世界観
主人公の小田霧響子は霊能者として世間に認知されているが、響子が挑む事件はトリックやオカルトではなく、彼女自身の優れた頭脳と推理力により解き明かされていく。また決して犯人を追い詰めることなく、誰もが傷つかない解決方法を提示し、物語がハッピーエンドに導かれることが多いのも特徴。
あらすじ
小田霧響子の熱狂的なファンである谷口一郎は、就職面接に向かう途中で響子を見かけて後をつけたことから、痴漢と間違えられてしまう。その騒ぎのなか谷口は、世間では霊能力者として知られている響子が、実際は霊能力を持っていないという秘密を知ってしまう。そして、口封じの意味も込めてそのまま響子の事務所に雇われることになった。こうして谷口は響子に翻弄されるまま、忙しい日々を送ることとなる。
メディアミックス
TVドラマ
2010年10月10日より12月5日までテレビ朝日系列「日曜ナイトドラマ」枠で、本作『霊能力者小田霧響子の嘘』のTVドラマ版が石原さとみ主演で放送された。作品構成は原作に準じているが、原作では自信家で大胆な性格の小田霧響子が地味で怖がりな性格になったり、谷原章介が演じる谷口一郎が警視庁の警部補だったりと、人物設定が多少変更されている。TVドラマ版オリジナルキャラクターも多数登場する。
ラジオドラマ
2008年4月4日から「VOMIC」でラジオドラマが配信されている。キャストは小田霧響子を浅野真澄、谷口一郎を小野坂昌也、秘書を四宮豪、細木草太を松田健一郎、さらに本編ではちょい役でしかなかった一郎の弟である仁志を梶裕貴が演じている。
登場人物・キャラクター
小田霧 響子 (おだぎり きょうこ)
若くして霊能力者として活躍する、美人で頭脳明晰な女性。飛び級で米国のハイスクールを卒業後、16歳でハーバード大学に進学し、FBIに抜擢された。現在は霊能力者としてテレビのレギュラーを4本抱え、ベストセラー本も連発する売れっ子。仕事では派手なドレスを着て、ルビーの付いたティアラを身に着けている。このルビーに指を当て、「見えました」と言うのが決めポーズ。 数々の事件や悩みをその霊能力により解決に導いているが、実際は霊能力ではなく、実績のすべては彼女の緻密な推理力によるもの。
谷口 一郎 (たにぐち いちろう)
集英大学4年の男子学生。熱狂的なオダギリストで、著書はもとよりポスターやグラビアもすべて所持している。就職面接に行く途中で小田霧響子を見かけ、後をつけたことで彼女と知り合い、さらに響子が霊能力者でないという秘密も知ってしまう。またその秘密を口外しないようにするため、響子のマネージャーとして雇われることになった。
秘書 (ひしょ)
小田霧響子の秘書の1人。黒いスーツに黒い眼鏡をかけた、坊主頭で長身痩躯の男性。スペイン語をはじめ、7か国語を話すことができ、響子にもその技能で頼りにされている。谷口一郎や細木草太に比べてややクールな性格。
細木 草太 (ほそぎ そうた)
小田霧響子の秘書の1人。黒いスーツに黒い眼鏡をかけた、髪型はリーゼントのやや太った男性。酔うと全裸になるなど酒癖が悪い。冴えない外見であるにも関わらず、のちに谷津塚エミという美人の彼女ができる。
村山 良男 (むらやま よしお)
早田大学理工学部教授で反オカルトの旗手と呼ばれる男性。科学万能を疑わず、霊現象、超能力、占いなどの一切を信じていない。小太りで眼鏡をかけた冴えない中年男ながら、毒舌家で何かと小田霧響子をバッシングするため、響子の信者から憎まれている。
高島 彩子 (たかしま あやこ)
昂南女子大学初の女性教授で43歳。すらりと引き締まった体格で、実年齢より若く見える。昂南女子大学の通学路で多発した痴漢事件の調査を、小田霧響子に依頼した。教授に昇進したばかりということもあり、「助教授」と呼ばれるとヒステリックに教授だと訂正を求める。
