鉄腕アダム

鉄腕アダム

人と同じ心を持ったヒューマノイドのアダムが、人類存亡の危機を救うため、地球に次々と襲来する謎の飛翔体に立ち向かう姿を描いた近未来SFコミック。「少年ジャンプ+」2016年11号から連載の作品。

正式名称
鉄腕アダム
ふりがな
てつわんあだむ
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
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あらすじ

第1巻

西暦2045年。世界大戦勃発の危機や異常気象、そして大気汚染などによって、地球では動植物の絶滅が危惧されていた。そんな荒廃していく地球から、人類は新たな開拓地、火星への入植を始めるが、突如として謎の飛翔体が地球に襲来して来る。その形状から人々は飛翔体を「」と呼称し、蝶が地球に降り立つ前に、宇宙空間で迎撃する作戦を開始する。人類の存亡を左右する重要なミッションを担うことになった国連航空宇宙軍所属のジェシー・マスクウェルは、ヒューマノイドの開発チームを結成。人と同じ心を持った対蝶迎撃ヒューマノイド、アダムを開発した。人類の命運をAIであるヒューマノイドに任せても良いのか、という否定的な意見も囁かれる中、アダムは次々に襲来してくる蝶から地球を守るために、宇宙空間へと飛び立っていく。

第2巻

アダムは、次々と地球に飛来して来るを、負傷しながらも辛うじて迎撃していたが、そんな戦果の安定しないアダムに対し、不信感を抱く者も少なくなかった。その1人であるメイソン・マッカラムは、アダムにこれ以上人類の存亡を任せるわけにはいかないと考え、蝶迎撃用ロボット、プルートウを開発。このプルートウには、人間に近い行動や思考を行えるようにする高度な人工知能などの、戦闘に関係のない余計なプログラムやコンピュータチップは搭載されていない。プルートウの実戦投入に向けた話が進んでいく中、人工衛星のホルスト2号より、2体の蝶が地球に接近しているという情報が届く。国連航空宇宙軍は、早速アダムとプルートウを同時に出撃し、共闘させることを決断するのだった。

登場人物・キャラクター

アダム

ジェシー・マスクウェルが開発したヒューマノイド。黒髪で赤い眼をしており、一般的な成人男性と遜色ない外見をしている。普段はパーカーにハーフパンツなどの洋服を着用しているが、戦闘時には戦闘用のスーツとヘルメットを着用する。体のほとんどは炭素繊維と金属により構成されており、頭脳に量子コンピュータチップが搭載されている。 人間と同じ心と人格を備えた高度な人工知能を持っているため、時には人間よりも人間らしい行動や思考をすることもある。もともとは惑星探査用の探査ロボットとして開発が進められていたが、開発の途中段階でジェシーが開発責任者となり、それに伴って開発予算が増えたため、過酷な宇宙空間でのミッションにも耐えられるような現在の設計となった。 蝶との戦闘時には、通信機でジェシーたちのサポートを受けながら戦う。生真面目な性格で、自分が蝶を迎撃できないと地球が滅亡してしまうという、責務の重大さに大きなプレッシャーを感じている。そのため、国連航空宇宙軍の蝶迎撃ミッションの戦闘シミュレーション結果が芳しくないことに、悩まされ続けている。趣味は読書で、特に村上春樹の作品を愛読しており、それに由来した「サワラ」という名前の猫を飼っている。

ジェシー・マスクウェル (じぇしーますくうぇる)

アダムを開発した男性。長髪で黒いフレームの眼鏡をかけており、スーツの上から、時々白衣を羽織ることもある。明るく社交的な性格で、何かとジョークを交えて話すので、周りからは軽く見られがち。しかし、国連航空宇宙軍で蝶迎撃ミッション作戦の指揮や兵器の開発にあたるなど、人類の存亡を左右する重要なミッションを任されている。 そのため、テレビのニュース番組にゲストとして呼ばれることもある。その他、アダムが宇宙空間で蝶と戦闘をする際には、通信機で会話をしながらサポートを行っている。地球環境を守るために、人類が火星への入植を進める現況では、火星への入植に対してあまり乗り気ではない。生まれつき心臓が弱いため、心臓を摘出して、ナノポットを心臓の変わりに埋め込んでいる。 子供の頃の夢はニンジャになることで、その次が宇宙飛行士になることだった。ブルームーンビールが好物。

レイ・マミヤ (れいまみや)

