あらすじ
第1巻
不本意ながらプロボクサーを引退した志水哲太は、コンビニエンスストアでアルバイトしながら、満たされない日々を送っていた。ある日、店の前で覚醒剤がらみの騒動が勃発し、閻魔兄弟と恐れられている轟塁時のパンチを避けた哲太は、自分の身体に電流が走るのを感じる。同じ頃、広域暴力団、浪速閻魔組の会長、轟昇誠の急逝で、緊急幹部会議が開かれ、会長の隠し子である轟魔理雄とその弟の塁時が、若頭の十河一から五代目会長に推薦される。それを受け、閻魔会七人衆達は、突如現れた二人を排除しようと動き出すが、魔理雄は五代目選挙に向けて、着実に票の確約を取り付けていく。一方、塁時に触発され、再びトレーニングを始めた哲太は、店の常連の娼婦、へジョン、そして塁時と交流を深めていく。だが、浪速閻魔会の会長選挙を目前に控えたある日、魔理雄が組長を務める十河組傘下の風俗店が強盗に入られる。
第2巻
十河組の組長、轟魔理雄の傘下の風俗店に呼び出された志水哲太は、娼婦のヘジョンが受けた屈辱を見過ごせず、風俗店店長の楠見を殴りつけ、ヘジョンを連れて逃走。その後、哲太は魔理雄に呼び出され、明々後日まで大阪を逃げ回るよう指示を受ける。だが、それにより哲太は楠見の店に押し入った強盗犯として、十河組から追われる身となってしまう。魔理雄は哲太を、広域暴力団、浪速閻魔組五代目会長の選挙が終わるまでのスケープゴートとして利用したのだ。一方、閻魔会七人衆の切れ者、菊岡は、宇治田を会長に推挙して票集めに奔走していた。だが、先手を打った摩梨雄が宇治田を罠にはめ、菊岡を懐柔する。そんな中、哲太は十河組に拘束されていたヘジョンを助け出すが、実家が襲われ、十河組事務所への出頭を余儀なくされる。浪速閻魔会では轟兄弟が五代目会長への就任が決定。同じ頃、魔理雄を恨む宇治田と片桐は、九原から香港黒社会(チャイニーズマフィア)の殺し屋を紹介される。
登場人物・キャラクター
志水 哲太 (しみず てった)
コンビニエンスストアで働く若い男性。初登場時の年齢は23歳。高校から大学、プロとボクシングを続け、インターハイでは関西大会優勝、元日本ミドル級2位まで上り詰めた。日本人離れした手足の長さと足の速さを誇り、ジムの会長、前川からは世界を狙えると期待されていた。しかし、修行僧のようなストイックな日々から解放されたくて、ボクシングを断念した。だが、不本意な辞め方に自分でも納得できずに、抜け殻のような生活を送っている。ある日、店の前で騒動を起こしていた轟塁時の凄まじいパンチを見た瞬間、体に電流が走り、「戦いたい」という欲求が沸き上がる。それから、トレーニングを再開した事がきっかけとなり、店の常連で娼婦のへジョンや、塁時と親交を深めていく。そんな中、楠見を殴ってヘギョンを逃がした事から、轟魔理雄にスケープゴートにされ、広域暴力団、浪速閻魔組の抗争に巻き込まれる事となる。心臓病を患うヘギョンを治療のために祖国へ帰国させ、もう一度人生を輝かせたいと強く願っている。
ヘジョン
