モノノ怪 -座敷童子-

モノノ怪 -座敷童子-

TVアニメ『モノノ怪』のコミカライズ作品で、蜷川ヤエコの『モノノ怪 -海坊主-』の続編。宿場町の旅籠「万屋」を舞台に、モノノ怪が起こす怪事件や、モノノ怪の正体を探る薬売りの活躍を描くホラー。「月刊コミックゼノン」2015年5月号から2015年11月号にかけて連載された作品。

正式名称
モノノ怪 -座敷童子-
ふりがな
もののけ ざしきわらし
原作者
~モノノ怪~製作委員会 アニメ「座敷童子」より
作者
ジャンル
お化け・妖怪
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

第1巻

ある雨の夜、宿場町を訪れた薬売りは、万屋からモノノ怪の気配を感じ取って足を止める。徳次には断られるものの久代に気に入られた薬売りは、一晩宿泊できることになる。そんな中、逃げ込むように万屋を訪れた志乃は、なんとか泊めてほしいと懇願するが、身重な彼女の話を聞いて厄介事を危惧した久代は断ろうとする。それでも志乃は、どうしても子供を産みたいと必死に頼み込み、根負けした久代はふだん使っていないあかずの間に泊めてやることにする。志乃は階段を上がる途中で、上の方から複数の子供の声が聞こえてくるのを感じ取る。一方、モノノ怪の出現を予測していた薬売りは、壁のあちこちに札を貼っていた。あかずの間に入った志乃は一休みしていると、そこへ志乃と彼女の腹の子の命を狙う殺し屋、直助が現れる。志乃は使用人として働いていた武家の若旦那との子を身ごもっており、厄介事を恐れた当主たちが、直助を刺客として差し向けていたのである。志乃は腹の子を必死に守ろうとするが、部屋内でいくつかの怪現象が起こり、気づいた時には直助が死んでいた。そこへ久代たちが駆けつけるが、直助の死体の状況からその場にいた誰もが、人間の仕業ではないと気づいていた。薬売りは周囲から聞こえる赤子の声と上から垂れている羊水から、モノノ怪の「」が座敷童子であることを悟る。薬売りが座敷童子の「」と「」を探る中で久代が語ったのは、あかずの間に隠された残酷で悲しい過去であった。

メディアミックス

本作『モノノ怪 -座敷童子-』は、2007年7月より放送されたTVアニメ『モノノ怪』を原作としている。TVアニメ版は『怪 ~ayakashi~』のエピソード「化猫」の続編で、日本古来の怪談をモチーフとした五つのエピソードをオムニバス形式で描くホラー作品。本作の基になったエピソード「座敷童子」のキャストは薬売りを櫻井孝宏が、志乃を田中理恵が務めた。

関連作品

本作『モノノ怪 -座敷童子-』の続編として、蜷川ヤエコの『モノノ怪 -鵺-』がある。『モノノ怪 -鵺-』は本作と同じく薬売りが主人公を務めるホラー作品だが、彼以外の登場人物や舞台などは異なる。京都の公家屋敷で起こった怪事件と、そこに潜むモノノ怪の正体を探る薬売りの活躍を描いている。

登場人物・キャラクター

薬売り (くすりうり)

アヤカシやモノノ怪の出現する場所に現れる謎の男性。ふだんは薬売りとして珍しい薬を売り歩きながら諸国を回っている。自分をただの人間だと言い張っているが、耳が尖っていたり犬歯は鋭い牙のように尖っていたりと、少々人間離れした容姿をしている。また、アヤカシやモノノ怪に対抗できる力を持ち、過去に起こった怪事件の数々を探り、モノノ怪を退治することで解決している。万屋からモノノ怪の気配を感じて一晩泊めてもらうこととなり、久代や志乃と出会う。直助の怪死からあかずの間に潜むモノノ怪の正体が座敷童子であることを悟り、久代たちから詳しい話を聞いたうえで退治しようとする。アヤカシやモノノ怪に関して幅広い知識を持つが、そのすべてを無条件に退治できるというわけではなく、そのモノノ怪の持つ「形」「真」「理」の三つを読み解く必要がある。これらをすべて読み解いて退魔の剣が真の力を発揮すると、封印が解けた薬売りの姿に変わり、モノノ怪を斬ることができるようになる。奇抜な格好をしているが、妖艶でミステリアスな雰囲気をまとった美形なため、行く先々で女性を虜にすることがあり、久代からも一目で気に入られている。

志乃 (しの)

雨の夜、万屋に駆け込んだ若い妊婦。宿に泊めてほしいと懇願し、久代によってあかずの間に案内される。金髪碧眼で黒い着物を身につけており、顔にはそばかすがある。黄色い人形のお守りを手首に巻いて持ち歩いているが、宿探しの途中でなくしてしまう。階段を上がる時に宿内のあちこちで子供の声や足音を聞いており、あかずの間に入ったあとは赤ん坊たちに遭遇している。以前は武家の使用人をしていたが、若旦那とのあいだにできた子を身ごもっており、苦難が待ち受けているとわかりつつも、腹の子を無事に産んでやりたいと望んでいる。何よりも子供の命を最優先し、腹をなでたり腹の子に話し掛けたりと大切にしている。しかし、後々の騒動や厄介事を嫌った武家の当主たち(若旦那の両親)に、腹の子もろとも命を狙われている。追手の直助に襲撃されるものの、あかずの間で起こった怪現象に命を救われる。自分に取り憑いたモノノ怪が座敷童子だと知ったあとも、この世に生まれたがっている赤子たちを哀れに思い、自分の腹に座敷童子を宿すことですべて産もうとする。しかし薬売りに言われたとおり、人間の体でモノノ怪を産むのは不可能なことや、このままでは自分の腹の子の命も危険な事実を悟り、座敷童子の願いを叶えることをあきらめる。