国連航空宇宙軍に務めている男性。ロボット工学のスペシャリスト。短髪でサイドの髪を刈り上げにしたヘアスタイルで、目が鋭く、耳にピアスを付けている。国連航空宇宙軍では、アダムの戦闘スーツやジェットスラスタなどを開発している。また、アダムが宇宙空間で蝶と戦闘をする際には、通信機で会話をしてサポートを行っている。 寡黙で無愛想なので、付き合い難(にく)そうな印象を与えるが、それは仕事に対する真摯な姿勢の表れで、国連航空宇宙軍内では博識で優秀なエンジニアとして非常に高く評価されている。バンシーの開発者であるヘザー・バーンズの父親を尊敬し、憧れている。学生時代は、メイソン・マッカラムと同じアイスホッケーチームで活動していた。 母親が無類の猫好きということもあり、実家では猫を8匹飼っている。好物はスペアリブ。

サイモン・ベッカー (さいもんべっかー)

宇宙生物学者の男性。短髪で、顎ひげと口ひげを生やし、白いTシャツの上から襟付きの半袖シャツを着用している。国連航空宇宙軍で蝶の分析を担当している。アダムの戦闘用スーツに付着した蝶の微粒子から得られたデータを、蝶迎撃ミッションの戦闘シミュレーション施設に使用したり、蝶のサンプルを作ったりと、さまざまな研究を行っている。 他に、アダムが宇宙空間で蝶と戦闘をする際には、通信機で会話をながらサポートを行っている。明るく大らかで、社交的な性格。仕事中はコーヒーを愛飲しており、ヘビースモーカーでもある。

ヘザー・バーンズ (へざーばーんず)

イギリス海兵隊に所属する女性。階級は中尉。肩まで伸びたボブヘアで、背が高くてスタイルが良く、容姿端麗。一方で気が強く、男勝りな性格をしており、街中で事件が起きた時には単身犯人を追い詰め、関節技を決めて捕まえるなど、美しい外見に似合わず体力自慢。ジェシー・マスクウェルの警護を担当しているが、ジェシーとは今ひとつ反りが合わず、対立して口論に発展することも多い。 ただし、根は心の優しい人物。父親は欧州宇宙機関で、宇宙往還機などの宇宙飛行機を開発しているエンジニアだったため、子供の頃は宇宙飛行士になることを夢見ていた。乗り物の運転が好きなため、車の自動運転化が進む中、今でも自分で運転している。幼い頃は、母親からピアノとバレエを習わされていた。

ニールス・ボーマン (にーるすぼーまん)

アメリカ合衆国海兵大将の男性。小麦色の肌をしていて背が高く、坊主に近い短髪で眼鏡をかけている。国連航空宇宙軍で蝶迎撃ミッションの司令官を務める最高責任者。普段は温和な性格だが、人類の存亡を左右する任務を任されているため、時には部下やアダムの開発者、エンジニアたちに厳しい指示や判断を下すこともある。国連航空宇宙軍の許可なくテレビに出演したりと、問題行動を起こすジェシー・マスクウェルに頭を悩ませており、部下のヘザー・バーンズに、ジェシーの警護するように任命する。

メイソン・マッカラム (めいそんまっからむ)

アメリカ国防高等研究計画局DARPA戦術技術室に所属する研究員の男性。細面で、髪型は黒いショートカット。前髪の一部のみを白くしている。常にスーツを着用し、白衣を羽織っている。ロボット工学のスペシャリストで、プルートウの開発者。国連航空宇宙軍が人類の存亡を賭けた蝶迎撃ミッションを、人間と同じ心や感情を持ったヒューマノイドであるアダムに任せて大丈夫なのか、と不信感を抱いている。 実は、15年前に月面基地の人工知能ロボット、デイジーベルが精神疾患を起こして、基地にいたクルーたちを皆殺しにした事件で、クルーの一員だった父親を亡くしている。以来、人工知能が人間の知性を超えると、人類の破滅を招く恐れがあると考え、人工知能の研究や開発は中止すべきだと主張する、AI脅威論者となった。 学生時代はレイ・マミヤと同級生で、同じアイスホッケーチームで活動していた。

レベッカ・コーエン (れべっかこーえん)

FBIに務めている女性。長い髪を後頭部で1つに束ねてお団子にして、スーツを着用している。15年前に月面基地の人工知能ロボット、デイジーベルが精神疾患を起こし、基地にいたクルーたちを皆殺しにした事件を捜査している。この事件を引き起こした張本人だと疑いをかけられているサイコビリーの正体が、実はジェシー・マスクウェルなのではないかと疑い、ジェシーに接触を試みる。 母親はデイジーベルのAIを作った科学者。15年前の事件当時には、事件の原因を母親が作ったと思い込んで精神が不安定になり、リストカットをして自殺未遂をした過去を持つ。