風俗店「Rouge Noir」で働く娼婦。源氏名は「ひかる」。ミディアムヘアを後ろで一つに結んでいる美女で、志水哲太の働くコンビニエンスストアの常連でもある。故郷への仕送りのために出稼ぎに来ており、働いて寝るだけの生活を送っている。そのため、大阪に来てから観光もした事がない。歌がうまく、歌手になる事を夢見ている。客からの暴行で顔面にケガを負った同僚のカナコがクビになった事に憤りを感じ、楠見に抗議するが、人権すらない負け組とののしられて暴力を振るわれる。偶然、その場にいた哲太に助けられ、いっしょに逃亡を図る。実は心臓の持病があり、入院して治療に専念しないと危険な状態だと診断されている。しかし日本では保険証も作れないため、ひどい発作を起こす事もある。
轟 魔理雄 (とどろき まりお)
十河組の組長を務めている20代の男性。広域暴力団、浪速閻魔組の五代目会長に推薦された。轟塁時の兄で、轟昇誠と魔理雄と塁時の母の息子。肩までの髪をオールバックにしたクールな雰囲気を漂わせているイケメン。こうと決めたら周りの事をいっさい気にせず、己を貫く頑固な性格をしている。母子家庭で育ったが、中学時代から飛び抜けて頭がよく、神童と呼ばれていた。母親の恋人、イレズミの男が塁時を犯そうとしたため、男が隠し持っていた拳銃で、男を撃ち殺した過去がある。以降は児童施設に入所していたが、学校には行かずに塁時と生活するために金を稼いでいた。10代の頃に数年間、神戸の赤武会徹騎(せきぶかいてっき)組で世話になっていた事があり、裏社会のドンといわれる赤武会会長、北条輝明とも昵懇の間柄。容赦ない凶暴性から、ミナミでは塁時と共に閻魔兄弟と呼ばれ恐れられていた。自分の思いを具現化できない人間は、己の欲望に忠実ではないという考えの持ち主。弟と共に天下を取りたいという熱い気持ちを持っている。塁時が心を許している志水哲太をスケープゴートのように扱い、浪速閻魔会の跡目争いに巻き込んでいく。
轟 塁時 (とどろき るいじ)
ギャングチーム、トリプルナインのヘッドを務める20代の男性。轟魔理雄の弟で、轟昇誠と魔理雄と塁時の母の息子。金髪のウルフヘアで、サングラスをかけている。プロレスラーのような巨体で、10代の頃は魔理雄と共に閻魔兄弟と呼ばれ恐れられていた。志水哲太と同い年で、哲太が自分のパンチを避けた時の身のこなしでボクサーだと見抜いた。再会した際には哲太を銭湯に誘うなど、哲太を気に入っている。いかつい風貌ながら笑顔がかわいく、仲間思いの優しい性格をしている。自分が生まれ育った地元のみんなが笑顔でいられるよう、ホームレスと酒を飲んだりしている。当初は極道になるつもりはなかったが、自分のために母親の恋人だったイレズミの男を殺し、高校に行かせてくれた兄の思いに応える事を決め、広域暴力団、浪速閻魔組の五代目会長に兄と共に就任する。ルールを守るのが苦手で、高校時代に真島が主将を務めたラグビー部に入部した際には、その体力を買われて将来を嘱望されるが、監督を殴って退部してしまう。
轟 昇誠 (とどろき しょうせい)
広域暴力団、浪速閻魔組の四代目会長だった初老の男性。オールバックにした髪を立たせ、強面で口ヒゲと顎ヒゲを生やしている。急性心不全で急逝したため、五代目会長を巡って跡目争いが勃発。轟魔理雄と轟塁時は、妾に産ませた子供。魔理雄と塁時の母とは塁時が産まれてすぐ別れており、ここ数年のあいだに絶縁状態だった二人との関係を回復させた。正妻のゆかりとのあいだに子供はなく、年老いて肉親の情に目覚め、生前から若頭の十河一に魔理雄と塁時に会長を継がせたいとの意を伝えていた。
魔理雄と塁時の母 (まりおとるいじのはは)