斉藤 麻衣 (さいとう まい)
日本最大の医療法人、経冥会病院の会長の一人娘で21歳。父親の斉藤哲夫が倒れてから、その世話を続けている。哲夫が時々指を動かすのでボールペンを持たせたところ、意味不明の点を無数に書いたことから小田霧響子にその解読を依頼した。亜雲真という恋人がいる。
斉藤 哲夫 (さいとう てつお)
日本最大の医療法人、経冥会病院の会長で、斉藤麻衣の父親。2年前に脳内出血で倒れ、全身麻痺で寝たきり状態。思考ははっきりしているが、体が動かせず意思の疎通はほとんどできない。指だけは動かすことが可能で、無数の点だけのメッセージを書いた。海が好きで、若い頃は船医をしていた。
亜雲 真 (あぐも しん)
ネット関連の会社社長を務める45歳の男性。斉藤麻衣の恋人で、すぐにでも麻衣と結婚したいと考えており、入院中の斉藤哲夫にも何度も会いに来ている。哲夫は、彼が訪ねてきた後に点だけの謎のメッセージを書くことが多い。
村山良男の妻 (むらやまよしおのつま)
村山良男の妻。良男が小田霧響子を非難ばかりしているせいで自宅に脅迫状などが届いたため、夫の身を案じている。自身は響子が弱者を救う態度に共感しており、村山の現状について響子に相談する。
鬼怒川 幸雄 (きぬかわ ゆきお)
元ジョッキーで、24才の青年。20年に一度と言われた天才ジョッキーだったが、落馬により大怪我を負ってしまい、騎乗できなくなったため引退した。同年代のジョッキー仲間たちとレースの予想をして、馬券を購入している。
ジョッキーたち
喜川勝三(きかわかつぞう)、山本広明(やまもとひろあき)、三島徹(みしまとおる)、高林三智也(たかばやしみちや)の4人グループ。全員が鬼怒川幸雄と同年代の現役男性ジョッキーで、乗り馬探しの営業で集めた情報を4人で持ち寄り、擦り合わせて勝ち馬を予想している。競馬関係者が馬券を買うことは禁止されているため、既に引退している幸雄に情報を流し馬券を買わせている。
川田 優雅 (かわた ゆうが)
日本が誇る世界的彫刻家の男性で34歳。現在、川田優雅の彫刻は世界中でブームとなっており、多くのセレブ美術愛好家に絶賛されている。皇国ホテル正面玄関の女神像のモニュメントを手掛けたが、除幕式の1週間前に女神像の首が折れるという事件が起こる。この除幕式には、小田霧響子も参加する予定だった。妻は料理研究家の川田亜矢子だが、結婚した当時の優雅はまったく無名で、亜矢子のヒモのような存在だった。
川田 亜矢子 (かわた あやこ)
数年前に一世を風靡した美人料理研究家で39歳。一時はテレビに多くのレギュラー番組を持ち、自身が手掛けた料理本もシリーズ500万部以上を売り上げたが、ブームが去った今はあまり仕事をしていない。川田優雅の妻。
ユリアの母 (ゆりあのはは)
きついパーマにヘアバンドをした中年女性。娘のユリアが、女子ミニバスケットの強豪チーム「紅南クラブ」に所属している。その髪型を遠目から見て、有名バスケットボール選手アレン・アイパーソンのコーンロウと見間違えた小田霧響子に声をかけられた。それがきっかけとなり、「紅南クラブ」で起きている盗難事件について響子に調査を依頼する。
ノリカの母 (のりかのはは)
ノリカの母親。ようやく娘が試合に出場できるようになったところで、クラブが統合されたため、再びレギュラーの座から遠のいてしまったことを不憫に思っている。再びクラブが分裂すれば娘が試合に出場できるようになるのではないかと考えている。
ノリカ
女子ミニバスケットの強豪チーム「紅南クラブ」に所属する小学6年生の女子。あまり運動が得意なタイプではなかったが、猛練習の末ようやく試合に出場できるようになった矢先、クラブが統合されたため、レギュラーの座から遠のいてしまった。本人はそれでも腐ることなく、他のグループの子と仲良く一緒に大好きなミニバスケットをしようと努力を続けている。