ウォルター・マスクウェル (うぉるたーますくうぇる)

ジェシー・マスクウェルの兄。短髪で、サイドの髪を刈り上げている。火星基地の建造に携わっており、滅多に地球に戻ることがない。そのため、火星からホログラム装置「EPR通信」を使って時々地球と交信し、家族とコミュニケーションを取っている。アメリカのレンジャー連隊に所属していた過去を持つ。明るく気さくな性格で、家族想いな人物。 そのため、離れて暮らしている家族が住む地球に、蝶が飛来して来るようになったことを心配している。交際している同僚のルーシーのお腹に子供がおり、すでに「ビーンズ」という名前まで決めている。

ブランドン

ジェシー・マスクウェルの甥で、明るく無邪気な7歳の少年。短髪で白いTシャツを着用している。地球で母親と祖父母とともに生活をしている。地球に飛来して来る蝶を迎撃するミッションを行っているアダムが大好きで、母親の兄のウォルター・マスクウェルに、3Dプリンタでアダムのフィギュアを作ってもらい、以来ずっと大事にしている。 ジェシーと久しぶりに再会した際には、アダムの話を聞かせて欲しいとせがんだりと、アダムに宛てて書いた手紙を託した。

サイコビリー

15年前に突如として姿を消した伝説のハッカー。当時、アメリカ軍の汚職事件に関わっていた関係者を見つけて摘発した存在で、アメリカ軍の関係者なら誰もがその名を知っている。15年前に月面基地の人工知能ロボット、デイジーベルが精神疾患を起こし、基地にいたクルーを皆殺しにした事件で、デイジーベルをハッキングした疑いが持たれている。

プルートウ

メイソン・マッカラムが開発した蝶迎撃用ロボット。人型ではあるが、黒くて無機質な形状をしている。戦況に合わせて遠距離、中距離、近距離と戦闘パターンを切り替えて戦うことができる。プラズマ放射を搭載しているため重量はあるが、そのデメリットを補うほどの凄まじい破壊力を持つ。高度な人工知能は搭載されておらず、ただ目的を遂行するためだけに作られたはずだが、アダムと共闘して蝶と戦闘している最中に、アダムの心の中に話しかける。

サワラ

アダムの飼い猫。かぎ尻尾が特徴的な三毛猫。雨の降る夜にずぶ濡れで鳴いていたところをアダムに拾われた。以後国連航空宇宙軍内で生活するようになり、以来、国連航空宇宙軍に所属するメンバーに可愛がられている。「サワラ」という名前は、アダムが愛読している村上春樹の小説『ねじまき鳥クロニクル』の主人公の妻が飼っていた猫の名前による。

集団・組織

国連航空宇宙軍 (こくれんこうくううちゅうぐん)

ジェシー・マスクウェルが、蝶迎撃ミッション作戦の指揮や兵器の開発にあたっている国際組織。ここでジェシーは、アダムが蝶と宇宙空間で戦闘を開始した際に通信機でサポートを行っている他、蝶との戦闘で負傷したアダムを修理している。また、アダムの蝶迎撃ミッションの戦闘シミュレーション施設も設けられている。その他にも、人類の命運を一手に請け負い、さまざまな最新兵器の開発・研究が行われている。

その他キーワード

(ちょう)

存在のすべてが謎の飛翔体。生物なのか無機物なのか、何の目的で地球を襲撃しているのか、すべて不明。それぞれ形状は異なるが、共通して蝶のような形状の羽根を持つため、「蝶」と名付けられている。体の主な成分は炭素で出来ており、必ず1体ずつ地球に飛来して来て、対峙するアダムと死闘を繰り広げる。

バンシー

蝶迎撃ミッションで使用されている宇宙往還機。ヘザー・バーンズの父親が開発していた。開発中の試験段階では着陸テストに失敗する等、多くの問題があり、開発が難航していた。そんな幾多の不運な事故で呪われた機体と揶揄され続けてきた。しかし現在では、打ち上げのコスト、蝶迎撃ミッションでの高度といった条件を満たした唯一の機体として、国連航空宇宙軍で重宝されている。 泣き声で家人の死を知らせる妖精、という不吉な名前が付けられているが、その由来は不明。

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