この音とまれ!

この音とまれ!

作者・アミューの連載デビュー作。筝曲を実直に愛する男子高校生・倉田武蔵と札付きの不良ながら箏職人だった祖父との交流を契機に箏に興味を持った久遠愛、天才的な箏の才能を持ちながら名家を破門された鳳月さとわをはじめとする筝曲部の面々が、葛藤の衝突の末に成長していくさまをさわやかに描いた青春ドラマ作品。集英社「ジャンプスクエア」2012年9月号から連載。2019年に分割2クールでテレビアニメ化。4月から6月に第1クール、10月から12月に第2クールが放送。

正式名称
この音とまれ!
ふりがな
このおととまれ
作者
ジャンル
青春
レーベル
ジャンプコミックス(集英社)
巻数
既刊31巻
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あらすじ

先輩が引退し筝曲部唯一の部員となってしまった高校2年生の倉田武蔵は、控えめな性格から部室を占拠する不良たちに何も言えない生活を送っていた。ある日、札付きの不良中学生として名をはせた1年生の久遠愛が入部を希望してくる。当初、不良の悪ふざけと武蔵は断るが、やがてが本当に箏をやりたいと思っていることを知って受け入れる。

さらにの元不良仲間や箏の名家鳳月流の娘でありながら、母親に逆らって破門された鳳月さとわなども加わり筝曲部は新生する。メンバーの熱意を感じた武蔵は部に引き継がれていた「全国を目指す」と書かれた紙を部員全員で「全国一位を目指す」と書き換え練習に打ち込む。時に他校の圧倒的な実力に打ちのめされつつも成長を遂げていく筝曲部の様子に、天才的な音楽の才能を持ちつつも過去の出来事で情熱を失っていた顧問の滝浪涼香も感化され、2年生である武蔵たちが実質的に引退となる秋の全国予選の突破を目指し、筝曲部一丸となって取り組んでいく。

テレビアニメ

2019年に分割2クールでテレビアニメ化。第1クールは4月6日より、第2クールは10月5日よりTOKYO MX、BS11ほかにて放送。アニメーション制作はプラチナビジョン。倉田武蔵を榎木淳弥、久遠愛を内田雄馬が演じる。

登場人物・キャラクター

倉田 武蔵 (くらた たけぞう)

『この音止まれ!』の主人公のひとり。先輩たちが引退して筝曲部にただ1人残されていた。なかなか感情をあらわにできず、少し押しの弱いところがあり、そのせいで弟との関係がぎくしゃくしていたり久遠愛が来るまで部室を不良たちに占拠されるなどしていた。先輩たちから引き継いだ筝曲部を守りたいという気持ちが強く、当初は愛たち「元不良」を拒絶する態度を見せることもあったが、彼らの情熱が本物であることを知ると、部長として出来る限りのサポートをするなど優しい性格を持つ。 その反面、誰かに頼ることは不得意で部の問題を一人で抱え込んでしまうことも多い。

久遠 愛 (くどお ちか)

『この音止まれ!』の主人公のひとり。男子生徒。中学時代は両親を失って荒んだ生活をしており、札付きのワルとして地元で恐れられていた。しかし箏職人だった祖父の久遠源に引き取られ、じょじょに軟化し箏にも興味を持つようになり、源の死をきっかけに彼が生涯をかけて打ち込んでいた箏とは何か知りたいと思い筝曲部へと入部する。 当初は素人同然の腕前で鳳月さとわなどにも軽んじられていたが、素直に技術を学び取ろうというまっすぐさから、どんどんと実力を高めていく。

鳳月 さとわ (ほうづき さとわ)

箏の名家である鳳月会の後継者である少女。幼い時から天才的な箏の才能を持っていたが、そのことが名家を背負う母親との間に軋轢を生み、ある時の発表会で予定していたものと違う曲を演奏したことがきっかけで現在は破門されている。筝曲部に入部してしばらくはそのことをひた隠しにしており、また他の部員とも距離をおいていたが、やがて自らその事実を告白し、絆を深める。 容姿端麗で清楚な印象を抱かせるが、難題をふっかけてきた教頭を逆に利用するなど性格は傲岸なところがあり、その部分をあらわにした彼女は「黒さとわ」と呼ばれる。

来栖 妃呂 (くるす ひろ)

倉田武蔵と同じ2年生部員。武蔵らが一所懸命、筝曲に打ち込んでいるのを見て、その人間関係を壊してやろうと企んで入部してきた。しかし、既に強い信頼関係で結ばれてきた彼らの絆を壊すことはできず、逆に、友人に裏切られた自らのトラウマをさらけ出すことになる。そんな彼女すらも武蔵達が仲間として受け入れてくれたことで改心し、以後は熱心に箏に取り組むようになる。 祖母の影響でじゃっかん箏の心得があり、数少ない2年生部員ということもあり副部長となって、合宿の手配などで武蔵をサポートするうちに、少しずつ彼に恋心を抱いていく。

足立 実康 (あだち さねやす)

久遠愛の不良時代からの友人の1人。筝曲部へは廃部をさけるための数合わせとして入部するが、付き合いで練習していくうちに箏の魅力に気づき、真面目に箏に打ち込むようになる。過去に自分が不良に襲われていた時「友達の友達」程度の付き合いだった愛が身を挺して助けてくれたことから彼には強い友情を感じている。

水原 光太 (みずはら こうた)