稲垣 美里 (いながき みさと)
一人暮らしの24歳のOL。金縛りに遭うことが悩みで、近所で撮影した心霊写真とともに、小田霧響子の番組に手紙を送った。響子には心霊現象よりも別の悩みがあるのではないかと見抜かれる。
田町 博則 (たまち ひろのり)
かつて一流商社に勤めていた23歳の男性。大学卒業後に一流商社に就職し海外駐在員となったが、海外の生活が合わなかったため退職して帰国し、現在は実家住まいで職探しをしている。稲垣美里とは大学時代に同級生で元恋人だったこともあり、彼女をストーキングするようになる。高級ブランドが好きで両腕に100万円もするクロノグラフをはめている。
高橋 (たかはし)
稲垣美里が勤める会社の男性社員。美里の8歳年上の先輩で、恋人でもある。美里の仕事や人間関係の悩みを親身になって聞いてくれる、包容力のある男性。
土井 利幸 (どい としゆき)
地震研究家の男性。「なまずくん2号」という地震予知マシンを使って、東京で起きた大きな地震を事前に言い当てた。この予言によって、土井利幸が開発した震度5以上の地震を予知するという「なまずくん2号」は飛ぶように売れた。
小川 智美 (おがわ ともみ)
聖盥が丘学園中等部の若い女性教諭。小田霧響子の番組に寄せられた公園の滑り台にあった「死にたい」という落書きを見た際、自分の勤める学園内でも似たような落書きがあったため、自校の生徒によるものではないかと考えている。
鴻村 (こうむら)
聖盥が丘学園中等部の男性教諭。かつては有名塾講師だったが、聖盥が丘学園の学力向上のため引き抜かれて、6年前に赴任してきた。学力向上には熱心だが、生徒の「死にたい」という落書きをくだらないいたずらと考え、すぐに消してしまう。
大岡 雄一 (おおおか ゆういち)
早くに両親を亡くし、弟の大岡雄二と車上生活をしている18歳の青年。坊主頭に剃り込みを入れている。気に入らない仕事はすぐに辞めてしまう飽きっぽい性格。世の中ズルく生きた人間が得をするという考えに行きつき、拾った免許証を偽造してサラ金から限度額まで引き出す作戦を思いつく。
大岡 雄二 (おおおか ゆうじ)
早くに両親を亡くし、兄の大岡雄一と車上生活をしている15歳の少年。黒髪で眼鏡をかけており、気が弱くおとなしい性格。勉強して大学に進学し、今の生活からなんとか抜け出そうとしている。兄のことは好きだが、犯罪を犯すことについては納得していない。
鈴木 準 (すずき じゅん)
日本文壇の重鎮と言われる男性小説家で70歳。2年前に趣味の磯釣り中に足を滑らせて海に転落した。その時岩場に頭を強く打ちつけて高次脳機能障害になってしまい、それからは新作を発表していない。現在は頻繁に訪ねてくる担当編集者と定期的に会談する生活を送っていたが、ある日殴打され倒れているところを葉澄孝之、柴田修二の2人に発見される。
葉澄 孝之 (はすみ たかゆき)
「蛍雪書館(けいせつしょかん)」で鈴木準の担当を務める男性編集者。元々は新興出版社である「蛍雪書館」の事業拡大に大きく貢献したコミック部門にいたが、文芸部門に異動してきた。事故以前の準とは面識がなく、一緒に本を作ったこともない。それだけに彼の復帰作を担当したいと考えている。柴田修二とともに、準が殴打され倒れているのを発見した。
笠松 保 (かさまつ たもつ)
「菫青館(きんせいかん)」で鈴木準の担当を務める男性編集者。体が大きく豪快な性格。準の殴打事件があった際、残されたメモに笠松保の名前と思しき言葉があったため、犯人と疑われてしまう。
鈴木準の担当編集者たち (すずきじゅんのたんとうへんしゅうしゃたち)
