概要・あらすじ
アル中ボクサー礼桂は32戦12勝20敗だったが、その決着はすべてKOというミステリアスな謎の男だった。その逸材を見抜いた元世界チャンピオンだったダンジェロは礼桂を「青い戦士」と名付け、プロモーターとして世界を舞台に戦わせたいと目論む。礼桂の恋人彩と共にアメリカに渡り、ダンジェロの策略のままに世界チャンピオンとの戦いにまで登り詰めていく。
しかし、礼桂が求めているのは栄光ではなく、死に場所だった。
登場人物・キャラクター
礼桂 (れげ)
年齢不詳の日本人。ミステリアスなボクサー。戦歴はすべてKOで決着の32戦12勝20敗。アル中のようにいつも酒づけの状態でリングに上がる。ネパールで瞑想生活を送り、フランスで画家として絵を描いていたこともあるという。殆ど口を開くことがない。勝利への欲も、生きることの執着も感じられない。
ダンジェロ・ドレッディ (だんじぇろどれっでぃ)
黒人の元ライト・ヘビー級世界チャンピオンのボクサー。現在は、すご腕のトレーナー兼プロモーターである。礼桂の唯一無二の素質を見抜いてスカウトし、「青の戦士」と名付け、手段を選ばない強引さで世界王者戦の舞台にまで引き上げようとする。
彩 (あや)
礼桂のボクシングに心酔している。無口な礼桂とは逆に関西弁でよくしゃべり明るくてパワフルな性格。クラブシンガーで、その歌声は、ソウル歌手のドナをしびれさせるほどである。礼桂と一緒に渡米する。
ドナ
黒人の女性。ダンジェロの妻であり父親は興行界の大物。ソウル歌手。礼桂に心を奪われるが、一夜に誘っても指1本触れられなかった日から、麻薬に溺れる生活となり、廃人のようになって世界王者戦の時に礼桂の前に現れて銃口を向ける。
レオベルテ・ゲラン (れおべるてげらん)
戦績、54戦54勝、52KO。世界チャンピオンは数知れないが、その戦績に見るように、王者のなかの王者と言われる。世界タイトルマッチの挑戦者ルーベン・ベルバレスの代役、礼桂と戦うことになる。
ルーベン・ベルバレス (るーべんべるばれす)
世界ライト級タイトルマッチで王者レオベルテ・グランの挑戦者。試合を前にして、ダンジェロの策略で、愛車のブレーキオイルを抜かれ、恋人とドライブ中に事故を起こして死亡する。
マリオ・ピレク (まりおぴれく)
13戦にして世界ランキング7位の負け知らずのエリートボクサー。礼桂の2試合目の対戦相手。礼桂の2発のパンチでKOされる。試合には礼桂に反則で勝つものの、2度とリングに立てないようになる。
ミゲール・ジャミン (みげーるじゃみん)
ボクシングWBCの理事兼プロモーター。世界ランキング7位のマリオ・ピレクを抱えている。ギャンブル好きで、賭け金1億円というダンジェロの策にはまり、礼桂との対戦を承諾する。
オーティス・ブレア (おーてぃすぶれあ)
渡米した礼桂の最初の対戦相手。「素手の殺し屋」と言われ刑務所から出所したばかりの無法者。礼桂との試合は、ナイトクラブでの興行で、グローブなしの素手の試合。形成が不利になると礼桂の首を絞めて殺そうとする。
ヒッピー青年 (ひっぴーせいねん)
昔の礼桂を知るヒッピーの白人。礼桂がゲイにからまれてるところを通りかかって「シモムラ」と声をかける。ポカラというネパールの奥地で瞑想生活をおくっていてヒッピー仲間では伝説的な「シモムラ」という男だったという。
ノーマン・ウェブナー (のーまんうぇぶなー)
ダンジェロが礼桂の伝説をつくるために依頼した作家。独自に礼桂を取材し、放浪の末にパリの画廊の女経営者に囲われていた時に描いた素晴らしい絵画などを発見する。ミステリアスな礼桂のその眼は「人を殺した者の眼」だと洞察する。
プロフェッサー・ルディ (ぷろふぇっさーるでぃ)
礼桂のセコンドにつく黒人トレーナー。ダンジェロが出血による試合中止を避けるために招いた男で、どんな傷口でも30秒で止血することができるという。ただ自身はアル中で「自分の胃袋の傷だけは塞がらねぇ」と嘆いている。
寺田 幸一郎 (てらだ こういちろう)
日本ライト級チャンピオン。礼桂の日本での最後の試合の相手。たった1発でKOされチャンピオンの座を礼桂に奪われる。
場所
リング
礼桂が渡米しての最初の試合場は全米の成り金を集めたナイトクラブに特設リングでのオーティス・ブレア戦。2試合目はメキシコサン・ロウェル闘牛場でのマリオ・ピレク戦。最後は世界チャンピオンレオベルテ・ゲランの母国パナマの国立サッカー場。収容能力7万人の前で歴史的な戦いが繰り広げられる。
クレジット
- 原作