雨夜の月

雨夜の月

『姫のためなら死ねる』『笑顔のたえない職場です。』などで知られる、くずしろの連載作品。舞台は現代の岩手県盛岡市。耳の不自由な少女、及川奏音と、彼女のことが気になる金田一咲希の出会いと交流、成長を描いた青春ストーリー。講談社「コミックDAYS」にて2021年6月12日より連載。

正式名称
雨夜の月
ふりがな
あまよのつき
作者
ジャンル
百合
 
青春
レーベル
ヤンマガKCスペシャル(講談社)
巻数
既刊10巻
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春の夜の偶然の出会い

高校入学を間近に控えた春休み。ピアノ教室に向かう途中、咲希は同年代の美少女とぶつかり手を擦りむいてしまう。道に落ちた楽譜を拾った美少女は、何も言わずに絆創膏を手渡し、その場を立ち去った。数日後、入学式を迎えた咲希は先日の美少女とクラスメイトとして再会する。彼女の名前は奏音、聴覚障害者だった。担任教師は皆でサポートするようにと話すが、発話に問題はなく読唇術もできる奏音は、逆に迷惑だから「何のサポートもいらない」「構わないで」と突っぱねる。しかし、咲希は拒否され続けても食い下がり、ついに奏音と仲良くなり交流を深めていく。

聴覚障害とセクシャルマイノリティ

感音性難聴の奏音は、唇の動きが見えれば普通に会話ができ、見た目では耳が不自由とは思えない美少女。中学時代に、とても仲が良く、ある意味依存していた親友がいたが、ある出来事により友情が破綻。それ以来、友達を作ろうとしていなかった。咲希は、奏音と出会って以来ずっと彼女に惹かれ続けている少女で、ある秘密を抱えている。ピアノ教室の女性講師にも好意を抱いていたことがある咲希は、奏音と親密になるにつれ、自分の感情を「恋」という言葉以外で形容できないことに気がつく。本作は、そんな二人の少女の関係性の変化や成長を丁寧に描いていく。

目には見えないけれど、確かに在るもの

タイトルの「雨夜の月」とは、「雨の夜の月のように、現実に存在するが実際には見えないもの」という意味で、本作のテーマとなっている。例えば、奏音の聴覚障害や咲希が奏音に抱く恋心がそれにあたる。また、多くの人が持っている「聴覚障害者=手話」というイメージも、見えないが存在する、無知による偏見である。実際は、聴覚障害で手話が使えるのは2割程度に過ぎず、奏音のように手話以外のコミュニケーションを選択している人がほどんどなのだ。本作は「普通」「常識」「偏見」「恋」「友情」といった、目に見えないものを、二人の少女を通して丁寧に描き出していく。

登場人物・キャラクター

金田一 咲希 (きんだいち さき)

高校1年生の少女。高校入学直前の春休みの夜、奏音と出会い、後にクラスメイトとして再会した。近寄りがたい雰囲気の奏音だったが、仲良くなりたい一心で根気よく接触し友達になる。奏音と過ごすうちに、彼女に対して特別な感情を抱く。小さい頃から通っていたピアノ教室が閉鎖されてしまい、奏音の母が開いている教室に通うことになる。

及川 奏音 (おいかわ かのん)

高校1年生の少女。中学3年生の妹がいる。黒髪のロングヘアーが特徴。感音性難聴だが、小学5年生までは障害がなかったため、普通に発話することができる。また、少しだけなら音が聞こえ、相手の唇を読むことで会話も可能。ある出来事がきっかけで、人付き合いを拒絶していたが、咲希には根負けして友達になった。

書誌情報

雨夜の月 10巻 講談社〈ヤンマガKCスペシャル〉

第1巻

(2021-10-20発行、978-4065250891)

第2巻

(2022-03-18発行、978-4065271148)

第3巻

(2022-09-20発行、978-4065291214)

第4巻

(2023-03-20発行、978-4065310779)

第5巻

(2023-08-18発行、978-4065326947)

第6巻

(2024-01-18発行、978-4065343128)

第7巻

(2024-06-19発行、978-4065359228)

第8巻

(2024-11-20発行、978-4065376133)

第9巻

(2025-04-18発行、978-4065392416)

第10巻

(2025-09-19発行、978-4065409695)

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