鈴木準の担当を務める男性編集者で、「漱谷書房(そうこくしょぼう)」の椎野茂吉(しいのもきち)、「御柳社(ぎょりゅうしゃ)」の小笠原旦(おがさわらたん)、「透水社(とうすいしゃ)」の中村昭英(なかむらあきひで)の3人。いずれも準の殴打事件があった際、その時間帯に準と打ち合わせの約束をしており、事件の捜査に協力することとなる。
柴田 修二 (しばた しゅうじ)
「針葉書林(しんようしょりん)」で鈴木準の担当を務める男性編集者。殴打され倒れていた準を発見し、葉澄孝之とともに救急車を呼んだ。その際、準の部屋の様子を写真に撮っており、その写真をもとに犯人の手掛かりを探す。
鈴木 浩子 (すずき ひろこ)
鈴木準の66歳の妻で、準のスケジュール管理をしている。2年前、磯釣り中の事故で高次脳機能障害になった準の介護をしており、毎日のように準のもとを訪れる編集者たちに感謝している。
リッキー・ロビンソン (りっきーろびんそん)
メジャーリーグのチーム「ロサンゼルス=ドアーズ」所属の野球選手。幼い頃は貧しかったが、現在は選手として大成功を収めている。丸眼鏡がトレードマークで、彼の真似をして丸眼鏡をかけるファンも多い。小田霧響子も彼の大ファンである。現在、リッキー・ロビンソンはボリー・バンズが持っていた762本の通算ホームラン記録と並んでおり、ホームラン新記録樹立の瞬間を見るため、響子は谷口一郎たち秘書を連れて本拠地のロサンゼルスドアーズスタジムを訪れる。
男性ファンたち (だんせいふぁんたち)
リッキー・ロビンソンのホームランボールを自分の物だと名乗り出た5人の男性ファンで、名前はマーク=ウォーレン、ウィリー=ブロワーズ、フィル=ブロス、ロバート=マニュエル、ジョー=ブロッサー。リッキーが最初に触れた者にボールを与えると告げたことで乱闘になり、誰が最初に触れたかわからなくなった。ちなみに手がかかりは「リッキーのユニフォームを着て丸眼鏡をかけた男性」というものだが、この条件は5人すべてに当てはまっている。
古閑 春陽 (こが はるひ)
推理小説家の、優しげでハンサムな若い男性。最近はノンフィクションライターとしても活躍している。小説は世界中で大ヒットしており、映画化された「葬儀社Xの献身」は世界27か国で大ヒットした。南アフリカの映画祭でグランプリを受賞した際には、150カラット以上のダイヤが埋め込まれた「炎のトロフィー」を贈られた。この「炎のトロフィー」に盗難予告が届いたため、小田霧響子に助けを求めた。 この事件から、何かと響子に関わるようになる。
白鳥 (しらとり)
鋭い目つきに無精ひげの強面の男性刑事。その迫力から、初めて会った谷口一郎には、小田霧響子を逮捕するために来たのかと誤解されたほど。響子とは名前を呼び捨てで呼ぶような旧知の間柄で、何かと捜査協力を依頼する。
佐伯 志津子 (さえき しずこ)
オーラのゆがみを鑑定するという触れ込みで、霊能力者を自称する女性。実年齢は59歳だが、80歳を越えているとうそぶいている。オーラを健全に保てば歳をとっても若くいられると説き、「神秘の水晶ペンダント」を1本15万円で売りつける霊感商法で儲けている。
五藤 綾子 (ごとう あやこ)
佐伯志津子にペーパークロマトグラフィーを使った霊感商法の手引きをした女性。若くして8億円以上の預貯金を持っている。こうした霊感商法のやり方を「商材」として広く売り歩き、荒稼ぎをしている。これにより、白鳥に目を付けられている。
宮根 年雄 (みやね としお)
ディスカウントセンターの社長を務める、70歳の男性。典型的な成りあがり商人で、現金一括払いで仕入れ値をとにかく安く抑えることをモットーとしている。そのため、数千万円が入ったアタッシュケースを常に持ち歩いている。この事実は世間に広く知れ渡っており、よく強盗に狙われる。
アニキ