轟魔理雄と轟塁時の母親。轟昇誠の妾だった女性。塁時を産んですぐに昇誠と別れ、兄弟を女手一つで育てて来た。ミディアムヘアの美人で、塁時が小学生の頃にイレズミの男と付き合うようになったが、実はその男は覚醒剤の常習者で、知らずに魔理雄と塁時の母は覚醒剤の中毒者にさせられた。塁時が帰宅した際、オーバードーズで瀕死状態となっており、魔理雄が塁時を犯そうとしたイレズミの男を銃殺した時には既に息絶えていた。魔理雄は覚醒剤で錯乱した男女が殺し合ったと見せかけ、事なきを得ている。
イレズミの男 (いれずみのおとこ)
魔理雄と塁時の母の恋人の男性。覚醒剤の常習者で、魔理雄と塁時の母を覚醒剤中毒にした張本人。彼女がオーバードーズ状態になってしまった際に、帰宅した塁時を強姦しようとして、轟魔理雄に射殺された。刑務所に入っていた時にオカマを掘られた経験がある。
十河 一 (そがわ はじめ)
広域暴力団、浪速閻魔組の若頭で、十河組の相談役を務める高齢男性。白髪をオールバックにしている。本来なら十河一自身が浪速閻魔会の五代目会長となる立場だが、長いあいだガンを患っており、会長を務める気はない。組織を引っ張れる体力が残っておらず、四代目会長の轟昇誠から、実の息子に跡目を継がせたいとの意を聞かされていたため、幹部会で轟魔理雄と轟塁時を五代目会長に推薦した。
沼津 (ぬまづ)
コンビニエンスストアで働く若い男性。志水哲太の先輩にあたる。金髪を逆立てたツーブロックヘアにしており、なにかと先輩風を吹かしている。昔、ヤンチャをしていたと悪ぶっていたが、哲太がボクシングで名の知れた選手だったと知るや否や、態度を一変させたお調子者。
倉橋 (くらはし)
前川が経営していたマエカワジムの関係者。二分刈りの初老の男性で、眼鏡をかけている。前川の墓前で志水哲太と再会し、23歳ならまだ十分やれると、哲太にボクサーとしての復帰を勧めた。
前川 (まえかわ)
志水哲太が所属していたマエカワジムの会長を務めていた初老の男性。小太りな体型で、二八分けヘアにして眼鏡をかけている。日本人離れした手足の長さと足の速さを活かせば世界を狙えると、哲太に期待をかけていた。哲太が引退を決めてから急に元気がなくなり、亡くなった。
真島 (まじま)
恰幅のいいオールバックヘアの男性。十河組の組員で、轟魔理雄、轟塁時の幼なじみ。高校時代はラグビー部の主将を務めており、鳴り物入りで塁時が入部して来るものの、塁時は監督を殴ってすぐ退部するという事件を起こす。魔理雄と塁時のよき理解者だが、楠見からは態度が大きいと煙たがられている。
北条 輝明
神戸の赤武会徹騎(せきぶかいてっき)組の会長を務める初老の男性。サイドが白髪のオールバックヘアで、和服を身につけている。轟魔理雄、轟塁時が広域暴力団、浪速閻魔組の五代目会長に就任したあかつきには、北条輝明自身が後見人になると申し出ている。日本の裏社会のドンといわれるカリスマ的な存在。
黒木 (くろき)
十河組の組長代行を務める男性。広域暴力団、浪速閻魔組きっての武闘派組員と知られる。サイドを刈り上げたツーブロックヘアにしており、サングラスをかけている。黒木を使って十河組の内部崩壊を図ろうとした浪速閻魔会の幹部である南出勝、須賀勝利、伊野尾英明、浜将吾の話に乗るふりをして、裏切り行為を轟魔理雄に暴くと脅した。実は、少年院で魔理雄から容赦のない暴力を受け、魔理雄にあこがれて舎弟になったという過去がある。顔の左半分には、その時に殴られてできた大きな傷がある。