久代 (ひさよ)

万屋の女将を務める老婆。薬売りのことを一目で気に入り、彼を宿泊客として迎える。その直後に駆け込んで来た志乃の必死の願いを渋々聞き入れ、客室ではないあかずの間に案内する。褐色肌の白髪で、紫色の着物を身につけている。身重の志乃を色々と世話を焼いたり心配したりする一方で、複雑な身の上で子供を産もうとしている彼女には苦言を呈したり、幸せになれないと警告している。あかずの間の秘密をかたくなに守っていたが、座敷童子が出現したことで、万屋がかつては女郎屋であったことや、あかずの間は身ごもった女郎を堕胎させるための場所であったことを語る。また、あかずの間に豪華な座敷を設けることで、この世に生まれる前に死んでいった赤子の魂を弔おうとしていた。

徳次 (とくじ)

万屋の番頭を務める男性。黒髪のアフロヘアに色黒で、耳や口にピアスをしている。薬売りや志乃の宿泊を断ろうとするが、久代の意向で彼らを客として迎えることになる。久代や志乃と共にあかずの間に閉じ込められ、座敷童子が起こす怪事件に巻き込まれる。

直助 (なおすけ)

殺し屋の男性で、志乃とその腹の子の命を狙っている。志乃がかつて使用人として働いていた、武家の当主たちによって差し向けられた。筋肉質な体型で、体のあちこちに武器を隠し持ち、右目には傷跡がある。あかずの間で休んでいた志乃を殺そうとするが、そこに潜んでいた座敷童子に襲われて怪死する。死体はあかずの間の天井に埋め込まれたような奇妙な状態になり、そこからは羊水が垂れていた。

若旦那 (わかだんな)

志乃が使用人として働いていた武家の跡取り息子で、彼女が身ごもっている子の父親。志乃が使用人でありながらも口説き、許されない関係だと彼女に一度は断られるものの恋仲になった。志乃が身ごもったあとは彼女と別れている。

赤ん坊たち (あかんぼうたち)

あかずの間に泊まった志乃の前に、突然現れた謎の赤子たち。青色から紫色までさまざまな肌色を持つが、いずれも裾が長く伸びた赤い腹掛けを身につけている。志乃が部屋にあったダルマを手に取った瞬間に黄色い赤子が出現し、その後もたびたび志乃の前に現れたり、話し掛けたりするようになる。正体は座敷童子の意識で、志乃のことを母親のように慕っている。

座敷童子 (ざしきわらし)

あかずの間に潜む謎のモノノ怪。この世に生まれることができなかった赤子の魂を持ち、その意識は赤ん坊たちに宿っている。あかずの間に泊まった志乃を「優しい母親」として気に入り、彼女の腹を借りてこの世に生まれることを望むようになる。長い布のような謎の触手を出したり、空間を動かしたりすることができ、志乃を守るために直助を殺害した。正体は万屋が女郎屋であった頃に、身ごもった女郎の腹から堕ろされて死んでいった、数々の赤子の魂が集まって生まれたモノノ怪。志乃のような優しい女性が訪れるのを待ち続け、この世に生まれて優しい母親の愛情を感じることを、最大の望みとしている。

場所

万屋 (よろずや)

薬売りと志乃が訪れた宿場町の老舗宿。久代が女将をしており、いつも多くの宿泊客でにぎわっている。宿内のあちこちには、赤子を模した小さいダルマが飾られている。建物は久代が若い頃からあるが、宿屋になる前は女郎屋が営まれていた。

あかずの間 (あかずのま)

志乃が案内された、万屋の最上階にある謎の隠し部屋。宿泊のための客室ではなく、ふだんから使われていない部屋だが、豪華な内装で奥には美しい座敷がある。壁際には妊婦が描かれた大きな絵画が飾られており、中央のテーブルには黄色いダルマが置かれている。志乃が泊まったあとは謎の赤ん坊たちが現れたり、直助が怪死を遂げたりと、次々と怪現象が発生する。実はかつて万屋が女郎屋だった頃に、身ごもった女郎の腹の子を堕ろすために使われていた部屋で、壁の向こうには死んだ赤子が埋められている。また、奥の座敷は生まれる前に死んでしまった赤子たちの魂を供養するために、久代によって作られていたものだった。やがて、ここで死んでいった赤子たちの魂は座敷童子へと変貌し、この世に生まれて優しい母親の愛情を感じたいと望むようになった。

クレジット

原作

~モノノ怪~製作委員会 アニメ「座敷童子」より

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