陵子の心霊事件簿

陵子の心霊事件簿

霊感が強い女子高生のもとに現れた青年の霊は、どこかにあるはずの自分の体を探すように要求する。青年の霊が乗り移った白猫と共に、次々に襲い来る強大な霊たちに立ち向かう2人の姿を描くサスペンスロマン。「ちゃお」1987年7月号から1991年2月号にかけて不定期に掲載された作品。

正式名称
陵子の心霊事件簿
ふりがな
りょうこのしんれいじけんぼ
作者
ジャンル
お化け・妖怪
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概要・あらすじ

ある夏の日、飼っていた白猫のポウが不幸な事故死を遂げてからというもの、翠川陵子は、自分の周辺で起き始めたさまざまな現象から、霊の存在を感じ取る。そんななか、死んだはずのポウの体に、見知らぬ青年の霊が乗り移って、陵子の前に姿を現す。その霊は、自分自身に関する記憶を失っていたが、生きたまま離れてしまった自分の肉体を探して欲しいと要求する。

当初は拒絶していた陵子だったが、ポウを亡くしてから起こる霊現象から守ってもらうことを条件に、青年の肉体を探すことを約束する。だが次第に、襲い来る霊たちが明確な意図を持って、陵子と青年の霊を狙っていることに気づいていく。

登場人物・キャラクター

翠川 陵子 (みどりかわ りょうこ)

霊を呼ぶ体質を持つ女子高校生。霊を感知する能力は強いが、それに対抗する能力を持ち合わせていない。そのアンバランスゆえに、危険な目に遭うことが多い。また、体調が良いときのみ、人の体から出るオーラを見ることもできる。15年間、一緒に育ってきた猫のポウを、姉弟の様に大切に思っていた。

ポウ

翠川陵子の飼っていた白猫。ある朝、風呂の中で溺死しているところを、陵子によって発見された。15歳で命を落としたが、その後、その亡骸に身元不明の青年の霊が入り、それまでのポウとは別の猫として、陵子の家で飼われることとなる。ポウに乗り移っている青年は、生きたまま自分の精神が肉体から離れた、と主張しているが、自分の名前すら記憶にない状態。 1匹の雄猫として、近所のペルシャ猫から熱烈な求愛を受けている。

日下部 拓 (くさかべ たく)

白猫のポウの中に入っている青年の霊の正体。自分自身に関する記憶はすべて失ってしまっているが、生きたまま精神が肉体を離れた、という状況だけは覚えている。1年前の夏、自宅アパートから忽然と姿を消した。背中に大きな傷跡があるが、何によるものかは記憶にない。自分の肉体を探すように翠川陵子頼み込み、霊による危険から彼女を守るという条件で、契約を交わす。 通常は白猫のポウの体に入っているが、相手の意識がない状態であれば、人間に乗り移ることも可能。そのため状況に応じて、事故を装って、意図的に相手の意識を失わせることも少なくない。

ママ

翠川陵子の母親。夫を亡くした悲しみから、夫との思い出が深い家で暮らすことに苦痛を感じ、引っ越しをした。これをきっかけに、引っ越しが大好きな引っ越し魔となる。家族に相談せずに、短期間で家を転々とするようになった。

翠川 和也 (みどりかわ かずや)

翠川陵子の兄。高校3年生の受験生。猫のポウに乗り移っている日下部拓の霊が、人間の姿の方が都合がいいと考えた際、気絶させられて体を利用されることが多々ある。普段は眼鏡をかけているが、拓が乗り移った際には眼鏡を外す。

須賀 亨 (すが とおる)

翠川陵子のクラスメイトの男子高校生。近隣の学校から転入してきたばかり。電車の中での出会いがきっかけとなり、陵子と親しくなる。いつも甘い花の匂いをまとっているが、それは彼に取り憑いている女性の霊から漂うもの。霊感が強い陵子やポウにしか、感じられない。

相沢 愛美 (あいざわ まなみ)

須賀徹に取り憑いている女性の霊。その正体は、須賀が転入してくる前の学校で付き合っていた元彼女。中等部3年のときに交際していたが、3~4か月で、須加から一方的に別れを告げられた。彼に未練があり、別れた後も常に付きまとっていたが、須加から無視し続けられたことにショックを受け、自殺したと噂されている。

野上 達彦 (のがみ たつひこ)

高校3年生の男子。翠川陵子に対して、熱烈に想う気持ちを伝えてくる。陵子からは1通目のラブレターを渡した際、はっきりと断られている。しかし、2日と空けずにラブレターを送り続けたり、陵子の行く先々に現れては、プレゼントを渡そうとするなど、かなり執念深く粘着質。そのため、陵子からは嫌がられている。

川島 みのり (かわしま みのり)

先天性の悪性貧血を患う女性。図書館で倒れたところを、翠川陵子に助けてもらい、陵子と知り合った。体調が悪い状態が続いている。オーラは薄弱で、たくさんの低級霊に取り憑りかれてしまっている。

志藤 (しとう)

翠川陵子のクラスメイトの男子高校生。「頭は軽いが顔はいい」と女子生徒に人気がある。修学旅行中、ポウの姿では動きづらいと判断した日下部拓が、志藤の体に入り、陵子と行動を共にする。

パパ

翠川陵子の父親。陵子が4歳の頃に亡くなったため、陵子の記憶にはあまり残っていない。13年ぶりに、かつて住んでいた家に戻った陵子の前に霊となって現れ、陵子と日下部拓の身に危険が迫っていることを知らせる。

日下部 杜 (くさかべ もり)

日下部拓の妹。バイクで翠川陵子と接触事故を起こしそうになり、陵子と知り合う。運転免許を取得して1年で6回もの事故を起こし、愛車もすでに2台目。半年ほど前、山道で大きな蛇を轢く事故を起こし、その蛇の霊に取り憑かれている。蛇の霊に操られては、陵子とポウを危険な目に遭わせる。

ネロ

翠川陵子の2匹目の飼い猫となった黒猫。この猫が来てからというもの、陵子の家では何か釈然としない、不思議な出来事が頻発するようになった。しかし霊感の強い陵子も日下部拓も、この黒猫自体からは、霊的な力を感じることができずにいる。

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