九原 (くはら)
十河組の縄張りで覚醒剤を売りさばいているチンピラの男性。ドレッドヘアで、口ヒゲと顎ヒゲを生やしている。沼津の先輩でもある。広域暴力団、浪速閻魔組の若頭補佐の片桐仁吾が組長を務める片桐組の覚醒剤をさばいていたため、志水哲太が働くコンビニエンスストア前で轟魔理雄にボコボコにされ、拉致された。十河組に監禁されていたが、楠見を殴ってへジョンと逃げようとした哲太に助けを求め、逃げ出す事に成功した。以降、魔理雄への憎悪を募らせ、魔理雄の暗殺を広域暴力団、浪速閻魔組の宇治田と片桐に持ち掛け、香港黒社会の手配師の龍を紹介した。
楠見 (くすみ)
風俗店「Rouge Noir」の支配人を務める男性。十河組傘下のチンピラ。センター分けの髪型で、もみあげと後ろ髪を長く、口ヒゲを生やしている。出稼ぎで日本に来ているヘギョン達を虫けらのように扱い、反抗的な態度を見せるヘギョンに暴力を振るったため、その場にいた志水哲太に殴られる。轟塁時のギャングチーム、トリプルナインと思しき集団に事務所が襲われ、さらに自分が塁時の手下である哲太に殴られた事で轟魔理雄に詰め寄るが、逆に激しく恫喝され、魔理雄や真島に悪感情を抱く事になる。
片桐 仁吾
広域暴力団、浪速閻魔組の若頭補佐で、片桐組の組長を務める中年男性。閻魔会七人衆の一員。リーゼント風のオールバックヘアに、サングラスをかけている。若頭の十河一とは昵懇の間柄で、五代目会長に推薦されるのは自分だと思っていた。そのため、十河に推薦された轟魔理雄と轟塁時に強い不快感をあらわにする。魔理雄を闇討ちしようとして失敗し、さらには浪速閻魔会でご法度とされている覚醒剤を片桐組が九原にさばかせていた事実を魔理雄に突き付けられ、片桐仁吾自身が会長となる芽は摘まれる。魔理雄と塁時が浪速閻魔会の五代目会長になった際には、執行部からも外される。九原からけしかけられ、香港黒社会(チャイニーズマフィア)の殺し屋に魔理雄の殺害を依頼する。
菊岡 広美
広域暴力団、浪速閻魔組の若頭補佐で、名古屋を拠点とする菊光会の会長を務める初老の男性。閻魔会七人衆の一員。少し長めの白髪のオールバックヘアに、眼鏡をかけている。キレ者と知られる野心家で、轟魔理雄と轟塁時が、若頭の十河一から浪速閻魔会の五代目会長に推薦された事が気に入らず、兄弟を揉めさせようと画策した。会長選挙直前には、轟兄弟は轟昇誠の負の遺産だとして、会長に宇治田雅之を担ぎあげた。魔理雄から脅された宇治田が会長立候補を断念したあと、魔理雄から直々に浪速閻魔会の若頭をオファーされ、懐柔されてしまう。
宇治田 雅之
広域暴力団、浪速閻魔組の若頭補佐で、五天組の組長を務める中年男性。閻魔会七人衆の一員。オールバックのツーブロックヘアにしている。轟魔理雄と轟塁時が、若頭の十河一から浪速閻魔会の五代目会長に推薦された事に強い不快感を抱いている。菊岡広美が五代目会長に自分を推薦した事に気をよくするが、息子の拓郎と妻が家庭教師として潜入した魔理雄に取り込まれてしまい、最終的に妻と魔理雄のセックス動画の存在を匂わされ、会長立候補を取りやめる。魔理雄と塁時が五代目会長に就任した際には、魔理雄に反対票を投じたため、執行部から外された。魔理雄にプライドをズタズタにされ、憎悪をたぎらせていたところ、九原から香港黒社会(チャイニーズマフィア)の殺し屋に魔理雄の殺害を依頼しないかと持ち掛けられる。