久遠愛の不良時代からの友人で足立実康らと同じく数合わせで筝曲部に入部したうちの1人。人懐こい性格をした明るい少年。他の部員同様、筝曲に真面目に取り組んでいく。リズムを取るのが苦手という欠点があったが、そのことを自ら告白し、隠れて猛練習をする正直さに心打たれた顧問の滝浪涼香に指導を受け、克服する。

境 通孝 (さかい みちたか)

久遠愛の不良時代からの友人で足立実康らと同じく数合わせで筝曲部に入部したうちの1人。小太りな体型をした、柔和で面倒見のいい少年。体重があるせいか、指先にも力がありその点は箏を弾くにあたって有利と評価される。足立実康、水原光太とは3人トリオで行動することも多く、何かと悩みがちな彼らのなかで緩衝剤的な役割を果たすこともよくある。

滝浪 涼香 (たきなみ すずか)

筝曲部の顧問である男性教師。当初はまったくやる気を見せず、逆に部員たちの腕前をけなし、やる気をそぐような言動を繰り返したため倉田武蔵たちに反感を持たれる。実際の滝浪は世界的に有名な指揮者の父とピアニストの母の間に生まれたエリートであり、天才的な作曲の才能を持っている。その才能ゆえに周囲は彼を商業音楽の世界に引きこもうとし、それに嫌気がさして音楽の道を捨てていた。 しかし、未熟ながら一丸となって箏に打ち込む部員たちに感化され、独特の指導をおこなったり、練習のための曲を作るなど少しずつ協力的な姿勢を見せるようになる。

高岡 哲生 (たかおか てつき)

久遠愛の中学時代の友人で、当時は足立実康らも含めて5人でつるんでいた仲間。真面目な性格で、学業などをおろそかにしがちな愛たちの面倒を見ることが多い。暴力沙汰になると複数の上級生を倒してのけるほど喧嘩も強い。愛たちに強い友情を持っているが自分は筝曲部には入らず、遠くから見守っている。

久遠 源 (くどお げん)

久遠愛の祖父で箏をつくる職人。倉田武蔵たちが通う高校の筝曲部創立の部員の1人。両親を亡くして荒れていた愛を引き取って育て、決して彼を見捨てずにじょじょに心を開かせた。彼が中学生の時に亡くなるが、その直前に愛のための箏を作り上げ仁科シズに託していた。

仁科 シズ (にしな しず)

町で楽器店を営む老婆。口は悪いが、とても面倒見がよい人物で箏の修理などを通じて筝曲部員らと交流するようになる。数合わせで入った部員たちが箏に打ち込むようになると、箏の数が足りなくなったため、店を彼らが部活後にこっそり練習しにくる場として開放し、彼らの成長を見つめている。

久遠 依咲 (くどお いさき)

久遠源の娘で久遠愛にとっては叔母にあたる。源に頼まれて彼の死後、愛を引き取って面倒を見ている。ややがさつで、愛を使い走りするなど、彼との関係は親子というより姉弟に近い。本人はいい加減な風を装っているが、実際は実直な人物で、愛が更生し箏に打ち込んでいくのを見守っている。

鳳月 千春 (ほうづき ちはる)

鳳月さとわの母親。名門・鳳月流の現在の家元だが、それは先代家元であった夫の死によって転がり込んだもので、本人にはそこまで箏の腕がなく、天才的な才能を持つ娘のさとわと比較され、精神的に追い詰められていた。そのためさとわに辛くあたっていた。以前の温かな関係に戻りたいと思ったさとわが、ある時の発表会で予定と違う曲を演奏して、トラブルを起こす。 これにより千春は、さとわに破門を言い渡す。

堂島 晶 (どうじま あきら)

鳳月さとわを憎み、鳳月会ののっとりを考える彼女の母によって筝曲部に外部顧問として送り込まれた女性。さとわに負けず劣らずの天才的な才能を持つが、それゆえに彼女に嫉妬していた。顧問就任当初は、冷徹な態度で各部員の指導にあたり、反感を買うこともあったが、彼女の過去の演奏を聴いた倉田武蔵たちは晶の演奏技術に感じ入り、鳳月さとわですら因縁を捨てて彼女に師事しようする。 そのまっすぐさに心を打たれて自らを恥じ、彼らにしっかりとした指導をしてから、さとわを追い落とすために始めた顧問職を辞することを決意する。

書誌情報

この音とまれ! 31巻 集英社〈ジャンプコミックス〉

第1巻

(2012-11-02発行、 978-4088705453)

第2巻

(2013-03-04発行、 978-4088706399)

第3巻

(2013-07-04発行、 978-4088707754)

第4巻

(2013-11-01発行、 978-4088708454)

第5巻

(2014-04-04発行、 978-4088800349)

第6巻

(2014-07-04発行、 978-4088801421)

第7巻

(2014-11-04発行、 978-4088802145)

第8巻

(2015-03-04発行、 978-4088803203)

第9巻

(2015-07-03発行、 978-4088804316)

第10巻

(2015-11-04発行、 978-4088805085)

第11巻

(2016-03-04発行、 978-4088806365)

第12巻

(2016-07-04発行、 978-4088807300)

第13巻

(2016-11-04発行、 978-4088808130)

第14巻

(2017-03-03発行、 978-4088810294)

第15巻

(2017-07-04発行、 978-4088811260)

第16巻

(2017-12-04発行、 978-4088811680)

第17巻

(2018-04-04発行、 978-4088813899)

第27巻

(2022-09-02発行、 978-4088832326)

第28巻

(2023-02-03発行、 978-4088833774)

第29巻

(2023-08-04発行、 978-4088835747)

第30巻

(2024-02-02発行、 978-4088838328)

第31巻

(2024-08-02発行、 978-4088840888)

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