『カラオケ行こ!』の4年後を描いた続編
和山やまの代表作『カラオケ行こ!』の4年後の時系列で描かれる続編で、前作と同様に岡聡実と成田狂児が主人公を務めるが、中学生だった聡実は大学生1年生に成長している。大阪から上京した聡実はまじめに学業に勤(いそ)しんでいたが、とあるファミレスでコーヒーのシミを絵画に付けてしまったのをきっかけに、そこでアルバイトを始める。ファミレスを舞台に聡実の奇妙な人間関係や日常が、ヒューマンドラマや群像劇を交えながら気だるいテンションで展開される。
ふつうの大人になりたい主人公
主人公の岡聡実は、将来は東京で公務員になり、ふつうの大人として生きることを目標とする勤勉な大学生。大阪から上京し平穏な日々を送っていた聡実だったが、ファミレスでコーヒーをこぼし、絵画にシミを付けてしまったことで、そのファミレスでアルバイトを始めることとなる。そんな聡実は、中学生時代にヤクザの成田狂児と出会い、カラオケ上達のために彼に歌の指導を行ったという珍妙な過去があった。当時から奇妙な友情で結ばれた狂児との不思議な交流を続ける聡実は、狂児へのプレゼントのために金を密かに貯めながらも、ダメな大人とかかわるのをやめようと決心している。
岡聡実を取り巻く奇妙な大人たち
岡聡実のアルバイト先であるファミレスには、常連客をはじめさまざまな客が訪れる。深夜のファミレスで原稿に勤しむ常連で人気漫画家の北条、酒好きでいい加減な北条のアシスタントを務める苦労人のマコト、北条のヒット作の熱狂的ファンで聡実の同僚でもある森田など、聡実の周囲には個性的な大人たちが集まり、彼の日常に少しずつ変化をもたらす。そしてのちに北条の正体が、成田狂児が属する祭林組組長の息子、マサノリだったと判明。狂児とマサノリの再会や、マサノリを追う謎のライター、岡田の登場をきっかけに、聡実と周囲の人々との関係性はますます混迷を深めていく。そんな、無関係に見えていた登場人物が意外なつながりあることが発覚していくところも、本作の見どころとなっている。
登場人物・キャラクター
岡 聡実 (おか さとみ)
大学1年生の男子。森丘中学校出身で、3年生の時は合唱部部長を務めていた。銀縁眼鏡をかけており、関西弁をしゃべる。生真面目で穏やかな性格ながら毒舌家な一面があり、特に成田狂児に対しては憎まれ口を叩(たた)くことが多い。以前は大阪に住んでいたが大学進学と共に上京し、壁の薄い安アパートで一人暮らしを始めた。ひょんなことからファミレスのアルバイトを始め、深夜を中心に勤務している。中学時代に出会った狂児とは、今でも連絡を取り合っており、定期的に会って食事をしている。アルバイトの給料の一部を、狂児へ渡す予定のプレゼントのために貯めている。将来の夢は公務員になること。
成田 狂児 (なりた きょうじ)
4代目祭林組の若頭補佐を務める男性。関西弁をしゃべる。4年前、絶対音感を持つ祭林組組長が定期的に主催するカラオケ大会での罰ゲームを恐れ、当時合唱部だった岡聡実に師事し、彼からカラオケ上達のための指導を受けていた。歌唱指導やさまざまな出来事を通して、聡実とは奇妙な友情が芽生えている。聡実が大学生になって上京した現在も連絡を取り合っており、東京を訪れた際には食事に誘ったりと、定期的に聡実と会っている。実家を離れて人気漫画家となり、「北条」として活動中の組長の息子、マサノリとは旧友で、東京を訪れた際に再会を果たす。
前作
カラオケ行こ! (からおけいこ)
カラオケがうまくなりたいヤクザの成田狂児と、美声を持ちながらも変声期を迎えるという悩みを抱える男子中学生の岡聡実。住む世界のまったく異なる二人の奇妙な交流を描く、極道カラオケコメディ。和山やまが同人誌... 関連ページ:カラオケ行こ!
書誌情報
ファミレス行こ。 上 1巻 KADOKAWA〈ビームコミックス〉
第1巻
(2023-12-12発行、 978-4047377479)
ファミレス行こ。 上 アクリルスタンド付き特装版 1巻 KADOKAWA〈ビームコミックス〉
第1巻
(2023-12-12発行、 978-4047377486)