南出 勝
広域暴力団、浪速閻魔組の若頭補佐で、南出組の組長を務める中年男性。閻魔会七人衆の一員。もみ上げが長いオールバックヘアにしている。轟魔理雄と轟塁時が、若頭の十河一から浪速閻魔会の五代目会長に推薦された事に強い不快感を抱いている。黒木が十河を相当恨んでいると睨み、黒木をそそのかし、須賀勝利、伊野尾英明、浜将吾と共に、十河組にクーデターを起こす事を画策する。しかし、魔理雄に心酔する黒木の反撃に遭い、浪速閻魔会の五代目会長の選挙には魔理雄に投票せざるを得なくなる。
須賀 勝利
広域暴力団、浪速閻魔組の若頭補佐で、竜星組の組長を務める中年男性。閻魔会七人衆の一員。眉毛が細く一分刈りヘアで、口ヒゲを生やしている。轟魔理雄と轟塁時が、若頭の十河一から浪速閻魔会の五代目会長に推薦された事に強い不快感を抱いているが、注意深く事の成り行きを観察している。南出勝、伊野尾英明、浜将吾と共に、黒木をそそのかしてクーデターを画策する。しかし、魔理雄に心酔する黒木の反撃に遭い、浪速閻魔会の五代目会長の選挙には魔理雄に投票せざるを得なくなる。
伊野尾 英明
広域暴力団、浪速閻魔組の若頭補佐で、伊野尾組の組長を務める中年男性。二重アゴで口ヒゲを生やた恰幅がいい。長髪のポニーテールで眼鏡をかけており、白人のような風貌をしている。黒木にクーデターを起こさせ、一つの組も管理できない轟魔理雄に浪速閻魔会全体を任せられないというストーリーを頭に描いている。南出勝、須賀勝利、浜将吾と共に、黒木をそそのかしてクーデターを画策する。しかし、魔理雄に心酔する黒木の反撃に遭い、浪速閻魔会の五代目会長の選挙には魔理雄に投票せざるを得なくなる。
浜 将吾
広域暴力団、浪速閻魔組の若頭補佐で、美浜組の組長を務める中年男性。閻魔会七人衆の一員。スキンヘッドで、口ヒゲと顎ヒゲを生やしている。ベンチプレスは180キロまで持ち上げる事ができる怪力で、脳みそまで筋肉でできていると揶揄されている。南出勝、須賀勝利、伊野尾英明と共に、黒木に十河組でクーデターを起こすよう持ち掛けるが、摩理雄に心酔している黒木からバーベルを首に落とされそうになり、浪速閻魔会の五代目会長選挙では魔理雄への投票を約束させられる。
国松 (くにまつ)
轟塁時率いるギャングチーム、トリプルナインに所属する若い男性。塁時の引退を受けて、次のヘッドに任命された。マオカラーのナポレオン風ジャケットにキャスケット帽をかぶっており、口ヒゲと顎ヒゲを生やしたイケメン。塁時の生い立ちや、彼と兄の轟魔理雄との絆の深さをよく知る人物。
文野 (ふみの)
轟塁時率いるギャングチーム、トリプルナインに所属する若い男性。塁時の引退を受けて、次の副ヘッドに任命された。短髪でカラーサングラスをかけている。塁時が広域暴力団、浪速閻魔組に入れば、トリプルナインも取り込まれる事を心配するメンバーに、塁時と兄の轟魔理雄の生い立ちと、その絆の深さを語って聞かせた。トリプルナインのメンバーからは「フミ」と呼ばれている。
龍 (ろん)
出稼ぎ密航者の人蛇(スネーク)相手に仕事を世話する工頭(コントウ)で、いわゆる手配師の中年男性。小太りな体型でハンチング帽をかぶり、口ヒゲと顎ヒゲを生やしている。香港黒社会の人間で、殺し屋の手配も行っている。九原が連れて来た宇治原雅之と片桐仁吾から轟魔理雄の暗殺を依頼され、現在大阪にいる香港黒社会「三合会(トライアド)」の殺し屋に連絡を入れる。
