青のアイリス

虹ヶ原愛理（あいり）は私立津辺学園中等部2年生の女の子。高い身体能力を持つ彼女は、困っている人がいれば、考える前に体が動き、体をはって助けてしまうヒーローのような少女だ。風に飛ばされた用紙を、2階から飛び出して空中で回収し、回転しながら1階の中庭にスタッと着地。その時、軽くヒザをすりむいてしまった。そんなあいりのことをみんなはイケメンだとか「野獣の騎士」と呼ぶ。明日葉克樹は「2階から飛び降りるなんて正気か。野生の本能か」とあいりとからかい、高畑椿は「念のため」とあいりをお姫様抱っこして保健室に連れていく。学園では成績優秀でスポーツ万能な椿のことを「カンペキ王子」と呼び、双璧をなすイケメンの克樹のことを「やんちゃ王子」と呼んでいた。そこに「野獣の騎士」あいりが加わり、津辺中イケメン御三家とも言われていた。女らしくないあいりはカンペキ王子ややんちゃ王子と一緒にいても、嫉妬の目を向けられることはなかった。学園のみんなには内緒だが、あいりは兄が作ってくれたかわいいアバター（ネット上での分身キャラ）で「青野アイリス」という名のVチューバーをやっている。かわいい女の子になりたかったあいりは、その世界で好きなことができて、なりたい自分になれた。すると「青野アイリス」はあっという間に100万人フォロワーがつき、人気Vチューバーとなった。ある日、バーチャル交流スペース「パンドラ」にアイリスとわからぬよう、アバターを変え、お忍びで「ゼツボウ様」のライブを見に行くあいり。そこで変なおじさんから絡まれたあいりは、「BATSU」というユーザーネームの男の子に助けてもらう。アイリスの姿ではないのに、彼は声だけでアイリスであることを見破る。そしてパンドラで会っておしゃべりしていくうちに、あいりはBATSUに恋をしてしまったことに気づく。