概要・あらすじ
漫画家志望の東山耕助は、両親と死別し、妹の東山久美子と安アパートでつつましく暮らしていた。ある日、そんな2人のもとに一匹の猫がやって来る。ワニ丸と名乗るその猫は、人語を話したり、さまざまな魔力を操ることのできる異形の存在だった。そしてワニ丸が来てからというもの、吸血鬼に襲われたり、赤い雲の姿をした女の霊につきまとわれたりなど、不可思議な現象が、耕助と久美子の身に起きていく。
だが2人は、その都度ワニ丸の魔力によって救われるのだった。
登場人物・キャラクター
東山 耕助 (ひがしやま こうすけ)
プロの漫画家を目指している青年。石塚劇画プロダクションでアシスタントをしながら、出版社に投稿を続けている。少し間の抜けたところもあるが、優しく妹思いの性格。酒が好きで、たまに無茶な飲み方をして、妹の東山久美子に心配されている。漫画の才能はまずまずだが、三葉出版社の血引という担当編集者に目をかけられ、連載を勝ち取る。
東山 久美子 (ひがしやま くみこ)
東山耕助の妹。同じアパートで暮らしている。実は兄の耕助とは血がつながっておらず、元々は伯爵の孫娘にあたる良家の娘であった。以前から兄の耕助に対して恋愛感情に近いものを持っていた。本当の兄妹ではない、という事実を知ってからは、「お兄ちゃんのお嫁さんになりたい」と、ハッキリ意思表示するようになる。イラストレーター志望で、駅前のハンバーガーショップでアルバイトをしながら、絵の勉強を続けている。
ワニ丸 (わにまる)
魔力を持つ猫。東山久美子の本当の家である伯爵家で、代々守り神として飼われてきた猫の末裔。その使命からか、久美子をあらゆる災厄から守ることに尽力する。人語を理解し話すことができ、さまざまな魔力を使える。お調子者で、東山耕助に対して「顔は悪いし将来性もない」と語るなど、口も悪い。料理の腕前はプロ級で、魚もさばけない久美子の代わりに食事の支度をしたりする。 久美子は「自信なくしちゃう」と落ち込んでしまう。
血引 (ちびき)
三葉出版社に勤務する漫画編集者。東山耕助の才能を買っている。血引が担当になってアドバイスを繰り返したため、耕助は連載を持つまでに至った。一見ニヒルな二枚目だが、実は明るく人当たりの良い性格。東山久美子とも親しく接する。極端な夜型人間で、寝るのは決まって昼間なのだが、雑音を封じるために大きな段ボール箱に入って眠る。 一度その姿を久美子に見られ、吸血鬼ではないかと疑いを持たれた。