ニット帽に地味なTシャツとズボンを着用した男性。髪はやや長めで、口ひげを生やしている。舎弟とともに宮根年雄のアタッシュケースを盗んだものの、中に入っていた現金のすべてに日付と宮根の署名があったため、競馬場でマネーローダリングする方法を思いつく。
舎弟 (しゃてい)
ニット帽に地味なTシャツとズボンを着用している男性。太った体型で、口ひげを生やしている。アニキとともに宮根年雄のアタッシュケースを盗んだ。その際、マネーローダリングの方法としてタバコ屋で換金する、駅で安い切符を買ってお釣りを取る、ATMを使うといった案を提案するなど、少々頭の回転が悪い。
逆瀬川 雄三 (さかせがわ ゆうぞう)
日本を代表する大物男性俳優で、現在67歳。18歳の時に銀幕デビューし、ヤクザ映画で一世を風靡して一時代を築いた。テレビドラマでも刑事モノや時代劇モノで活躍し、来年デビュー50周年を迎える。人望も厚い人物で、恨みを買うタイプではない。逆瀬川雄三を襲うという脅迫状が届いたが、どうせいたずらだと思い取り合わずにいる。
東 功一郎 (あずま こういちろう)
逆瀬川雄三が所属する芸能事務所で社長を務める58歳の男性。逆瀬川が毎年参加する故郷の祭り「引きうま祭り」で逆瀬川を襲うという脅迫状が届いたため、小田霧響子に捜査を依頼する。本来なら警察に相談すべきだが、逆瀬川の芸能生活50周年記念舞台への影響を考えて、水面下での解決を望んでいる。
井上 満 (いのうえ みつる)
逆瀬川雄三が所属する芸能事務所のチーフマネージャーを務める40歳の男性。事務所を訪れた小田霧響子たちに飲み物やお菓子を出した際、これらすべてがお中元でいただいた物で、助かっていると語る。ロケなどで使用するジュースなどの飲み物も、もらい物でまかなっている。
香取 陽介 (かとり ようすけ)
逆瀬川雄三が所属する芸能事務所でマネージャーを務める30歳の男性。事務所内では一番の若手。「引きうま祭り」にも逆瀬川雄三や東功一郎とともに参加し、店を予約したり2人を先導したりと、かいがいしく働く。
谷津塚 エミ (やつづか えみ)
都内の商社で働く23歳のOL。長い黒髪の美人で、趣味は音楽鑑賞。5歳の頃から習っていたピアノの演奏を得意としている。細木草太の彼女だが、細木に80万円の指輪をプレゼントとして買わせたことから、小田霧響子にデート商法を疑われる。
鈴木 太郎 (すずき たろう)
資産家の父親の相続問題で悩んでいる53歳の男性。長男で、下には多くの弟妹がいる。同じ日付だが内容の異なる2通の遺言状が見つかったことで、小田霧響子に相談を持ちかける。
鈴木太郎の弟妹たち (すずきたろうのきょうだいたち)
鈴木太郎の弟妹で、上からひとみ、次郎、三郎、四郎、ふたえ、五郎の6人がいる。父親の遺産相続のことで屋敷に集められるが、己のエゴを丸出しにして醜い言い争いをする。
繭田 亜紀 (まゆた あき)
大御所女性漫画家で52歳。デビュー37年のベテラン。少女漫画から少年漫画まで多数のヒット作を手掛けており、特に2000年から連載している「ロケットモンスター」はゲーム化、アニメ化、映画化され世界中で大ヒットした。飼っているペットのレオパードゲッコウ(ヒョウモントカゲモドキ)の「ヒバリ」が失踪したため、小田霧響子に相談を持ちかける。
田中 (たなか)
繭田亜紀のチーフアシスタントを務める男性。亜紀の留守中に、彼女のペットであるレオパードゲッコウ(ヒョウモントカゲモドキ)の「ヒバリ」が怪我をして前足の指を失うアクシデントが発生。面倒を見る当番だった田中はその事実を隠そうと、代わりのレオパードゲッコウを探すために奔走する。
カルロス=ナルバエス (かるろすなるばえす)
アルゼンチンからやってきた世界最強の超能力者。ひげを生やして蝶ネクタイをしめたタキシード姿のダンディでハンサムな男性。秋の霊現象スペシャル「霊現象は実在する!!」というテレビ番組に出演するために来日した。数々の超能力を実演するが、同番組に出演していたアンチ霊現象派の村山良男にすべてを否定される。
