく。タン・メンの陰謀によりタケルとリー・ルンが隊商から追放された時には、密かに手がかりを残して後を追えるように計らった。
リー・ルン (りーるん)
アイ・リンの父親が隊商を率いる隊長として雇った青年。実直な性格で、隊商一団にいる女性や老人に気を配りながら、安全に旅を続けられるよう心を砕いている。初対面からケンカになったタケルとタン・メンの対立には手を焼いている。しかし生真面目さがたたってタン・メンの策略にはまり、隊商を追い出されてしまう。それからはタケルとともに追跡の旅をすることになる。
タン・メン (たんめん)
リー・ルンが率いる隊商に所属する男性。アイ・リンの美しさに目を付け、自分のものにしようとしたのをタケルに邪魔されたのをきっかけに、敵愾心を抱く。タケルに味方するリー・ルンにも反発し、策略をめぐらせて2人を追い出して隊商を乗っ取ろうとする。
山賊のお頭 (さんぞくのおかしら)
隊商を夜襲した山賊を率いる男性。反撃に遭いながらもアイ・リンをさらって人質にとり、馬や牛、荷物のすべてを引き渡すよう要求する。荒っぽい手段を使うのと同時に狡猾さも持ち合わせており、救出に来た追っ手をおびき寄せるために罠を仕掛け、見事にタン・メンを捕らえる。
アキレタス
ローマ帝国の競技場で行われる試合で優勝し、国一番の勇士として讃えられる青年。自らの腕とローマ帝国の栄光に誇りを持っている。東の国にいるという自分より強い男の噂を聞きつけて興味を持ち、いつか戦って打ち負かしてやると誓っている。クロライナでタケルと出会い、念願の一騎打ちを挑む。
ソリヤル
クロライナの王女。アイ・リンと瓜二つの容姿をしている。王家に仕えている魔術師から、東の国から来るタケルという勇士を引きとめて町を守らせよという預言を受けており、出会ったタケルに「何でも礼をするから町を襲う賊から守ってほしい」と頼む。ローマ軍を率いてやって来たアキレタスが町を滅ぼすつもりだと知った際には、全滅も覚悟で戦いに挑む勇敢な面もある。
場所
クロライナ
シルク・ロードの途中にある砂漠の中の大きな町。人々の信仰心は強く、ソリヤルに仕えている魔術師が大きな発言力を持ち、タケルとリー・ルンが訪れた時には、役人たちが2人を捕らえて悪霊退散式の生贄として処刑しようとした。北からやって来る匈奴という賊にしばしば襲われており、ついにはアキレタス率いるローマ帝国の軍勢による侵攻を受けることにもなる。