概要・あらすじ
3年前に起きた江土城の大火により、後継者を失った将軍家に親戚筋から祀千代がやってきた。偶然にも祀千代と出会った女剣士・柳生柔兵衛密厳は、祀千代を襲う真田虫幽士の一人、筧獣象を圧倒的な剣技で退ける。実はかつての大火の原因も虫幽士たちの仕業であった。妹たちや部下を殺された復讐に燃える密厳は、祀千代を狙う虫幽士を次々と倒してゆく。
登場人物・キャラクター
柳生 柔兵衛 密厳 (やぎゅう じゅうべえ みつよし)
棟矩の長女で、本来は家督を継ぐ筈だった。隻眼(右目)の持ち主。公式には3年前に起きた江土城の大火の中、行方不明となっているが、柳生の家から勘当、心陰流からも破門されている。以来、地位も家督も捨てて、復讐のために虫幽士を追う。
祠千代 (まつちよ)
蝶丸と梟千代が亡くなった後、世継ぎとして親戚筋から招聘された将軍位の後継者。将来は船に乗って、見たことのない土地や物を探したいと思っている。そのために密かに水泳の練習をしようと城を抜け出したところ、密厳と出会う。
柳生 朱膳 胸冬 (やぎゅう しゅぜん むねふゆ)
密厳の妹。長女密厳が勘当され、二女僚矩が亡くなったため、柳生の総代として祠千代の剣術指南役となる。皆の前では気を張っているが、密厳の前ではよく泣く。
小野 慈狼衛門 唯常 (おの じろうえもん ただつね)
逸刀流。祠千代の剣術指南役。柳生とはライバル関係にある流派。
柳生 但縞守 棟矩 (やぎゅう たじまのかみ むねのり)
密厳と胸冬の父。現在の柳生一門の当主。政治には隻眼は不要と、自らの右目を潰している。江土城を巡る虫幽士たちの不穏な動きに対し、優秀な武士が足りておらず、密厳に家へ戻るよう説得する。
柳生 僚矩 (やぎゅう とものり)
密厳の妹で柳生家の二女。3年前に起きた虫幽士の襲撃により死亡。密厳と同じく、隻眼(左目)の持ち主であった。
夜寒郎 (やさぶろう)
江土城で祠千代に仕えている、いつも元気な侍従。眼鏡をかけており、頭や腰に大きなリボンをつけている。警備の者に汁粉を振る舞うなど優しいところもある。
虫幽士 (ちゅうゆうし)
生まれつき体内に虫を飼っている者たち。自分より大きな虫を飼っている者には逆らえない。戦乱期には真田幸斑が大きな虫を飼っていたため、虫幽士たちは彼に従っていた。主な虫幽士は、望月肋牢(もちづきろくろう)、霧隠苛蔵(きりがくれさいぞう)、海野六髏(うんのろくろう)、穴山蟲介(あなやまこすけ)、三好錆塊(みよしせいかい)、三好尉授(みよしいさ)、猿飛殺助(さるとびさすけ)。
豹牙 (ひょうが)
戦術暗鬼。本来は山間に住む狩人の一族だが、契約により柳生の家に使えている。柳生家を勘当された密厳につき従っている。頑固者で無愛想。たまに冗談を言うが、慣れないのか余り通じていない。
その他キーワード
隻眼 (せきがん)
『隻眼獣ミツヨシ』に登場する用語。心陰流を修了した剣士にのみ発現する変異能力。別名「真実を射抜く瞳」とも呼ばれる超感覚。発現すると瞳の中に五芒星が浮かぶ。五感、直感、洞察力、見切りなど、剣士に求められる全感覚が極限まで高められた状態となる。