たしけんずケンタ
お笑いコンビ「たしけんず」でボケを担当する男性。14年前にたしけんずタケシとコンビでデビューし、お笑いブームに乗ってすぐに大ブレークし売れっ子となった。デビュー8年目からはピンでの活動を増やし、現在はバラエティ番組の司会を中心にテレビ5本、ラジオ3本のレギュラーを持つ。小田霧響子とは番組で共演したことをきっかけに親しくなった。
たしけんずタケシ
お笑いコンビ「たしけんず」でツッコミを担当する男性。14年前にたしけんずケンタとコンビでデビューし、お笑いブームに乗ってすぐに大ブレークし売れっ子となった。デビュー8年目以降はピンで活動がメインとなっているが、ケンタの番組が高視聴率なのに対し、たしけんずタケシの番組は低迷、打ち切りを繰り返している。現在抱えるレギュラーはローカル番組の1本だけ。
藍内 由香 (あいうち ゆか)
都内メーカーに勤務する23歳のOL。藍内由香の住む会社の独身女子寮に下着泥棒が出るため、小田霧響子のテレビ番組「オダキョーに人生相談」に相談に訪れる。
白石 百合 (しらいし ゆり)
藍内由香の勤める会社の独身女子寮の寮長を務める26歳の女性。下着泥棒問題を解決するために自分の下着を大量に干し、その下に赤土を撒いて足跡を探す作戦で、容疑者を突き止めた。
矢内 祐一 (やない ゆういち)
藍内由香の勤める会社の独身男子寮に住む25歳の男性。少し太っていて冴えない風貌。野良猫に餌をやるなど優しい性格の持ち主。
森 恭介 (もり きょうすけ)
藍内由香と同じ会社に勤める25歳の男性で、由香の彼氏。会社の独身男子寮に住んでいる。下着泥棒問題にあたって白石百合が仕掛けた赤土に森恭介の靴の跡が残っていたため、犯人と疑われる。
雲雀塚高校の教師 (ひばりづかこうこうのきょうし)
雲雀塚高校の男性教師。授業は受け持っておらず、生徒の生活指導のみを担当している。頭ごなしに生徒を押さえつけることをなんとも思っておらず、学校で発生したポルターガイスト騒ぎの犯人を突き止めるために校内をカメラで監視した。
丘咲 潤 (おかざき じゅん)
雲雀塚高校2年の女子生徒で、生徒会長を務めている。前髪をピンで留め眼鏡をかけた、いかにもな優等生。すべての科目でレベル1のレベルバッジを持つ秀才だが、小田霧響子に突然、学校で発生したポルターガイスト騒ぎの犯人だと決めつけられてしまう。
空山 充 (そらやま みつる)
世間ではUFO研究家としてその名を知られる、57歳の男性。実際は利根川工科大学宇宙工学科教授を務める宇宙科学者にして物理学者であり、かつてNASAで研究員を務めていたこともある。宇宙人の存在を本気で信じており、テレビ番組「宇宙人はあなたのそばにいる!!」とタイアップし、1000万円の懸賞金をかけてUFOや宇宙人の有力情報を募集している。 NASAにいた頃、当時アメリカにいた小田霧響子と面識があった。
宇宙人にさらわれた男性たち (うちゅうじんにさらわれただんせいたち)
宇宙人にさらわれ、その証拠のビデオを持っていると語る若い男性の2人組。名前は馬場園雄一(ばばぞのゆういち)、志村浩太郎(しむらこうたろう)。空山充がかけた懸賞金1000万円を狙って、テレビ番組「宇宙人はあなたのそばにいる!!」に出演した。
松平 幹夫 (まつだいら みきお)
運を上げるセミナー「FUT(FORTUNE UPGRADE TRAINING)」のトレーナーを務める若い男性。運を向上させるトレーニングを行うことで、強運な人間を増やして日本の国力を上げることを目的としており、無料でセミナーのトレーニングを行うという触れ込みで人を集めている。
高野 正 (たかの ただし)