カナコ
楠見の風俗店「Rouge Noir」で働く若い女性。仕事中、客である政治家の客に殴られ、顔をひどく負傷したため、店をクビになった。カナコのクビを知ったへジョンが楠見に抗議する現場に志水哲太が居合わせ、楠見を殴る事になる。
哲太の母 (てったのはは)
志水哲太の母親。夫は公務員。大阪の郊外の戸建に住んでいる。いつも夫の愚痴ばかりこぼしているが、社会で揉まれた経験がないため、自力でなにかを変える度胸もない。愚痴のシメは、離婚したいというのが口癖。しかし世間体を気にするタイプのため、離婚するつもりはまったくない。
集団・組織
浪速閻魔会 (なにわえんまかい)
大阪のミナミ・キタの繁華街で大きく縄張りを有し、多大な影響力を持つ広域暴力団。日本の裏社会では「西の顔」とされている組織。そのトップを務める四代目会長の轟昇誠の急逝により、跡目問題による内紛や他組織との抗争勃発の恐れがあるとされ、世間からも注目されている。緊急幹部会議が開かれた際には、会長の隠し子である轟魔理雄と、その弟の轟塁時が若頭の十河一から五代目会長に推薦されるが、それを面白く思わない閻魔会七人衆達は、轟兄弟の会長就任を阻もうと画策するが、魔理雄にすべて阻まれる。轟兄弟が五代目会長に就任したあとも、その抗争は続いている。総組員は3万人を超え、傘下の組は覚醒剤などドラッグの売買を禁じられている。
閻魔会七人衆 (えんまかいななにんしゅう)
広域暴力団、浪速閻魔組の幹部である七人の若頭補佐の異名。メンバーは片桐組組長の片桐仁吾、菊光会会長の菊岡広美、南出組組長の南出勝、竜星組組長の須賀勝利、伊野尾組組長の伊野尾英明、五天組組長の宇治田雅之、美浜組組長の浜将吾の七人で構成されている。轟魔理雄と轟塁時が五代目会長に推薦されたのが気に入らず、彼らを排除しようと画策するが、愚策を弄して魔理雄の術中に嵌（はま）り、轟兄弟の浪速閻魔会会長就任を認めざるを得なくなる。幹部から外された片桐と宇治田は、魔理雄の暗殺を香港黒社会の殺し屋に依頼する。
閻魔兄弟 (えんまきょうだい)
ミナミに突如現れ、連日連夜暴れまくっていた喧嘩屋の兄弟。轟魔理雄と轟塁時の異名。その強さに暴走族や喧嘩チームのスカウトがあとをたたなかった。兄の魔理雄が傷害罪で服役するまでの2年間だったが、周囲に鮮烈な印象を残したため、知る人ぞ知る伝説となった。
十河組 (そかわぐみ)
広域暴力団、浪速閻魔会の中で、最大最強を誇る組織。組員の数は3000人を超える。轟魔理雄が浪速閻魔会の五代目会長に推薦されると同時に、十河組の組長にも就任した。それまでは、浪速閻魔会きっての武闘派、黒木が組長代行として、組を束ねて来た。相談役は十河一が務めている。
トリプルナイン
轟塁時がヘッドを務めるギャングチーム。ミナミの不良の覇権を握っている。広域暴力団、浪速閻魔会内の抗争に巻き込まれ、轟魔理雄と塁時を排除したいと考える菊川広美の画策で、十河組傘下の風俗店を襲った濡れ衣を着せられる。また、チームのメンバー達が明らかにヤクザ者と思われる集団に襲われた。その後、塁時が浪速閻魔会の会長を務めるため、チームを脱退する。ヘッドは国松に譲り、副ヘッドには文野が就任した。
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