青 オールー

青 オールー

代表作『恋の門』に次ぐ、羽生生純の連載作品。舞台は現代の沖縄。漫画編集者の安対武は、人気漫画家の差能構造の新連載を取り付けるために沖縄を訪れるが、差能は漫画への情熱を失っていた。ヤクザに絡まれたことをきっかけに、裏社会に足を踏み入れる二人を描いたピカレスクロマン。KADOKAWA「月刊コミックビーム」2002年3月号から2005年3月号まで連載。

正式名称
青 オールー
ふりがな
おーるー
作者
ジャンル
マフィア・ギャング・ヤクザ
 
作家・漫画家
レーベル
ビームコミックス(エンターブレイン)
巻数
全5巻完結
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隠遁(いんとん)する天才漫画家と人生に行き詰まった編集者

天才漫画家の差能は大ヒット作の完結後、漫画を描く動機を失って失踪し、沖縄の小さな漁村で半年間、隠遁生活を送っている。一方、漫画編集者の安対は、離婚で慰謝料と養育費の支払いを抱えており、人生の逆転を賭けて差能に新連載を依頼しようと沖縄を訪れる。しかし「何を描いても気持ちよくない」という差能を説得することはできなかった。その後、居酒屋で酒を飲んでいた二人は、地元のヤクザの抗争に巻き込まれ、偶然拳銃を手にした差能は、襲撃してきた「鉄砲玉」を射殺する。人を拳銃で撃つことに失禁するほどの官能を感じた差能は、暴力団のヒットマンになることを熱望し、安対とともに、裏社会に深く関わることになる。本作は、漫画家と編集者の出会いから始まり、狂気の暴走に展開していくバイオレンスドラマである。

ユタの血を引く少女との出会い

仁原組の組員になった差能と安対は、敵対する奥蒸組長の命を取るよう指令を受ける。琉光会の最大派閥・奥蒸派は、一番大きな縄張りをさらに大きくしようとして、琉光会会長の直参である仁原組を潰そうとしていた。沖縄のユタの血を引く少女、与木区々と宿命の出会いを果たした二人は、彼女の協力を得て奥蒸組長の射殺に成功。区々は奥蒸組長襲撃の際に、アクシデントで視力を失うが、代わりに霊感を得る。そして、三人は報復から逃れるため、区々の霊感に従い、逃走の旅に出るのだった。

複雑化していく人間関係

田舎町にたどり着いた差能ら三人は、新興宗教の跡地のような物件を借りる。区々はその場所でユタとして悩み相談をしたいという。安対は心の内では反対だったが、差能が許したことで相談所の開設となった。区々は差能に心酔しており、安対は区々に密かに思いを寄せている。そんな関係性に不満を抱きながらも、安対は区々に協力を惜しまなかった。一方、奥蒸組の組長代行は、凄腕の殺し屋でクセの強い中年女の線子を雇い、差能たちの命を狙う。ユタの悩み相談所が三人の居場所であることを突き止めた線子は、皆が寝静まった時間に侵入するが、差能に一目惚れしてあっさり寝返る。その後、仲間になり差能に馴れ馴れしくする線子に、区々は嫉妬の炎を燃やすことになる。

登場人物・キャラクター

差能 構造 (さのう こうぞう)

25歳の男性。「オルタナトス」というアニメやゲームなどにメディアミックスされた人気作を描いた漫画家。同作の完結後に失踪し、沖縄の小さな漁村で隠遁生活をしていた。何もない簡素な家でほぼ全裸で過ごす変わり者。ちなみに大量の現金を持っており、畳の下に隠している。初登場時はロングヘアーだったが、物語途中で髪を切った。漫画編集者の安対と出会い、ヤクザの抗争に巻き込まれたことをきっかけに、拳銃に魅入られ、人を撃つことに執着するようになる。

安対 武 (あんたい たけし)

メガネと長身が特徴の男性。「週刊少年ジュース」という漫画雑誌の編集者。浮気が原因で離婚予定。慰謝料と2歳の息子への養育費を払うため、社内での出世を狙い、差能に接触。新連載を依頼するが断られる。その後、ヤクザの抗争に巻き込まれたことをきかっけに、差能と一緒に暴力団、仁原組の構成員になる。

与木 区々 (よぎ くく)

喫茶店でアルバイトをしていたショートカットの少女。父に捨てられ、ユタ(霊媒師)をしている祖母と二人暮らしをしている。街で外国人に絡まれていたところを、差能に助けられ、一途な想いを募らせる。差能と安対の手伝いをしている最中、銃撃戦のアクシデントで目を負傷するが、そのおかげで霊感を得る。

書誌情報

青 オールー 全5巻 エンターブレイン〈ビームコミックス〉

第1巻

(2002-11-25発行、978-4757712102)

第2巻

(2003-04-25発行、978-4757714311)

第3巻

(2003-11-25発行、978-4757716445)

第4巻

(2004-07-26発行、978-4757719484)

第5巻

(2005-02-25発行、978-4757721661)

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