警視庁警視総監を務める壮年男性で、日課のジョギング中に何者かに連れ去られた。高野正を解放するために誘拐犯が出した要求は、警視庁ビルの壁に「私たちは無能です」と書くことで、その要求が記された文書は風船の中に入れられていた。
高野 良一 (たかの りょういち)
高野正の長男。かつて読読新聞の事件担当記者を務めていたことがあり、警察の捜査を批判する辛口記事で有名だった。現在はフリーになっている。明るい髪色で口髭を生やし、目が小さい。目が大きい父親とあまり顔は似ていないが、弟の高野亮二とはよく似ている。
高野 亮二 (たかの りょうじ)
高野正の次男。立てた髪に顎鬚を生やしており、兄の高野良一によく似た顔をしている。現在はフリーターをしている。
松平 健太 (まつだいら けんた)
30歳の男性。かつては冴えない人物だったが、競馬と宝くじを合わせたような「ウイン5」で2億円を当て、「ウイン5で2億円当てた男の勝ち組人生ブログ」を立ち上げ世間の注目を集めている。現在はブログが大人気だが、妬みや当選を疑う人間からの嫌がらせコメントも多く、炎上している。
松平健太の家に盗みに入った兄弟 (まつだいらけんたのいえにぬすみにはいったきょうだい)
高校を卒業してからずっと実家の工場を守るために働いている兄弟。不景気で工場が潰れ、多額の借金だけが残されたため、ブログで大金を手にしたと騒いでいる松平健太の家に盗みに入った。その際、健太を訪ねて来た小田霧響子に見つかるが、兄が健太のふりをしてやり過ごそうと試みる。
集団・組織
紅南クラブ (こうなんくらぶ)
女子ミニバスケットの強豪チーム。もともと都内では双璧と呼ばれていた「紅涼小学校」と「南山小学校」のチームが合併して作られた。しかし、元々ライバルチーム同士だったうえに、クラブ内で盗難事件が相次いでいることから、チームワークが乱れている。
場所
聖盥が丘学園 (せいたらいがおかがくえん)
学力が最重要視される進学校。もともとミッション系の女子校だったが、7年前に新しい学長に代わった際に、聖書に根差した道徳教育から学力重視の方針に変わった。現在は共学校になり、日本最難関のT大に毎年20人以上を合格させ、私立学校ランキングでも1位になっている。
雲雀塚高校 (ひばりづかこうこう)
近年大学合格ランキングによく顔を出す進学校で、女子の制服が可愛いので有名。規律が厳しく、生徒は胸に成績を表すレベルバッジを付けることが義務づけられている。何度も窓ガラスが割れるポルターガイスト騒動が起きており、小田霧響子が調査に乗り出す。
その他キーワード
オダギリスト
小田霧響子のファンの総称。谷口一郎もオダギリストを名乗っており、響子の本や番組をチェックすることはもちろん、レア物のビッグポスターも持っている。響子を批判する村山良男を敵視している信者が多い。
ペーパークロマトグラフィー
色素の成分分析をする方法。一般的に市販の水性ペンの黒はいくつかの色素の組み合わせでできており、紙に書いて水を滲ませることによって、溶けやすい色素は上に、定着しやすい色素は下の方に残る。これは、この「ペーパークロマトグラフィー」という成分分析技法を利用している。佐伯志津子はこれをオーラ鑑定と称して使い、霊感商法を行っていた。
レベルバッジ
雲雀塚高校の生徒が胸に付けるバッジで、科目別に成績レベルが9段階で表示されている。1が一番良く、9が一番悪い。レベルバッジを付けることは生徒の義務だが、レベル9の生徒は付けていない者も多い。
スチュワート事件 (すちゅわーとじけん)
小田霧響子がアメリカにいた頃に熱心に調べていた、彼女の人生を大きく変えることになった事件。空山充とも、この事件がきっかけで知り合った。事件の詳細については一切が不明で、のちに谷口一郎がこの事件を調べようとした際には、響子に上手く興味をそらされてしまう。